「誇」-URAWA REDS-
共に…
 



風が強い。
チャリを諦め路線バスで美園へ。
柏との連戦。
売れたチケットとそうでないチケットに、
何の違いがあるのだろう。
「リーグ戦の方が緊張するけどな」
決勝は一発勝負、楽しめばいい。
「どうしてかな」
首をかしげてしまうのは、特別な空間に居続けているからなのだろうか。

GK山岸
DF坪井・那須・槙野
MF平川・阿部勇樹・啓太・柏木・原口・宇賀神
FW阪野
リザーブ加藤・永田充・暢久・梅崎・直輝・関口・マルシオ
興梠と森脇が出場停止。
1トップは阪野、出場が危ぶまれた柏木はスタメン、
マルシオはベンチスタート。
興梠のいない試合をどう乗り越えるのか。
「阪野、頼むぞ」

冷たい風が吹き抜ける。
跳ねる、跳ねる。
身体が温まる、寒さを感じない。
平川からパスが抜ける。
「阪野!」
「合わないか…」
興梠がいない、それを理由にはしたくない。
左サイドを崩す。
「打て!」
弾かれたボールに柏木が詰める。
5分、浦和先制1-0。
「やった!!」
喜びに包まれる、仲間たちとタッチを交わす。
「さあ、緩めずに行こう!」
コーナーに押し込む、得点の気配がする。
「セットプレーでも負けてないな」
長身DFを揃える柏に引けを取らない。
「スルーかよ…」
槙野のパスを宇賀神が逸らす。
「やるねぇ」
柏木の左足がゴールを奪う。
11分、浦和追加点2-0。
「いいぞ!」
前節、前半途中に負傷交代した柏木が2得点。
「分かんないよねぇ」
ほぼベストメンバーの柏から、レギュラー2人を欠く浦和が2点リード。
「勝てるぞ、落ち着いて行こう」

「ヤバい!」
中盤の底からタテに通したパスがカットされる。
「足りてない、抑えて!」
DFが戻り切れていない。
「やっちったか…」
14分、失点2-1。
「荒れてしまうのか」
序盤から試合が動く。
「しっかり、落ち着こう」
大事なリーグ戦、優勝するためには、ひとつも落とせない。

「ショートか!?」
柏CK、山岸がパンチングで逃げる。
「やらせるな!」
マークが甘い、FWの突破を許す。
「坪井!!!」
柏が息を吹き返す。
「勿体ないって…」
27分、阪野に警告。
「これで競り辛くなったかもな…」
柏に傾いた流れを引き戻せない。
「大丈夫、しっかり」
阪野が張る、セカンドボールに喰らい付く。
「このまま前半逃げ切れれば…」
DFが振られる、シュートを放たれる。
「ツイてる、まだツキはあるぞ」
ポストに救われる。

「誰か代えるのか!?」
40分、柏選手交代。
「ちっ、決勝は停止の選手か」
陽介のパスに阪野が抜け出す。
「ハンドか…、ばれたか」
アディショナルタイム2分。
「このまま、このまま逃げよう」

前半終了、浦和2-1柏。

「ヤバい!」
ミス、ボールを奪われる、一気に攻め立てられる。
「ギシくん、ナイスだ」
至近距離、山岸がセーブ。
「後半も圧されるのかな」
リズムを掴みたい浦和、勢いに乗る柏。
「頑張ってるんだけどな」
阪野が動く、身体を張る。
原口が仕掛ける、シュートを放つ。
「追加点が取れれば…」
61分、阪野out関口in。
「スピード勝負、か」
試合終盤でしか試していないFW・関口。
「機能するのか!?」
「関口、頼むぞ!」
誰でもいい、ヒーローが現れて欲しい。

強い風、冷たい風。
「どっちからどっちに吹いてるんだろう」
空を見上げる、舞う風の行方が幸運を齎してくれないだろうか。
「しっかり!」
プストプレーから裏を抜けられる。
「ギシくん!」
相手選手の足元に飛び込む、得点を許さない。
「いいぞ、ゆっくり、ゆっくりでいいんだ」
1点差、焦る必要はない。

69分、柏木out梅崎in。
「誰がボールを落ち着かせるんだろう?」
速い選手を次々と送り込む浦和。
「大丈夫かな…」
流れは柏に傾いたまま。
「関口、関口、セキグチ!!」
ドリブル、ドリブル、1人交わす、2人交わす。
「どうする?どうする!?」
クロスはカットされる。
「ちっ」
ワンチャンスをものにすればいい、
そのチャンスが巡って来ない。

76分、坪井に警告。
「苦しんでるな、ウチ…」
77分、坪井out暢久in。
「まだ15分あるぞ、交代早くないかな」
このまま逃げ切れるのか。
83分、啓太に警告。
「しまった、4枚目だ…」
次節仙台戦は啓太がいない。
「まだ10分あるのか」
時計が進まない。
86分、暢久に警告。
「仕方ない、巧いぞ暢久」
時計が気になって仕方ない。
「あと5分!」
逃げろ、もうこのままでもいい。

アディショナルタイム3分。
「たった3分だ、勝てる、勝つぞ!」
僕に出来ることは声を張り、選手たちを鼓舞すること。
「勝とう、このまま終わろう」
時計の針が動く。
「もうワンプレーだ」
主審が時計に目を落とす。

「終わった!」
試合終了、浦和2-1柏。
ラスト5試合、まず1試合突破。
このまま行こう、このまま。

「あれ、寒いね…」
急に寒さを思い出した。



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水曜日の天皇杯を捨ててまで臨む一戦。
自ら退路を断って挑むような「賭け」に出た浦和。
首都高の渋滞を避け、
常磐道~北関東道~北浦大橋経由で彼の国入り。

GK山岸
DF森脇・那須・槙野
MF平川・阿部勇樹・啓太・柏木・原口・宇賀神
FW興梠
リザーブ加藤・坪井・永田充・暢久・梅崎・関口・マルシオ
天皇杯に出場した選手はなく、前節と同じメンバー。
「引き分けが妥当なのかもな」
どんなに人数が多くても、アウェイを感じるスタジアム。
負ければ優勝争いから後退してしまう大事な試合。
「早いな」
キックオフ30分前から始まる暖気運転。
「90分間集中して戦う」
古き時代からの約束事を纏う僕にはいらないもの。
笛とともにボルテージを上げる。

スローインから右に展開、平川がクロスを上げる。
「いいぞ!」
競り勝つ、シュートはGK正面。
ファーストチャンスは浦和に訪れる。
「そうだ!」
左から槙野がカットイン、シュートはDFに当たる。
攻撃的な姿勢を押し出している。
「鹿島も引いて来ないな」
勝ち点を失わない戦いではなく、勝利を得るための戦いになっている。
「ウガっ!」
「ウガぁ…」
フリーで打ったシュートは枠の外。
「上手く抑えてるんじゃないかな」
小笠原と柴崎に自由を与えていない。
「しっかり付いて!」
ダヴィを抑え込む、囲んでボールを奪う。
「いいぞ、そうだ!」
霧雨と冷たい風が吹き付けるスタジアム。
「気を抜いたらやられる、集中しよう」
跳ねる、声を張る、熱が籠る、寒さを感じない。

CKが上がる、ゴール前の混戦を打ち抜くヘディングシュート。
20分、浦和先制0-1。
「誰?那須!?」
大事な試合、リードを奪う。
アウェイの地で、精神的な優位を齎すゴールが決まる。
「集中、集中して行こう」
鹿島FWに対する激しいマーク、ダヴィが苛立っている。
「カード出せよな」
主審は松尾氏。
「また異議かよ」
これも鹿島の伝統なのか、見苦しい。
「大迫が怖いな…」
 もう1人のFWを捉まえ切れていない。
「離すなよ、しっかり見とけよ」
ボールは支配しているはずなのに、
試合をコントロールさせてくれない。
「鹿島、やっぱり強いな…」

「マルシオが準備してるぞ…」
「あ、陽介傷んでないか?」
腰を庇う素振りを見せる柏木。
「早く、ボール切って!」
何かあってからでは遅い。
「危ない!」
相手選手と接触、蹲る柏木。
山岸がボールを外に出す。
43分、柏木outマルシオin。
戦術に寄らない交代を余儀なくされてしまう。
「バランス崩すなよ、しっかり」
「マルシオが間に合ってて、良かったよね」

前半終了、鹿島0-1浦和。

「興梠のマークがキツいんだよな」
中盤から組み立てる、サイドから崩す、トップにボールが収まらない。
「気負い過ぎなきゃいいけど」
古巣との対戦、
怪我や不用意なプレーに繋がらなければいいが…。
「足りてないぞ、戻って!」
カウンターを喰らう、ミドルを浴びる。
「ギシ!!」
山岸が弾き出す、守り切る浦和。

「何やってんだよ!」
ダビが執拗に森脇に絡む。
「だから駄目だって!」
57分、ダヴィに警告。
「遅いんだよ、カード出すの」
小競り合いを収めきれぬまま試合が再開される。
「あっ!」
森脇がダビに突き倒される。
「レッドだろ!」
ジャッジが下されない。
「は?おかしいだろ!」
副審に歩み寄る主審。
「何で??」
60分、森脇に警告、ダヴィにも警告。
「両成敗ってどういうことだよ?」
「森脇何もしてないじゃん!」
2枚目の警告で退場、腑に落ちない形で鹿島が10人になる。
「今まで出してなかったのに…」
61分、興梠に警告。
「そりゃないよ…、興梠4枚目でしょ?」
次節柏戦、エースを欠いてしまう。

「待てよ、そんなのなしだろ?」
64分、山岸に警告。
「遅延行為か、そんなに焦らしてないだろ?」
ここにはいつも、もうひとり敵がいる気がしてならない。
「勝つぞ、絶対勝つからな」
強い風、そぼ降る雨、迷走するジャッジ。
12番目の力、見せつけてやる。

興梠が粘る、突破する。
「打て!」
シュートに勢いがない。
「どうする!?」
原口がドリブルを仕掛ける。
「ちょっと無理じゃ…」
「マジか…」
ニアサイド、シュートが決まる。
71分、浦和追加点0-2。
「やった、やったぞ!」
10人相手に2点差。
「これで行ける、行くぞ!」
身体が軽くなる、声が通る。

79分、森脇out坪井in。
「1枚貰ってるから、それでいいんだよ」
那須が持ち上がる、左サイドに振る、宇賀神が構える。
「簡単に、シンプルに!」
GKが抑えきれない。
「突っ込め!!」
ラインを越えることは出来ず。
「異議だろ、異議!」
ファールをアピールする曽ヶ端。
「カードだよ、カード出せよ!」
お咎めなし。
主審への不信感だけが残る。
「さっきのギシくんより酷いだろ?」
83分、興梠out関口in。
「しっかり締めよう、下がらず行こう」

「クリア!」
槙野が競る、高く上がるボール。
「勝て!」
87分、鹿島得点1-2。
「まだロスタイムじゃないのか…」
1点差、何が起こるか分からない。
アディショナルタイム5分。
「気を付けて、頼むぞ!」
時計が止まったように感じる。
原口が足を攣っている。
「セーフティーに、無理しないでいいんだ」
カウンターを狙う鹿島。
「やらすな!」
那須が、坪井が、槙野が、阿部勇樹が突破を許さない。
「まだか、もうちょっとじゃないのか…」
時計の針が動かない。
主審が時計に目を落とす。
「あとワンプレイだ、頑張れ!」

「勝った!!!」
主審の手が挙がる。
試合終了、鹿島1-2浦和。
「よっしゃ!」
拳を強く握り締める。
鹿島に勝った、カシマで勝った。
何にも代え難い喜び。
興奮冷めやらぬまま、スタジアムを飛び出す。
「さあ、浦和帰って飲むぞ!」

リーグ戦残り5試合。
一気に駆け抜けよう。


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ずっと前はね、
前の日からあれやってこれやって。
試合の日も朝早くから行ったり来たり。
それが僕の駒場だった。
色んなお作法があって、
時には優しく、時には猛々しく。
非日常がそこにはあった。

台風一過。
遅れていた電車に飛び乗り、一時帰宅。
慌てて着替えてスタジアムに。
「駒場」が近くにいる、この上ない優越感。

GK加藤
DF坪井・永田充・野田
MF関口・暢久・小島・矢島・直輝・梅崎
FW阪野
リザーブ山岸・森脇・槙野・野崎・宇賀神・関根・邦本
先発メンバーを全員入れ替えた浦和。
「山形もメンバー落としてる?」
「いや、そうでもないな」
中2日で迎える鹿島戦を見据えた構成で挑む天皇杯。
「3つ獲りに行って、リーグ戦落としたら意味ないもんね」
勝って欲しい、勝って当たり前。
天皇杯の本番は、リーグ戦が終わってから。
それが油断というのなら、そうかも知れない。
でもそれが僕のスタンスなんだ。

「風、強いね」
冷たい風が舞う。
「この組み合わせでやってないからなぁ」
小さなミスが目立つ、
パスの出し所に腐心しているように感じる。
「山形も引いて来ないね」
対浦和ではなく、自分たちのサッカーで挑む山形。
「これって、ゼロトップになってない?」
縦パスの受け手がいない。
「暢久がその役回りじゃないのかな」
最終ラインから組み立て、持ち上がるのは小島。
「直輝にボールが行かないんだよな」
消えている、リズムが生まれない。
「阪野はもうちょっと頑張らないと」
タメがなく、収まらない。

「危ないって!」
繋がれる、抜け出される、ノブヒロが飛び出す。
「防いだか…」
FKを与えてしまう。
「良くないな、ちょっと…」
運動量も戦う気持ちも、山形が上回っている。
「野田くんも上がらないね」
坪井、野田のオーバーラップもない。
「どうしたいんだろう?」
これがトップと控えの差なんだろうか。
「ミシャのやり方じゃ、こうなるよな…」
出場機会に恵まれない選手たちのモチベーションが、
そのまま試合内容に顕れているかのような展開。

山形のプレスに圧される、ボールを失う。
「しっかり!」
交わされる、ネットが揺れる。
39分、山形先制0-1。
「ほら、目を覚まして!」
「仕方ない、やるか」
声を張る、跳ねる。
矢島のFKが流れる、ダイビングヘッドが決まる。
41分、浦和同点1-1。
「阪野だよね?」
やっとルーキーFWが決めた。
「これで大丈夫だよね?」
暢久のシュートがバーの上を越えていく。

前半終了、浦和1-1山形。

「もうちょっとウメと関口が引っ張ってくれたら」
若い前線の3人に力を与えられたら、
勢いが生まれるかも知れないのに。
「永田はどうしたんだ?」
初歩的なミスを犯すベテランDF。
「矢島も帰って来たばっかりでしょ?」
逆転に繋がるような勢いがない。
阪野が張る、落としたボールを左に振る。
「ウメ、頼むぞ!」
クロスに矢島が突っ込む。
「惜しいね!」
得点の匂いがした。

57分、暢久out野崎in。
「どういうことかな?」
「鹿島戦対策?それとも出来が良くないから?」
監督の意図が読めない。

山形のFK。
「甘いって…」
緩いマーキング、シュートコースが空く。
「助かったよ、相手が弱くて…」
シュートを空振り、難を逃れる。
65分、小島out邦本in。
「小島、足攣ってた?」
「こういう所で頑張らなきゃいけないのに」
期待が大きいだけに、この交代は物足りない。

「あ~あ…」
67分、山形得点1-2。
ミドルシュートが決まる。
「DFどうなってんだ?」
だらしない失点。
「仕様がねーな、もう」
再び声を張る、跳ねることはしない。
69分、矢島out関根in。
レギュラー選手は温存、
天皇杯の位置づけはそういうことなのだろう。
「そろそろ野次るんだろうな」
案の定、動け何やってんだと罵声が飛ぶ。
「選手たちを委縮させてどうするんだ?」
若い選手たちを鼓舞してやれないのなら、
そこにいる資格はない。

「ファールか?」
邦本がボールを奪う、関根がフォローする。
「決めたぞ!?」
76分、浦和同点2-2。
喜ぶ選手たち、浮かれるスタンド。
「まだ勝ってないんだよ!!」
甘い、甘いんだよ。
勝利への執念が薄れている。
「まただ…」
緩い中盤の守備を突かれる。
79分、山形勝ち越し2-3。
「いただけないな、この守備は」
投げ付けられる口汚い野次、心無い罵声。
「てめーらだって全力じゃなかっただろ?」
怒りを声に変える。
「ふざけるな、ここは駒場だ」

邦本が動く、奪いに行く。
「連動しないか、だよな」
連携不足は選手たちだけの責任じゃない。
「まだ時間あるぞ」
追い付けばいい、“残業”の覚悟は決めている。
アディショアンルタイム4分。
「ここで追いつこう」
梅崎のCK、GKに弾かれる。
「このGKならチャンスあるよ」
90+2分、ホリがピッチに入る。
「締めて来たか、山形」
勝利への体制を整えられる。

「ラスト、ワンプレーだ!」
持ち上がる、跳ね返される。
試合終了、浦和2-3山形。
天皇杯が、終わる。

ヤル気あるのか、捨てたのか。
そんなこと言ったってね。
3つ獲るほどウチは強くないよ。
ナビスコ杯とリーグ戦に可能性があるのなら、
そこに懸けるだろう。
「全部取りに行って、全部失うのは嫌だから」

仕方がない、
そう割り切るしかないと思うんだ。
駒場らしさの消えた駒場。
もう、故郷じゃなくなっちゃったな…






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ヤッコさんが就任してから2勝1分。
得失点差で新潟を上回り、7位に浮上した浦和。
吉備国大に続き、残留を争うクラブとの対戦。
頂きを目指すことだけが戦いじゃなくて、
生き残ることも大切な戦いだから。
危険な領域から抜け出すためにも、
勝ちたい試合。

GK池田
DF和田・高畑・堂園・坂本
MF柴田・岸川・藤田・加藤
FW吉良・後藤
リザーブ田尻・石井・泊・安田・大滝
4-4-2。
監督が代わり、安定した戦い方が出来ている。
選手たちが、前を向いて戦うことが出来ている。
厳しいことに変わりはないけれど、
明日を見据えることが、出来るようになった。

10月とは思えない暑さの中、キックオフ。
「後藤三知に3枚付いてるよね」
厳しいマークに遭うキャプテン。
前線でボールをキープ、吉良がフォローする。
「しっかり指示が出てるんだよね」
出し所がなければ一旦下げる、
後ろから組み立ててチャンスを伺う。
約束事がチームに浸透している。
「上手く抑えてるかな」
新潟の新外国人FWを囲む、突破を許さない。

「多分、大丈夫かな」
落ち着いている。
春から夏までの、慌てた素振りはもういない。
「やっちったか…」
25分、新潟先制0-1。
黒人選手特有の強くてしなやかなシュートが決まる。
「仕方ない、かな」
切り替えること、焦らないこと。
スタンドから飛ぶ汚い言葉に耳を貸さないこと。
どうして味方を野次るヤツがいるのだろう。
勢いづく新潟、上手くボールを運べない浦和。
「頑張って!」
勝ち点は1だっていいんだから。

キャプテンが粘る、粘る。
「決まった!」
零れたボールに加藤千佳が反応。
45分、浦和同点1-1。
「いい時間だね!」

前半終了、浦和1-1新潟。

「ちょっと対策練られたかな」
前半のようにパスが通らない。
小さなミスからピンチを招く。
「サイドを自由にさせて貰えないな」
岸川、藤田から効果的なパスが生まれない。
「厳しいね」
上下動を繰り返す和田奈央子、食い下がる加藤千佳。
柴田と坂本の呼吸が合わない。
「向こうだってミスはあるんだから」

左からのCK、高いボールがゴールに向かう。
「やった!」
68分、浦和逆転2-1。
堂園彩乃が決めた、残留に向けた大きな得点が決まる。
「さあ、しっかり守って」
「相手が前に出てきたらカウンターでいいんだから」
セカンドボールが拾えない。
暑さと疲労からか、前に出る力がない。
79分、吉良out石井in。
「システム変えるのか、大丈夫かな」
後藤の1トップ、最終ラインに5枚並んでいる。
「まだ10分あるぞ…」

攻め込まれる、耐える、弾き返す。
88分、加藤out安田in。
「他にも動けない選手、いるんだよな」
勝って欲しい、勝たせてあげたい。
アディショナルタイム4分。
90+1分、柴田out泊in。
「頑張れ、あと少しだ」
早く終われ、終わってくれ。
勝ち点3があれば、少しだけ優位になる。
「まだか?」
主審の笛が待ち遠しい。

試合終了、浦和2-1新潟。
「これでどうなの?」
「高槻と吉備国大で高槻が勝てばウチは楽になるけど」

次節はINAC。
残りは4試合。
入れ替え戦に回る9位との勝ち点差は3。
まだまだ、厳しい戦いは続く。



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売れないチケット、
空席の目立つスタンド。
ぎっしり埋まるアウェイゴール裏。
「どうして?」
ナビスコ杯準決勝2ndレグ。
勝てば決勝に進むことが出来る試合。
それなのに…。
「決勝だけ来るなんて、ナシだよな」

GK山岸
DF森脇・那須・槙野
MF平川・阿部勇樹・啓太・柏木・原口・宇賀神
FW興梠
リザーブ加藤・坪井・永田充・暢久・梅崎・関口・マルシオ
大宮戦と全く同じメンバー。
主審は西村氏。
「決勝に行きたい、タイトルが欲しい」
共に戦い続けた仲間たちとともに。

「気を付けろよ」
川崎FK。
勝てばいい、勝たなくてはいけない試合。
簡単に先制点を与えてはならない。
「ウガ、打てるぞ!」
「惜しい!」
宇賀神のループはGKに阻まれる。
「啓太が走ってる!」
柏木から右の啓太にパスが通る。
「どうだ!?」
原口のシュートはバーの上。
「いいね、いい感じだ」
DFを追い回す川崎FWをいなす。
「落ち着いてる、ミスしなければ大丈夫だ」
丁寧に、慎重にパスを回す。
川崎のラインが下がる。
「引いて守ってカウンター狙いかよ」
相手の術中に嵌らないように、焦らせないように。
僕らが急いてミスを誘発させることのないようにしなければ。

「ニアだぞ、ニア!」
柏木のCK、ゴールキックに変わる。
「タイミングは悪くない、セットプレーもあるぞ」
得点への期待が高まる。
「槙野!!」
スピードに乗る、槙野が中央に切れ込む。
「当たってるな…」
相手GKに防がれゴールを割ることが出来ない。
「今度こそ」
柏木のCK、競り勝つ。
「いいんだけどなぁ」
浦和らしい攻撃が続く。
「川崎、耐えきれるのかな」
競れない大久保、動けない憲剛、空回りするレナト。
森脇、那須、槙野、啓太、阿部勇樹が自由を許さない。

「槙野かな」
ほぼ中央からのFK。
「!」
壁を抜くシュート、GKに弾かれる。
「…」
唇を噛む。
「これも決まらないのか…」
興梠が落とす、原口が狙う、決まらない。
高い位置でボールをカットする、シュートに持ち込む。
決められない。
選手たちが連動する、PA前に柏木がボールを浮かす。
「これもか!」
興梠のヘッド、GKが立ち塞がる。

前半終了、浦和0-0川崎。

「あれ、憲剛代えちゃうんだ」
HT、中村out森谷in。
「大久保も怪我してるんでしょ?」
浦和に追い風が吹く。
「突っ込むのか!?」
槙野が仕掛ける、囲まれる、潰される。
「次だ、次!」
1点奪えば勝てる、いや、早過ぎる得点は危険なのか。
「落ち着こう、セーフティでいいんだ」
どうしても勝ち上がりたい。
苦しかった日々に、サヨナラを告げたいんだ。

58分、那須に警告。
「仕方ない、慌てずにやろう」
森脇からクロスが入る、興梠が落とす、阿部勇樹が走り込む。
「打て!」
DFに当たる、コースが変わる。
「いいぞ、次だよ次!」
勝てばいい、まだ時間はある。
「またか…」
森脇のシュートもGKに阻まれる。
「これは厳しいな」
主導権は完全に浦和が握っている。
ピンチらしいピンチもない。
「仕留めるだけなんだけどな」
もどかしさも焦りもない。
きっと決めてくれる、決まるはず。
信じれば叶う、思いは伝わるはず。

67分、平川out梅崎in。
「取りに行くってことだな」
気合を入れ直す。
69分、原口outマルシオin。
「今日はこの方がいいだろうな」
残り20分、浦和が勝負に出る。

左サイドからのFK。
「マルシオ、頼むぞ」
GKが弾く、決められない。
「まだまだ、焦らず行こう」
「あれ、マズいぞ…」
パスを回される、後手を踏むDF。
「クリア!」
GKの手前、守り切る。
「危なかった…」

「ウメ、ウメ、どうする!?」
右から梅崎がカットイン、ミドルは枠の外。
「ウガ、上げろ!」
柏木から左に展開、宇賀神が切れ込む。
「シュートだったかぁ」
GKキャッチ、得点ならず。
79分、宇賀神out関口in。
「関口勝負だ、負けんなよ!」

左サイド、関口が仕掛ける。
「関口、関口、関口!」
「ニアだ、クロス、クロス!」
「決まった!!!」
興梠が決めた!
80分、浦和先制1-0。
「やった、やったぞ!」
国立が、見えてきた。
「あと15分、戦い抜くぞ!」
集中、集中しよう。
まだ終わってない、終わってないんだ。

「キープ、キープ」
「シュートで終わろう、シュートで」
アディショナルタイム4分。
「ちょっと長いか…」
あと少し、張り詰めた空気を緩めないように、
笛が鳴るまで、集中を切らさないように。
跳ねる、叫ぶ。

主審の手が挙がる。
「やった、やったよ」
嬉しい、嬉しい。
初めて決勝進出を決めた万博よりも、
初めて戴冠した国立よりも。
悔しかったんだ、苦しかったんだ。
強い浦和が弱くなり、去って行った“サポ”と呼ばれる人たち。
諦めずに戦う、いつでもどんな時でも。
見返してやりたかったんだ。

どうだ、これが浦和だって。

あとひとつ。
プライドを取り戻すために。


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松本育夫監督に代わった栃木SC。
アレックスは左SBだったのかな。
ヨシヤはケガなのかな、
それとも戦術的な理由でメンバーから外れたのかな。

監督コメントによると、ホリの膝があまりよろしくないらしい。
リーグ戦を重視するなら、天皇杯での駒場凱旋はお預けかもな…
奥野僚右監督(山形)記者会見コメント

長崎は京都に敗戦。
岡本拓也のコメントがあるよ。
ちゃんと受け答え出来てるのかな…。
【J2:第35節 京都 vs 長崎】試合終了後の各選手コメント

G大阪と神戸が抜けた感のあるJ2。
プレーオフ圏内に入れば、大分のようなことが起きる。
千葉も京都も、この中でもがいている。
徳島が調子を上げ、
昇格したばかりの長崎は、依然上位をキープ。
J1を経験している東京Vや山形、横浜FCは苦戦。
どうなるんだろうね。
他人事なら面白いけど、当事者には厳しい制度かな。



【出場記録 (出場試合数)◎フル出場▽途中交代▲途中出場】
河合竜二(札幌)---(13)
中村隼(山形)----(0)
堀之内聖(山形)---(24)▽77
本間幸司(水戸)---(20)◎
西澤代志也(栃木)--(11)
三都主(栃木)----(20)◎
富居大樹(群馬)---(0)
高橋峻希(千葉)---(27)
高原直泰(東京ヴ)--(34)▽73
小池純輝(東京ヴ)--(27)◎
佐藤謙介(横浜)---(27)
永井雄一郎(横浜)--(10)
川鍋良祐(松本)---(18)
大山俊輔(富山)---(21)
黒部光昭(富山)---(12)
西川優大(富山)---(25)▲21
平野又三(岐阜)---(0)
山瀬功治(京都)---(26)
原一樹(京都)----(21)
サヌ(京都)-----(4)SUB
徳重健太(神戸)---(16)◎
相馬崇人(神戸)---(12)◎
ポポ(神戸)-----(33)▽82
吉野智行(鳥取)---(7)
岡野雅行(鳥取)---(10)
近藤徹志(岡山)---(17)◎
坂本和哉(岡山)---(0)
寄特直人(岡山)---(0)
青山隼(徳島)----(29)▽86
高崎寛之(徳島)---(21)SUB
堤俊輔(福岡)----(33)◎
畑本時央(福岡)---(1)
岡本拓也(長崎)---(8)◎

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エイコが挙げた先制点を守り切り、
東京Vが千葉に勝利。
草津から水戸、東京Vへ。
着実にステップアップしているエイコ。
今期も序盤は出場機会に恵まれていたとは言えないのに、
中盤戦から終盤にかけて、レギュラーに定着。
嬉しいんだよね、こういうのって。

いいミドルだよ。

三浦泰年監督(東京V)記者会見コメント
【J2:第34節 東京V vs 千葉】試合終了後の各選手コメント


富山は黒部が頑張ってる。
本当は黒部のようなベテランが身体を張るんじゃなくて、
若い選手がやらなきゃいけないんじゃないかなって思うけど。
【J2:第34節 京都 vs 富山】試合終了後の各選手コメント

ポポは凄いね。
またスゲーの決めてる。
それにしても神戸ウイングの芝は相変わらずだな…

【J2:第34節 神戸 vs 徳島】試合終了後の各選手コメント
自動昇格が目前の神戸から徳重が、
プレーオフ圏争いの徳島から青山がコメントを寄せているよ。


【出場記録 (出場試合数)◎フル出場▽途中交代▲途中出場】
河合竜二(札幌)---(13)▲25
中村隼(山形)----(0)
堀之内聖(山形)---(23)▽89
本間幸司(水戸)---(19)◎
西澤代志也(栃木)--(11)◎
三都主(栃木)----(19)▲6
富居大樹(群馬)---(0)SUB
高橋峻希(千葉)---(27)◎
高原直泰(東京ヴ)--(33)▽77
小池純輝(東京ヴ)--(26)◎①
佐藤謙介(横浜)---(27)
永井雄一郎(横浜)--(10)▲45
川鍋良祐(松本)---(18)SUB
大山俊輔(富山)---(21)
黒部光昭(富山)---(12)▲11
西川優大(富山)---(24)▲30
平野又三(岐阜)---(0)
山瀬功治(京都)---(26)◎
原一樹(京都)----(21)
サヌ(京都)-----(4)SUB
徳重健太(神戸)---(15)◎
相馬崇人(神戸)---(11)▽81
ポポ(神戸)-----(32)◎①
吉野智行(鳥取)---(7)
岡野雅行(鳥取)---(10)
近藤徹志(岡山)---(16)◎
坂本和哉(岡山)---(0)
寄特直人(岡山)---(0)
青山隼(徳島)----(28)◎
高崎寛之(徳島)---(21)▲7
堤俊輔(福岡)----(32)◎
畑本時央(福岡)---(1)
岡本拓也(長崎)---(7)◎

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何が嫌いってね、
勝手にライバルだと思ってるのが嫌い。
ちょっと調子いいくらいで強くなってって
思いあがってるのが嫌い。
ウチらのこと悪く言ってるけど、
どっちもどっちだっていうことが分かってないのが嫌い。

勝ち切れない浦和と、奈落の底に落ちた大宮。
叩きのめして浮上の切欠を掴みたい。

GK山岸
DF森脇・那須・槙野
MF平川・阿部勇樹・啓太・柏木・原口・宇賀神
FW興梠
リザーブ加藤・坪井・永田充・暢久・梅崎・関口・マルシオ
マルシオが復帰、
出場停止の那須がスタメン、暢久はベンチスタート。

「いいねぇ」
啓太、阿部勇樹が中盤で落ち着いたプレーを見せる。
「やっぱりこうなんだよ」
やりたいことをやり通せばいい。
ウチは王者じゃない、挑戦者なんんだから。
「合ってる合ってる、いいぞ」
CK、競り勝つ、ゴールキックに変わる。
「惜しい!」
興梠が抜ける、GKに阻まれる。
そぼ降る雨が心地良い。

「PKだ!」
興梠が倒される。
「一発!?」
「22番だね、多分」
9分、ニール退場。
「いらないんだよな、一人多い状態って」
キッカーは阿部勇樹。
「頼むぞ…」
「読まれたか…」
右に飛ぶボール、GKが喰らい付く。
「決まった!」
11分、浦和先制1-0。
「点取るぞ!」
1点差じゃ分からない。

「ズラタンが1トップか」
2列目で競り合うノバコビッチと阿部勇樹。
「負けんな!」
奴らに自由を与えてはいけない。
右を崩す、クロスが上がる。
「興梠!」
絶好機を逃す。
「マスいんだよな、こういうの」
去年の苦い記憶がちらつく。
「27番、汚ねーな」
粗いチャージに選手が傷む。
「早くカード出せばいいのに」
主審は家本氏。

「陽介!」
ボールを奪う、PAエリア内に侵入する。
「どうする?打てるか!?」
左足のシュートはバーを外れていく。
「これも決まらないのか…」
決めるべき時に決められない。
「マズいな…」
「しっかり、焦るなよ」
逸る気持ちを胸にしまう。

32分、27番に警告。
「やっと出したか」
「これでウガが優位に立てるぞ」
左から畳み掛けたい。
「ウガ、チャンスだ!」
宇賀神から槙野にボールが渡る。
「打て!」
GKに弾かれる。
「もう1点あれば決まりなのに」
柏木のCK。
「さあ来い!!」
槙野のヘッドはGKに阻まれる。
「これもか…」
1点が遠い、決められない。

前半終了、浦和1-0大宮。

「気を付けて」
大宮のカウンター、3枚で一気に攻め立てる。
「もう1点でいいのに」
引かない大宮、90分持つはずはない。
ロングパスに興梠が反応。
「巧い!」
DFを交わす。
「打て、決めろ!」
決まらない。
柏木から右に開いた興梠にパスが渡る。
「やった!」
原口が押し込む、ネットが揺れる。
「え、オフサイド?」
副審の旗が上がる。
勝っている、勝っているのに安心できない。
「危ないな…」
強烈なミドル、山岸が弾き出す。

右からのクロス、宇賀神が絞る。
「原口、原口、ハラグチ!」
GKに阻まれる。
「キツいな、これもダメか…」
浦和が圧倒的に支配している、それなのに。
68分、宇賀神に警告。
「これで左にアドバンテージがなくなるのか」
69分、大宮17番に警告。
「真ん中の選手か、いい感じだね」
異議を唱える大宮、見苦しい。
「もう1枚出せよ!」
相手の集中力が切れ始めている。
「もうちょっとだ、さあ行こう」

柏木から宇賀神にパスが通る。
「ニアだ、ニアだ」
原口が走る、詰める。
「やった!!!」
73分、浦和追加点2-0。
原口が、原口が決めた。
「これで大丈夫、もう向こうは力残ってないだろ」
待望の追加点、苦しむ24番が大宮戦で決めた。
「勝てるぞ、落ち着いていこう」

74分、啓太に警告。
「カードで試合を制圧する気か?」
決して主審との相性は悪くないはず。
「危ないなぁ」
南側のクロスバーがボールを嫌う。
「ツイてる、今日はツキがあるぞ」
嫌われたボールを拾う。
「笛鳴ってない、チャンスだ!」
興梠が受ける、走る、粘る、交わす。
「強いな、興梠」
76分、浦和3点目。
「まだ取れるぞ、これなら」
動きの止まった大宮、叩き潰したい。

77分、原口・平川outマルシオ・梅崎in。
「いいねぇ、緩めないねぇ」
81分、興梠out関口in。
「マルシオ1トップかな」
「違う、関口が1トップだ」
切欠を掴めば変わる。
関口がフィットすればウチはもっと強くなるはず。
「マルシオ、巧いよな」
高い位置でボールを奪う。
「陽介、どうする!?」
右サイドを抉る。
「やった、関口だ!」
83分、浦和4点目。
「いいねいいね!」

浅いクロスを合わされる、クロスバーが浦和を救う。
「無失点で終わるよ、無失点で」
あと6試合、得失点差も稼ぎたい。
「槙野…」
柏木からのパス、槙野が絶好機を逃す。
ピッチを叩き付ける槙野。
「立て、戻れ!」
甘い、まだまだウチは甘い。
89分、27番退場。
「一発だ、得点機会阻止か」
9人対11人、負ける要素はどこにもない。

アディショアンルタイム4分。
ワンツーからマルシオ、
関口のクロスに槙野、決まらない。
「もうそろそろかな」
終わりが待ち遠しいような、
ずっとそのまま続けて欲しいような。
雨上がり、霞むピッチ、主審の手が挙がる。

試合終了、浦和4-0大宮。

「さあ、飲むか!」
意気揚々、スタジアムを後にした。

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