小田原市小台 日枝神社

田園風景が広がる桜井地区や富水地区には、いくつかの神社が点在している。現在の地名となっている場所は、かつて村だったところが多く、当時の村の鎮守の神社が今も残っている。小田原市小台の日枝神社。この小台もかつては小台村だったが、明治２２年に周辺の12村が合併し富水村となり、さらに明治４１年には周辺３村が合併して足柄村に、昭和１５年になって小田原市に編入された。鳥居横には由緒の刻まれた石碑。もともと小台村の鎮守は寛文９年（1669年）建立の山王社と稲荷社だったが、明治期に山王社を日枝神社に改めた。小台の日枝神社と稲荷社は大正3年に飯田岡の飯田神社に合併されたが、昭和9年になり小台地区の住民の尽力により再び小台へ分祀されたとのこと。もともと日枝神社は現在の場所にあったようだが、稲荷社は少し離れた場所にあったようだ。飯田神社から分祀された際に日枝神社の境内に稲荷社も祀った。道路角にある日枝神社の境内は細長い社地となっている。鳥居は石造りの明神鳥居。左には社務所と思われる建物。中央に日枝神社の社殿。右奥に稲荷社が配置されている。社殿前には昭和9年に横須賀市の田中氏が寄進した狛犬が置かれている。やはり昭和9年に建立された社殿は質素な造り。向拝まわりの彫刻も少なく、向拝柱には雲模様の木鼻が控えめに取り付けられている。境内左手奥には石塔が並んでいる。元文元年（1736年）の庚申塔のほか、堅牢地神と石祠。境内の一角には旧書体が刻まれた石碑も建っていた。帰宅後に調べたところ、昭和9年に飯田神社から日枝神社と稲荷社を分祀した際に、社地の一部や灯篭を寄進した綾部健次郎翁の頌徳碑だと分かった。郊外の旧村々の鎮守を訪れるのも興味深い発見があってなかなか楽しい。