傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

TPP参加問題:交渉次第で国益に?(雑感)

2013-02-28 08:19:34 | 国家の計

安倍政府は、日米首脳会談でTPPは関税撤廃の例外を容認する方針を確認でき、自民党の衆院選での公約「聖域なき関税撤廃を前提にする限りTPP交渉参加に反対」に準拠しているとし、安倍首相に交渉参加判断を一任でTPP参加は決定的ですね。
TPPは貿易自由化による経済分野の損得だけでなく、日本社会の将来方向性を左右する要因でもあるが、国益になるかどうかは交渉次第ということですね?
要は、日米同盟・安全保障が絶対前提での交渉次第ということですか?

TPPは、2006年5月、シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国で発効した環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)が、2010年3月から拡大交渉会合が始まり、アメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルーが交渉に参加し、拡大交渉中の協定は 環太平洋パートナーシップ協定 (Trans-Pacific Partnership, TPP) と表現されるようになる。
当初は、加盟国間で、域外に対する競争力を強化するために、自由競争の妨げとなる関税や非関税障壁を撤廃し、経済的な国境をなくすことが主題であったが、2008年のリーマン・ショックで深刻な不況に陥ったアメリカは、2010年1月、オバマ大統領が5年間で海外輸出を二倍に増やすとする輸出倍増計画を立ち上げ、TPPで実現を目指すことになる。
拡大交渉中の協定は、北米自由貿易協定 (NAFTA) 同様の投資家対国家の紛争解決 (ISDS) 条項をも盛り込む動きになる。
要は、TPPは、アメリカにとってはアジアにおける商圏の確保ですね。

自民党の先の衆院選で、TPP交渉参加の判断基準
(1)政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
(2)自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
(3)国民皆保険制度を守る。
(4)食の安全安心の基準を守る。
(5)国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
(6)政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。
を公約しておりました。

そして、安倍首相とオバマ大統領との会談については、外務省HPの「日米首脳会談(概要)」では、

”「(ア)安倍総理より,日米が協力して,アジア太平洋における貿易・投資に関する高い水準のルール・秩序を作っていくことの意義は大きい,一方,TPP交渉に関しては,先の衆院選では,「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り,TPP交渉参加に反対する」という公約を掲げ,また,自民党はそれ以外にも5つの判断基準を示し,政権復帰を果たした等の状況を説明した。
(イ)その上で,安倍総理から,
1)日本には一定の農産品,米国には一定の工業製品というように,両国ともに二国間貿易上のセンシティビティが存在すること,
2)最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであること,
3)TPP交渉参加に際し,一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することは求められないこと,
の三点について述べ,これらについてオバマ大統領との間で明示的に確認された。
(ウ)こうした点を含め,両首脳間でじっくりと議論が行われ,その結果,日米の共同声明(仮訳(PDF)/英文(PDF)))にある事項について首脳間で認識が一致した
。」”

と公開しています。
政治、外交に疎い当方には、外務省HPの内容が難解で、消化不良であるが、聖域は交渉結果次第で、自民党の交渉参加の判断基準の公約事項も交渉結果次第と理解しますね。
要は、日本の懸念事項は交渉参加時に約束できず、交渉次第ということとですね。

交渉次第であれば、早期交渉参加を促す意見に、渡邊頼純 (慶應義塾大学総合政策学部教授)が「WEDGE3月号」に寄稿の『TPP早期交渉参加がもたらす これだけのメリット 「聖域」は交渉で勝ち取るもの』で、

”「GATTでは「後続」だった日本が、WTOで「原加盟国」となり、ルール策定に積極的に参加したことが日本の断固たる態度に繋がっている。
 TPP交渉も同様である。交渉にできるだけ早い段階から参加して、日本の考え方を協定に盛り込み、協定の発効時から「原加盟国」とならなければGATTの時と同じ「苦労」をすることになる。日本は一刻も早くTPP「交渉参加」を宣言すべきだ
。」”

と記述しています。

問題は、日本の交渉力ですね。
本ブログ「TPP参加問題:沖縄返還の密使の岩泉敬氏を連想する。・・・性急な結論は禍根を残す」(2011-10-27)で、沖縄返還の密使の岩泉敬氏は、沖縄返還後、

”「アメリカの思惑を知り、沖縄基地の固定化を見て、

”「岩泉敬氏は、自分も外務省の誰も、アメリカの深謀なる画策を何ら留意しなかったとし、密約の自責の念が起き、密約の存在を暴露した『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』を発刊し、国会で話題になると期待したが、外務省は密約の存在を否定し、国会にも呼ばれず、沖縄基地問題は本土の人間には他人事であることに心痛な思いになり、服毒自殺を図る。」”

と、岩泉敬氏は、沖縄返還に精一杯の努力したが、アメリカの策略の土俵での努力だったと書きました。

TPP参加問題は、沖縄基地問題、日米安保問題と同質ではないかと連想します。
日本政府は、アメリカとの日米同盟関係の堅持が国益の根幹という固定観念があり、TPPは、途中からアメリカが主導し、日本に参加の要請(圧力?、日本側からの甘受姿勢?)があり、日本は、日米同盟堅持・深化が絶対的であり、参加ありきでプラス・マイナスを喧騒しているのに過ぎないのです。

農業関係者にとっては、農業破壊につながると反対するだろうし、産業界は関税撤廃の貿易自由化は競争力UPとなり賛成するであろうし、有識者は、アジアは日本再生のエンジンで参加は不可欠とし、各論は立場立場での常識論の範疇の意見ですね。
要は、TPP問題の根源は、アメリカ追随の日米同盟堅持するかどうかの覚悟の問題です。
傍観者にいわせれば、アメリカと対等な交渉でなく、ご機嫌を伺いながら折衝しているとしか見えないですね
。」”

と、当方は、日本の外交折衝力に懐疑的であり、渡邊頼純教授のいう”「日本は一刻も早くTPP「交渉参加」を宣言すべき」”ほど、TPPは経済分野の損得や、農業の問題の限定的な問題でなく、日本社会は今後もアメリカ追随が国益かどうかが問われていると思っており、外交交渉力(テクニック)は必須であるが、日本社会の将来像が問われていると思っています。

また、本ブログ「TPP参加問題:佐藤ゆかり議員の質疑は正鵠を射る!・・・最適解は?」(2011-11-12)で、佐藤ゆかり議員が当時の野田首相への「TPPの集中審議」の佐藤ゆかり議員の質疑は、TPPは通商問題の範疇ではなく、社会ルールを大きく影響する問題であり、TPP参加が最適解かを問う質疑は触発されました。

日本社会は、日米安保で安全保障が担保でき、アメリカ追随で、早期復興できたことは事実であり、日米同盟堅持は現実解であることは否定しないが、TPPは、環太平洋地域の囲い込みが主題で、日本は、日米同盟堅持が前提での交渉になり、原加盟国になることが国益になるのか、TPP参加は国論二分する問題として参加是非を検討中とするのが賢明なのか、参加し国益を確保する交渉するのが賢明なのか、日本は我が道を行くと不参加が賢明なのか難しい問題であるのは事実ですね。
ただ言えることは、参加・不参加であろうが、如何なる外的環境変化にも順応できる日本社会の充実は不可避ですね。



コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。