傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

「中国の新幹線、世界最高の時速486キロ」報道・・・日本の技術立国には何が不足か?

2010-12-05 05:17:28 | 国家の計

朝日新聞の3日の記事『中国の新幹線、時速486キロを記録 営業用の世界最高』に接して、日本の将来不安を感じますね。
小惑星探査機「はやぶさ」の成功、ノーベル賞の受賞らで日本の技術力が話題になっていますが、日本が目指す技術立国には、何が不足しているのか?複雑な心境になります。

朝日新聞の報道『中国の新幹線、時速486キロを記録 営業用の世界最高』では、

”「中国鉄道省が北京―上海間で建設している新幹線で3日、試験走行があり、鉄輪式の営業用車両としては、世界最高速度の時速486.1キロを記録した。中国中央テレビなどが伝えた。

 この路線は来年、営業開始の予定で、北京市と上海市を最短4時間で結ぶ。最高速度を記録したのは国産の新型車両CRH380A。JR東日本の東北新幹線「はやて」などで使われるE2系の技術を基礎に、独自開発したとされる。

 日本国内の営業用車両の試験での最高速度は、2003年に上越新幹線でE2系が記録した362キロ。鉄輪式の実験用列車の世界最高記録は仏TGVの574.8キロ。
」”

と報道しています。

中国の新幹線の技術については、11月22日、産経新聞が記事『新たな日中摩擦 鉄道技術“盗用”の中国が各国に売り込み攻勢 』で、日本側から「約束違反」との抗議が起き、新たな日中摩擦となりつつあると報道していました。転載すると、

”「中国の国有企業が日本の高速鉄道技術を基礎に日本製より速度の高い高速列車を作り、中国独自の製品として諸外国に売り込もうとしていることについて、日本側から「約束違反」との抗議が起き、新たな日中摩擦となりつつある。米紙ウォールストリート・ジャーナルが18日、報じた。 

同紙は「(各国の)列車製造者たちは中国の高速のデザインに非難の声を高めている」との見出しの記事を掲載。その中で、日本の川崎重工業やドイツのシーメンス、カナダのボンバルディアなど鉄道建設各社がここ数年、中国に高速鉄道の列車や技術を売り込んできたものの、中国企業が外国製より速い列車を開発して米国やサウジアラビア、ブラジルなどに売り込もうとし、外国企業が不満を高めている、と指摘した。

 青島に拠点をおく中国の国有企業「中国南車」(CSR)は最高時速約380キロの列車「CRH380A」を完成させ、開発は中国独自の技術の結果だと主張。ただ、CSRは2004年に川崎重工と契約を結び、新幹線の「はやて」9両編成分を輸入、中国領内で日本の技術を利用して計51両を製造した。川崎重工は中国側の「独自技術を開発した」との主張には明確に異論を唱えているという

中国の国有鉄道関連企業は高速鉄道の売り込みを国際的に広げ、ベネズエラやトルコでのプロジェクトに参入し、日本企業の強力な競争相手となっているが、川崎重工は、中国に提供した技術は中国国内だけで使うとの約束があったと主張しているという。

 同記事は一方、日本や欧州企業には中国が高速鉄道でも知的所有権を違法に取得したとの見方が多いとし、中国側の今回の出方を予測して、新幹線の対中輸出を拒んだJR東海の葛西敬之会長が「中国はすべての技術を無料で移転しようとした」と話したことを“先見の明”があったと指摘している。
」”

と報道していました。

中国の新幹線の国策に関しては、9月30日、「JB-Press」がFinancial Timesの記事『高速鉄道網の開発を急ぐ中国に死角はないか』で、中国は、巨大な国内市場の魅力を使って先行技術をキャッチアップできる国だと報じていました。
中国が海外先行メーカーの想像の域を超え、新幹線技術を習得できたのは、”「国内企業が一致団結した「中国軍断」として動くようにした共産党指導部の決断」”にあるとしています。
記事では、過去10年内に取得または開発された技術ばかりで、海外で提訴される危険性や信頼性には不安と書いていますが、敗北側の弁明ですね。

日本は、技術立国が宿命といわれているが、「JB-press」が記事『アジアの技術革新:日中逆転』で、”「アジアのハイテク産業における日本の優位性は近隣諸国に侵食されてき、日本での出願件数は減る一方、中国が出願件数を大きく伸ばしている」”と報じています。

一方、菅首相は、TPP開国が日本再生の活性剤と掲げているが、TPPは完全自由化であり、農業問題だけが問題視されているが、中国の新幹線の世界最高速の報道に接して、技術立国として土壌が整備されていないのではないかと不安になります。

「JB-press」が推奨している東京大学の妹尾堅一郎・特任教授のインタビュー記事『イノベーションには有能な軍師が必要だインテルと日本の電機メーカーの格差はなぜ生じたのか』、『江戸時代の糖尿病治療になっていないか?軍師を仕立て三位一体の戦略を』を読めば、日本の企業が事業戦略を失敗して来ていることを痛感します。

妹尾堅一郎・特任教授は、”「戦略性がないために、現時点でいくら技術力があっても日本の将来は真っ暗だ」”とし、

”「現在のイノベーションにとって重要なのは、研究開発だけが主役ではないということです。拡散させる仕掛け、つまり練りに練った戦略的な経営が必要になるのです。既にこの時代に入って時間が経過していますが、日本の大企業の経営者の方々にそのような発想があるのか、私は疑問に思っています。

 このシカケを考える場合、とりわけ大切になってくるのが国際性です。ディフュージョンは日本の国内だけでは意味がありませんから。先進各国、そしてBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)、NIES(新興工業経済地域)に対してどのような戦略を取るかが重要になってきます。
」”

と語っています。

そして、”「日本は科学技術大国だが技術立国ではない」”と問題提起し、

”「日本は科学技術大国であることは間違いがありません。しかし、科学技術立国になっているのかと言えば、明らかにノーです。立国できる政策がまだまだ不十分で、かつ旧式なものが多いからです。

 実はそのために変な現象が起きています。科学技術で勝てないから、科学技術にさらに力を入れましょうとだけしがちになってしまうという点です。でも本当なのでしょうか。それだけではなく、科学技術大国を立国化するために、ビジネスモデルと標準化を含めた知財マネジメントを促進する政策を打つべきなのです。
」”

と、技術立国には、”「ビジネスモデルと標準化を含めた知財マネジメントを促進する政策」”が必要と述べております。

そして、”「技術、知財、事業の三位一体によるイノベーション」が不可欠とし、

”「私は三位一体(技術、知財、事業)のモデルが必要だと思います。研究機関と知的財産を扱うところ、そして事業戦略が三位一体になってイノベーションを起こす戦略を練らなければなりません。研究機関は今まで日本が得意だった改善による進化ではなく、全く新しい急所技術の開発。

 そして知財のところは標準化してオープンにするか、外には一切出さないか、それらをしっかりと使い分けるしたたかな戦略が求められます。また事業のところでは、どのようにディフュージョンを起こすのか事業拡大と収益拡大とが同時にできるようなビジネスモデルの開発をしなければなりません。

 この3つをばらばらにやっても意味がなく、お互いが協調し合いながら最も効率的にイノベーションが起こる仕掛けを考える。その役目が、前にも言った軍師だと思います。この軍師に求められるのは非常に高い世界観と、もちろん技術を読み解く目が必要です。また、それにも増して交渉力というものが求められるのです。日本人が一番弱いところかもしれません。
」”

と、日本は苦境にいるのに、危機感が希薄と警鐘しています。

当方は、老人性骨粗鬆症を患っている「老化体質」「自閉気質」の日本の再生には、新たな「国家の計」が不可欠であると痛感しています。
菅政府が予算編成に「政策コンテスト」を掲げたのは愚策としか思えないですね。
国民からのパブリックコメントで政策をランク付けなど、国民向け人気取りの話題性を狙った最悪の手法であり、政府は、与えられたリソースを如何に国民の利益にかなうかを立案し、決断するのが国家の責務で、国家戦略局が機能不全の証にすぎないですね。
「事業仕分け」は全面否定しないが、新規事業創造にはマイナス部分があると思っています。

硬直化した日本の再生には、「破壊と創造」が不可避であり、大手数社で、現在は円熟した国内市場での競争を、海外でも同様な競争しているのに過ぎず、振興国が国策で科学技術に注力しているのに、既存勢力を温存しながら世界で競争など勝てないのです。
菅首相は、ベトナムの原子力発電所の建設受注を政府の成果と広言していますが、電力会社が共同会社設立し取り組みしたのに過ぎず、事業改革が遅れていたのです。

当方は、妹尾堅一郎・特任教授の「技術、知財、事業の三位一体によるイノベーション」が日本再生のキーワードとみており、既存企業より、異才、異端児が日本再生のキーマンになると思っておりますね。
本ブログ『「TBS「夢の扉」:日本の底力を再認識・・・日本再生は、やはり「人」』で、

”「「日本再生には、強い人材」が先決と書き、本ブログ「日本の再生は、異才の人物に賭けるしかない(雑感)」で、常識人ではなく、異才に、日本を委ねたいと、ソフトバンクの孫正義氏、異色な事業家の原丈人氏、レアメタル・ビジネスの中村繁夫社長など先鋭的な感覚の人物に期待していると書きましたが、出雲 充氏にも日本社会の再生に期待したいですね。
老人性骨粗鬆症に陥った日本社会は、過去の延長線上の常識的な固定観念では再生などできず、異色・異端の人間に、委ねたいですね。
」”

と書きましたが、成功者、常識人でなく、異色・異端の人間に日本再生を賭けたいという思いですね。
「JB-press」の記事『中国はガラパゴスで、日本がイースター島 世界第2位、3位の経済大国が向かう哀れな結末』ではないが、日本の末路がイースター島になるのだけは回避したいですので。

「参考」

① リニアモーターカー『エアロトレイン』について

10月10日放送されたTBSの「夢の扉」の『環境問題も考えた新しい交通システムを作り上げたい』で紹介された『エアロトレイン』は、ボディ両脇に付いたプロペラで加速し地上すれすれ10㎝の空中を浮上、超高速で走行する『空飛ぶ新幹線』と呼べるもので、消費電力は新幹線の3分の1以下で、しかもリニアモーターカー並の時速500㎞で走行できる夢の列車です。






1 コメント

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Unknown (Unknown)
2010-12-05 17:16:43
 間違いなく大事故がおきる。もしかしたら日本のせいにする可能性がある。
大切なことは安全に持続的に運航すること。シナ人の感覚では理解できないでしょう。
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