大きくなった敷地
敷地内の前の広大な工場跡地を倉庫として、持ってた機械会社は、大同機械会社と言い、細かい工作機から、大きな工作機械まで作り、職人肌の精密な機械を作る会社でありながら、営業活動が下手で、利益は低くかった。ただ昔からの名門だったので、豊富な不動産を日本各地に持つ会社であった。
一族の機械とは長年の競争関係にあった。経営計画も保守的で発展せず、和子が大きくした一族の機械会社との差は、広がるばかりであった。不動産収入に依存し、営業利益も低く、株価も精算価格付近で上下していた。外資に狙われやすい会社であった。何回かの外資の買収工作は、一族が団結して、退けていた。
カミカミファイナンシャルは、外資が買収に失敗し、大同機械の株価も急激に下がりだしたので、カミカミファイナンシャルが安値を拾う形で買いだしていた。それほど話題にもならなかった。買収に失敗した外資は、大同機械に買い取りを要求したが、大同機械は応じず、困った外資は安値で、全株をカミカミフィナンシャルに市場外で売った。
一躍カミカミファイナンシャルが筆頭株主に躍り出た。事実が明らかになると、カミカミの買いと言われ、株価は急に2倍に上がった。しかし上がれば、カミカミファイナンシャルは売った。利益は低迷していたので、落ち着くと株価は下がり、あまりに下がると、カミカミフィナンシャルが買い、上がれば、カミカミが売り、大きく下がると云う状態が続いた。
アフリカ快適ホールディングの傘下に、大きな機械会社を作る計画があった。神太朗は、基本的な工作機器の要素が欲しかった。けっして吸収したい訳でも合併したい訳でもなかった。密かに合併ではなく新天地でみんなと協力して新しい機械会社を作ろう、大同機械の役にも立つよと呼びかけたが、長年一族の機械会社に競争心をもっている事でもあり、買収され事を恐れ、株を無断で買われたので敵対的と云って断った。
神太朗は素直な性格だったので、カミカミの平均購入価格以上に株価が上がれば売っていった。カミカミは、平均購入価格まで売っていった。大体カミカミとして元本は回収したが、大同機械は、株価が上がらない株になった。
一方アフリカ快適ホールディングの傘下に、ジブや聖子ファイナンシャルに、毛利ロボット工学研究所、日本の機械、ドイツの機械、菊子金属そして現地の資本まで出資して、快適機械ができた。あらゆる機械を扱う大きな機械会社だった。大同機械の工作機器は最初の技術目標として、徹底的に調査して、高品質の金属そしてロボットの精度の目標になった。
大同機械の機械は高品質だったので時間はかかったが、自動化ラインで安く出来るようになった。アフリカで売っていった。アジアにも輸出したし、日本にも世界にも売っていった。値段は、大同機械よりずっと安かった。一族の機械会社やドイツの機械会社は、地域や機械の種類などを調整していったし、いい機械は、代わりに売っていった。
カミカミは、会社精算価格以下の安値で拾っていたにも拘わらず、すべての保有株を売れなかった。まだ発行残高の1割も残っていた。だが株価は下がり続き、カミカミの平均購入価格よりも下がった。カミカミの平均購入価格より、少し高い価格にカミカミの全持株の売りが並んでいた。それで話題になった。大同機械の株は安く買えるチャンスなのに、多くの人は売っていった。一方、倉庫の売却交渉は、別問題で治部東京が担当していた。
大同機械の工作機械は高品質で、根強いファンはいた。同じタイプの製品で3割低い快適機械の製品をぶつけられただけだったなのに、不思議な事に売上げは落ち、赤字になった。内部保留も高かったが、配当も減り、株価は、もっと下がった。会社精算価格の半分程度になった。
するとハゲタカのような外資が、含み資産を狙って、買いだした。漸く大同機械も事態の深刻さに気付き、密かに神太朗と話をして、一定の経営自主権を確保し、創業者一族も相当の株を保有する事を条件に、一族の機械会社ではなく、アフリカの快適機械の子会社になった。
安くなった市場価格より1割程度安い価格で、快適機械への増資を割り振った。快適機械は、ディスカウントTOBもして、大同機械の創業者一族の保有も認め、非上場の会社になった。ハゲタカも諦めて、ディスカウントTOBに応じた。流通できない株になるので、それを嫌がる人も応じた。
アフリカの快適機械の製品で、大同機械と同じようなタイプの機械製品の輸入販売も受け持つようになった。大同機械の技術は、優秀だったので、快適機械も、ロボットだけでなく、優秀な技術ノウハウを、安い価格で手に入れる事が出来た。大同機械は、快適機械、大同機械の創業者一族そしてカミカミファイナンシャルの会社になり、大同機械が北日本中心に持っていた不動産も利用しやすくなった。山間部を資源探索ロボットが探索して、幾つかの資源をみつけ、快適大同鉱山と云う別会社を作り、そこに香奈オフィスも出資して運営して、大同機械は、その配当も入り、高収益の企業になった。
ただ大同機械が窮地の時に、なんとか云う動物のような瑠璃は、瑠璃の個人会社が二束三文でジブの里近くの山脈を買い叩いて、鉱山を作り、大儲けしていた事が分かり、大同機械側は快適大同鉱山の設立案に難色を示し、神太朗は、この山脈の残りの盆地をカミカミが高く買い、大同機械の創業者一族のご先祖様が作った城跡を公園として残すなどの条件を付け、快適大同鉱山はアフリカ快適が筆頭株主とし、香奈オフィスは大同機械と同じ出資比率に減らすなどの条件を付けるなどの苦労もした。
敷地内の前の広大な工場跡地は、シブトラスト不動産グループは、治部東京不動産を仲介させて買収して、大きな工場跡地の倉庫は、ジブトラストが買い取っていた。そうすると湧き水が盛んに出て、大きな池と小さな池を作り、小さい池の周りにパワースターを栽培し、その下にエンジェルスターも栽培して池の雰囲気を作った。大きな池は、人工海水の池にした。普通の池にすると勿体ないので、快適農園とイチコプロダクツの実験養殖場とした。処理加工場付きの小さな実験牧場も作り、肉牛の飼育をした。香奈のハイテク工場群の小さい流通倉庫も作った。
恵「敷地も広くなったね。敷地の前の大きい池には、何故大きな鯛がいるの。海にいるものでしょう。」
香奈「海のような条件にして、養殖の研究をしているのよ。波も起こすらしいよ。湧き水だけの小さい池では大きな鯉がいるでしょう。快適とイチコプロダクツは養殖場もしているから、研究していると言ってたわ。鯛は、レストランでは料理にもしているのよ。鯛の活け作りを配達しても貰ったら、チャもココも喜んでいたよ。あんな嬉しそうな顔は初めてだよ。」
恵「猫には勿体ないわよ。由香さんも、美味しいと言っていたわ。でも私は、お肉がいいわ。ステーキは、美味しかったわ。」
香奈「私も食べたわ。美味しいかったね。あれも実験牧場で肉質改善した牛肉らしい。聖子ちゃんがお肉好きだから無理矢理小さい牧場も作ったの。ここの牛肉が一番美味しいらしいわ。」
恵「もう敷地といっても広いね。敷地内を全部歩くのも大変になったよ。洋治さんでも池の手前までしかランニングしないと言っていたわ。ホールもゲストハウスも立て直すらしいね。大きなマンションにするらしいね。」
香奈「ひ孫たちも結婚するような年になったからね。ホテルも造ったし、会議場も増設したから、ホールもゲストハウスもいらなくなったの。聖子ちゃんが、ホテル代も高いといって、快適農園は宿舎も作ったのよ。」
恵「ひ孫が結婚するような年まで生きるとは、思わなかったよ。それにしても香奈さんは若いね。瑠璃さんどころか奈津実ちゃんとも姉妹でも通るよ。」
香奈「有希さんが一番若く見えるらしいよ。尚子ちゃんの妹と云われたと言って喜んでいたよ。」
恵「孫よりも若く見えるのも凄いね。」
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