わたしはその人に「NAKIKO」と命名する。
彼女は泣き女。会ってくれる人がいないので、泣く。遊んでもらえないので、泣く。そこがわたしとそっくりだ。
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じゃ、どんな漢字を当てよう。
刹那の那。季節の季。そして女の子の子。泣き子にはしないでおく。
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お人形だ、この女の子は。
息を吹きかけて人にする。
お人形にしたいときにはまたもう一度やさしく息を吹きかける。
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わたしには今日、遭いたい人がない。遭ってくれるという人もいない。NAKIKOにもいない。
そこで二人が行き会う。
そういう設定にする。
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でもじめじめしない。しないようにする。此処がポイント。
暗くしない。しないようにする。此処を押さえておく。
べとべともしない。しないようにする。此処が決め手。
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二人で海へ行く。浜辺を歩く。砂が音を立てる。
歩き疲れたら座る。風を受けないところに座る。
サンドイッチを食べる。ミルクを飲む。それだけで満腹する。
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息を吹きかけてNAKIKOを人形に戻す。ポケットに入れる。
ポケットの中という異界に送る。それから山を目指す。
全山が紅葉して輝いている。それを見せる。
異界へ送ったり、そこから連れ戻したりして遊ぶ。
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行き来することができる世界があるということを楽しませる。
お人形にもわたしにもそれを楽しませる。
NAKIKOにもわたしにもそれを楽しませる。