ニョニョのひとりごと

バイリンガルで詩とコラムを綴っています

「故 高寅順さんの1周忌の法要にいってまいりました。」

2012-08-22 20:04:04 | 日記
 


 8月22日、先日、親族の方から連絡をいただき今日の夕方、学童を終えた後、観音寺に行ってまいりました。
 1年前、この場所でお通夜と葬儀が行われ、僭越ながら弔辞を読ませていただきました。

 お通夜の日、親族や友人の方々から寅順さんに関する逸話を色々聞かせていただいたのですが、あまりにも伝えたいことが多くて書いては消し、消しては書いたことが昨日のことのようです。

 朝から法要が行われていたので私が行ったときには親族の方だけがいらっしゃいましたが、何しろ7人兄弟のおひとりと結婚されていたので親族だけでもかなりの数でした。

 立派な祭壇が組まれ上段では寅順さんがにこやかに微笑んでいました。遺影を見た途端、ぐっとこみ上げるものがあり1瞬、声をあげそうになりましたが、ぐっとこらえお辞儀をしました。

 旦那様とは昨年以降も偶然お会いしたり、メールの交換をしたりしましたが、お子さんたちとは1年ぶりにお会いしました。
 眩しすぎるほど皆さん、大人になっていました。

 壁には、闘病の末、寝たきりの状態になっても最後の力を振り絞って書き残した贈り物が飾られていました。



 子供達への想い、姉妹に対する想い、友人に対する想い、夫に対する想い、最後に「私は幸せでした。」と結んでありました。
 
 一緒に書を見ながら娘さんと少しお話ししたのですが、娘さんはオモニのことを「1度も腹を立てられた姿を見たことがありませんでした。」と目を潤ませながら仰っていました。

 帰りしな「 亡妻1周忌 粗供養 金」と書かれた箱の入ったものをいただきました。



 中を開けてみるととてもセンスの良い器とお礼のハガキがはいっていました。それも生前の寅順さんのハングルです。



 (いつも有難うございます。真心込めて)

 裏には生前の作品<大丈夫>が印刷されていました。



 文芸同大阪50周年の記念イベントのタイトルをすべて寅順さんの書にしたことを思い出し、写しました。





(一つの心)





(文芸同大阪の作品集のタイトル「プルシー火種」)

 彼女の書には誰にも真似のできない暖かさがあります。
 彼女の書には誰にも真似のできない独創性があります。
 まるで生きているような文字なんです。
 書の中に人がいるように見えませんか?
 人が歩いているように見えませんか?
 人が手を繋ぎ合っているように見えませんか?

 あまりにも早く彼女を送ってしまいました。
 今はただただご冥福を祈るばかりです。

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今日、 故 高寅順さんの1周忌の法要が行われます。(再掲)

2012-08-22 09:40:57 | 日記



(彼女からのプレゼント)

コラム

  「最高の贈り物」     


 数々の名作と数多くの教え子を残した素晴らしい書芸家である文芸同大阪支部、元書芸部長の高寅順さんがこの世を去って1年が過ぎた。

 6年もの間、不治の病と闘いながらも弱音を吐くことなく筆を執り、息を引き取る瞬間まで大切な人々に贈る「最後の言葉」を書き続けた方。

 初級学校から大学まで民族教育を受けて育った彼女は誰よりもウリマルを愛しハングルを愛した。彼女のハングルの書は、どのお手本にも無い彼女独特の創造的な書体であった。誠実で実直で清らかな彼女の人間性が文字にそのまま表れている。

 幼い頃より書芸にいそしんできた彼女はウリハッキョの教員を経て、結婚後は子供達のための書芸教室や書芸サークル<百花会>を長い間指導してきた。

<百花会>の方々は「私達は先生のハングル筆文字と人柄に魅了され今日まで15年もの長い間ついて来た」と涙ながらに語った。

彼女のハングルの書は高麗書芸研究会や日本での作品展ばかりか、フランスで行われた<国際カリグラフィ展>にも出品され、展示会案内のハガキポスターにもなり世界中に広められた。

彼女が子供達、姉妹、友人、夫宛に最後に残した言葉にはハングルで各々に対する感謝の気持ちと「…傍にいてくれて私は幸せでした。」と記されていた。

人生最高の贈り物を残してくれたと、むせび泣きながら述べられた故人の夫。

最後まで愛する人々を想い、ハングルを書き続けた彼女の生き様は葬儀に参列した人々の胸に大きな感動をもたらした。

*ウリマル(朝鮮語)、ハングル(朝鮮の文字)、ウリハッキョ(朝鮮学校)




(彼女からのプレゼント)                    
        
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