忙しいほうがいい。でも本当は・・・

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考えてしまいます。
だから忙しいほうがいい。

でも、本当は・・・

消費増税の向こう側に・・・~実質賃金と名目賃金~

2014-12-29 15:50:43 | のんき的経済問題

消費増税の向こう側に・・・ ~アベノミクスを検証する~に引き続き、ケインズ政策V.S.マネタリズム・・・書こうとしていたんですが、どうにも難しい・・・
どこに焦点を当てればよいのか、むっちゃ迷ってしまい、まだまとめ切っておりませぬ・・・ いつか必ず完成させます・・・
<「マネタリズム」に関しては、新規ブログにて説明いたしております>


ってことで、今回はちょいと別の視点からアベノミクスを検証してみたいと思います。


ネタ的にはちょいとタイムリーではなくなりつつあるかなと思っているのですが、今回のテーマは「実質賃金と名目賃金」。

「賃金」っていうと、ニュースでこんな感じのニュースをよく見かけるのではないでしょうか。
労働者の実質賃金、1年4カ月連続減 10月の勤労統計
<以下引用>
 10月の毎月勤労統計調査(速報)によると、パートを含む労働者1人が受けとった現金給与総額(基本給や残業代、ボーナスなどの合計)は、前年の同じ月より0・5%多い平均26万7935円だった。8カ月連続で改善したが、賃金から物価の伸びを差し引いた実質賃金指数は2・8%減り、昨年7月以来、1年4カ月続けて減少した。

 厚生労働省が2日発表した。4月の消費税率8%への引き上げや円安による輸入物価の上昇もあって、賃金の伸びが物価上昇のペースに追いついていない。実質賃金指数は7月、夏の賞与が増えて減少幅が1%台に縮んだが、8月以降は3%前後のマイナスで推移している。(朝日新聞デジタルより)

<引用終り>

冒頭にあるように、『「パートを含む労働者1人が受けとった現金給与総額」は8か月連続で改善』した、と、「現金給与(賃金)は上昇した」書いてあるのに、なぜかタイトルは『労働者の実質賃金、1年4カ月連続減』と「労働者の賃金は減少した」となっているのです。

ニュース的に、とても矛盾したように感じるわけですが、これは「名目賃金」「実質賃金」の違いに原因があります。


ってことで、今回検証しようと考えたのはこの「名目賃金」と「実質賃金」。

では、次にこちらのニュースをば。
11月現金給与が9カ月ぶり減、基調判断「緩やかに増加」維持=厚労省

こちらはロイターさんのニュース。 先ほどのニュースは10月の賃金に関するニュース。
こちらは11月のニュースです。「9か月ぶりに現金給与(名目賃金)が下落しましたよ」というニュースです。

<以下引用>
[東京 26日 ロイター] - 厚生労働省が26日発表した毎月勤労統計調査(速報)によると、11月の現金給与総額(事業所規模5人以上)は前年比1.5%減の27万2726円となり、9カ月ぶりに減少した。

減少は特別給与が特殊要因で大幅に減少したことが響いたためで、厚労省筋は「所定内給与は順調に推移しており、賃金は緩やかな増加にあるとの基調判断に変化はない」としている。

また、物価の変動を考慮した実質賃金は前年比4.3%減と17カ月連続でマイナスとなった。これは2009年12月(4.3%減)以来の大幅な減少率。賃金上昇が物価上昇に追いつかず低迷している。


<引用終り>

9か月ぶりに下落した、ということは今まで8か月間は継続して上昇していたわけですが、上昇している間は控えめにしか報道していなかった情報を、下落に転じた瞬間にタイトルにピックアップする・・・という、マスコミお得意の「報道しない自由」と「切り取り報道」のコンビネーションです。・・・という話はさておき。

なぜこの記事を引用したかというと、ここで「名目賃金が下落した」と書いているわけですが、本当に下落したの? という疑問が存在するからです。

この話、とあるサイトで議論をしていて、とてもわかりやすい事例を思いついたので、この事例を備忘録的に記録して、同時にご紹介しておこうというのが今回の記事の目的だったりします。

ちなみに、当然みたいな話ですが、改めておさらいがてらご説明しますと、賃金とは、

「賃金=(ある一定期間で労働者が受け取った賃金の総額)÷(賃金を受け取った労働者の数の合計数)」

という式で表されます。この賃金のことを「名目賃金」といいます。

ではでは、「実質賃金」とは何か・・・と申しますと、

「実質賃金=名目賃金÷物価上昇率」 

よくわかんないよね 


ってことで、この関係を、「100人の国」の事例を使ってちょいと説明してみたいと思います。

<100人の村と名目賃金と実質賃金>

とあるところのに、人口が100人しかいない国がありました。

この国の正規労働者の数は40人あとはみんな無職でした。
正規労働者の賃金は全員1か月あたり25万円です。

40人の正規労働者が、毎月25万円稼ぎますので、この国では1か月あたり合計1000万円の賃金を稼ぎ出します。
この国の住民は、1か月あたりの賃金を、1か月で全額消費しますので、1か月あたりの物価は1000万円。これを100人の国民一人当たりに換算しますと、国民一人当たりの物価は10万円になります。

今月は12月
この月もこの国では、40人の正規労働者総額1000万円の賃金を稼ぎました。

労働者の数は40名ですので、一人当たりの賃金は1000万円÷40=25万円です。

この25万円が名目賃金です。

ところがその翌月1月。突然人手が足りなくなり、正規労働者が10人増え、さらに非正規労働者の数が20名増えました。

正規労働者の賃金は一律で25万円
非正規労働者の賃金は一律で5万円で です。

正規労働者の数は合計で50名
非正規労働者の数は合計で20名 に増加しました。

50名の正規労働者が1か月に稼ぐ賃金は総額1250万円 です。
20名の非正規労働者が1か月に稼ぐ賃金は総額100万円 です。

労働者全員が1か月に稼ぐ賃金は総額1350万円 です。

この月もやはり賃金は全額消費に回されますので、この月の物価は1350万円。100人の国民一人当たりの物価に換算しますと、国民一人当たりの物価は13.5万円 になります。

1月の賃金の総額は1350万円
労働者の数は合計で70名 になりますので、1月の賃金は1350万円÷70名で一人当たり19.3万円 になります。

つまり、1月の名目賃金は19.3万円 となります。

「え?・・・・

おっと久しぶりに現れましたな、ひよこさん。

「いや・・・だって・・・

そう。一つの国の労働者の数は、正規・非正規合わせて増加し、同じ人口で稼ぐ収入は35%も増加したにも関わらず、労働者一人当たりの名目賃金は減少してしまったのです。

どうしてこんな現象が起きたのでしょう。非正規労働者の増えた数が多いから?


































いいえ。違います。ここには「無職者」の数値が全く考慮されていないからです。
今まで収入がゼロであった人が、非正規労働者になることによって、5万円の収入を手にするようになっているのに、この数値が上記ケースには全く反映されていないのです。

これは、何もこの100人の国に限ったことではありません。この日本という国でも、同じ計算式が用いられているのです。

また、この国では12月から1月にかけて、国民の賃金が増えたことで、「物価」が35%上昇しています。

たとえば、1000円で買えた米が、1350円に値上がりした・・・ということですから、同じ賃金でも購入できるコメの数が少なくなってしまいますね。

米が1350円に値上がりしたときに消費できる賃金は1350円ですが、これを米の金額が1000円であった時の物価に置き換えると、1350÷135%で、1000円。1月の1350円の価値を12月の水準に置き換えると、1000円でしかないことになります。

この賃金の考え方を「実質賃金」と呼びます。


100人の国で、1月の国民一人当たりの名目賃金は19.3万円。12月から1月にかけて物価が35%上昇していますから、1月の実質賃金は19.3万円÷135%=14.3万円 となります。

12月に物価の変動はありませんから 12月の実質賃金は25万円 になります。

整理しますと、この国では、

12月 名目賃金 25万円  実質賃金 25万円
1月 名目賃金 19.3万円  実質賃金14.3万円


となります。

「なんか・・・おかしくない? 

おかしいかもしれませんが、これが現実です。
ですが、実は実質賃金の中にもおかしい部分が1か所あります。


それは、ここ。

『この国では12月から1月にかけて、国民の賃金が増えたことで、「物価」が35%上昇しています。

たとえば、1000円で買えた米が、1350円に値上がりした・・・ということですから、同じ賃金でも購入できるコメの数が少なくなってしまいますね。』


さて。どこがおかしいのでしょう。
































わかりましたでしょうか。

答えは、「物価=価格(物の値段)」ではない、ということです。


物価とは、即ち国民が消費できる資金の総額のこと。
物価が1.35倍になったからと言って、必ずしも物の値段まで1.35倍になるわけではない、問うことです。

上記のコメの例でいえば、物価が1.35倍になったことで、コメの値段が1000円から1350円になるわけではなく、物価が上昇することで、1000円のコメ以外にも350円分別のものが購入できるようになった・・・ということなのです。


物価が上昇したことと輸入品の価格が上がったことをリンクさせて、あたかも国民の可処分所得が減少したかのように煽る報道が目立ちますが、上記の例からも、そんなことは決してないことが想像できるでしょう。

物価が上昇すれば上昇した分(つまり、国全体の可処分所得が増えれば増えた分)、実質賃金は減少することになります。これを防ぐためには、名目賃金。つまり国民一人当たりの賃金の上限を上げるしかないのですが(100人の村の例でいえば、正社員一人当たりの賃金を25万円から30万円に上昇させるなど)、就労につく無職者の数が増えれば、どうしても名目賃金の上昇にブレーキをかけてしまいます。


ってことで、改めてこちらのニュース。

11月現金給与が9カ月ぶり減、基調判断「緩やかに増加」維持=厚労省

このロイターのニュースを見て、皆さんはどう感じるでしょうか。
マスコミも、実際ここまで考えたことがないんだと思います。

ぜひ、このようなマスコミのいい加減さに振り回される、正確に情報を判断する視点を持っていただきたいものです。



日本の未来は明るい!!


 
 
 




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