もんく [とある南端港街の住人になった人]

マレーシアと自動車

マレーシアを長距離バスで移動するのはこの上無く快適だ。それは日本より快適だ。意外に思うかもしれないがこれは本当のことである。なぜならマレーシアは東南アジアでも例外的に高速道路整備が進んでいる国なのだから。

大型のデラックスバス、それはほとんどがすばらしい3列リクライニングシートを備えたもので、そのバスが各地域を結び、海を跨がなければほとんどどこへでも行くことができるようになっている。そのバスが利用する高速道路は段差がほとんど無いほどに上手く作られ、移動が夜間となった場合でも振動などによって起こされる可能性はほとんどないと言ってよい。


想像するに、こうした条件が整えられたのはマハティール時代に日本を参考に、日本のやり方の良い部分を取り入れたからではないかと思われる。日本は国土が小さいのが自動車を作るメーカーが多く、自動車産業が裾野まで発展している。自動車関連の労働者もかなりの数に上る。国の産業と経済の発展には自動車産業の寄与する部分が多かったと言え、マレーシアがそれを参考に国作りを行ってきたと考えることは自然なことであろう。

マレーシアは国策として80年代にプロトンを立ち上げ、国民車の普及と自動車産業の発展において成功を収めている。

だが現在はAFTAの枠組みが拡大することでASEAN内部での輸入関税が徐々に引き下げられ、国内産業保護に傾いた政策はとりにくくなってきている。ただ、それも悪いことばかりではない。近年急速に産業発展と市場拡大してきた中国に対抗するために、ASEANが一体となって機能することによって高度に自動車関連産業を専門化(スペシャライズ)するチャンスとなる可能性もある。

政府においてもその方向を支持する態度をとっているため、今後はより貿易が自由化した中でメリットを探す展開となるであろう。一方で、国内では業界団体に配慮せねばならない場面も多いのではないかと考えられる。輸入関税は低く設定されていても、輸入車に対する物品税は高率となっており、ダブルスタンダードと言えなくもない。(ASEAN製ではないが日本車の価格は日本での販売価格+100万円以上で車種によっては2倍にもなる。)


業界団体は政府の自由化促進に対して、この不況の影響もあるが、さらに産業発展を刺激する政策を望んでいることは確かである。政府においてもそれは暗黙の了解のようなところもあるわけで、外交的には自由貿易、内部では経済と産業振興をともに唱えている。

都市部においては自動車による渋滞は社会問題化しつつある。渋滞解消のための道路政策が過去においても現在でもいくつか発表され、それは道路の拡張のような形で行われている。このような部分的な方法論においても自動車産業に配慮した政策の1つではないかとも考えられる。それは国民に自動車を購入し利用するように仕向けるものであるからである。反対に、自動車以外の交通機関はそれほど発展を望まれてはいないからである。


アメリカのGMにおいては本国で破産に直面したにも関わらずアジア地区では未だ大きな成功を収めている。この経済危機の最中にも前期最大の成長を記録したことからもそれが分かる。そのため新生GMアジア部門においてはマレーシアに新規工場建設を計画しているようである。GMアジアはすでに隣国タイにも最新鋭工場を建設しているが、前に述べた高率物品税を考慮しての計画である。

つまり、マレーシアではそこでマーケティング、セールスのみでなくプロダクションを伴う投資を歓迎する、これはどこの国でも同じであるが、傾向が極度に強いと考えられるのである。




※上記はこの2週間ほど新聞(SUN:無料の英語新聞)を読んで個人の感想とともにまとめたもの。転載ではない。

ホテルのオーナーが昨日シンガポールに行って、今朝にはもう帰っていた。高速道路を運転して夜中の1時に帰着だそうだ。かなりの距離であるがそれだけ道路環境が整っているのが実感としてわかる場面である。おかげで今朝も美味い朝食にありつくことができた。

コメント一覧

orang-u
躊躇なく
まずは自分から言ったりやったりしてみる事ではないでしょうか。自分で自分を抑えて違うことを言わなければ他人がそれをする事も期待できないわけですし。

また、違うと言ってもその内容が単なる珍奇ではなく、ある普遍性を含むものであれば説得力があるわけですから。そのために勉強したと言う面も大きいですね。

特に建築なんかやっている人はした方が良いですよね。躊躇なく。プロはそれが仕事と思っているような方も多いように感じます。

プロでない人はせめてその練習に励むってことにしませんか? <-みなさん。
アーキ
> 何しろみんなと違うことを言う
>人が我々は大嫌いなんですから。

違うことを言う人を好きになる日本になると、
ちょっと面白くなりそうですね。

最近、多様性という言葉がはやっていますが、
人も多様性を持ったほうが良いと思っています!

orang-u
産業と政治
日本の場合はなかなか難しいですね。同じ政党が政権を握っているとは言え、かなり頻繁に政権交代がありますからどうしても短期的な政策、と言うか人気取りが優先してしまう傾向にあるような気がします。

マレーシアの場合は長く1人のスーパーマンが政治をやっていたこともあって統一的な政策が実行できました。

でも我々日本人はスーパーマンを望みません。それは危険と隣り合わせですから。

そう言うことも含めて、先見性はそれを提案できる少数の人たちを信頼しないと難しいかもしれませんね。何しろみんなと違うことを言う人が我々は大嫌いなんですから。
アーキ
こんにちは!

やはり、産業を守り育てるためには、先見性のあるインフラ整備と蓄積が重要なのですね。

こういった先見性のある対策が最近、日本には少なくなったような、、、。
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