OSQZSS

オープンソース準天頂衛星(QZSS)受信機

MADOCAプロダクトでPPP

2014-09-29 12:28:32 | RTKLIB
JAXAが開発を進めているGPS+GLONASS+QZSSの精密軌道・クロック推定システムである
MADOCAによる補正データのネットワーク配信が始まりました.

QZ-Vision: MADOCAプロダクトリアルタイムインターネット配信開始のお知らせ

誰でもアクセスできますが,ユーザ登録が必要です.
MADOCA Real-Time ProductsサイトのApplicationのページからApplication Formを
ダウンロードし,必要事項を記載してサポートディスクにEmailで送ります.

同ページでRTKNAVIによるMADOCAプロダクトの使い方も紹介されていますが,
個人的にメモを残しておきます.

基本的には,IGS Real-Time Serviceなど,他のNtripによる配信サービスと同じです.

Input StreamsとしてRoverには,MGEX局である調布(CHOF)を選びました.



CorrectionにMADOCAのmountpointのひとつであるMDC1を選びます.



MADOCAに含まれる精密軌道は,ephemerisに対する補正データなので,
何らかの形でephemerisも受信しなければなりません.CHOF局のRTCMは
観測値だけでephemerisは含まれていないため,Base Stationsとして
RTCM3EPH-MGEXを選び,ephemerisもネットワーク経由で受信します.



Optionsの設定は,Applicationページに紹介されていたマニュアルを
参考にしました.









Filesタブにおいて,igs08.atxにはGPSやGLONASSのアンテナ位相中心の
情報が含まれています.このファイルは,National Geodetic Surveyの
ANTCALで公開しており,RTKLIBのDataフォルダにも入っています.

一方,Roverのアンテナ位相中心の情報を含む.pcvは,受信アンテナに応じて,
ユーザが準備する必要があります.代表的なアンテナについては,
RTKLIBのDataフォルダに入っているngs_abs.pcvを使うことができますが,
CHOF局のアンテナであるTrimbleのTRM57971.00は含まれていません.

これら受信局アンテナのPCVは,ANTCALでANTINFOとして公開されています.
TrimbleのリストからTRM57971.00のANTINFOを検索し,madoca.pcvという
ファイルを作りました.

.pcvにリストアップされている受信局アンテナは,Positionsタブの
Antenna TypeでAutoを選択しておくと,RTCMに受信局のアンテナ情報が
含まれていれば,自動的に選択してくれます.

しかし,今回はCHOFのアンテナタイプが判っていますので,
プルダウンからTRM57971.00を選んでいます.

これで準備完了です.Startボタンをクリックして,測位を開始します.

 (クリックで拡大)

みちびきも観測されていますが,RTCM3EPH-MGEXからは
ephemerisが取得できず,測位には使われていません.

24時間動かしてみた結果は,こちら.

 (クリックで拡大)

何とも言えない微妙な精度です…
悪くはないけれど,センチメートル級と呼ぶのは躊躇します.

12時と24時に30分ほどデータ配信が停止するのも気になるところ.
今後のアップデートに期待しています.

折角のネットワーク配信なので,もっとユーザが増えて,
いろいろな環境での測位結果を公開して欲しい.

【追記】測位誤差をプロットする際のCHOFの精密位置は
三鷹の電子基準点を使って,RTKで求めています.

緯度:35.674544543 [度]
経度:139.531062059 [度]
高度:93.9147 [m]

【追記2】taro君のアドバイスに従い,Code/Carrier-Phase Error Ratioを
1000に変更して,再挑戦してみました.



RTKLIBでのPPPの実装はカルマンフィルタを使っているため,疑似距離の
観測誤差を大きく(重みを小さく)しないと,PPPの結果が疑似距離誤差に
引っ張られてしまうようです.

新しい設定での結果が,こちら.

 (クリックで拡大)

時々補正データが途切れていますが,解が収束すると水平方向は+/-10cmに,
鉛直方向は+/-20cmに収まっています.Ambiguity resolutionをOFFにしている
ことを考えると,十分な性能です.

微妙な精度なんて言って,ごめんなさい.
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2 コメント

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Unknown (taro@kaiyodai)
2014-09-29 15:25:36
記事の更新ありがとうございます.僕自身も数日分データを解析してみようかと思います.

Option->Setting1->Satellite Ephemeris/ClockのところがSSR APC(Antenna Phase Center)になっているように見えます.これをSSR COM(Center Of Mass)に変えたらもう少し良くならないでしょうか?

JAXAのMADOCA-SSRはCoMで放送されているようなので,RTKLIBのセッティングではここをSSR CoMにしないと,アンテナオフセットが適用されないと思います.ただ,設定しているigs08.atxにはQZSSのアンテナオフセットが定義されていないので,QZSSを解析に入れると悪くなる気もします.CoMで放送する以上QZSSのアンテナオフセットが入ったatxをJAXA側で提供して欲しいのですが,今のところHPにアップロードはされていないようです.

また,Option->Statistic->Code/Carrier Phase Error RatioがJAXAの推奨値ではデフォルトの100->1000に変わっています.PPPだと多分これがかなり解析結果に効いてくると思います.(https://ssl.tksc.jaxa.jp/madoca/public/doc/Manual_A.pdf
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Re: Unknown (osqzss)
2014-09-29 16:28:32
MADOCAプロダクトのサイトを見ると,9月のアップデートでSSRはCoMからAPCに変更されてるようなので,そちらに設定しました.

みちびきは,とりあえずephemerisが流れていないので,測位には使われていません.MGEXみたいに,MADOCAでもephemerisだけを流すmountpointが欲しいです.

Code/Carrier Phase Error Ratioの情報,ありがとうございます.1000は随分とコンサーバティブな設定に思えますが,試してみます.
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