「誇」-URAWA REDS-
共に…
 



クラブの決断、中心部の解散。
積み重ねて来たものが、音を立てて崩れていくような喪失感。
こんな足取りの重い遠征は、初めてだ。
劇的に変えてしまうことが、選手に影響を与えないはずはない。
声を出せばいい、
一所懸命であれば伝わるというものではないんだ。

GK西川
DF森脇・那須・槙野
MF阿部・啓太・平川・宇賀神・梅崎・原口
FW興梠
リザーブ加藤・坪井・濱田・永田・直輝・関口・李
無観客試合となった清水戦は出場停止だった森脇が復帰、
柏木が怪我のためベンチから外れ、阿部勇樹がボランチに戻る。

「速いって…」
加速するコール。
「落ち着いて!」
意図的に手拍子を遅らせる、声に飲み込まれる。
「マズいな、これは」
スタンドの歪みは選手に伝播する。
跳ねることで立て直そうとしても、周りはそれに呼応しない。
「場所を間違えたか…」
周囲を見渡す、いつもとは違い過ぎる雰囲気。
住み分けのないゴール裏に、唇を噛み締める。

相手の芽を摘むような浦和の守備。
「安定してるな、今日も」
ゴール前の混戦、西川が抑える。
自然発生的に西川を称えるコールが起きる。
「速いって…」
「もっとゆっくり、選手たちを乗せてやらなきゃ」
右から左、左から右へと波打つ声。
「続けて!」
ボールを失うと息を飲んでしまう。
「マズいって、これじゃ」
心臓を失ったゴール裏が、彷徨っている。

7番、18番、10番、13番、6番。
危険な選手を上手く抑え込んでいる。
「頼むぞ、集中してくれ」
峻希が右サイドを駆ける。
「気を付けろ!」
クロスボールは中央に合わない。
「峻希は峻希だね」
遠くから見ていても分かる、
それほど好きだった選手が、袂を分かち敵となっている。

「繋がれ!」
槙野から宇賀神にパスが通る。
「来た!!」
35分、浦和先制0-1。
「ウメでしょ、ウメだよね!」
選手たちが独力で切り開いた得点。
「さあ、集中しよう」
勢い付かない、喜んで終わってしまう。
跳ねる意欲を失くし、試合に集中出来なくなる。
「どうしたらいいんだ…」

前半終了、神戸0-1浦和。

「危ない!」
相馬のミドル、西川が弾く。
「あっ!」
弾いたボールを相手選手が拾う。
「凄いな、西川」
西川がピンチを救う。
「前半飛ばしてたからな…」
ウチは90分間、運動量を持続できるのか。
神戸がプレスを掛ける。
「落ち着け、しっかり!」
後方でパスを回す浦和、手詰まりになり汲々とする。
「危ないな、ちょっと…」
立ち尽くしたままの足が強張る。
選手たちの力になれないもどかしさ、声を失っていく。

「ファールじゃ…」
森脇がボールを奪われる、主審がプレー続行を指示する。
「何で??」
7番がゴールに直進する。
60分、神戸同点1-1。
「やるか…」
手を叩く、気合を入れ直す。
「あれ…」
沈んでいる。
ゴール裏が、静まり返っている。
「チクショウ…」
失ったものの大きさに、動揺を隠せない。

63分、平川out李in。
「チュンソン、頼むぞ」
雰囲気を一変させてくれるのは、ヤツしかいないのかも知れない。
「森脇のクロスを使って!」
「槙野、突っ込め!」
攻勢を強める神戸、劣勢を立て直そうと邁進する浦和。
76分、梅崎out関根in。
「2試合続けて上手く行くかな」
今までなら、もっと奮い立たせてやれたのに。
ルーキーに申し訳ない気持ちになる。

自陣内、ミスを突かれる。
「やっちったか…」
78分、神戸逆転2-1。
リズムを失ったスタンドに影響されたかのような、
つまらない失点。
80分、啓太out直輝in。
「流れを変えるには、これしかないよな」
直輝の負けん気と展開力。
1点差なら、何とかなるかも知れない。
「チュンソン!」
シュートは枠を捉えられない。

アディショナルタイム4分。
「…。」
カウンターを喰らう、マルキーニョスに独走を許す。
91分、神戸追加点3-1。
天を仰ぐ。
情けないのは選手じゃない、自分だ。
僕らのせいで選手たちを厳しい状況に追い込んでしまった。

試合終了、神戸3-1浦和。
逃げるようにスタジアムを後にする。
今の僕に、何も語る資格はない。
リズムを整えることも、慌てずにプレーさせてやることも。
何も出来なかった。

悔しいよ。






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逸る気持ち。
どうしても勝たせたい。
気持ちよく送り出したい。

僕らの思いを、選手たちに伝えたい。

エメがいた、優勝が決まった次の試合。
大山俊輔のデビュー戦。
あの時以来の日立台。
迷わずに旧アウェイ側に辿り着けるなんて、
習性の成す技なのかな。

GK西川
DF森脇・永田・槙野
MF関口・阿部・柏木・宇賀神・梅崎・原口
FW李
リザーブ山岸・坪井・濱田・直輝・関根・矢島・阪野
興梠、啓太、那須、平川は帯同せず。
誰が出場しても同じサッカーを構築することが出来るのか。
そんなことなんて気にしていられないほど、
勝利を渇望していた。

「いいねぇ」
原口がドリブル突破、見せ場を演出する。
広島戦でも感じた、新しい9番の意気込み。
「柏、ウチに付いていけてないのかな」
立て続けにFKを得る浦和。
平日夜のナビスコ杯とは思えないほど、
ゴール裏に赤者が集結している。
右サイドを破られる、西川が落ち着いてボールを捌く。
「いいよ、いい選手獲ったよね」
バックラインが慌てることがなくなっている。
永田から、柏木から縦にボールが入る。
「ウチ、強くなってるのかな」
メンバーが代わっても質が変わらない。

中央から左にフリック、ボールを押し込む。
「入った!」
「やったぜ!」
17分、浦和先制0-1。
「ウメ?ウガ?」
得点者がアナウンスされない。
「ウメだ!」
暫く立って梅崎の名前がアナウンスされる。
アウェイで先制、勝てる可能性が高まる。
「さあ、勝つぞ!」

11番、9番、18番が連動しない柏。
攻撃を自重する槙野、森脇。
「無理することないんだ、無理するなよ」
右サイド、関口が翻弄される。
「マズい、同じ形でやられ過ぎだよ」
流れが一気に柏に傾く。

ゴール前の混戦、相手選手と交錯する。
「それでなの?」
僕らの目の前でPKが宣告される。
「その基準で吹けよな!」
右に飛ぶ西川、中央に飛ぶボール。
43分、柏同点1-1。
「審判、怪しいんだよな…」
不安定なジャッジ、浦和が不利を蒙る。

前半終了、柏1-1浦和。

HT、関口out濱田in。
「鳥栖戦と同じラインにするのか」
連携に不安のあった森脇と水輝。
「大丈夫かな」
右サイドを破られることがなくなる。
「取りあえず交代は成功かな」
試合が落ち着く。
「来たか!?」
満を持して槙野が左サイドを駆ける。
「行け、行けるぞ!」
クロスが入る、水色のスパイクがシュートを狙う。
「ウメ、打て、打て!」
DFラインを破れない。
「惜しいんだけどな…」

「このままでも仕方ないのか」
不安定なジャッジが悩ましい。
「今日主審誰なの?」
時計すら見辛いスタジアム、主審の名前を確認することが出来ない。
「ファールだろ!」
ウガが後ろから倒される。
「吹けよ、吹けって!」
プレーが続行される。
「そりゃないだろ、おい!」
基準の定まらない笛にフラストレーションが溜まる。
柏CK。
西川が飛びつく、副審が走り出す。
「競り負けたのか?」
79分、柏逆転2-1。
幾つもの危険なプレーを流された挙句の失点。
「そりゃないって…」
槙野にイエローが出される。
「異議か…」
「気持ちは分かる、分かるけど勿体ないって」

梅崎が右サイドを突破、クロスが入る。
「チュンソン!」
「オフサイドか…」
ネットが揺れる、ゴールならず。
86分、宇賀神out関根in。
「勝負だ、頑張れよ」
ルーキーの突破力が、浦和に幸運を齎せてくれるかも知れない。
88分、梅崎out矢島in。
「もっと時間があれば…」

アディショナルタイム3分。
「PKだ!」
目の前で槙野が倒される。
「PKだよな?」
91分、槙野に警告、退場。
「何考えてんだよ、足掛かってただろ!」
主審より近い位置に僕はいた。
相手選手はボールに絡んでいない。
「酷いな、ちょっと」

零れ球に反応した原口のシュートが枠を越えていく。

試合終了、柏2-1浦和。



負けた。
次の試合、僕たちは頑張ることが出来ない。
スタジアムに近づくことすら許されない。
「頼む、頼んだぞ」
喉が枯れても掠れても、止めることの無いコール。
想いよ、届いてくれ。
選手たちの背中を越え、埼玉スタジアムまで。


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事件が起こった。
平常心ではいられなかった。
内包する問題を、制止することが出来なかった。
「どうして?」
色々な思いが交差した。
消化し切れぬまま迎えた一戦。
一部のサポーターという言葉で処理してはいけない。
スタジアムに集う皆で考え、行動し、守らなければならない。
その一歩が、始まる。

GK西川
DF森脇・那須・槙野
MF阿部・啓太・平川・宇賀神・柏木・原口
FW興梠
リザーブ加藤・坪井・濱田・梅崎・矢島・関口・李
那須が復帰、ベンチを外れたのは水輝ではなく永田。
平川がスタメン、森脇が1枚下がり柏木は1枚上がる。
梅崎がベンチに下がり啓太がボランチ、
昨シーズンを踏襲したメンバーで挑む。
特定の選手へのブーイング、異様な数の記者。
何が良くて何が悪いのか、置かれた状況に戸惑う。

「気にしないこと、いつも通りでいい」
僕自身が汚い野次を飛ばしたことはない。
旗を掲げたこともない。
過剰な意識は選手に悪影響を齎すに違いない。

局面勝負で広島を上回る浦和。
「1対1なら負けてないな」
森脇の動きが鋭い、槙野が攻撃を自重している。
相手の両サイドを抑え込む。
「中央がね、パスが通らないな」
ボールを失うと潮が引くように自陣に戻る広島。
「これじゃなかなか点取れないな」
互いに特長を消し合う、青山も啓太も縦に入れることが出来ない。
「抜かれた!」
DFの裏にボールが抜ける。
西川がエリア外に飛び出しクリア。
「流石だな」
安定感がチームに、僕らに安心を与えてくれる。

「上がった!」
槙野のドリブル、中央に切れ込む。
「持ち過ぎか!?」
ラストパスを送る。
「来たか!?」
シュートはGKに阻まれる。
「向こうもいいGKだな」
少ないチャンスを生かすことが出来ない。
柏木のCK、右に流れたボールに平川が追い付く。
ふわりと浮かぶ、ネットが揺れる。
「入った、でしょ!?」
副審が得点を認めている。
43分、浦和先制0-1。
「誰?興梠??」
誰でも良かった。
苦しい試合、厳しい精神状態。
選手たちが、僕らを救ってくれた。
「しっかり、しっかり守ろう!」
勝ちたい、どうしても勝ちたい。

前半終了、広島0-1浦和。

「こんなに晴れるって、珍しくない?」
市内は晴れてもここは雨。
晴れていたのに突然振り出す雨。
ビックアーチの天気はいつも悩ましかったのに、
顔が痛くなるほど、日差しが強い。

「仕掛けて来たな」
先制を許した広島が前に出る。
「いいぞ、森脇」
DFがそれを阻止する。
背走する原口、柏木が喰らい付く。
選手たちから気迫が伝わる。

突っ掛ける原口、右サイドを駆ける平川、槙野のミドル。
乗せる、僕らを乗せてくれる。
「いいぞ、そうだ!」
旗に遮られ集中を欠くこともない。
69分、広島が2枚入れ替える。
「そっか、上手く行ってないってことだな」
寿人がいなくなり、恐怖心が和らぐ。
「チュンソン、呼ばれてるね」
「誰と代えるんだろう?」
79分、興梠out李in。
「今日もシャツはinだな」
身体を張る、振り向きざまに狙う。
シュートは枠の外。
「まだ戻らないか、チュンソン」
もう3試合目、そろそろ結果が欲しい。

82分、柏木out梅崎in。
「違うね、ミシャの采配」
交代の為の交代ではなく、戦術的な意図を感じる。
「しっかり、集中しよう」
攻撃の度合いを増す広島、ボールが前に収まらない浦和。
声を張る、跳ねる。
1週間の苦しさや悔しさをピッチに、勝利のために転化する。
「勝ちたい、どうしても勝ちたい」
「ウメ!!」
右サイドを突破する。
「いるぞ、真ん中!」
チュンソンが詰める。
「流れたか!?」
体勢を崩したままシュートを放つ。
「惜しい、万全だったら決められたかも…」
追加点が奪えない、広島が攻める、必死で逃れる浦和。
「森脇!西川!」

「ヤジが出るのか…」
29番が呼ばれている。
「いや、違う」
90分、森脇out坪井in。
「堅いな、ミシャ」

アディショナルタイム4分。
「もう少しだ、このまま逃げよう」
勝利が、目の前に近づく。
原口がボールを受ける。
「行け、行け、グッチ、グッチ!」
右足を振り抜く、ボールがネットに突き刺さる。
91分、浦和追加点0-2。
原口が、原口が決めた。
エンブレムを叩き付け、看板を超え、原口が雄叫びを上げる。
「良くやった、ありがとう、原口」
僕らの思いに、9番が応えてくれた。
嬉しくて嬉しくて、堪らないゴール。

「あ、カードだ…」
91分、交代した森脇に2枚目の警告。
「ピッチ入ってただろ、アイツ」
緩くなった涙腺を、森脇が笑いに変える。
「しょうがないな、全く」
「集中しよう、ゼロで抑えよう」

笛が待ち遠しい。
残り時間はあとどれくらいだろう。
時計を見ない主審。
「まだか、まだかよ…」
攻め込まれる、ボールが切れる、主審の手が挙がる。
「勝った!」

選手たちが、希望を与えてくれた。
迎えよう、称えよう。
無遠慮なカメラマンを払い、選手が僕らの前に来る。
監督もスタッフも、僕らと対峙する。

やり直そう、もう一度。
みんなで、みんなで取り戻して行こう。
もう揺らぐことはない。
浦和を、僕たちの浦和を。
タオルマフラーを掲げる仲間たち。
「行こっか」
スタンドに待機するクラブスタッフに
「ありがとうございました」と声を掛ける。
「すみませんでしたって言えば良かったかな」
背後から凱歌が聞こえる。
「今日は歌っていい日だよね」

嬉しくて、嬉しくて。
浦和が、好きなんだ。







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日向は暖かく、日陰は寒く。
開幕して間もない季節ならではの気候。
あっという間に陽が陰るゴール裏。
「寒いね」
春が、待ち遠しい。

GK西川
DF濱田・永田・槙野
MF阿部・柏木・森脇・宇賀神・梅崎・原口
FW興梠
リザーブ加藤・坪井・平川・啓太・矢島・関口・李
前節負傷交代した那須が欠場。
水輝が右DF、森脇が右WB、真ん中が永田。
「後ろこんなに弄って大丈夫かな」
監督の勝利への拘りが感じられるスタメン。
「ミシャ、本気だよな」

ガツガツ来ない鳥栖。
「らしくないな」
後方から組み立てる浦和。
「水輝、大丈夫か!?」
豊田と競る、ほぼ互角に渡り合う。
「しっかり、落ち着いて」
ここで水輝が自信を持ってくれたら、
ウチは大きな戦力を手に入れることが出来る。

「や…、抜かれたか…」
マークを交わされる、右サイドを破られる。
「ワンチャンスかよ…」
9分、鳥栖先制0-1。
「水輝…」
人数は揃っているのに奪われる。
悪癖は未だ改善されないのか。

「やっぱり打ったね」
右からのクロスからウガのシュートはGK正面。
「そうだ、打って行こう」
原口のミドルもGKがセーブ。
「林、いいGKだな」
簡単にマウスを破ることが出来ない。
「押してるんだけどなぁ」
無闇に攻め急ぐことなくチャンスを創っている。
「興梠が外か、逆だったら…」
興梠のクロスに梅崎が反応。
「ウメっ!」
「フリーだよ、決めなきゃ」
決定機を逸する浦和。

「前半に追い付いておきたいな」
ポゼッションは圧倒的に浦和。
カウンターを浴びることすらない。
「水輝、頑張ってるじゃん」
競り合いに負けない、前線に起点を作らせない。
「陽介がもっと前に出れたらいいんだけど」
球を散らす、厚みを持たせた攻撃、怖さがない。

前半終了、浦和0-1鳥栖。

「1点取れれば…」
その1点が遠い。
「危ない!」
鋭いカウンター、槙野が防ぐ。
「槙野、結構後ろに残ってるよね」
守備は安定した、その代わり攻撃が薄くなっているのか。
「どうする?行くのか!?」
槙野が強引に中央へ進出する。
「あっ!」
クロスバーに当たる、跳ね返る。
「まだまだ、狙え!」
決められない。
チュンソンが呼ばれている。
「誰と代えるんだ?ウメか?」
55分、永田out李in。
「水輝が真ん中?荷が重いんじゃ…」
森脇が右DF、梅崎が右WBに回る。

「負けんな!」
選手交代直後、豊田を自由にさせてしまう。
「頼むぞ…」
攻めている。攻めているはずなのに縦にパスが入らない。
「先に点取られると厳しいな」
「はぁ?」
斜め後ろから関口を呼ぶ声がする。
「何考えてんだ!?」
ピッチにいない選手のコールをしている。
「ふざけんなよ…」
戦いに水を差す愚かな行為。

「追い付け!」
ライン際、梅崎がタッチを割りそうだったボールに追いつく。
「行け、チャンスだ!」
GKが弾く、宇賀神が拾う。
「ち、くしょう…」
決まらない。

70分、梅崎out関口in。
「やり辛いよな、関口」
不可思議なコールの後、気持ちを前に向け切れない。
79分、濱田out啓太in。
「こんなに後ろ弄っちゃったら…」
DFラインが崩れるのでは、そこから失点してしまうのでは。
追い付くだけでもいい、慎重に、慎重に。
過ぎていく時間、攻め切れない浦和。

アディショナルタイム4分。
「ちょっと短くないか?」
ガンバ戦より長くてもいいはず。
勝っている時と負けている時の感じ方の違いだけだろうか。
「左足ボレーだったのに」
チュンソンのシュートは枠の外。
「マズい、もう時間がない」
原口が走る、ドリブルで突っかける。
「行け、行け、行け!」
クロスバーを越えていくシュート。
「ここまでか…」

試合終了、浦和0-1鳥栖。

選手を待たずにコンコースに抜ける。
「ここで躓くとはな」
熟成された相手の戦術が、恨めしかった。


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穏やかな季節の終わり。
新しいシーズンの幕開けは、僕らを再び戦いの場に誘わせる。
結果が求められる3年目のミシャ監督。
3年目が訪れたことに
クラブの成長を感じ取るべきなのかも知れないのに。
「ここで勝たなければスタジアムが荒れる」
埼玉スタジアムで罵声や怒号は聞きたくない。
どうしても勝ちたい、勝たなければいけない。
過度な緊張が包み込む。

GK西川
DF森脇・那須・槙野
MF阿部・柏木・平川・宇賀神・梅崎・原口
FW興梠
リザーブ加藤・坪井・永田・啓太・矢島・関口・李
シャドーにウメ、ベンチに矢島。
DFを2枚ベンチに入れる。

「ヤットが前だね」
前線に留まりパスを配給する遠藤。
3分、那須に警告。
「慌てることないのに…」
「それでカード出すのか」
主審は西村氏。
この試合の基準を示したのか、
選手たちがヒートアップする前に機先を制したのか。

「縦にボールが入らないな」
柏木が最終ラインまで下がってボールを捌く。
「もっと右使ってもいいのに…」
槙野、ウガ、原口に偏る攻撃。
「向こうはJ1のスピードに慣れてないかな」
ボールへの寄せの速さは浦和。
小さなミスを犯し自ら目を摘むG大阪。
「慣れる前に点取っちゃいたいな」
止まない雨が身体を濡らす。

「迷うな!森脇」
急所を突くことを恐れているよう。
「ウガももうちょっとやれるんじゃ…」
繋ぐチーム同士の対戦、ポゼッションは浦和に分があるか。
「放すな!」
クロスボール、ニアに合わせられる。
「治ってないかな、まだ」
去年の悪癖が顔を覗かせる。
「先制しないと危ないかも…」
相手が息を吹き返す前に、叩きたい。
左から槙野、右からのクロスに興梠。
シュートが枠に飛ばない。

「もうこんな時間か…」
雨に霞むビジョン、時計が45分を指そうとしている。
柏木のCK。
「入った!」
副審が走り出す。
「左足だったね」
43分、浦和先制0-1。
「誰?」
「槙野じゃない!?」

前半終了、G大阪0-1浦和。

「二川下げちゃうんだ」
「ヤットの負担、ますます大きくなるんじゃない?」
中盤の底から前線まで、広いエリアをカバーする遠藤。
「90分持たないよね、きっと」
「大森って、誰?」
1年いない間に、G大阪が分からなくなっている。

「浮かせたか、せめて叩きつけてくれたら…」
阿部勇樹のミドルはバーの上。
「大森は左サイドのケアかな」
右に張りだしウガ、槙野を牽制する。
「あんまり守備は巧くないのかな」
「それはウチも同じだけどね」
降り続く雨、身体が冷えてくる。
「そう言えば、声枯れないな」
開幕戦はいつも声が出ないのに、どうしてだろう。

53分、相手8番に警告。
「粗いんだよな、アイツ」
副審に異議を唱えている。
「誰だ?ああ、岩下か」
森脇が右から中央に進出する。
「そうだよ、それでいいんだ」
ミドルシュートは枠を外れる。
ヤットのFK、副審の旗が上がる、ネットが揺れる。
「オフサイド!」
難を逃れる浦和。
「西川、いいよね!?」
正確なキック、落ち着いた所作。
「これは大きいね」
期待が膨らむ補強。

「チュンソンだ」
「誰と代えるんだろう、ヒラかな」
67分、梅崎out李忠成in。
「ヒラの接触は大丈夫だったってことかな」
原口が低い位置から突進する。
「いいぞ、そうだ!」
迫力あるドリブル、素早い判断。
「クロスがそれじゃ…」
平川のクロスはタッチを割る。
「やるじゃん、チュンソン」
頭から突っ込む、労を惜しまないプレー。
「身体もデカいんだね」
新しい武器が生まれる予感がする。
「興梠も楽になるね、これで」

原口が抜け出す、DFを引き付ける。
「行ける!」
走り込む李忠成。
「来た!」
「マジか…」
DFに弾かれる、決定機を逃す。
「決めれば決まりだったのに…」
失いつつあった流れを引き戻すことが出来ない。
「左利きだね!」
ターンして放つ李の左足。
「使えるな、いい選手だよ」
移籍時に感じた違和感がもう、過去のこと。

「那須、か?」
倒されたまま動かない。
「担架かよ…」
76分、那須out永田in。
「頼むぞ、永田!」
永田が戻ればウチの守備は安定する。
「慌てるな、大丈夫」
パスを回される、跳ね返しても奪えない。
「ちょっと厳しいな」
「だからって誰を代えたら…」
苦しい時間帯、こちら側にボールが来なくなる。
86分、興梠out啓太in。
「陽介を外すっていう選択肢はないんだな」
「森脇とウガも怪しいんだよね」
守勢に回ると脆さを露呈する。
これも去年から変わっていないのか。

「長いよ、幾らなんでも」
アディショナルタイム5分。
「選手交代プラス1分じゃないのかな…」
何時点を奪われてもおかしくない展開。
「堪えろ、堪えてくれ!」
「何でだよ!」
主審のジャッジに不満をぶつける。
「時間だ、時間だって!」
ロスタイム表示から5分が過ぎる。
時計に目を落とさない主審。
「過ぎた、もう過ぎてる!」

「終わった…」
漸く笛が鳴る、選手の動きが止まる。

G大阪0-1浦和。

歓喜ではなかった。
「良かった…」
安堵。
これでホームに帰れる。
いい雰囲気で埼スタを迎えることが出来る。

1/34が、終わった。


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勝てばいい、勝てば決まる。
優勝を逃した。
けれど、
ACLの権利なら自力で手繰り寄せることが出来る。
「勝ちたい」
「ACLに行きたい」
最終戦独特の雰囲気を醸し出すスタジアム。
「浮つかなければいいが」
浦和の敵は浦和。
そうならないことを願う。

GK山岸
DF森脇・那須・槙野
MF平川・阿部勇樹・啓太・原口・柏木・宇賀神
FW興梠
リザーブ加藤・坪井・永田充・暢久・直輝・梅崎・関口
平川がスタメン、梅崎がベンチスタート。
マルシオは復帰出来ないまま。
連勝しても連敗しても同じメンバー。
これがいいことなのか、そうではないのかは、
きっと誰にも分からないのだと思う。

「上手く守ってるぞ」
相手FWの侵入を許さない。
「今日は落ち着いてるかな」
気負い過ぎず、適度な緊張感が伝わる。
縦にパスが入る、柏木が飛び出す。
「いいね!」
興梠が裏を狙う。
「来たか!?」
シュートは枠の外。
勝てばACL。
どうしても掴みたいアジアへの挑戦権。
「1点でいいんだ、慎重に行こう」
C大阪との相性は悪くないはず。
先制すれば自分たちのサッカーが出来るはず。

右から崩す、柏木が繋ぐ。
「やった!!!」
24分、浦和先制1-0。
やっともぎ取った先制点、待ちに待った点が齎される。
「いいぞ、原口!」
これで行ける、アジアへの扉が開く。
「しっかり、集中しよう」
ここから10分我慢すれば勝利の可能性は高まるはず。
「落ち着いて、ゆっくりでいいんだ」
勝てばいい、内容なんてどうでもいいんだ。

「サイドの裏、なんだよな」
狙われている、森脇が、槙野が防ぐ。
「頼むぞ、やらせるなよ」
原口の突破、GKが零す、陽介が詰める。
「浮かせたか…」
追加点ならず。
「畳み掛けられればな…」
相手が息を吹き返す前に、もう1点取れたら。

「打たせるな!」
強いシュート、DFがブロック。
「ギシ!」
浮かぶボール、山岸の頭上を越える。
「マジか…」
40分、C大阪同点1-1。
「ツキもないのかな」
弾いたボールがネットに吸い込まれる。
ウチに勢いがあれば、外れたのかも知れない。
「落とすなよ、流れはウチだったんだから」
またやり直せばいい、前半はこのままでも仕方ないんだ。

「しっかり!」
「打たせるな!」
山岸が弾く、拾われる、山岸が弾く、奪われる。
「人数いたのに…」
混乱した守備の隙を突かれる。
45+1分、C大阪逆転1-2。
「またかよ…」
振りかざした拳から、力が抜けていく。

前半終了、浦和1-2C大阪。

「2点取るのか、厳しいな」
他会場の経過は関係ない。
勝てばいい、そのはずなのに。
爆発力のない攻撃、粘り強く戦うしかないのか。

「真ん中、しっかり!」
ミドルシュート、山岸が得点を許さない。
「落ち着け、大丈夫だから!」
これ以上離される訳にはいかない。
僕らに出来ることは、
得点を呼び込む雰囲気を作ってやることだけなんだ。

53分、C大阪追加点1-3。
「柿谷、か…」
「3点取らなきゃ、ってことか」
希望が薄れていく。
「どうして…」
54分、平川・宇賀神out関口・梅崎in。
「サイドが悪かった訳じゃないと思うけど…」
劣勢を一気に覆す劇薬が欲しい。
「危ないって、しっかり!」
前のめりになる浦和、
受け止めて仕掛けるC大阪。
「ギシくん!」
決壊しそうなDF、山岸が踏み留まる。

69分、那須out直輝in。
「9得点を代えるのか…」
貴重な得点源を下げる。
「どうする気なんだろう」
「ここでCKだもんな…」
「阿部勇樹、頼むぞ!」
シュート、GKが弾く。
「まだだ!」
72分、興梠が決める。
「あと2点、取るぞ!」
ACLが待っている。
もう一度アジアで戦いたい。

「良く防いだ!」
攻守の切り替えが早くなる。
「惜しい!」
興梠のシュートはDFがブロック。
「慌てるな、抑えろ!」
「しっかり、しっかり付いて!」
76分、C大阪追加点2-4。
ゴール前の混戦、防ぐことが出来ない。
「ダメなのか、もう…」
残り20分、今の浦和が3点奪うことなんて。
諦めない、諦めてはいけない。
分かってる、分かっているけど。
選手を奮い立たせる前に、自分が萎えてしまいそうになる。
「最後まで、最後まで戦おう」
関口が駆ける、直輝がボールを引き出す。
時間が流れていく。

「そうか、そうなのか…」
86分、C大阪追加点2-5。
「何で、どうして?」
声が出ない、身体が動かない。
1年間、必死に戦った。
それなのに…

原口のシュートがクロスバーを越えていく。

試合終了、浦和2-5C大阪。

何も残らなかった。
タイトルも、ACLも、捨てた天皇杯も。
虚しさだけが去来する。
社長挨拶に合わせ巻き起こるブーイング。
「たまに来てそれはないよな…」

広州で始まった2013シーズンが、終わった。

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「諦めない」
口に出すのは容易い。
1週間で立て直せるような守備なのか。
ずっと改善されずにここまで来たのに、
そのような芸当は出来るのだろうか。
首位との勝ち点差は4。
勝つことだけを目標に、
それまで積み重ねてきたやり方を変えることはあるのか。

GK山岸
DF森脇・那須・槙野
MF梅崎・阿部勇樹・啓太・原口・柏木・宇賀神
FW興梠
リザーブ加藤・坪井・永田充・暢久・直輝・平川・関口
梅崎が右、平川がベンチ。
「ここに来て代えるって、どういうことだろう」
監督はまた迷っているのか、
それとも確固たる信念があってのことだろうか。

「さあ、やるか!」
一気にボルテージを上げる。
勝つことでしか、挑戦権を得ることは出来ない試合。
「やっぱりそうなるのか…」
激しいプレスに後手を踏む浦和。
「負けんな!」
那須が豊田に喰らい付く、
森脇が10番をマークする。
「それでファールかよ…」
鳥栖のFK。
「危ないって…」
山岸がパンチングで逃れる。
「気を付けろ!」
14番のミドルが襲う、山岸が弾く。
「しっかり!」
動きが硬いのか、研究されて身動きが取れないのか。
「なんでそこなんだよ…」
15分、CKから鳥栖が先制1-0。
零れ球に付いて行けず、失点。
「ほら、負けねーぞ!」
何回も繰り返される過ち、それでも諦める訳にはいかない。

啓太が下がる、サイドに散らす、寄せられる。
効果的な攻撃を創れない浦和。
「よし、左足だ!」
「惜しい!」
柏木のシュートはバーに嫌われる。
「ツキがないのかな」
接触するたびに笛が鳴る、リズムが作れない。
主審は高山氏。
「厳しいな、ちょっと…」

31分、那須に警告。
「それでなの!?」
審判を味方に付けることも出来ない。
「行け、行けるぞ!」
原口がDFを交わす。
「GK、当たってるな」
追い付けない。
「やられたか?」
裏を抜かれる、槙野が追い縋る。
「入るな、ギシ!!」
転がるボール、ラインを越える、マウスに吸い込まれていく。
37分、鳥栖追加点2-0。
「どうして…」
キツい、辛い失点。
「まだまだ!」
萎えそうになる気持ちを奮い起こす。

前半終了、鳥栖2-0浦和。

「槙野かな」
左からのFK。
「阿部勇樹だ!」
直接狙ったシュートは壁に当たる。
「壁の距離、近いよ…」
審判のジャッジにも感情的になってしまう。
「立ち上がりで変わらないと、ヤバいかもな」
鳥栖の雰囲気に飲まれるスタジアム。
声を張ってもピッチに響かない。
「またか…」
カウンター、DFの裏を突かれる。
「ギシくん!」
「助かった…」
これ以上失点しては追い付けなくなる。

「興梠!!」
必死に足を延ばす、届かない。
柏木も、興梠も、原口も、戦っている。
何かが違う、何かが噛み合っていない。
「これが限界なのか…」
爆発力のない攻撃、跳ね返す力はあるのか。
63分、梅崎out関口in。
「左が先じゃないのかな…」

関口が右サイドを駆ける。
「クロスだ!」
1点返せば分からなくなる。
「早く、早く!」
原口のクロスに興梠、バーに嫌われる。
「まだある!」
「関口!!!」
GKに防がれる、得点を奪えない。
「PK!」
槙野が倒される、笛は鳴らない。
「そんな…」
鳴らす審判が笛を鳴らさない。
「ちくしょう…」
時間ばかり過ぎていく。

「もう1人代えた方が…」
ベンチが動く気配はない。
「何か変えないと、後がないんだよもう」
交代選手を注ぎ込む鳥栖、
相手DFを崩せない浦和。
「何で、どうして?」
攻め倦む、攻め急ぐ、カウンターを浴びる。
「フリー!!」
陽介のシュートはDFに当たる。
「何分なんだろう」
時計の見えないアウェイ側。
「あと10分ないのか…」
勝てなくてもいい、追い付こう、意地を見せよう。

槙野がPA内に進出、倒される。
「PKだろ!?」
流される。
「ジェスチャーが大き過ぎたのか?」
中央を突破される、啓太が背走する。
「あ…」
相手選手が倒れる、笛が鳴る。
「PKかよ…」
そうしなければやられていた。
退場じゃなくて良かった。
そう思うしかないのか。
89分、鳥栖追加点3-0。
「どうして…」
捲っていた袖を降ろす。

アディショナルタイム5分。
90+2分、那須が決める。
「興梠!!」
決められない。
「起きろ、興梠!」
陽介のミドルがバーを掠める。
握った拳に力が入る。
「マジか…」
ボールを奪われる、決められる。
90+6分、鳥栖4点目。
声を失う、全身から力が抜ける。
中心から鼓舞する声がする。
「やらなきゃいけないんだけど、分かってるんだけど…」
コートを羽織る、空を仰ぐ。
どうしても声を出せない。

試合終了、鳥栖4-1浦和。
崩壊する守備、
悪循環に陥ると立て直すことの出来ない脆さ。
辛く、悲しい敗戦。

無言のまま駅に向かう。
列車に乗る、誰とも話す気になれない。
「ACLだけは、ACLだけは何としても」
拠り所はもう、それしか残されていないのだから。






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誰も諦めてなんかいない。
処分、契約更新。
1週間のインターバルの間に、クラブは揺れた。
首位との勝ち点差は1。
直接対決を残していない以上、
もう負ける訳にはいかない。

GK山岸
DF森脇・那須・槙野
MF平川・阿部勇樹・啓太・原口・柏木・宇賀神
FW興梠
リザーブ加藤・坪井・永田充・暢久・直輝・梅崎・関口
所謂“ベストメンバー”。
序列が決まってしまったり、
組織的な守備を構築しなかったりと、
期待した部分の成果が出ると、
弱点も気になりだしてしまう。
「暢久のために」
そんなことは思わない。

そろそろタイトルが欲しい。
それだけだ。

「気合入ってるなぁ」
果敢にプレスを掛ける浦和。
「良く動いてる、いいぞ」
この試合に懸ける意気込みを感じる。
柏木がボールに触れる、前を向く。
「今のうちに点取ろうよ」
川崎の前線が網を張る。
「そんなに追い掛けて90分持つのか?」
中2日の川崎、休養十分の浦和。

中村憲剛のCK。
「何でだよ…」
甘いマーク、安い失点。
12分、川崎先制0-1。
簡単に得点を許す悪い癖。
あの気合は、空回りだったのか。
ジェシがゴール裏を挑発する。
「チクショウ…」
あんな奴に負けたくない。
「じっくりやろう、そうするしかなんだから」
粘り強く、根気強く。
失いかけた声を絞り出す。
「原口、行け、行け!」
奪われても奪い返す、エリア内に入る。
「打て、打てる!」
シュートはGK正面。
「洋平なんだよな…」
乗らせたら手に負えないGK。
昔から洋平は、そうだった。

右へ大きく展開、ヒラがクロスを上げる。
左はウガと槙野がコンビネーションで崩す。
「我慢して、焦るなよ」
自分たちのサッカーを貫けば、チャンスは訪れるはず。
「カウンター狙いだもんな、あっちは」
無闇にラインを上げない、浦和のミスを誘う川崎。
「やっちったか…」
高い位置でボールを奪われる。
「足りてないぞ…」
振り回されるDF。
「ダメか…」
クロスバーに救われる。
「ツイてる、まだ大丈夫だ!」

前半終了、浦和0-1川崎。

「抑え切れきれないな」
レナト、大久保の突破を許す。
「外すな、しっかり」
2点差を追い付くほどの迫力は、今のウチにはない。
丁寧にパスを繋ぐ、相手の隙を伺う。
「焦るなよ、落ち着いて」
まずは追い付いてから、試合をリセットしてからが勝負か。

原口が左サイドを駆ける。
「どうする?中は足りてるか!?」
低いボールを入れる。
「どうだ!?」
57分、浦和同点1-1。
「さあ次だ、次!」
喜ぶヤツはいない、まだ追い付いただけなんだ。
「お前らが喜んでどうする…」
センターサークルに戻らず、喜びを分かち合う選手たち。
「甘い、甘いんだよ」
「行くぞ、ほら!」
57分、平川out関口in。
「畳み掛けろ、頼むぞ、関口」

左を崩される。
「マズい…」
59分、川崎勝ち越し1-2。
苦労して奪った得点が水泡と化す。
「何でなんだ…」
行く先は坂道ばかり、キツい。
「ほら、しっかりしろ!」
優勝なんて言葉は、まだ語ってはいけないのか。

60分、川崎4番に警告。
粗いプレーに悩まされていた浦和。
「当たり前だろ」
主審は吉田氏。
陽介がニアに入れる。
「惜しいっ!」
阿部勇樹のヘッドはクロスバーを掠めていく。
「これ決めないと、ヤバいのかな…」
ナビスコ杯決勝もそうだった。
もしかしたら、今度もそうなってしまうのか。

70分、宇賀神out梅崎in。
「アウト2枚、か」
仙台戦とは異なる役割を与えられる。
「いいのかな、それで」
前掛かりになった訳ではないのに、カウンターを喰らう。
「しっかり、戻れ!」
山岸が立ち憚る、追加点を許さない。
「勝ち点1でもいい、点取ろう!」
勝ち点3以内なら、逆転も有り得る。
「もっと動かないと」
中2日の相手を振り切れない。
「走って、足元じゃなくて」
もどかしい。

84分、森脇out直輝in。
「もうちょっと早く出してくれれば…」
阿部勇樹と柏木が1枚ずつ下がる。
時間がない、あと2点は苦しいか。
「引き分けでもいい、負けちゃ駄目なんだ」
萎えそうになるココロを奮い起こす、
「負けんな!」
自分自身に、選手たちに。

アディショナルタイム4分。
「少ないよ…」
露骨に時間を稼いでいたはずなのに。
45+1分、川崎追加点1-3。
「どうして…」
天を仰ぐ、悔しさと情けなさが去来する。
「もっと普通でいいのに…」
難しいパスを選択し、ボールを奪われる。

浦和1-3川崎。
崩れ落ちる柏木。
「もっとやれることがあったんじゃ…」
あの2文字が遠くなる。

冷たい風がスタジアムを抜ける。
「ACLだけは、何としても」
追い掛けても追い掛けても届かない。
実はまだ、熟していないのだろうか。



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日曜日19時、宮城。
高い駐車料金、不便な公共アクセス。
嫌がらせのような日程は、誰が仕組んだのだろう。

2か月前、櫓が組まれていた場所も真っ暗。
屋台が並ぶ一角も薄暗くて。
盛り上げようって気がないのかな、と思ってしまう運営。
足元を浚う冷たい風。
横浜の敗戦を知り、勝てば首位が見える大事な一戦。
一気に走り抜けるためにも、勝利を収めたい。

GK山岸
DF森脇・那須・槙野
MF平川・阿部勇樹・柏木・原口・梅崎・宇賀神
FW興梠
リザーブ加藤・坪井・永田充・暢久・直輝・関口・阪野
啓太が出場停止、マルシオが負傷離脱。
シャドーに梅崎、ボランチに柏木が入る。

「これだけいれば十分だよ」
日付が変わる前に帰浦することは不可能なのに、
赤く染まるゴール裏。
「ギシ!!」
シュートがDFに当たる、勢いを失くすボール。
「取れないのか…」
2分、仙台先制1-0。
「まだまだ、これからだ!」
絶対に負けない、強い意志を纏った僕らに迷いはない。
「来た!!」
左からのクロス、右で受けた選手がネットを揺らす。
6分、浦和同点1-1。
「次だ、次!」
喜ぶつもりは毛頭ない。
引き分けじゃない、勝ちに来たんだ。
「で、誰だろう、決めたの?」

左サイドを狙う、
ウガと槙野がチャンスを演出する。
「いいね、悪くないよ」
失点数の少ない仙台DFを揺さぶる。
興梠が身体を張る、梅崎が縦に抜け出す。
「あれ、全然寒くないかも」
冷たい風を感じなくなるほど、集中している。
23分、槙野に警告。
「飯田淳平なんだよな…」
ウチと相性の悪い主審。
「何もここで当たらなくても…」
いつ相手に流れが向いてしまうのか、心配でならない。

柏木のFKが弾かれる、零れ球に梅崎が反応する。
「惜しいなぁ」
GKがパンチングで逃れる。
「こういう所で取れたらな」
柏木のCK。
「決まった、やった!!」
「巧いよ、流石だよ!」
31分、浦和逆転1-2。
興梠が決める。
「エースだよ、あいつは」
勝てば首位、4位鹿島との差を勝ち点4に戻せる。
「行こうぜ!」
どうしても勝ちたい。
余計な野次や罵声のない、一体感のあるスタンド。

「しっかり」
ウィルソン、赤嶺から自由を奪う。
「良く頑張ってるぞ」
那須、森脇、槙野、阿部勇樹が競る、陽介が走る。

前半終了、仙台1-2浦和。

「安過ぎるだろ…」
FKを頭で合わされる。
47分、仙台同点2-2。
「まだ力不足なのかな」
一気に畳み掛ける勢いは、今のウチにはないのか。
「ったく、しょうがないな」
気合を入れ直す。
「やるしかないからね」

「しっかり、落ち着け!」
立て続けにシュートを浴びる。
「ギシくんで良かったよ…」
ゴール前に立ち憚る山岸。
「大丈夫だよ、大丈夫だから」
焦らなくていい、崩す力はあるのだから。

陽介がキープ、梅崎にボールが渡る。
「どうだ!?」
クロスが入る、興梠が粘る。
「やった、やった!!!」
59分、浦和勝ち越し2-3。
揉みくしゃになる、歓喜の輪が広がる。
「勝つぞ!絶対勝つんだ!」
負けない、俺たちが付いている。
残り3試合、少しでも優位に戦いたい。
60分、平川out関口in。
「ヒラはここが限界ってことかな」
サイドに流れるFWを抑止するためなのか、
より攻撃を強めるためなのか。

速攻、ウメから原口、狙う。
「打っちゃえばいいのに」
ループシュートは枠の上。
「ヤバい…」
裏を抜かれる。
「ギシ!」
シュートストップ、難を逃れる。
「甘いよ、甘いって」
真ん中を空ける、シュートを浴びる。
「嫌な流れだな、ちょっと」
笛の音も仙台側に流れていく。
「もう1点欲しいんだけどな」

78分、原口out暢久in。
「陽介を1枚上げるのか」
「守りに行くにはまだ早いよな」
逃げ切れるチームじゃないはず、
広範囲を動く陽介に、余力はあるのか。
「暢久、頼むぞ」
攻撃の芽を潰さなければ、決壊してしまうかも知れない。
87分、梅崎out坪井in。
「どうするんだ?」
永田充や森脇で失敗したことを繰り返している。
「もう追えてないじゃん、興梠だって」
弱気な采配、防戦一方になる浦和。

アディショナルタイム3分。
「もうちょっとだ、堪えてくれ」
時間を稼げない、次々にクロスが放り込まれる。
「クリア、クリア、クリア!」
90+2分、仙台同点2-2。
大の字になる槙野、倒れ込む柏木。
「立てよ、早く立て!終わってねーんだよ!」
勝利への執念を感じない所作に憤る。
「ラストだ」
低い位置からのクロスボール、弾き返される。

試合終了、仙台3-3浦和。
「またか…」
終了間際の失点、消極的な采配、失う勝ち点。
「鹿島と勝ち点2差か、ヤバいな」
ふるい落とせなかったツケは、誰が払うのか。
あと3試合、
宮城で負った傷が大きくならなければいいのだけれど。

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晴れ間を狙って駒場に向かう。
ホーム最終戦。
勝って残留を決めたい、
彼女たちの頑張りが報われて欲しい。
何もできないけれど、
スタジアムを埋めることくらいなら僕にも出来るから。

GK池田
DF齊藤・高畑・坂本・堂園
MF柴田・岸川・藤田・加藤
FW吉良・後藤
リザーブ田尻・和田・猶本・安田・大滝
齊藤が右SB、左に堂園、センターに坂本。
連敗を受け、最終ラインを弄った浦和。
「また雨だ…」
試合開始直前、大粒の雨がピッチを濡らす。

「いいぞ、狙って行こう」
DFの間を抜けるパス、裏を狙うFW。
オフサイドフラッグが上がる。
「スピードは勝ってるよね」
トラップに掛かっている訳ではない。
「何回も狙って行けば崩せるよ」
浦和より上位に位置する伊賀。
監督は浅野哲也。
「選手紹介の時、拍手にざわついてたよね」
あの苦しかった時代を知らない人が増えたということか。

「来た!」
後藤のパスにゴラッソが反応。
「決めろ!」
「ダメかぁ」
GKとの1対1をものに出来ず。
「そんなに強くないよね」
下位に喘ぐ浦和と上位をキープする伊賀に、
レベルの差は感じない。
「ウチだって整理されればやれるってことだよね」
早く残留を決めて、伸び伸びとやらせてあげたい。

前半終了、浦和0-0伊賀。

「引き分け以上で残留か」
吉備国大が敗戦したことをオーロラビジョンで知る。
「ちょっと狙いどころを絞られてるかな」
ボランチの前、ハーフウェイラインより自陣寄りでボールを奪われる。
「向こうのミスに助けられてるね」
中央を絞り切れず、ピンチを迎える。
「事故が起きる前に決めちゃいたいな」
堂園のCK。
「やった!!」
高畑のヘッドが決まる。
56分、浦和先制1-0。
「DFとGKが被っちゃってたね」
相手のミスに乗じて得点を挙げる。
「ラッキー!」

「ゴラッソ、決めろ!」
PA付近で加藤千佳がボールを奪う。
「巧いんだよね、ちっちゃいのに」
63分、浦和追加点2-0。
残留に向け大きく前進。
「自信さえつけば、もっとやれるよ」
不安に苛まれていた季節が、過去になる。
「猶本が呼ばれてる」
「まだかな、代えないね」
「和田奈央子も呼ばれた」
時計に目を落とす監督。
78分、吉良out猶本in。
「ワントップにして猶本をシャドーかな」
藤田と岸川がいるボランチ。
左右に開くMF。
猶本の適性はどこなんだろう。
「巧いんだよね、良く見えてるし」
「使って欲しいんだけどな」

86分、加藤out和田in。
「最終ラインに和田だとちょっと怖いしね」
89分、柴田out安田in」
「もうちょっとだ、頑張ろう」
目前に迫る勝利。
大丈夫だと分かっていても、笛が待ち遠しい。

試合終了、浦和2-0伊賀。
なでしこリーグ残留が決まる。
選手たちの笑顔につられ、頬が緩む。
高畑のスポーツ選手らしい受け答え。
ゴラッソの“ゴラッソらしい”インタビュー。
そして、一年間苦労を重ねた後藤三知の言葉。

まだ終わってないけど、
皇后杯もあるけれど。
良く頑張ったねと、拍手で選手たちを称えたんだ。









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不思議なくらい落ち着いていて。
それなのに、なんだか胸が高鳴っていて。
国立への向かう道。
今日が特別な日だと、
2年前もその前もずっと、同じような光景だったことを思い出して。
ナビスコ杯決勝。
タイトルを手中に収めて、新しい時代を切り開きたい。

GK山岸
DF森脇・那須・槙野
MF平川・阿部勇樹・啓太・柏木・原口・宇賀神
FW興梠
リザーブ加藤・坪井・永田充・暢久・梅崎・関口・マルシオ
ここまで戦ってきた中で、
監督が最も信頼する選手たちで構成されたメンバー。
主力を5人欠く柏よりも優位なはず。
一発勝負。
いつも以上に集中して、戦わなければ。

「慎重だな」
カップ戦独特の手堅い立ち上がり。
リスクを負わず、丁寧にパスを選択する。
「向こうはカウンター狙いだな」
ブラジル人監督らしい、勝つためのサッカー。
「ウチはウチのやり方しか出来ないからな」
勝負に徹することが出来る相手が恨めしい。

阿部勇樹がGKからのボールをカット、
柏木から縦にパスが抜ける。
「オフサイドか…」
興梠が飛び出す、副審の旗が上がる。
「汚いな、10番」
手を出す、挑発する。
審判からの注意はない。
「こういうのでリズム崩さなきゃいいけど…」
しっかり裁いて欲しい、主審は扇谷氏。

右に展開する、左から刳る、中盤の底からチャンスを伺う。
「サイドが全然出て来ないんだよな」
崩せない浦和、一発を狙う柏。
「あれ、雨だ…」
青空が広がると思いこんでいた上空から、雫が落ちる。
「すぐに止むんじゃない?」
ピッチが濡れていた方がウチにとって有利なはず。
「丁度いいんだ、これで」
森脇が倒される。
「何なんだよ…」
30分、森脇に警告。
「逆だよ、そりゃないよ…」
じわりじわりと柏に流れが傾いてしまうのか。

原口が突っ掛ける、宇賀神が仕掛ける。
「柏木がイマイチかも…」
PAエリア内で勝負させてもらえない。
「前半はこのままでいい、しっかり守ろう」
アディショナルタイム1分。
右からクロスを入れられる。
「やっちまったか…」
90+2分、柏先制0-1。
「どっちも付いてなかったか…」
サイドも中央も、相手選手のマークを外す。
「勿体ない、勿体ないって…」

前半終了、浦和1-0柏。

「返せるよ、絶対に」
信じること、阿呆みたいに信じて戦うこと。
捲土重来を期すために、タイトルという切欠が欲しい。
「勝って浦和に還るんだ」
強い気持ちを、ピッチに届けよう。

槙野が上がる、クロスが入る。
「そうだ、そうだよ」
阿部勇樹のシュートはDFがブロック。
「引いて来たか、やっぱり」
10人で守る柏、口を突いて出そうになる雑言を胸に押し込む。
「破る チャンスは必ずある、焦らずに行こう」
止んだかと思えば激しく振り出す雨。
「帽子くらい持って来れば良かったかな」
雨に視界が遮られる、寒さは感じない。
「雨だよな、雨の国立だよな」
思い出の詰まった雨の国立、ウチが勝つはずなんだ。

柏木のFKに那須が合わせる。
「惜しい!」
シュートは枠の外。
「セットプレーも可能性あるぞ」
背の高い選手を揃える柏DF、
今のウチなら壁を破ることが出来る。
69分、平川out関口in。
「いよいよ勝負か」
リスクを負って浦和が勝負を懸ける。
原口が壁を突破する、スピードに乗る。
「あっ!」
阿部勇樹が突っ込む、足を伸ばす。
GKを越えたボールはクロスバーを掠めていく。
「ツキがないのか…」
絶好機を逸する浦和。

77分、啓太outマルシオin。
「仕方ない、もうそれしかないもんな」
柏木が1枚下がる、攻撃の層を厚くする。
「大宮みたいだな…」
自陣に籠る柏。
外国人選手が、GKが露骨に時間を稼ぐ。
「チクショウ、こんなサッカーに負けたくないんだ」
関口がライン際を駆ける、
何度も何度も左サイドからチャンスを演出する。

「危ない!」
攻め続ける、裏を取られる。
「足りない、戻れ!」
那須が追い付く、侵入を許さない。
「!」
山岸がストップする。

「打て、打て!」
原口が強引にシュートを放つ。
「まだだ、打て、打て!」
跳ね返ったボールを押し込む、ネットが揺れる。
「どうだ、どうなんだ!?」
副審の旗は上がらない。
「入った?どっちなの!?」
ベンチに駆けだす浦和イレブン。
「オフサイド…、じゃないかな」
主審と副審が協議する。
「やっぱりそうか…」
得点は認められない。
「もう1回、もう1回あるよ」
これ以上の決定機があるのか。
信じよう、信じなければ。

アディショナルタイム4分。
「追い付こう、延長に持ち込めば勝てるよ」
ボールをキープする柏、奪えない浦和。
「もう時間ないぞ、早く!」
放り込む、跳ね返される。
それじゃ決まらないのは分かってる、
分かっているけれど。
「早く、早く!」

無常の笛が鳴る。
試合終了、浦和0-1柏。
タイトル獲得ならず。
降り続く雨、号泣する原口、蹲る槙野。
「甘いのかな、ウチは」
もっともっと強くなれ、胸を張れ。

ACL、天皇杯、ナビスコ杯が終わった。
それでもまだ、僕らには
タイトルへの挑戦権があることに、幸せを感じよう。
残り4試合。
全てが決勝戦、懸けて戦おう。


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風が強い。
チャリを諦め路線バスで美園へ。
柏との連戦。
売れたチケットとそうでないチケットに、
何の違いがあるのだろう。
「リーグ戦の方が緊張するけどな」
決勝は一発勝負、楽しめばいい。
「どうしてかな」
首をかしげてしまうのは、特別な空間に居続けているからなのだろうか。

GK山岸
DF坪井・那須・槙野
MF平川・阿部勇樹・啓太・柏木・原口・宇賀神
FW阪野
リザーブ加藤・永田充・暢久・梅崎・直輝・関口・マルシオ
興梠と森脇が出場停止。
1トップは阪野、出場が危ぶまれた柏木はスタメン、
マルシオはベンチスタート。
興梠のいない試合をどう乗り越えるのか。
「阪野、頼むぞ」

冷たい風が吹き抜ける。
跳ねる、跳ねる。
身体が温まる、寒さを感じない。
平川からパスが抜ける。
「阪野!」
「合わないか…」
興梠がいない、それを理由にはしたくない。
左サイドを崩す。
「打て!」
弾かれたボールに柏木が詰める。
5分、浦和先制1-0。
「やった!!」
喜びに包まれる、仲間たちとタッチを交わす。
「さあ、緩めずに行こう!」
コーナーに押し込む、得点の気配がする。
「セットプレーでも負けてないな」
長身DFを揃える柏に引けを取らない。
「スルーかよ…」
槙野のパスを宇賀神が逸らす。
「やるねぇ」
柏木の左足がゴールを奪う。
11分、浦和追加点2-0。
「いいぞ!」
前節、前半途中に負傷交代した柏木が2得点。
「分かんないよねぇ」
ほぼベストメンバーの柏から、レギュラー2人を欠く浦和が2点リード。
「勝てるぞ、落ち着いて行こう」

「ヤバい!」
中盤の底からタテに通したパスがカットされる。
「足りてない、抑えて!」
DFが戻り切れていない。
「やっちったか…」
14分、失点2-1。
「荒れてしまうのか」
序盤から試合が動く。
「しっかり、落ち着こう」
大事なリーグ戦、優勝するためには、ひとつも落とせない。

「ショートか!?」
柏CK、山岸がパンチングで逃げる。
「やらせるな!」
マークが甘い、FWの突破を許す。
「坪井!!!」
柏が息を吹き返す。
「勿体ないって…」
27分、阪野に警告。
「これで競り辛くなったかもな…」
柏に傾いた流れを引き戻せない。
「大丈夫、しっかり」
阪野が張る、セカンドボールに喰らい付く。
「このまま前半逃げ切れれば…」
DFが振られる、シュートを放たれる。
「ツイてる、まだツキはあるぞ」
ポストに救われる。

「誰か代えるのか!?」
40分、柏選手交代。
「ちっ、決勝は停止の選手か」
陽介のパスに阪野が抜け出す。
「ハンドか…、ばれたか」
アディショナルタイム2分。
「このまま、このまま逃げよう」

前半終了、浦和2-1柏。

「ヤバい!」
ミス、ボールを奪われる、一気に攻め立てられる。
「ギシくん、ナイスだ」
至近距離、山岸がセーブ。
「後半も圧されるのかな」
リズムを掴みたい浦和、勢いに乗る柏。
「頑張ってるんだけどな」
阪野が動く、身体を張る。
原口が仕掛ける、シュートを放つ。
「追加点が取れれば…」
61分、阪野out関口in。
「スピード勝負、か」
試合終盤でしか試していないFW・関口。
「機能するのか!?」
「関口、頼むぞ!」
誰でもいい、ヒーローが現れて欲しい。

強い風、冷たい風。
「どっちからどっちに吹いてるんだろう」
空を見上げる、舞う風の行方が幸運を齎してくれないだろうか。
「しっかり!」
プストプレーから裏を抜けられる。
「ギシくん!」
相手選手の足元に飛び込む、得点を許さない。
「いいぞ、ゆっくり、ゆっくりでいいんだ」
1点差、焦る必要はない。

69分、柏木out梅崎in。
「誰がボールを落ち着かせるんだろう?」
速い選手を次々と送り込む浦和。
「大丈夫かな…」
流れは柏に傾いたまま。
「関口、関口、セキグチ!!」
ドリブル、ドリブル、1人交わす、2人交わす。
「どうする?どうする!?」
クロスはカットされる。
「ちっ」
ワンチャンスをものにすればいい、
そのチャンスが巡って来ない。

76分、坪井に警告。
「苦しんでるな、ウチ…」
77分、坪井out暢久in。
「まだ15分あるぞ、交代早くないかな」
このまま逃げ切れるのか。
83分、啓太に警告。
「しまった、4枚目だ…」
次節仙台戦は啓太がいない。
「まだ10分あるのか」
時計が進まない。
86分、暢久に警告。
「仕方ない、巧いぞ暢久」
時計が気になって仕方ない。
「あと5分!」
逃げろ、もうこのままでもいい。

アディショナルタイム3分。
「たった3分だ、勝てる、勝つぞ!」
僕に出来ることは声を張り、選手たちを鼓舞すること。
「勝とう、このまま終わろう」
時計の針が動く。
「もうワンプレーだ」
主審が時計に目を落とす。

「終わった!」
試合終了、浦和2-1柏。
ラスト5試合、まず1試合突破。
このまま行こう、このまま。

「あれ、寒いね…」
急に寒さを思い出した。



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水曜日の天皇杯を捨ててまで臨む一戦。
自ら退路を断って挑むような「賭け」に出た浦和。
首都高の渋滞を避け、
常磐道~北関東道~北浦大橋経由で彼の国入り。

GK山岸
DF森脇・那須・槙野
MF平川・阿部勇樹・啓太・柏木・原口・宇賀神
FW興梠
リザーブ加藤・坪井・永田充・暢久・梅崎・関口・マルシオ
天皇杯に出場した選手はなく、前節と同じメンバー。
「引き分けが妥当なのかもな」
どんなに人数が多くても、アウェイを感じるスタジアム。
負ければ優勝争いから後退してしまう大事な試合。
「早いな」
キックオフ30分前から始まる暖気運転。
「90分間集中して戦う」
古き時代からの約束事を纏う僕にはいらないもの。
笛とともにボルテージを上げる。

スローインから右に展開、平川がクロスを上げる。
「いいぞ!」
競り勝つ、シュートはGK正面。
ファーストチャンスは浦和に訪れる。
「そうだ!」
左から槙野がカットイン、シュートはDFに当たる。
攻撃的な姿勢を押し出している。
「鹿島も引いて来ないな」
勝ち点を失わない戦いではなく、勝利を得るための戦いになっている。
「ウガっ!」
「ウガぁ…」
フリーで打ったシュートは枠の外。
「上手く抑えてるんじゃないかな」
小笠原と柴崎に自由を与えていない。
「しっかり付いて!」
ダヴィを抑え込む、囲んでボールを奪う。
「いいぞ、そうだ!」
霧雨と冷たい風が吹き付けるスタジアム。
「気を抜いたらやられる、集中しよう」
跳ねる、声を張る、熱が籠る、寒さを感じない。

CKが上がる、ゴール前の混戦を打ち抜くヘディングシュート。
20分、浦和先制0-1。
「誰?那須!?」
大事な試合、リードを奪う。
アウェイの地で、精神的な優位を齎すゴールが決まる。
「集中、集中して行こう」
鹿島FWに対する激しいマーク、ダヴィが苛立っている。
「カード出せよな」
主審は松尾氏。
「また異議かよ」
これも鹿島の伝統なのか、見苦しい。
「大迫が怖いな…」
 もう1人のFWを捉まえ切れていない。
「離すなよ、しっかり見とけよ」
ボールは支配しているはずなのに、
試合をコントロールさせてくれない。
「鹿島、やっぱり強いな…」

「マルシオが準備してるぞ…」
「あ、陽介傷んでないか?」
腰を庇う素振りを見せる柏木。
「早く、ボール切って!」
何かあってからでは遅い。
「危ない!」
相手選手と接触、蹲る柏木。
山岸がボールを外に出す。
43分、柏木outマルシオin。
戦術に寄らない交代を余儀なくされてしまう。
「バランス崩すなよ、しっかり」
「マルシオが間に合ってて、良かったよね」

前半終了、鹿島0-1浦和。

「興梠のマークがキツいんだよな」
中盤から組み立てる、サイドから崩す、トップにボールが収まらない。
「気負い過ぎなきゃいいけど」
古巣との対戦、
怪我や不用意なプレーに繋がらなければいいが…。
「足りてないぞ、戻って!」
カウンターを喰らう、ミドルを浴びる。
「ギシ!!」
山岸が弾き出す、守り切る浦和。

「何やってんだよ!」
ダビが執拗に森脇に絡む。
「だから駄目だって!」
57分、ダヴィに警告。
「遅いんだよ、カード出すの」
小競り合いを収めきれぬまま試合が再開される。
「あっ!」
森脇がダビに突き倒される。
「レッドだろ!」
ジャッジが下されない。
「は?おかしいだろ!」
副審に歩み寄る主審。
「何で??」
60分、森脇に警告、ダヴィにも警告。
「両成敗ってどういうことだよ?」
「森脇何もしてないじゃん!」
2枚目の警告で退場、腑に落ちない形で鹿島が10人になる。
「今まで出してなかったのに…」
61分、興梠に警告。
「そりゃないよ…、興梠4枚目でしょ?」
次節柏戦、エースを欠いてしまう。

「待てよ、そんなのなしだろ?」
64分、山岸に警告。
「遅延行為か、そんなに焦らしてないだろ?」
ここにはいつも、もうひとり敵がいる気がしてならない。
「勝つぞ、絶対勝つからな」
強い風、そぼ降る雨、迷走するジャッジ。
12番目の力、見せつけてやる。

興梠が粘る、突破する。
「打て!」
シュートに勢いがない。
「どうする!?」
原口がドリブルを仕掛ける。
「ちょっと無理じゃ…」
「マジか…」
ニアサイド、シュートが決まる。
71分、浦和追加点0-2。
「やった、やったぞ!」
10人相手に2点差。
「これで行ける、行くぞ!」
身体が軽くなる、声が通る。

79分、森脇out坪井in。
「1枚貰ってるから、それでいいんだよ」
那須が持ち上がる、左サイドに振る、宇賀神が構える。
「簡単に、シンプルに!」
GKが抑えきれない。
「突っ込め!!」
ラインを越えることは出来ず。
「異議だろ、異議!」
ファールをアピールする曽ヶ端。
「カードだよ、カード出せよ!」
お咎めなし。
主審への不信感だけが残る。
「さっきのギシくんより酷いだろ?」
83分、興梠out関口in。
「しっかり締めよう、下がらず行こう」

「クリア!」
槙野が競る、高く上がるボール。
「勝て!」
87分、鹿島得点1-2。
「まだロスタイムじゃないのか…」
1点差、何が起こるか分からない。
アディショナルタイム5分。
「気を付けて、頼むぞ!」
時計が止まったように感じる。
原口が足を攣っている。
「セーフティーに、無理しないでいいんだ」
カウンターを狙う鹿島。
「やらすな!」
那須が、坪井が、槙野が、阿部勇樹が突破を許さない。
「まだか、もうちょっとじゃないのか…」
時計の針が動かない。
主審が時計に目を落とす。
「あとワンプレイだ、頑張れ!」

「勝った!!!」
主審の手が挙がる。
試合終了、鹿島1-2浦和。
「よっしゃ!」
拳を強く握り締める。
鹿島に勝った、カシマで勝った。
何にも代え難い喜び。
興奮冷めやらぬまま、スタジアムを飛び出す。
「さあ、浦和帰って飲むぞ!」

リーグ戦残り5試合。
一気に駆け抜けよう。


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ずっと前はね、
前の日からあれやってこれやって。
試合の日も朝早くから行ったり来たり。
それが僕の駒場だった。
色んなお作法があって、
時には優しく、時には猛々しく。
非日常がそこにはあった。

台風一過。
遅れていた電車に飛び乗り、一時帰宅。
慌てて着替えてスタジアムに。
「駒場」が近くにいる、この上ない優越感。

GK加藤
DF坪井・永田充・野田
MF関口・暢久・小島・矢島・直輝・梅崎
FW阪野
リザーブ山岸・森脇・槙野・野崎・宇賀神・関根・邦本
先発メンバーを全員入れ替えた浦和。
「山形もメンバー落としてる?」
「いや、そうでもないな」
中2日で迎える鹿島戦を見据えた構成で挑む天皇杯。
「3つ獲りに行って、リーグ戦落としたら意味ないもんね」
勝って欲しい、勝って当たり前。
天皇杯の本番は、リーグ戦が終わってから。
それが油断というのなら、そうかも知れない。
でもそれが僕のスタンスなんだ。

「風、強いね」
冷たい風が舞う。
「この組み合わせでやってないからなぁ」
小さなミスが目立つ、
パスの出し所に腐心しているように感じる。
「山形も引いて来ないね」
対浦和ではなく、自分たちのサッカーで挑む山形。
「これって、ゼロトップになってない?」
縦パスの受け手がいない。
「暢久がその役回りじゃないのかな」
最終ラインから組み立て、持ち上がるのは小島。
「直輝にボールが行かないんだよな」
消えている、リズムが生まれない。
「阪野はもうちょっと頑張らないと」
タメがなく、収まらない。

「危ないって!」
繋がれる、抜け出される、ノブヒロが飛び出す。
「防いだか…」
FKを与えてしまう。
「良くないな、ちょっと…」
運動量も戦う気持ちも、山形が上回っている。
「野田くんも上がらないね」
坪井、野田のオーバーラップもない。
「どうしたいんだろう?」
これがトップと控えの差なんだろうか。
「ミシャのやり方じゃ、こうなるよな…」
出場機会に恵まれない選手たちのモチベーションが、
そのまま試合内容に顕れているかのような展開。

山形のプレスに圧される、ボールを失う。
「しっかり!」
交わされる、ネットが揺れる。
39分、山形先制0-1。
「ほら、目を覚まして!」
「仕方ない、やるか」
声を張る、跳ねる。
矢島のFKが流れる、ダイビングヘッドが決まる。
41分、浦和同点1-1。
「阪野だよね?」
やっとルーキーFWが決めた。
「これで大丈夫だよね?」
暢久のシュートがバーの上を越えていく。

前半終了、浦和1-1山形。

「もうちょっとウメと関口が引っ張ってくれたら」
若い前線の3人に力を与えられたら、
勢いが生まれるかも知れないのに。
「永田はどうしたんだ?」
初歩的なミスを犯すベテランDF。
「矢島も帰って来たばっかりでしょ?」
逆転に繋がるような勢いがない。
阪野が張る、落としたボールを左に振る。
「ウメ、頼むぞ!」
クロスに矢島が突っ込む。
「惜しいね!」
得点の匂いがした。

57分、暢久out野崎in。
「どういうことかな?」
「鹿島戦対策?それとも出来が良くないから?」
監督の意図が読めない。

山形のFK。
「甘いって…」
緩いマーキング、シュートコースが空く。
「助かったよ、相手が弱くて…」
シュートを空振り、難を逃れる。
65分、小島out邦本in。
「小島、足攣ってた?」
「こういう所で頑張らなきゃいけないのに」
期待が大きいだけに、この交代は物足りない。

「あ~あ…」
67分、山形得点1-2。
ミドルシュートが決まる。
「DFどうなってんだ?」
だらしない失点。
「仕様がねーな、もう」
再び声を張る、跳ねることはしない。
69分、矢島out関根in。
レギュラー選手は温存、
天皇杯の位置づけはそういうことなのだろう。
「そろそろ野次るんだろうな」
案の定、動け何やってんだと罵声が飛ぶ。
「選手たちを委縮させてどうするんだ?」
若い選手たちを鼓舞してやれないのなら、
そこにいる資格はない。

「ファールか?」
邦本がボールを奪う、関根がフォローする。
「決めたぞ!?」
76分、浦和同点2-2。
喜ぶ選手たち、浮かれるスタンド。
「まだ勝ってないんだよ!!」
甘い、甘いんだよ。
勝利への執念が薄れている。
「まただ…」
緩い中盤の守備を突かれる。
79分、山形勝ち越し2-3。
「いただけないな、この守備は」
投げ付けられる口汚い野次、心無い罵声。
「てめーらだって全力じゃなかっただろ?」
怒りを声に変える。
「ふざけるな、ここは駒場だ」

邦本が動く、奪いに行く。
「連動しないか、だよな」
連携不足は選手たちだけの責任じゃない。
「まだ時間あるぞ」
追い付けばいい、“残業”の覚悟は決めている。
アディショアンルタイム4分。
「ここで追いつこう」
梅崎のCK、GKに弾かれる。
「このGKならチャンスあるよ」
90+2分、ホリがピッチに入る。
「締めて来たか、山形」
勝利への体制を整えられる。

「ラスト、ワンプレーだ!」
持ち上がる、跳ね返される。
試合終了、浦和2-3山形。
天皇杯が、終わる。

ヤル気あるのか、捨てたのか。
そんなこと言ったってね。
3つ獲るほどウチは強くないよ。
ナビスコ杯とリーグ戦に可能性があるのなら、
そこに懸けるだろう。
「全部取りに行って、全部失うのは嫌だから」

仕方がない、
そう割り切るしかないと思うんだ。
駒場らしさの消えた駒場。
もう、故郷じゃなくなっちゃったな…






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ヤッコさんが就任してから2勝1分。
得失点差で新潟を上回り、7位に浮上した浦和。
吉備国大に続き、残留を争うクラブとの対戦。
頂きを目指すことだけが戦いじゃなくて、
生き残ることも大切な戦いだから。
危険な領域から抜け出すためにも、
勝ちたい試合。

GK池田
DF和田・高畑・堂園・坂本
MF柴田・岸川・藤田・加藤
FW吉良・後藤
リザーブ田尻・石井・泊・安田・大滝
4-4-2。
監督が代わり、安定した戦い方が出来ている。
選手たちが、前を向いて戦うことが出来ている。
厳しいことに変わりはないけれど、
明日を見据えることが、出来るようになった。

10月とは思えない暑さの中、キックオフ。
「後藤三知に3枚付いてるよね」
厳しいマークに遭うキャプテン。
前線でボールをキープ、吉良がフォローする。
「しっかり指示が出てるんだよね」
出し所がなければ一旦下げる、
後ろから組み立ててチャンスを伺う。
約束事がチームに浸透している。
「上手く抑えてるかな」
新潟の新外国人FWを囲む、突破を許さない。

「多分、大丈夫かな」
落ち着いている。
春から夏までの、慌てた素振りはもういない。
「やっちったか…」
25分、新潟先制0-1。
黒人選手特有の強くてしなやかなシュートが決まる。
「仕方ない、かな」
切り替えること、焦らないこと。
スタンドから飛ぶ汚い言葉に耳を貸さないこと。
どうして味方を野次るヤツがいるのだろう。
勢いづく新潟、上手くボールを運べない浦和。
「頑張って!」
勝ち点は1だっていいんだから。

キャプテンが粘る、粘る。
「決まった!」
零れたボールに加藤千佳が反応。
45分、浦和同点1-1。
「いい時間だね!」

前半終了、浦和1-1新潟。

「ちょっと対策練られたかな」
前半のようにパスが通らない。
小さなミスからピンチを招く。
「サイドを自由にさせて貰えないな」
岸川、藤田から効果的なパスが生まれない。
「厳しいね」
上下動を繰り返す和田奈央子、食い下がる加藤千佳。
柴田と坂本の呼吸が合わない。
「向こうだってミスはあるんだから」

左からのCK、高いボールがゴールに向かう。
「やった!」
68分、浦和逆転2-1。
堂園彩乃が決めた、残留に向けた大きな得点が決まる。
「さあ、しっかり守って」
「相手が前に出てきたらカウンターでいいんだから」
セカンドボールが拾えない。
暑さと疲労からか、前に出る力がない。
79分、吉良out石井in。
「システム変えるのか、大丈夫かな」
後藤の1トップ、最終ラインに5枚並んでいる。
「まだ10分あるぞ…」

攻め込まれる、耐える、弾き返す。
88分、加藤out安田in。
「他にも動けない選手、いるんだよな」
勝って欲しい、勝たせてあげたい。
アディショナルタイム4分。
90+1分、柴田out泊in。
「頑張れ、あと少しだ」
早く終われ、終わってくれ。
勝ち点3があれば、少しだけ優位になる。
「まだか?」
主審の笛が待ち遠しい。

試合終了、浦和2-1新潟。
「これでどうなの?」
「高槻と吉備国大で高槻が勝てばウチは楽になるけど」

次節はINAC。
残りは4試合。
入れ替え戦に回る9位との勝ち点差は3。
まだまだ、厳しい戦いは続く。



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