ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

おもひでぽろぽろ

2013-12-05 21:21:50 | 映画のレビュー

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高畑勳監督の「おもひでぽろぽろ」です。確か、私が大学生だった頃に、公開されたはずで、この大きなポスター写真も、当時目にした記憶があるんだけれど、ちゃんと観たのは、今回初めて。  こんな映画との再会も悪くない?

物語は、27歳の女性タエコが(彼女は、東京生まれの東京育ち)田舎に憧れ、山形の田舎に農業ホームステイ(?)に行くところからはじまります。 最初、違和感を感じたのは、まだ27歳の女性であるタエコに、家族が「もう若くないんだから」とか「結婚しないの?」などというシーン。 私が青春時代を過ごした90年代初めでも、こんな認識は古すぎるぞ・・・と思ったら、タエコの子供時代が映し出されて、その中でタエコが昭和31年生まれであることが判明。

そうか! じゃあ、この映画の舞台となっているのは、1983年頃なんだね。 どうりで、主人公の乗る新幹線の型が古いと思ったわ・・・。 まあ、その頃じゃ、30歳まじかにもなれば、ハイミス(死語)扱いされたでしょうね。  でも、人生に迷いを感じ、心が揺れているのはわかるけれど、そこでなんで、小学校5年生の時の思い出がえんえん出てくるの? だから、山形でタエコの将来の夫になるらしき農業青年がでてきた時も、この青年は小学校の時の同級生だとずーっと20年くらい思い続けてきてしまったわ。 以前、この映画をきちんと観ていなかった私が悪いんだけど・・・。

それでも、山形へやってきたタエコが、早朝の紅花の採取をしに、向かうところは圧巻! 水墨画みたいな深い山の中にある紅花の黄色い花弁、その間に立っている農家の人たちの笑顔が、木彫りのお面みたいに不気味に感じられたのは、私だけでしょうか? でも、東北の田舎の風景をかくも美しく描けるのは、やはりジブリ映画ならでは。

それに、私も田舎とか農業というものに、郷愁を感じるタイプ。映画の中でも言ってましたけれど、田舎の風景は本当の自然ではなく、昔の人々が少しずつ手を加えてできた優しい風景--だからこそ、タエコもいうように、「懐かしい感じ」がするんでしょうね。

でも、変に気になるのは、小学生の時の思い出が出てくるのが、現在のタエコのストーリーと関係がなさそうだということ。 私としては、やはり、有機農業青年のトシオが昔の同級生か何かで、大人になった二人が、共有する思い出として、子供時代を語るという設定にしてほしかったなあ。

「コクリコ坂から」もそうだったけれど、昭和30年代や40年代というのは、多くの人が懐かしさや魅力を感じる時代みたい。 ここでも、商店街の看板とか、子供のファッションに懐かしモードがうかがえたけれど、主人公タエコが「じゃりんこチエ」に似て見えたのは、偶然ではない?

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