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温泉クンの旅日記

温泉巡り好き(事情あって休止中)、旅好き、堂社物詣好き、老舗酒場好き、読書好き・・・ROMでけっこうご覧あれ!

早メシ

2006-12-06 | 旅エッセイ
  < 早メシ >

 宿につくと浴場の場所や非常口や夕食、朝食とかのもろもろの案内とか説明を
される。
 部屋に案内してくれる仲居さんからとか、部屋の係りの仲居さんからだったり、
宿によってはチェックインする際にフロントからの説明だったりする。



 いずれにしても、この説明は聞き流さずよく聞いておくに限る。
 夕食は部屋出しか、それとも館内の食事処か。夕食が部屋出しのときには朝食も
部屋出し、食事処での夕食であれば朝食も同じである場合がだいたい基本だ。もち
ろん、朝食だけレストランとか宴会場みたいな広いところでというところも最近は
多い。

 夕食や朝食の希望時間も聞かれたときには、わたしは夕食も朝食もできるだけ
早い時間を指定することにしている。早やメシだ。
 早めの夕食を済ませてすぐに温泉にビユーンと飛んでいけば、他の客は食事中か
宴会まっ盛りであるので浴場をゆうゆう独占できるからだし、朝食を一番早い時間
にするのは、早めに次の目的地へ出発することができるからである。

 夕食の説明しかしないようなら、わたしは朝食の時間と場所について訊いておく
ようにしている。
 これにより、朝のスケジュールが相当に左右されるからだ。

 たとえば、朝食は部屋出しで朝の七時半を希望したとする。

 広い次の間がある部屋などに泊まることはあまりないから、部屋出しということ
は、まず布団を上げないといけない。これが、三十分前として七時と踏む。七時前
には、前夜の宴の後始末・・・つまり持ち込んだ酒やつまみをリュックに詰めこん
で隠し、アルコール臭い湯呑を洗ったり、それに脱ぎ散らかした衣類などをそれな
りに整理せねばならない。そうそう紫煙漂う部屋の空気の換気もいるな。

 トイレもあるし、それと朝一番の入浴や洗顔もあるから起床時間は・・・だいた
い六時前遅くても六時ということに決まる。こりゃあ忙しくなってきやがったな
チキショウメ、というネジリ鉢巻気分になっちゃうのだ。そんな思いをするなら
最初からベッドの部屋にすればいいのだが、布団が大好き、布団でないと熟睡でき
ないタチなのである。

 では、食事処とかで朝七時半ということだったらどうなるか。
 食事している最中に部屋の布団あげが行われるとして、一連の作業は必要である
し入浴もあるから六時半ごろと決まるのである。部屋出しよりは、片頬ゆるむと
いった、すこしばっか余裕がでてくるのだ。

 次の目的地が遠かったり、泊まった宿がどうしようもないインチキ温泉の場合は
とっとと出発するが、朝食を一番早い時間にしたイコールすぐの出発とは限らな
い。超の字がつく温泉好きなわたしだから、朝食後にも名残のひと風呂をゆっくり
浴びるのが常だ。

 前日までの温泉はしごが重なってか湯当たりすることもある。湯あたりとまで
いかなくても急激な眠気にドーンと襲われることもある。それは、たいていがこの
朝食後の入浴をすませたときにやってくる。

 部屋によろよろ戻ると、ありがたや布団がそのまま敷いてあり「助かったあ」と
ドウとばかりに倒れこむ。



(あ、そうだ)

 はっと頭をあげる。
 マスターキーを使って突然ドヤドヤと闖入された記憶が蘇ったのだ。決められた
時間通りの布団あげの強制執行というやつだ。杓子定規のひでえ宿だった。
 あんときは吃驚したし頭にもきた。
 朦朧とした意識、寝乱れた格好で狼狽するような事態は二度と御免である。
くそ。身を起こすとドアに戻ってチェーンをかける。

 そうして暖かい布団にもぐりこみ、眠気を掻き集めてしどけなくうとうとと二度
寝を貪り楽しむのだ。こんなことができるのも、早やメシの功徳である。

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