傍観者の独り言

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EV充電規格も苦境に直面・・・先行逃げ切り指向では勝てない(所感)(追記)

2013-01-21 11:14:39 | ビジネス

「日々坦々」資料ブログ様のエントリー『国際規格化劣勢続く日本 EV充電規格もピンチ 「技術力で圧倒」難しく (東京新聞』で、東京新聞「こちら特報部」(1月20日)の記事『国際規格化劣勢続く日本 EV充電規格もピンチ 「技術力で圧倒」難しく』紹介し、日本規格案が国際規格化で苦境に直面と書いています。
日本の先行逃げ切り指向は、グローバルの世界での勝負では通用しないのです。

安倍政府が2012年度補正予算案に、EV用急速充電器の整備事業で総額1000億円で、高速道路のサービスエリア(SA)や、幹線道路沿いの商業施設などに急速充電器を設置する際、費用の一部を負担する。急速充電器は現行の約1400カ所から約3万5000カ所に増やすのが目標と報道あり。
安倍政府は、成長戦略の一環に、EV普及の環境整備にEV用急速充電器設置に補正予算化するが、東京新聞は日本充電規格案は国際規格化で劣勢と報道しています。

東京新聞の記事『国際規格化劣勢続く日本 EV充電規格もピンチ 「技術力で圧倒」難しく』を転載すると、

”「ものづくり立国ニッポンが、製品の国際規格化をめぐり外国勢に苦戦している。電気自動車(EV)の急速充電器でも攻勢にさらされる。自国で開発した製品づくりのルールを他国に受け入れさせなければ、世界市場で主導権を握ることは難しい。政治力や交渉力、製品の魅力を高める企画力を磨く努力にも迫られている。 (林啓太)

 「区では電気自動車の普及のため、急速充電器を誰でも無料で使えるサービスを行っている。故障もなく、さすがは日本の技術。でも、欧米の規格がもっと便利ならどうなるか…」。東京・千代田区役所の地下駐車場。電気自動車に挿入して急速充電できるプラグ「CHAdeMO(チャデモ)」が使われている充電器を前に、区の担当者が話した。

 チャデモは、トヨタ自動車や東京電力などが中心となって開発した。充電器は、ガソリン車のガソリンスタンドにあたり、その数を増やすことが、電気自動車を普及させるカギともなる。

 担当者の言う「欧米の規格」とは、米独の自動車メーカー八社が推す方式「コンボ」。昨年五月に公表されたばかりで実用化されていないが、米自動車技術者協会(SAEインターナショナル)が十月、コンボ方式の採用を決め、米国内の急速充電器の規格となることは確実とみられている。
 「チャデモは日本勢が世界に先駆けて開発した急速充電の規格だ」。チャデモ協議会の丸田理(おさむ)氏は話す。

 二〇一〇年に供用が始まり、一般家庭でできる普通充電で七~八時間かかる充電が三十分程度に短縮された。昨年末までに国内で約千四百カ所、海外で約五百カ所に設置され、世界中で普及が進んでいる。
 これに対し、後発のコンボは一つのプラグで普通充電と急速充電の両方ができる。普通と急速でプラグが分かれるチャデモよりも便利だ。充電の早さでも劣らない。
 米独勢はなぜチャデモを採用しなかったのか。

 丸田氏は「米独勢が日本の電気自動車の普及に危機感を抱いているから」と説明する。
 「日本勢は電気自動車の開発で先行し、チャデモで充電できる車で欧米市場に食い込みつつある。これを押し戻すためにも、日本勢の規格を受け入れることはできないのだろう」
 立ちはだかるのはコンボだけではない。世界有数の電気自動車市場になると見込まれる中国も独自の急速充電の規格を開発。米独メーカーの一部は、中国に互いの規格の統一を働き掛けているという。

 財団法人「日本規格協会」(東京)の技術顧問でソニーOBの原田節雄氏は「米国がコンボにしたいと言っているだけで日本勢に挽回のチャンスはあるが、今までのやり方では負ける」としたうえで「チャデモの独自技術をそっくり中国勢に渡し、中国発の国際規格にさせればいい」と提案し、その理由を語る。

 「中国に自国発の技術を世界に広げる名誉を渡し、日本勢はチャデモの規格に合った自社の電気自動車で世界市場を握る、という実を取る。規格が日本発ということにばかりこだわるのは、うまいやり方ではない」
 日本勢は近年、製品の国際規格づくりで苦杯をなめ続けている。

 例えば携帯電話。日本メーカーは世界市場に本格的に進出できなかった。「おサイフケータイ」など高度に「進化」した製品を出したものの、世界では受け入れられず、絶海の孤島に閉じ込められた「ガラパゴス携帯」とやゆされた。

 パソコンでも世界市場からはじかれた。日本語の表示や入力をしやすくする機能を組み込んだ独自の技術にこだわったためとされる。電車の定期券でおなじみの「Suica(スイカ)」などに使われる近距離無線通信「FeliCa(フェリカ)」はソニーが開発したものの、外国勢が出した別の規格と競り合って普及が進まない。

 こうした様相は、一九七〇年代以降のビデオの規格争いの時代とは大きく異なる。当時、しのぎを削ったのは、VHSを擁する日本ビクターと、ベータマックスを推すソニーの日本勢同士。勝者のVHSが国際規格となり、外国勢が規格争いに加わる余地はなかった。
 圧倒的な技術力を背景に、製品の国際規格づくりで他国の追随を許さず世界市場を制覇する-。携帯電話やパソコンでの挫折は、そんな日本勢の「勝利の方程式」が過去のものになりつつあることを物語っている。

 「技術が良いから国際規格になるという神話が崩壊した」。NPO法人「産学連携推進機構」(東京)の妹尾(せのお)堅一郎理事長は言い切る。
 製造工程でコンピューター制御の作業が増えるなど「デジタル化」が進み、日本勢の得意とする職人の技能を生かして他国製品との違いを打ち出すのが難しくなったことが背景にある。

 東京大大学院ものづくり経営研究センターの小川紘一特任研究員は「液晶テレビやDVDプレーヤーは、日本勢が規格づくりでも技術開発でも先行したが、韓国や台湾のメーカーにすぐ追いつかれた。アナログ技術の時代のやり方から脱皮できていない」と指摘する。

 技術力だけでしのぐことが難しくなった今、日本勢に挽回の余地はあるのか。前出の原田氏はフェリカの国際規格化に携わった経験を踏まえ、「国際規格をめぐり優位に立つことは、世界市場で争う前提として重要。それには、日本の規格を他国に受け入れさせる交渉力や政治力を持つことが不可欠だ」と続ける。

 「日本勢の製品の国際規格化を後押しすべき経済産業省は、米国の意向に逆らわない傾向がある。本当に勝つ気があるのなら、官民を挙げて、米国などものともしない『強い交渉者』にならなければならない」
 妹尾氏は「自社で製品規格を世界に先駆けてつくり、製造は外注する企業が成功する事例も出てきた」と語る。

 スマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット(板状の携帯情報端末)などの「形」を世界で初めて生み出した米国のアップルは、自社で大規模な工場を持たない。技術力の優れた日本や韓国、台湾のメーカーを競わせ、部品や完成品を安く納入させて、莫大(ばくだい)な利益を得ている。

 さらに、音楽配信など独自のサービスを組み合わせることで自社製品の魅力を高め、世界の利用者に支持されている。アップルは企画力や世界戦略に長(た)けている。

 妹尾氏はものづくり立国の先行きを危ぶむ。「日本勢はこの期に及んで『技術が強いから大丈夫』と気休めを言うのはやめるべきだ。アップルというお釈迦(しゃか)さまの手のひらで暴れる孫悟空のままでは先がありません
」」”

と報道しています。

当方は、本ブログ「電気自動車の充電方式標準化の争い!・・・立ち止まったら」(2012-03-02)で、

”「「ダイヤモンド・オンライン」の掲載の桃田健史氏の『電気自動車の充電方式標準化で世界大戦争勃発! 牙をむく欧米メーカーvs迎え撃つ日産・三菱連合軍 トヨタは援護射撃するのか、しないのか』を一読し、日本発の電気自動車向け急速充電の規格「チャデモ(CHA de MO)」は国際標準競争に勝てるか不安と同時に、この既成路線で良いのかという素朴な疑問を持ちました。」”

と、現行の日本案での先行逃げ切り指向に危惧していました。

東京新聞の記事にも登場する財団法人「日本規格協会」(東京)の技術顧問でソニーOBの原田節雄氏については、本ブログでも原田氏の意見を取り上げ同感と思いました。
自動車団体は、EV普及の障害に急速充電の環境整備とし、経済産業省に働きかけ補正予算化させたと推察できるが、先行した技術に固執するとで大魚を取り逃がすことがありますね。
EV充電規格は、絶対的な技術優位性もなく、一度、グローバル観点で見直しすることが賢明でしょうね。

「追記」

真野 浩氏のコラム『技術立国と言える日は、再び来るのか?真野 浩』を一読すれば、IT分野での標準化における日本の取り組み環境は、一昔と何ら変わっておらず、逆に新興勢力の台頭で影響力が減退しており、政府のいう成長戦略は現場から遊離したアドバルーンとしか思えないですね。




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