アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

平均時速20kmの主要道路 ~陸路のブータン入り~

2011年09月26日 | Weblog
 いやはや…数多の衝撃を受けて、なんとかインド、ブータンの旅から生還しました。
 何から書いたらいいか…昨日、ネパールで観光遊覧飛行の小型機が墜落しました。観光旅行での客死…死に方に、いい死に方も悪い死に方もないのですが、客死はなかなか辛い。本人は好きなことをしている最中でしょうから、諦めもつくでしょうけど…。

 この度、インドのシリグリから、「シリグリ~ダージリン~ジャイガオン~(ブータンへ入って)プンツォリン~テンプー~プナカ(で折り返し)~テンプー~パロ~そして復路へ」。このコースを、大型バスやら中型バスやらジープやらに乗っての旅行をしてきました。インド・ブータン報告の第一弾は、陸路事情についてです。

 シリグリは、人口50万人。インドでも都会の部類に入る…し、しかし!B,BUT!定員20人の中型バスが走り始めてまもなく、日本には絶対にない悪路に。バスは大きく揺れ、乗客は窓ガラスに何度も何度も頭をぶつける。しっかり掴まって頑張っていると、「恥も外聞もない」という心境になります。…1時間走っても超ド級の凸凹道が続きました…。

 さすが、「シリグリ」という名前をつけただけのことはある。シリグリ命名者は、悪路で尻をブリグリやられてしまうから、シリグリとしたのでしょう。だけど、間違いましたね。正しくは、「シリワレ」でしょう!
 こ、この悪路が110km続き、ダージリンへ着いたのですが…。何時間かかったと思いますか?日本人の常識では、「そうだなあ…3時間ってところかな」でしょう。しかし、実際は、5時間半かかりました。平均時速にすると、20kmに満たない。ダージリンへ行く人は、ほぼ全員がこの道を通ることになります。覚悟して行ってください。

 さて、凸凹道に揺られても、客死する人はあまりいない。せいぜい窓ガラスを頭で割って血を流す程度。
 ダージリンから、ブータン国境の街、「ジャイガオン(現地の人は、ジャイゴンと言ってました)」への、195kmは、凸凹道に峠越えが加わった。峠道の常は、曲がりくねった急傾斜。道幅が狭いので、対向車が来たら停車して譲り合う…。国境への幹線道路なので、峠にも関わらず大変な交通量。なお、峠の数は…はじめのうちの30ぐらいは数えていましたが…結局、数えきれませんでした。
 ここでの問題は、片側が岩の壁で、反対側が奈落の底への谷であるということ。壁にぶつかるならいいが、谷へ落ちたら間違いなく客死。ゴロゴロと転がりながら落ちていきます。195kmの道ですが、7時間半かかりました。

 極めつけは、ジャイガオンからブータンに入り、首都テンプーへ入る道。国民総幸福量世界一のブータンの首都へ入る唯一の道ですから…素晴らしい道というイメージを描いてしまいますが…実際は、生きるか死ぬかの道でした。峠を何百も越えるのですが…標高2100mまで登るものでして、谷へ落ちたら、500~700mは、転がり落ちる!
 折からの豪雨で崖が崩れ、道がふさがれました。車は、数珠繋ぎのまま動かない。一旦は、「このまま夜明かしか」と、覚悟を決めましたよ。停車して待つこと3時間。幸運にも道路が開通して、車中泊は免れました。通常、7時間程度のドライブなのでしょうが、私のバスは、10時間かかりました。
 10時間かかりましたが、バスが谷へ落ちなくてよかったです。
 「ほとんど落ちないんだろう!」だって?じ、実は前方を走っていた軽のバンが落ちていきました。幸運にも50mほど落ちたところで木にひっかかって止まりました。車内の人達の安否ですか?確認しないままです。救助すべきでしたが、すでに何台かの車が助けようとしておりましたので…。このように、落ちていく車は珍しくないわけで…。
 と、いうわけで陸路のブータン入りは、止めた方がいいです。