ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

コクリコ坂から

2013-06-05 20:38:10 | 映画のレビュー

001_2

 

あのスタジオ・ジブリのアニメ映画を三本、幸運にも立て続けに見させていただく機会に恵まれました。このホームページを作成してくださったYさんのお陰です。その内の一作「コクリコ坂から」は、100%といっていいほど、私の好みにはまった作品。
1963年の、東京オリンピック前年の横浜を舞台に、高校生のヒロインは朝鮮戦争で父親を亡くしているのですが、信号旗をかかげておけば「お父さんは帰ってくる」と信じた幼い日のままに、毎朝信号旗を、庭のポールにかかげています(信号旗なんていうもの、はじめて見ましたし、この設定面白いですね)。

ヒロインの海と一つ年上の男子学生のボーイ・ミーツ・ガールものというと、いかにもの青春恋愛もののようですが、二人は実は異母兄妹かもしれないという出生の秘密や、「カルタン・ラチェ」という懐かしい名前のついた文化部棟の、取り壊しをめぐる大騒動をめぐって、とても楽しめます。

そして、特筆すべきは、映像の美しさと昭和のまっただなかの時代を物語る背景の小道具・・・海の住む洋館のある坂の住宅街やその下の港の風景、夕暮れの商店街の明りなど、画面の一つ一つがにじむような美しさです。これほどの映像を作り上げるのは、高い技術と気の遠くなるような忍耐強い作業が必要だったろうと、あらためてジブリ映画の凄さを実感しました。

また、ヒロインたちの通う学園では、「週刊カリチェ・ラタン」という学内新聞が発行されているのですが、それもガリ版刷りで、ローラーを転がして一枚一枚印刷したりします。こういったものも、私の小さい頃は目にしたことがあるような気がするのですが、これも昭和の風景とともに消えてしまったものですね。 路面電車の懐かしい色や、昔の高校生のしっとりした雰囲気・・・この時代に、私も青春を送りたかったなあ、と思ってしまったほどです(考えてみれば、今の団塊世代にあたる人たちの若い頃にあたりますね)

お礼の気持ちをこめてYさんに、上のカリグラフィーのカードをお送りしました。星座をあしらったものです。 

P.S「コクリコ坂から」は、これから何度でも見たい映画です!

コメント    この記事についてブログを書く
« 朝のメッセージ | トップ | 文明の終わり »

コメントを投稿

映画のレビュー」カテゴリの最新記事