温泉クンの旅日記

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旅とパン

2021-10-10 | 旅エッセイ
  <旅とパン>

「これが、あのフランスのソウルフードである『ジャンボン・ブール』なのか・・・」

 

 持ち帰ったバゲットサンドをひろげて、しみじみ眺めてしまう。
 東京で一番美味しいといわれる焼きたてのバゲットに、上質な豚もも肉のハム(ジャンボン)とたっぷりのバター(ブール)。

 

 

 セーヌ川のほとりにでも坐ってぜひとも食べたいところだが、地元戸塚の柏尾川のほとりじゃ興がさめるので、自宅で食べた。香ばしいバゲットに、高級なバターとぶ厚いハムが絶妙にマッチして、たしかに旨い。高いだけあって。しかし正直いって一個では物足りない。
 なんか、食べ慣れたポンパ・ドールのバゲットに四つ葉のバターと鎌倉ハムでつくっても相当美味いかもしれない、しかもそこそこ安くて、などと思ってしまう。

 ある土曜日、フランスのバゲットサンドを買おうと東海道線を使って東京駅に行き、南口を出て丸の内「KITTE」の有楽町駅側、裏というか隣のビル「TOKIA」一階の「Viron(ヴィロン)」に辿りつく。ヴィロンはフランス料理のビストロなのだが、ベーカリーも併設している。
 この店、もしかしたら送別会で利用したことあるかもとふと思う。

 

「おひとつでよろしいでしょうか?」
 と訊かれたが、“ジャンポン・ブール”が1個810円(税込874円)では、2個は贅沢というものだ。フランスでも700円弱するそうだが、はっきり言って高い。安ければ、これにチーズを加えた“ジャンボン・フロマージュ”も買いたかったが、千円札が二枚飛ぶのでここはあっさりあきらめた。
 まあ、バゲットじゃないけど、ハムとチーズとレタスのサンド、リトルマーメイドの「カスクート(税込291円)」が気に入ってるので、とりあえずこれでわたしは満足しとくわい。もっともこっちも昼食なら一個では足りないが。

 

 ところで、わざわざ東京丸の内まで“ジャンポン・ブール”を買いに行ったのは、わたしが「おごと温泉(3)」の中で知ったかぶりしてこう書いてしまったからである。

『昨夜の夕食は、京都駅で駅弁ゲットを予定していたが適当なものがみつからず、山科駅の近くの志津屋でみつけた「カルネ」と「ビフカツサンド」だった。
 元祖ビフカツサンドはまあ思った通りの味。

 

 カルネは丸いフランスパンにマーガリンを塗ってハムと玉ネギ挟んだ超シンプルなシロモノなのに、思った以上に極上の、トンデモナイ旨さで「ああ、失敗。もう一個買っておけば良かった!」と歯がみしてしまった。
 フランスのソウルフードに「ジャンボン・ブール」といって、焼きたてのバゲットに上質な豚もも肉のハム(ジャンボン)とたっぷりのバター(ブール)のバゲットサンドがあるが、あれの京都版みたいなものかもしれない。』

 トンデモナイ旨さの「カルネ」だけど、そのパンの名前をみたときに記憶が呼び起こされた。

 

 そうだ、松本清張の「黒革の手帖」で舞台となった銀座のクラブの名だ。「黒革の手帖」といえば、山本陽子、大谷直子、浅野ゆう子、米倉涼子、武井咲らの歴代女優が高視聴率を稼いだテレビドラマである。
 カルネとは・・・・たしかフランス後で“手帖”の意味だった。

『平凡なOL銀行員として働いていた主人公原口元子は、架空名義の口座預金者リストを記した「黒革の手帖」と引き換えに、一億八千万円近くの横領金を手に入れる。
銀座のクラブで夜の仕事を覚え、元子はその金を元手にクラブ「カルネ」を開店したのだった。』

 では、神戸と並び全国でも一位か二位といわれるほどパン好きの京都人が愛してやまない、1948年創業の京都志津屋の「カルネ」のネーミィングはどうか。
 カルネとはフランス語で「手帖」の意味だが、パリの地下鉄の回数券も「カルネ」と呼ばれていることから、「何度でも来てほしい、何度でも買ってほしい」という思いで名付けられたそうだ。

 

 ジャンボン・ブールが874円、カルネのお値段は210円。オッケー、何度でも来てやる、何度でも買ってやるぞ。



   →「おごと温泉(3)」の記事はこちら
   →「揚げソーセージパン・オンマイマインド」の記事はこちら
   →「信州で焼きそばパン」の記事はこちら

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