傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

山田 高明氏:石油文明からメタン文明へのシフト・・・日本の救国に

2012-03-08 08:01:04 | 国家の計

山田 高明氏の「アゴラ」に寄稿のコラム『メタン文明「6つのメリット」まとめ――なぜメタン文明シフトが日本を救うのか』を一読し、「石油文明」から「メタン文明」へのシフトが日本エネルギー政策の方向性ではないかと思いましたね。

当方は、再三、「国家の計」について、

”「国民が安心・安全で暮らせる社会は、まずは、第一次産業が国の基幹と思っております。温暖化で環境破壊が進行しても、石油が枯渇するエネルギー問題が深刻化しても、食糧危機が最悪の事態になろうとも、自給自足で最低の生活ができることことが第一で、第二は、社会保障制度の充実での安心さで、その上での自由競争社会という国造りが必要で、人材育成が肝要と思っております。」”

と書き、赤字体質、高齢少子社会の根源的な問題を抱えた日本の再生には、如何なる環境においても、エネルギー、食料の自給自足で最低の生活が出来ることが第一と考えており、エネルギー問題については、関心があり、本ブログ「再生可能エネルギーだけではエネルギー問題は解決できない」で、福島原発事故以来、原発を自然エネルギーで代替が世の潮流ですが、脱原発とエネルギー問題は、次元の違う問題と書き、「メタンハイドレート」を取り上げ、石井 彰氏の「WEDGE Infinity」への寄稿『LNG戦略が日本のエネルギーの鍵を握る』を読み、日本のエネルギー問題は、脱原発を再生可能エネルギーで代替できても主力は火力発電であり、液化天然ガス(LNG)の安定的な確保が主たる問題と認識したと書きました。

山田 高明氏のコラム『メタン文明「6つのメリット」まとめ――なぜメタン文明シフトが日本を救うのか』は、メタン文明のメリットを

第一:資源量が豊富であり、枯渇について当面は心配する必要がない
天然ガスの可採埋蔵量の上昇、メタンハイドレートの存在
第二:エネルギー安保が大きく向上する
LNGの輸入元の限定的でない、日ロ間のパイプライン
第三:エネルギー自給率が大幅にアップする
メタンハイドレートの存在、南関東ガス田、再生可能ガス
第四:大幅な省エネが実現する
自動車のEV化を進め、火力の高効率化に投資(天然ガス及びその利用技術)
自然エネルギー発電で、その天然ガスの代替を進行
第五:エネルギーとして万能性があり、より優れたシステムを構築できる
天然ガスには石油を超える汎用性・融通性・利便性
常温で安定した無毒な気体であり、ガス管のネットワーク化
第六:CO2の排出を大幅に削減することができる

”「日本の場合、現在の技術的・経済的・社会的条件から考えて、脱石油を進めていくと、必然的に天然ガス(主たるはメタン)が一次エネ比でメイン化していくと予測される。
どうやら、石油文明からいきなり「持続可能文明」へと一足飛ぶのは無理らしいのである。エネルギーの永久自給を達成する前に、いったんメタン文明を経由しなければならない宿命のようだ
」”

と考察し、最後に、『なぜメタン文明シフトが日本を救うのか』で、

”「「新石油危機」は、実は石油価格の急騰が始まった2000年代後半からすでに始まっていると見なすのが正しい。しかも、かつての石油危機と根本的に異なるのは、今回の危機には終わりがないという点である。
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日本は通貨が強く、世界最大の債権国であり、かなりの資源権益も確保しているので、しぶとく持ちこたえることができる。ただし、そのせいで人々の危機感が薄く、社会の構造改革も遅れるとしたら、果たしてこれは幸か不幸か。なにしろ今後、数十年というスパンで見た場合、累計で数百兆円に及ぶ国富流出に繋がる可能性が高いのだ。これは少子高齢化や財政問題と相まって、日本を貧困化させる大きな要因の一つと考えられる。
・・・・・・・・・・
日本特有の巨大地震のリスクである。ここ数十年で確率が高いとされているのが関東大震災や、静岡から四国沖までの三連動型地震だが、これらは何十兆円という被害額と考えられる。その際には、日本は対外投資を引き上げることを余儀なくされる。巨額の対外債権といえども、どうしてもこのリスクと相殺される面もある。そうすると、結局、日本が先進国また富裕国に留まるための方法といえば、「イノベーション」以外にないのではないだろうか。つまり、知価創造とカイゼンを止めた時、またそれを下支えする教育・研究開発投資を止めた時、日本の真の没落が始まるに違いない。

そういう意味において、この「メタン文明シフト」は、日本の衰退を食い止め、中興を促すための有効な策ではないかと自負している。なぜなら、「新石油危機の回避」と「イノベーション」の両方の性質を併せ持つ大戦略だからである
。」”

と結んでいます。

浅学の当方には、エネルギー問題に危機意識を持っているが、その解法の答えは持ち合わせていないが、 山田 高明氏のコラム『メタン文明「6つのメリット」まとめ――なぜメタン文明シフトが日本を救うのか』に接して、解の一つの方向性ではないかと思いましたね。
 特に、新石油危機は、身近な問題であり、ガソリン値上がりは実感しますね。

野田首相は、「国家の計」を語らず、消費税増税を不退転の覚悟で取り組むと強調し、消費税増税への手順は踏んでおり、消費税増税は正当性があり、異議を唱えるのは、民主党組織の一員ではないと言う強弁ですね。
(マアー、経理部長主導のリストラを連想しますね。)

野田政府は、脱原発、エネルギー問題も、確たる施策を明示せず、ただ、美辞麗句の言葉だけの問題認識に過ぎず、東電問題も生かす殺さず、政府の影響力を強めるだけが眼中にあり、脱原発、再生可能エネルギー問題は、発送配電分離の電力自由化問題も重要だが、エネルギー源自体がエネルギー問題の根源にあると思いますね。


[付記]

ピークオイル問題が火急的課題

大場 紀章氏が、日経ビジネスに、コラム『「原発はダメ、自然エネ拡大まで天然ガス」では解決しない ピークオイル問題が日本に投げかけるのもの』で、。「ピークオイル」問題が火急的課題と提起しています。

大場 紀章氏によると、

”「「ピークオイル」とは、将来必ずやってくる世界の石油生産の減少のタイミングこそが人類文明の重要な転換期であり、またそのタイミングはそう遠くないとする考え方で、特に、2014年前後に需要が供給をオーバーシュートし、2020年頃には生産減退が始まるという点については、かなり確度が高いだろうと提起し、石油生産の減退は20年、30年先の話ではなく、もう目の前の問題です。」”
と、直面している課題だと。

”「世界を見ても大きな変化が起きると考えられます。産油国は、ますます自国内向けの供給を重視し、輸出の割合を制限しようとします。産油国は、(軍事的)友好関係を結んでいる国に対してのみ、有利な条件で供給するかもしれません。つまり、国家資本主義(国家が政治体制の維持の為に資本主義を利用する)、保護貿易、経済のブロック化への道です。エネルギー資源供給の制約を背景に、世界の資本主義経済は新しいステージに突入するかに見えます。図3で、英国の石油価格「Brent」と米国の石油価格「WTI」が近年分裂し始めていることは、経済ブロック化の予兆かもしれません。
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 現在、「原発はダメで、自然エネルギーの開発には時間がかかるから、天然ガス発電を増やす」という選択肢が最も現実的であるかのように語られています。それは“かなり”正しいのですが、既に述べたように今後はLNG価格も石油価格とともにどんどん上がるという現実を考慮する必要があります。日本にはもう、「原子力にシフトして、少しでも輸送部門を電化する」ぐらいしか有効な道は残って“いなかった”のです
。 」”

と、脱原発・省エネ・電力自由化とは別次元で、石油生産の減産の物流・産業に影響を問題視しています。

当方は、電力自由化は、「やるか否か」だけの決断の問題であり、問題視していないが、エネルギー源をどうするかは、決断しても、具体的成果を出し社会インフラの環境整備には時間を要する問題であり、慎重かつ英断が必要と思っています。
それこそ、不退転の覚悟の決断の問題ですね。

一方、政府もエネルギー問題について、新たな動きがあります。

山岡 淳一郎氏が、日経ビジネスに、コラム『「枝野VS東電」「原発再稼働」ではない問題の本質 エネルギー百年の大計、乱戦の全貌』で、政府のエネルギーの組み合わせ「ベストミックス」の立案の動きを取り上げています。

”「東電の経営問題や発送電分離、原発再稼働や電力供給体制の見直しは、いわば「局地戦」だ。主戦場は、原子力依存の低減と再エネや火力、水力との電源の組み合わせ=「ベストミックス」という根本策の立案をめぐって形成されている。
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経産省の外局である資源エネルギー庁の「総合資源エネルギー調査会」、内閣府の「エネルギー・環境会議」と「原子力委員会」が、それに当たる。
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8月頃、ベストミックスを絞り込んだ『革新的エネルギー・戦略』が発表される。とりまとめの担当は、古川元久戦略相。これが電力改革決戦のゴールと位置づけられており、総合資源エネルギー調査会や原子力委員会、温暖化関連の議論が集約される。その前には「国民的議論の展開」という大きな山場が待ち構えている。
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「政治家で、電力改革に影響力を持っているのは、枝野経産大臣、細野豪志原発大臣、そして民主党政調会長代行の仙谷由人さん。発送電分離を検討する『電力改革及び東京電力に関する関係閣僚会合』は、藤村修官房長官が座長だけど、枝野さんが切り盛りしています。その枝野さんに知恵を授けて、東電対応の窓口になっているのが仙谷さんですね」
と、経産省のキャリア官僚は言う。さらに「いまは閣外だけど、馬淵澄夫・元国交大臣も『核燃料サイクル』に焦点を絞って積極的に発言している」とつけ加えた。
・・・・・・・
実際の計画づくりは、経産省の総合資源エネルギー調査会の「基本問題委員会」に委ねられる。
 この基本問題委員会こそ、目下、電力改革の最前線だ。新日鉄会長の三村明夫氏が委員長を務める基本問題委員会は、3月末(ずれ込んだとしても数日単位か)にはエネルギーのベストミックス選択肢を「複数」、エネルギー・環境会議に提示するとみられる
。」”

と、エネルギー安全保障の側面を踏まえて政府内で議論されていると。




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