のすたる爺や

文明の果てなる地からのメッセージ

タンゴ

2007年04月15日 | 日記・エッセイ・コラム

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070415 ギリシアの国民的大歌手のハリス・アレクシーウが歌う「ネフェリスへのタンゴ」という歌です。

 今日はこの歌を巡って旅をしましょう。

 ハリス・アレクシーウは94年に来日してコンサート(サントリーホールだったと思います)に行ってきました。

 この時代には日曜の晩に12chで新星堂がスポンサーになって「エバーグリーン・ミュージック」という素晴らしい音楽番組をやっていて国内外の実力派の歌手を紹介していました。ハリス・アレクシーウもこの番組で知りました。高崎の新星堂にこの分野に詳しい店員さんがいて、チケットを抑えてくれたり、素晴らしいミュージシャンが来ると紹介してくれたものです。

 ハリス・アレクシーウ「祈りを込めて」「悲恋歌」など名曲をたくさん謳いあげている歌手ですが、日本で発売されていない名曲も多く、彼女が歌う「エレニー」という歌に出てくる歌詞”エレニー、全てのエレニーよ。この違いはおぼえておきな、ギリシアのために死ぬことと、ギリシアがお前を殺すことを”

070415a  なんて衝撃的な!と興味を持ってたどり着いたのが映画「哀愁のエレーニ」。

 このことを歌っていたのか!と発見した時の嬉しさ。感動。そして最近このとき調べたギリシアの近代史が役に立ちました。ギリシアの歴史はプラトン以降も続いたのです。

 エレーニは第二次大戦後の王党派と共和派による内戦状態の中で、アルバニアに近い山の村に住む5人の子供の母親。共産ゲリラの略奪を受ける中、子供達を村から脱出させたために処刑されました。

 後にNYタイムスの記者となったニックが母の死の真相を見つけにギリシアに来て過去を振り返るストーリー。作者のニコラス・ゲージの自伝的な映画だそうです。

 その後もギリシアは政情不安の状態があったわけですが、このときギリシアを脱出した人物の中にはイランに脱出したアレックス君のお父さんがいます。

 さて話はハリス・アレクシーウに戻り、ギリシアでは国民的な歌手ですが、日本ではあまり知られておらず、CDもあまり出ていません。私は2枚ほど持っていますが、その一枚に「ネフェリス通り」という題のCDがあります。

 アクロポリス近くの通りの名前だそうで、ハリスが前の夫と暮らしていた街なのだそうです。冒頭に紹介した「ネフェリスへのタンゴ」もその思い出をこめているのだろうか?素敵なメロディーだな。エーゲ海のイマージュのようなメロディーだ!と感動してしまいました。

070415b ヨーロッパとアジアの分岐点にトルコという国があります。ここにも素晴らしい歌手がいます。Nilüfer。彼女が歌う名曲の中に”Çok Uzaklarda”日本語にするなら”より遠くへ”とか”遠くへ行ってしまう”という意味だと思います。

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 聴いたことがあるメロディーでしょう。ハリス・アレクシーヴが歌う「ネフェリスへのタンゴ」と同じ曲。

 でも、こうして聴くと今度は「地中海の香りが漂うメロディーだな」と、まあ、エーゲ海も地中海も私達からすれば日本海と瀬戸内海ほどの違いは無いわけですから、たいした違いではありませんが、これはこれでまた違うイメージが湧き上がってくる創唱になっています。言葉の響きの持つ魔力なんでしょうか?

 ところで、このメロディーの原曲はどこの国のメロディーだろう?とたどって行くと、意外にもカナダのミュージシャンのロリーナ・マッケニットが作った曲でした。

070415c  マッケニットという姓からアイルランドかスコットランド系だと察しがつきますが、ケルト系の音楽を披露するこれまた素晴らしいミュージシャンで、アコーディオン、ハープ、ピアノなど多様な楽器もこなす音楽家です。

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 ”Tango to Evora”これが原曲です。不思議なことにハープを弾きながらスキャットをする彼女の演奏を聞いているとケルトの香りが漂うように思えてしまいます。

 民族と言うと争いの元に思えてしまいますが、自分のルーツとする民族性を持つことも「個性」の一環として大切なことなんだと思えます。

 カナダも多民族国家の面白さがあります。3月18日の日記で紹介したララ・ファビアンが実はベルギー生まれのベルギー人で、アイルランド人と思っていたロリーナ・マッケニットが実はカナダのマニトバ生まれのカナダ人。

 そういえばどちらも先に自分でレコード会社を作ってデビューしているところも似ています。

 スタジオジブリが2001年に製作した”千と千尋の神隠し”のテーマソング”いつも何度でも/”を木村弓さんが竪琴を弾きながら歌うというのでロリーナ・マッケニットのような歌を期待したのですが、木村さんは声が不安定なので、聴いていて無理がまじまじして疲れます。

 ロリーナと比べるのもかわいそうな話ですが、木村弓さんは正確に歌おうとして気持が抜けているというのか?窮屈すぎるというのか、ハープなど持たず歌に専念すれば?と期待はずれに思えてしまいました。

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 おまけにもう一つロリーナ・マッケニットの素晴らしい歌声を。

 ”Penelope's Song” ペネローペはギリシア神話に出てくる貞淑の妻の象徴。トロイア戦争に行った夫の帰りを20年待っていた妻ですね。とりあえず歌詞とこのペネローペは関係なさそうですが、そんなことを頭の片隅において聴くと面白いかも?

 Penelope's Song

Now that the time has come
Soon gone is the day
There upon some distant shore
You'll hear me say

Long as the day in the summer time
Deep as the wine dark sea
I'll keep your heart with mine.
Till you come to me.

There like a bird I'd fly
High through the air
Reaching for the sun's full rays
Only to find you there

And in the night when our dreams are still
Or when the wind calls free
I'll keep your heart with mine
Till you come to me

Now that the time has come
Soon gone is the day
There upon some distant shore
You'll hear me say

Long as the day in the summer time
Deep as the wine dark sea
I'll keep your heart with mine.
Till you come to me

コメント (1)
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