昨夜、NHKプレミアムの「妖しい文学館」で江戸川乱歩の特集をしていた。
最愛の作家と言っていい、江戸川乱歩。だから、もちろん観たよ。
作家綾辻行人、高橋源一郎などが乱歩の初期作品「D坂の殺人」、「二銭銅貨」などを取り上げながら、それぞれの乱歩論を語るのだが、自分達を「中年探偵団」と言っているのが笑える。 やっぱり、この人達も「少年探偵団」に熱をあげた子供時代を過ごしてきたんだね。
画面に、東京は池袋、立教大学近くの乱歩邸が出てきて、くだんの中年探偵団がそこの応接間で語り合っているのを見て、「う~ん」と嘆声が。ああ、この乱歩邸! 大学時代、どんなに憧れたことか!
乱歩の小説によく出てくるような、世田谷とか武蔵野(注:昭和初期の話です)の外れの淋しい原っぱにある赤レンガの洋館とは趣が異なっているものの、やはり大正頃の浪漫を感じさせるような古い洋館。明智小五郎や二十面相が、歩き回っていてもおかしくはない雰囲気があるし、暖炉やランプなどの調度品も作品世界をほうふつさせるのである。
そして、邸内にある土蔵。ここには、二万冊にものぼる乱歩の蔵書がおさめられており、英語やドイツ語の原書も大量にあるなど、乱歩の語学力、博識ぶりを物語っている。薄暗く、ひんやりした土蔵内に、幾多の探偵関係の書物が整然と並んでいるのを見ると、うっとりしとし、この世ならぬ夢幻の空間に運び込まれたよう。 事実、乱歩伝説の一つに、真夜中、この土蔵の中で蝋燭の火をともしながら人知れず小説を書いているというものもあったのだ(もちろん、根も葉もない作り話であるけれど)
わたくしの学生時代と言えば、乱歩の御子息の平井隆太郎氏は御存命で、立教大学の教授をされていたのではないかと思う。だから、この洋館や土蔵もまだ現役(?)であったはずで、遠くからでも拝見させて頂きたい、と1990年代の、とある日曜日、池袋駅に降りたったわたくしは、乱歩邸をあちこち探したのですが、見つかりませんでした…・。
その日以来、砂漠の彼方の蜃気楼のように憧れとなった、洋館にTVで再会して感無量。
それにしても、この時代、欧米の探偵小説を渉猟し、深い語学力も持つ一方、変態的・耽美的小説を多く発表し、さらには、子供たちへの贈り物として「少年探偵団」シリーズを書き残した江戸川乱歩とは何者だったのか?
そのあまりのスケールの大きさ、千変万化する表現世界からしむるに、乱歩こそ怪人二十面相だったと思えてならない。
乱歩の世界にふれると、今は遠くなってしまった大学時代の無聊が懐かしい。帰らぬ青春の灯という訳?
最愛の作家と言っていい、江戸川乱歩。だから、もちろん観たよ。
作家綾辻行人、高橋源一郎などが乱歩の初期作品「D坂の殺人」、「二銭銅貨」などを取り上げながら、それぞれの乱歩論を語るのだが、自分達を「中年探偵団」と言っているのが笑える。 やっぱり、この人達も「少年探偵団」に熱をあげた子供時代を過ごしてきたんだね。
画面に、東京は池袋、立教大学近くの乱歩邸が出てきて、くだんの中年探偵団がそこの応接間で語り合っているのを見て、「う~ん」と嘆声が。ああ、この乱歩邸! 大学時代、どんなに憧れたことか!
乱歩の小説によく出てくるような、世田谷とか武蔵野(注:昭和初期の話です)の外れの淋しい原っぱにある赤レンガの洋館とは趣が異なっているものの、やはり大正頃の浪漫を感じさせるような古い洋館。明智小五郎や二十面相が、歩き回っていてもおかしくはない雰囲気があるし、暖炉やランプなどの調度品も作品世界をほうふつさせるのである。
そして、邸内にある土蔵。ここには、二万冊にものぼる乱歩の蔵書がおさめられており、英語やドイツ語の原書も大量にあるなど、乱歩の語学力、博識ぶりを物語っている。薄暗く、ひんやりした土蔵内に、幾多の探偵関係の書物が整然と並んでいるのを見ると、うっとりしとし、この世ならぬ夢幻の空間に運び込まれたよう。 事実、乱歩伝説の一つに、真夜中、この土蔵の中で蝋燭の火をともしながら人知れず小説を書いているというものもあったのだ(もちろん、根も葉もない作り話であるけれど)
わたくしの学生時代と言えば、乱歩の御子息の平井隆太郎氏は御存命で、立教大学の教授をされていたのではないかと思う。だから、この洋館や土蔵もまだ現役(?)であったはずで、遠くからでも拝見させて頂きたい、と1990年代の、とある日曜日、池袋駅に降りたったわたくしは、乱歩邸をあちこち探したのですが、見つかりませんでした…・。
その日以来、砂漠の彼方の蜃気楼のように憧れとなった、洋館にTVで再会して感無量。
それにしても、この時代、欧米の探偵小説を渉猟し、深い語学力も持つ一方、変態的・耽美的小説を多く発表し、さらには、子供たちへの贈り物として「少年探偵団」シリーズを書き残した江戸川乱歩とは何者だったのか?
そのあまりのスケールの大きさ、千変万化する表現世界からしむるに、乱歩こそ怪人二十面相だったと思えてならない。
乱歩の世界にふれると、今は遠くなってしまった大学時代の無聊が懐かしい。帰らぬ青春の灯という訳?