JAXAが開発を進めているGPS+GLONASS+QZSSの精密軌道・クロック推定システムである
MADOCAによる補正データのネットワーク配信が始まりました.
QZ-Vision: MADOCAプロダクトリアルタイムインターネット配信開始のお知らせ
誰でもアクセスできますが,ユーザ登録が必要です.
MADOCA Real-Time ProductsサイトのApplicationのページからApplication Formを
ダウンロードし,必要事項を記載してサポートディスクにEmailで送ります.
同ページでRTKNAVIによるMADOCAプロダクトの使い方も紹介されていますが,
個人的にメモを残しておきます.
基本的には,IGS Real-Time Serviceなど,他のNtripによる配信サービスと同じです.
Input StreamsとしてRoverには,MGEX局である調布(CHOF)を選びました.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/d9/d239d70b80db2d76642053dae57350f8.png)
CorrectionにMADOCAのmountpointのひとつであるMDC1を選びます.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/72/efe53d8f3931f743057d8b1fd29877c2.png)
MADOCAに含まれる精密軌道は,ephemerisに対する補正データなので,
何らかの形でephemerisも受信しなければなりません.CHOF局のRTCMは
観測値だけでephemerisは含まれていないため,Base Stationsとして
RTCM3EPH-MGEXを選び,ephemerisもネットワーク経由で受信します.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/28/f8fc6345e76974f459a1b01d8af4def9.png)
Optionsの設定は,Applicationページに紹介されていたマニュアルを
参考にしました.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/52/1ab69d864eceb7a4ca13d3084bf5f1b5.png)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/c7/b52b56604cccc00f4482e92881a167fa.png)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/24/d315eef341f141e486b279c1685d945e.png)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/49/da68ab80c007c37ebba8e183374eb6fd.png)
Filesタブにおいて,igs08.atxにはGPSやGLONASSのアンテナ位相中心の
情報が含まれています.このファイルは,National Geodetic Surveyの
ANTCALで公開しており,RTKLIBのDataフォルダにも入っています.
一方,Roverのアンテナ位相中心の情報を含む.pcvは,受信アンテナに応じて,
ユーザが準備する必要があります.代表的なアンテナについては,
RTKLIBのDataフォルダに入っているngs_abs.pcvを使うことができますが,
CHOF局のアンテナであるTrimbleのTRM57971.00は含まれていません.
これら受信局アンテナのPCVは,ANTCALでANTINFOとして公開されています.
TrimbleのリストからTRM57971.00のANTINFOを検索し,madoca.pcvという
ファイルを作りました.
.pcvにリストアップされている受信局アンテナは,Positionsタブの
Antenna TypeでAutoを選択しておくと,RTCMに受信局のアンテナ情報が
含まれていれば,自動的に選択してくれます.
しかし,今回はCHOFのアンテナタイプが判っていますので,
プルダウンからTRM57971.00を選んでいます.
これで準備完了です.Startボタンをクリックして,測位を開始します.
(クリックで拡大)
みちびきも観測されていますが,RTCM3EPH-MGEXからは
ephemerisが取得できず,測位には使われていません.
24時間動かしてみた結果は,こちら.
(クリックで拡大)
何とも言えない微妙な精度です…
悪くはないけれど,センチメートル級と呼ぶのは躊躇します.
12時と24時に30分ほどデータ配信が停止するのも気になるところ.
今後のアップデートに期待しています.
折角のネットワーク配信なので,もっとユーザが増えて,
いろいろな環境での測位結果を公開して欲しい.
【追記】測位誤差をプロットする際のCHOFの精密位置は
三鷹の電子基準点を使って,RTKで求めています.
緯度:35.674544543 [度]
経度:139.531062059 [度]
高度:93.9147 [m]
【追記2】taro君のアドバイスに従い,Code/Carrier-Phase Error Ratioを
1000に変更して,再挑戦してみました.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/ac/ef3c8920df7ed945144bf823eaa063f7.png)
RTKLIBでのPPPの実装はカルマンフィルタを使っているため,疑似距離の
観測誤差を大きく(重みを小さく)しないと,PPPの結果が疑似距離誤差に
引っ張られてしまうようです.
新しい設定での結果が,こちら.
(クリックで拡大)
時々補正データが途切れていますが,解が収束すると水平方向は+/-10cmに,
鉛直方向は+/-20cmに収まっています.Ambiguity resolutionをOFFにしている
ことを考えると,十分な性能です.
微妙な精度なんて言って,ごめんなさい.
MADOCAによる補正データのネットワーク配信が始まりました.
QZ-Vision: MADOCAプロダクトリアルタイムインターネット配信開始のお知らせ
誰でもアクセスできますが,ユーザ登録が必要です.
MADOCA Real-Time ProductsサイトのApplicationのページからApplication Formを
ダウンロードし,必要事項を記載してサポートディスクにEmailで送ります.
同ページでRTKNAVIによるMADOCAプロダクトの使い方も紹介されていますが,
個人的にメモを残しておきます.
基本的には,IGS Real-Time Serviceなど,他のNtripによる配信サービスと同じです.
Input StreamsとしてRoverには,MGEX局である調布(CHOF)を選びました.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/d9/d239d70b80db2d76642053dae57350f8.png)
CorrectionにMADOCAのmountpointのひとつであるMDC1を選びます.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/72/efe53d8f3931f743057d8b1fd29877c2.png)
MADOCAに含まれる精密軌道は,ephemerisに対する補正データなので,
何らかの形でephemerisも受信しなければなりません.CHOF局のRTCMは
観測値だけでephemerisは含まれていないため,Base Stationsとして
RTCM3EPH-MGEXを選び,ephemerisもネットワーク経由で受信します.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/28/f8fc6345e76974f459a1b01d8af4def9.png)
Optionsの設定は,Applicationページに紹介されていたマニュアルを
参考にしました.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/52/1ab69d864eceb7a4ca13d3084bf5f1b5.png)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/c7/b52b56604cccc00f4482e92881a167fa.png)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/24/d315eef341f141e486b279c1685d945e.png)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/49/da68ab80c007c37ebba8e183374eb6fd.png)
Filesタブにおいて,igs08.atxにはGPSやGLONASSのアンテナ位相中心の
情報が含まれています.このファイルは,National Geodetic Surveyの
ANTCALで公開しており,RTKLIBのDataフォルダにも入っています.
一方,Roverのアンテナ位相中心の情報を含む.pcvは,受信アンテナに応じて,
ユーザが準備する必要があります.代表的なアンテナについては,
RTKLIBのDataフォルダに入っているngs_abs.pcvを使うことができますが,
CHOF局のアンテナであるTrimbleのTRM57971.00は含まれていません.
これら受信局アンテナのPCVは,ANTCALでANTINFOとして公開されています.
TrimbleのリストからTRM57971.00のANTINFOを検索し,madoca.pcvという
ファイルを作りました.
.pcvにリストアップされている受信局アンテナは,Positionsタブの
Antenna TypeでAutoを選択しておくと,RTCMに受信局のアンテナ情報が
含まれていれば,自動的に選択してくれます.
しかし,今回はCHOFのアンテナタイプが判っていますので,
プルダウンからTRM57971.00を選んでいます.
これで準備完了です.Startボタンをクリックして,測位を開始します.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/f6/767c7d93c6ae0300ad403990bc5254aa.png)
みちびきも観測されていますが,RTCM3EPH-MGEXからは
ephemerisが取得できず,測位には使われていません.
24時間動かしてみた結果は,こちら.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/1a/d9340c4ed7a7b2df7bbad626c171a336.png)
何とも言えない微妙な精度です…
悪くはないけれど,センチメートル級と呼ぶのは躊躇します.
12時と24時に30分ほどデータ配信が停止するのも気になるところ.
今後のアップデートに期待しています.
折角のネットワーク配信なので,もっとユーザが増えて,
いろいろな環境での測位結果を公開して欲しい.
【追記】測位誤差をプロットする際のCHOFの精密位置は
三鷹の電子基準点を使って,RTKで求めています.
緯度:35.674544543 [度]
経度:139.531062059 [度]
高度:93.9147 [m]
【追記2】taro君のアドバイスに従い,Code/Carrier-Phase Error Ratioを
1000に変更して,再挑戦してみました.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/ac/ef3c8920df7ed945144bf823eaa063f7.png)
RTKLIBでのPPPの実装はカルマンフィルタを使っているため,疑似距離の
観測誤差を大きく(重みを小さく)しないと,PPPの結果が疑似距離誤差に
引っ張られてしまうようです.
新しい設定での結果が,こちら.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/22/875bac1d369a7877cde38f9b522b19c5.png)
時々補正データが途切れていますが,解が収束すると水平方向は+/-10cmに,
鉛直方向は+/-20cmに収まっています.Ambiguity resolutionをOFFにしている
ことを考えると,十分な性能です.
微妙な精度なんて言って,ごめんなさい.
Option->Setting1->Satellite Ephemeris/ClockのところがSSR APC(Antenna Phase Center)になっているように見えます.これをSSR COM(Center Of Mass)に変えたらもう少し良くならないでしょうか?
JAXAのMADOCA-SSRはCoMで放送されているようなので,RTKLIBのセッティングではここをSSR CoMにしないと,アンテナオフセットが適用されないと思います.ただ,設定しているigs08.atxにはQZSSのアンテナオフセットが定義されていないので,QZSSを解析に入れると悪くなる気もします.CoMで放送する以上QZSSのアンテナオフセットが入ったatxをJAXA側で提供して欲しいのですが,今のところHPにアップロードはされていないようです.
また,Option->Statistic->Code/Carrier Phase Error RatioがJAXAの推奨値ではデフォルトの100->1000に変わっています.PPPだと多分これがかなり解析結果に効いてくると思います.(https://ssl.tksc.jaxa.jp/madoca/public/doc/Manual_A.pdf)
みちびきは,とりあえずephemerisが流れていないので,測位には使われていません.MGEXみたいに,MADOCAでもephemerisだけを流すmountpointが欲しいです.
Code/Carrier Phase Error Ratioの情報,ありがとうございます.1000は随分とコンサーバティブな設定に思えますが,試してみます.