もともと、TVはあまり見ないのだけれど、「世界の果ての日本人」といったシリーズは、気になって見ている。 アフリカの最奥地とか、マヤの民族が住む南米の秘境とか、いった場所に住む日本人を取材して歩くものだ。
最寄りの空港からさらに、バスで十何時間といった僻地に住む日本人・・・そこへたどり着くまでに、日本から二、三日近くかかったりする。そんな、誰も知る人のいない、遠い場所で人生を過ごす・・・何が、彼を、彼女をそうさせたのだろう? まったく、ドラマや小説など目じゃないくらい面白い物語である。
こうした番組は、隠れた人気があるらしいけれど、それはやはり「私に勇気があったら、こんな人生もありえたかもしれない」と共感して見る人が多いからかもしれない。私も、もちろんそう。もっと精神的に強くて、医療や言葉のハンディといった心配事をはねのけるだけのバイタリティがあったら、南太平洋の絶海の孤島でも暮らせるだろう。 こうした人たちの、その土地にまでたどり着くドラマや現地での生活を見ていると、サマセット・モームの南洋小説を思い出してしまう。モームの小説は、どちらかというと悲劇的な色合いに彩られたものが多いのだが、私も、こうした遠い異国に住みつくことになった人の物語を短編小説にでも書いてみたいな、と思っている。
植物の種子が風に飛ばされて、はるかな場所に根付くように、人も長い旅の果てにまったく違う場所にたどりつく強さを兼ね備えている--それは、人のロマンをかきたてる物語を、生み出し続けているに違いない。
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