日経ニュース「パナソニック労連、賃上げ要求4500円を正式決定」を接し、組合員の心境は、「賃上げより雇用安泰が第一」ではないかと思われ、外部の傍観者ですが、パナソニックの労働組合の賃金改善を要求には違和感を感じますね。
パナソニックは、2009年3月期の連結最終損益は3800億の赤字見通しで、全世界で1万5000人の人員削減、リストラが計画されているのに、「賃上げより、雇用安泰を」が組合員、特に中高年齢の社員の心境ではないかと想像します。
世界不況により、経済規模が縮小し、桐原涼氏の「三つの過剰再び」、斎藤 精一郎氏の「日本経済は新たな『5年不況』に入った!?――"過剰"問題の重圧を直視せよ」などで指摘している「設備過剰」、「雇用過剰」、「債務過剰」の3つの過剰が顕在化し、企業は延命にリストラせざるをえない状況になってきております。
電機業界は、今までは円安で外需たよりで業績を伸ばしてきましたが、デジタル家電においては競争力は低下しておりました。
別ブログでも書きましたが、2月4日のNHKの「クローズアップ現代」で、『格安家電が押し寄せる~岐路に立つ日本企業~』で、台湾メーカー(アスース社)の格安パソコンが、この1年間で日本市場を席捲し、高機能製品を追求してきた日本企業は劣勢に立たされている姿として日本企業(富士通)が対抗策で苦悩している内容を紹介しており、電機メーカーは、世界不況による販売不振、円高で業績悪化している現下に、デジタル家電は価格破壊が進行しており、日本電機メーカーは延命できるかどうかの試練に立たされています。
経済規模が縮小し、価格破壊が進行し、円高で外需不調の環境下では、電機業界は、景気回復を待つような余裕などなく、事業縮小・再編の「集中と選択」しなければ、延命さえも目途がつかない危機感があると推測しています。
パナソニックはおよそ1万人の管理職に通達を出し、自社の製品を1人10万円以上購入するよう求めたとニュースになっていますが、管理職は賃金が抑えられ、自社製品購買の指示があり、中高年齢の管理職は年齢によるリストラ候補になるだろうし、心中穏やかではいられない状況と思われるなかで、組合が賃上げ要求するのは、違和感があるでしょうね。
まだ、パナソニックは、総合家電メーカーであり、守備範囲が広いので、まだ耐久力があると思いますが、専業メーカーは打開策が限定されるでしょう。
半導体不況が深刻化し、DRAM大手のエルピーダメモリは日本政策投資銀行に、500億円程度の資金注入を求める検討を始めたと報道されているように、世界不況と価格破壊で産業構造変換せざるをえない状況では、事業そのものの存亡の危機に直面していますね。
昨年の1月に、当時の経済財政担当の太田弘子大臣の経済演説で、「今や日本経済は一流とは言えない」と発言したように、日本は二流国へ凋落に向っていたが、「実感なき好景気」で、日本経済の競争力の低下が顕在化しなかっただけですね。
それにしても、お山大将・目立ち屋の麻生首相の洞察力の無さ、危機感の欠如は国民に不幸をもたらすだけですね。
昨年9月のリーマン倒産、10月に株価の下落、円高になったのに、麻生首相は、総理就任後の最初の休日にゴルフ練習を得意顔でマスコミに公開している姿をみて、「解散より景気、政局より政策」は詭弁だと思っていました。
16日に20年第3四半期のGDPの伸び率の速報値が発表予定で、マイナス10%以上が予想され、麻生首相は、慌てて、追加の経済対策検討を指示したと報道されましたが、「環境が変った、想像の域を超えていた」と弁明すると思いますが、空々しいですね。
1月の施政方針演説、2月の予算審議で「新たな景気対策は考えていない」、「予算案の成立が景気対策」と答弁していたのは、何だったか?
もう、麻生首相の「政局より政策」という弁明は許容できないですね。