ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

ロビンフッドの冒険

2018-02-17 21:23:10 | 映画のレビュー
  
「ロビンフッドの冒険」を観ました。主演は、エロール・フリンにオリビア・デ・ハビランド。総カラーだけど、なんと1930年代制作という古い映画。

この映画を見終わった後、しみじみ思ったのは、自分がいかにロビン・フッドという伝説のヒーローについて知らなかったかということ。何年も前に、「ロビンフッド物語」の美しい本(英語原書です)を買い、結構大きめのカリグラフィー作品を作ったこともあるというのに、英語を努力して読むのが嫌さに、その本もほったらかしにしたまま……。

ロビンフッドというのは、もちろん中世イギリスの伝説上のヒーローなのですが、ノルマン人の圧政に抗して、義賊として民衆を助けた人物として人々の記憶に残っています。ロビンフッドがいたとされるのは、12世紀英国。全身、緑の衣装(これ、何だかピーターパンの服にも似ている気がするのですが)で仲間たちとシャーウッドの森に潜んでいたと言われます。
          


さてさて、この映画を観て、びっくりしたことには、彼が生きていたのは、リチャード獅子心王の時代と設定されているのですね。十字軍に出征し、在位中をほとんど戦いに明け暮れていたと言われるリチャード1世。 彼が英国を離れた時に弟ジョンが勝手に、摂政の立場となり、民衆を痛めつけたというところから、物語が始まります。

敵対するノルマン人側の一人に、マリアン姫がおり、これをオリビア・デ・ハビランドが演じています。彼女はもちろん、あの大作「風と共に去りぬ」でメラニーを演じた女優なのですが、ここでは清楚・従順なメラニーの面影などさらさらないのが、凄い。注意してみなければ、同じ女優とは思えないかも知れませぬ。

お話は、紆余曲折を得て、帰国したリチャード1世の助けを借りて、暗愚な王弟ジョンを追放。王の祝福を得て、ロビンフッドとマリアン姫は結ばれるという、絵にかいたようなハッピーエンドものなのですが、ストーリ―などより私を惹きつけたのは、中世の風俗そのもの。

日本でもそうなのですが、中世という時代に人々の着ていた服は、鮮やかでカラフルなもの。以前、中世ヨーロッパに関する図鑑を見ていて、当時の人々が、片方は緑、もう一方は黄色というタイツをはいていたり、滑稽なほど派手な服を着ているのに驚いたことがあります。
王侯貴族は、前に紋章のついた上衣を着ていたりしますしね――そして、この映画では王たちの間に取り交わされる書簡として、羊皮紙に描かれた美しい紋章つきの手紙が幾度も取り上げられているのです。   ああ、大好きな世界だなあ。

城の中で繰り広げられる宴会には、猟犬らしきワンコがうろうろしていたり。これって、どこかで見た世界、と思ったら以前このブログでも取り上げた、ピーター・オトゥールとキャサリン・ヘプバーン主演の「冬のライオン」のシーンでした。
考えてみえれば、「冬のライオン」は、リチャード1世と弟ジョン(結局兄の死後、即位し、フランスの領土を大幅に失うなど失政を繰り返したジョン王)の両親であるヘンリー2世とアリエノールの物語だったのですね。
このプランタジネット朝の王家の物語は、そんなに知られてないないマイナー路線ですが、とっても面白いです。フランス王、フイリップ2世との権謀術策も面白すぎる!

古い映画ですが、中世ヨーロッパが大好きな方には、意外に発見が多いかも。ああ、この映画で出ていた紋章つきの手紙――また今度カリグラフィーに使ってみたい

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