さみしい。
*
さみしさが帽子をかぶってちょくちょく訪ねてくる。
*
帽子が深くって顔が見えない。
*
帽子を深めにかぶったのが、だといって、どの顔もみんなさみしい顔なのではない。
*
ぼくは、今日、深めにかぶってサイクリングへ出かけていったけれど、でもね。
*
これはぼくの長くなった髪が風に靡かないようにするためだ。
目の中に髪がこんにちはをしてしまう。と、先が見えにくくなる。で、だ。
*
でも先が見えても見えずらくても、同じことなのだ。ふいにさみしい。じわりじわりさみしい。
*
麦の芽は青々と健康に育っている。散歩中の犬は光を追って飛び回って嬉しそうだ。
通りかかる田舎の家々には白梅紅梅が咲いて、いっしんに咲いて、明るい。
*
明るい青い空が広がっている。というのに。というのに。帽子の内側はさみしいまんまだ。
*
犬の目という名前の集落のところまで来た。
*
ここには小さな神社がある。周囲は竹の林だ。鈴を鳴らすところの石段に座っていた。
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さみしさが帽子をかぶってちょくちょく訪ねてくる。
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帽子が深くって顔が見えない。
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帽子を深めにかぶったのが、だといって、どの顔もみんなさみしい顔なのではない。
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ぼくは、今日、深めにかぶってサイクリングへ出かけていったけれど、でもね。
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これはぼくの長くなった髪が風に靡かないようにするためだ。
目の中に髪がこんにちはをしてしまう。と、先が見えにくくなる。で、だ。
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でも先が見えても見えずらくても、同じことなのだ。ふいにさみしい。じわりじわりさみしい。
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麦の芽は青々と健康に育っている。散歩中の犬は光を追って飛び回って嬉しそうだ。
通りかかる田舎の家々には白梅紅梅が咲いて、いっしんに咲いて、明るい。
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明るい青い空が広がっている。というのに。というのに。帽子の内側はさみしいまんまだ。
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犬の目という名前の集落のところまで来た。
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ここには小さな神社がある。周囲は竹の林だ。鈴を鳴らすところの石段に座っていた。