傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

消費税増税の政局をやっている余裕などない・・・経済力の再建が急務

2012-06-09 05:58:09 | 民主党(野田政権)

家電メーカーのリストラは日本の産業界の衰退の証であり、福島原発事故はエネルギー政策の変革を問われ、正規・非正規の労働構成や高齢少子社会・核家族の歪が顕在化してきた日本社会は構造改革が火急の課題です。
野田首相の消費税増税に政治生命をかけると日本を硬直化させた自民党に擦り寄る独りよがりの政治姿勢をマスメディアは支持している風潮は日本社会を困窮・疲弊させ国民を憂鬱にさせる昨今ですね。

家電メーカー(パナソニック、ソニー、シャープ)の前年度の大幅な赤字決算が発表され、メディアに諸々の論評が掲載されております。
例えば、「フライデー」では、記事『衝撃のレポート 敗北!さらば、ジャパニーズ・テレビ「日本のお家芸」は、作るほどに赤字を生むシロモノと化した!』(2012年06月02日)では、韓国・台湾に後塵を拝する敗者となった各メーカーの再建策を報道し、結びを
”「アップルがスマホを大きくしたスマートテレビを出すという話も聞こえており、若い世代を惹きつけることが予想される。もはや、ジャパニーズ・テレビが生き残るには、”オール日本”の技術力を結集するしかないのか---。他ならぬメーカー自身がそれを見極めるべきだ。」”
とあるが、”オール日本”が成功するかどうかは疑問がありますね。
過去の王者IBMへ弱者日本メーカーの”オール日本”での成功例とは次元が違いますね。

「週刊ダイヤモンド」(2012/6/9)の特集記事『ソニー、パナソニック、シャープが呑まれる日』(家電敗戦 失敗の本質)を購読したが、時価総額(サムソン:1531億ドル、ソニー:140億ドル、パナソニック:165億ドル、シャープ:55億ドル)を鑑みすれば巻き返す体力があるか疑問で、体力がなければ技術力UPも期待できず、”オール日本”やメーカー合従連携では成功していませんね。

記事によれば、パナソニックと東芝による東芝松下ディスプレイテクノロジー(2002年4月)は現・ジャパンディプレイに再々編、松下東芝映像ディスプレイ(2006年4月)は生産撤退、パナソニック、日立、東芝、DBJ(日本政策投資銀行)によるIPSアルファテクノロジー(現・パナソニック液晶ディスプレイ)(2005年1月)は最終赤字で、東芝・日立・ソニー・INCJ(産業革新機構)によるジャパンディスプレイ(2012年4月)に集約、日立、富士通による富士通日立プラズマディスプレイ(1999年4月)は事業撤退し、富士通、東芝による富士通東芝モバイルコミュニケーションズ(2010年10月)は世界シェア1%以下で、NEC,日立、カシオによるNECカシオモバイルコミュニケーションズ(2010年6月)は販売不振中で、半導体分野では、日立、NEC,三菱電機とDBJ(日本政策投資銀行)による公的支援によるエルピーダメモリ(1999年12月)は経営破綻し、NEC、日立、三菱電機、その他によるルネサンスエレクトニクスは経営危機に直面しており、『官民そろって同じ轍を踏むジリ貧の末に”弱者連合〟の愚』と報じています。
電機業界は、単独でも連合でも官民連合でも事業としては失敗しているのです。

「「週刊ダイヤモンド」の記事『家電メーカー経営者の発言史』で、印象的な部分は、パナソニックの歴代の社長の発言ですね。
創業者の松下幸之助氏は、
”「10年以上、同じことをやっていたら今日の会社は落後する」”(1969年5月19号)
”「いい気になっていると、今に、日本は追い詰められてしまいますよ」”(1982年1月2日号)
とあり、大企業病を警鐘した山下俊彦氏は、
”「大きいというのは非常に危険ですね。大きくなると安心感から活力がなくなりますね」”(1983年8月13日・20日合併号)
”「3年後に家電メーカーから情報関連機器メーカーに脱皮する」”(1984年1月28日号)
とあり、「破壊と創造」で構造改革を実施した中村邦夫氏は、
”「情報検索、電子商取引、家電の制御まで、あらゆることがテレビのリモコンでできる”Tモード革命”を起こす」(2000年12月2日号)
”「過去のモデルを踏襲し、成功し続けることはもはや不可能だ。企業内のあらゆるシステムを破壊しなければ生き残りの道はない」(2001年4月7日号)
”「われわれはプラズマで勝つ。プラズマで勝つということは薄型テレビで勝つということに等しい」(2005年10月1日号)
とあり、中村邦夫氏の後任の大坪文雄氏は、
”「これまでも、そして、これからも、テレビがパナソニックの主力事業であり続けることに変わりはない」”(2009年2月21日号)
”「テレビ事業はやめられる事業ではありません」”(2011年6月25日号)
の発言を紹介しています。

パナソニックの場合、創業者の松下幸之助氏、山下俊彦氏、中村邦夫氏も、生成発展には変革が不可避と発言していたが、中村邦夫氏が「破壊と創造」を旗印に聖域なき構造改革の「選択と集中」でプラズマに選択集中させ、後任の大坪文雄氏が邁進したことが今日のパナソニックを苦戦に陥った主因となりましたね。
皆、経営者は構造改革を不可欠と思っており、「選択と集中」で何を切り、何に集約するかの先見性・洞察力が肝要ということですね。

本ブログ「日本の製造業の軒並み赤字・・・「集中と選択」の副作用」(2012-02-04)で、

”「大企業の経営者は、新規事業の取り組みで新たな市場開発の必要性は、十分、認識し、その為に内部留保を心がけているが、会社経営の安定を考えると、今月、今期、今年度の売上げ数字の計画達成か未達かを重視し、売上げが無ければ利益も生まれず、販売計画必達が至上命令になり、新たな取り組みが疎かになり、次期事業より現事業の販売増に注力してきたのです。

世の中が「集中と選択」の基準で、企業評価することが常識化し、リストラし、スリム化し、短期に販売増・利益増を果たした企業を優良企業と見なした副作用が、無駄の削減と並行し次期事業の芽も潰してきたことになり、この副作用が、製造業が苦戦の元凶です。
要は、「集中と選択」の副作用で、新しい芽を摘んでしまったことです
。」”

と書きました。

大手家電メーカーは、構造改革を断行しているが、問題は、現行製品での「集中と選択」の副作用が苦戦の元凶であり、新規創造性が欠落していたのでしょうね。
中村邦夫氏の発言に、
”「情報検索、電子商取引、家電の制御まで、あらゆることがテレビのリモコンでできる”Tモード革命”を起こす」(2000年12月2日号)
とあったが、”Tモード革命”を起こすことを抑制させたのが経済産業省の要請です。

本ブログ「アップルと日本家電メーカーの相違・・・先見・革新・独自性か販売見込みかの違い」(2011-10-11)で、

”「当時の通産省は、iPod成功に、日本の家電メーカーが商品化すべき代物という思いで、松下電器(現パナソニック)の独自の動画配信サービス(Tナビ?)を家電業界全体で取り組みを要請し、現在の家電業界の動画配信サービス「アクトビラ」になったと聞きました。
現在のアクトビラが成功していると思えず、メーカーも通産省も先見性・創造性がなかったということです。
要は、既存の技術・ソフト・コンテンツの組み合わせのインフラで、新規性も独自性もない常識的な内容だったのです
。」”

と書き、山下俊彦氏の”「3年後に家電メーカーから情報関連機器メーカーに脱皮する」”(1984年1月28日号)、中村邦夫氏の”Tモード革命”を業界標準サービスに先導した経済産業省により新規事業の新しい芽を摘んだのも事実ですね。
経済産業省の指導・要請が民間活力を抑制したことになったのです。

また、本ブログ「パナソニック:新規事業目指す・・・・家電メーカーは経営革新待ったなし」(2010-07-30)で、

”「パナソニックのシステムソリューション型の環境革新企業を目指す経営革新は、当然と思うが、問題はシステムソリューションを出来る人材でしょうね。
パナソニックは、事業部制からドメイン制へ事業統合してきたが、育ったドメイン(事業部)指向の体質があり、自ドメイン商品を売り込む場合には強さがあるが、複数ドメイン商材をシステムソリューションするパワーには弱みがあると思いましね。
これは、VB技術を軽視し、自社技術を偏重する体質と相通じますね。
システムソリューション型といっても、それがカタログ商品の場合には伝統的に強いが、提案商材の場合には、どうかなと邪推しますね
。」”

と、リストラで現場に強い中高齢者の人材不足であり、人材が育つまで苦戦するでしょうね。

「ダイヤモンドオンライン」の宮崎智之氏の記事『電機各社の大リストラで広がる疑心暗鬼の連鎖 日本人がすがる“終身雇用の幻”が消え去るとき』 で、家電・半導体事業が敗者になり、大リストラが実施される現下に、現役社員の将来不安を記述しております。

日本の製造業の基幹分野である半導体・家電事業が敗者に陥り、リストラ実施され、製造の下支えの中小企業は、読売新聞の記事『中小企業融資100%保証、経産省が廃止検討』によれば、”「中小企業の全業種を対象に、金融機関からの融資を信用保証協会が100%保証する緊急制度が、2012年度中に廃止される方向となった。」”と報道があり、中小企業も資金繰りで苦労するのは明白で、円高、ユーロ不安の世界危機の徴候の現下に、消費税増税は「待ったなし」と政治生命をかける野田首相を大手メディアが支持するのは、当方には理解不能ですね。

待ったなしは、「消費税増税ではなく、経済力の回復・再生」です。
世代格差の解消・次世代に借金をさせるなと世の常識になっているが、過去のツケを不問にしても、現役世代を疲弊・疲労させても消費税増税を盲進する野田政府に苦言をいうのは当然でしょうね。

パナソニックの歴代の社長が、構造改革が不可避と発言しながら、「集中と選択」に失敗している現下を鑑みすれば、経済再生には絶対的な解決策などなく、消費税増税は経済再生の障害になるだけで、まずは、経済再生に待ったなしで、万人の犠牲と英知しか解決策がないと思うこの頃ですね。
日本社会の構造改革が火急事案であり、消費税増税の前に、「やるべきことがあるだろう」という批判に共感しましね。
国家の計なき「消費税増税」は、国民を憂鬱にさせるだけですね。

「付記」

5月30日 偶然、日本テレビの番組『ミヤネ屋』で取り上げていた韓国で開催中の麗水万博の内容紹介を視聴し、映像表現の大規模及び技術新規性を驚愕しました。
日本では韓国万博については、報道では、竹島が韓国領土と主張する展示物があることに抗議するためという政府は、「ジャパン・デー」の式典への派遣中止程度であったが、正直、麗水万博の展示内容は、現在のソニー、パナソニック、シャープでは資金面だけではなく、技術面でも手が届かないと痛感しましたね。
国内AVメーカーも麗水万博に視察団を派遣していると思うが、社内で、撤退を含めAV再建策の見直しが急務と検討していると推察します。




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