虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

プレスリー VS ミイラ男(2002/アメリカ)

2007年06月29日 | 映画感想は行
BUBBA HO-TEP
監督: ドン・コスカレリ
出演:ブルース・キャンベル   プレスリー
オシー・デイヴィス   ジャック

 テキサス州マッドクリークの老人ホームには、ソックリさんと入れ替わり第二の人生を送っていたエルヴィス・プレスリーが、寝たきりに近い余生を送っている。そこには、自分をジョン・F・ケネディだと信じる黒人ジャック、ローンレンジャーになりきりの老人もいる。エルヴィスはある日、JFKから、老人ホームにミイラ男が出没し、老人たちの魂を吸い取っていると聞かされる…

 B級でございますといわんばかりのわっかり易い邦題です。そのつもりで借りましたが、裏切られました。なんとジーンと来てしまいました。
 allcinema ONLINEのジャンルでは<ホラー/アクション>と表示してあります。でも怖くありません。それにアクションと言っても、車椅子と歩行器必須の老人のアクションですから、トロくてアクションというレベルではありません。それに可笑しいところはいっぱいあるけど、笑えもしません。映画としてもトロトロなテンポですが、妙に眼が離せず、見終わって少しばかり厳粛になってしまいました。自分の生の尊厳を守り、「己が己の人生のヒーロー足りえるか」…とってもチャチなモンスターとのバトルで涙までは出なくてもなかなか感動でした。

 人生に疑問を感じたプレスリーが、そっくりさんと入れ替わって、自己で身体が思うように動かなくなり、証拠をなくして元にも戻れず、しょぼい老人ホームで膿んだペニスの手当てをしてもらいながら死を待つのみ、という毎日を送っています。ホームの部屋もいくつか映し出されますが、彼の部屋は相部屋だし最低クラスに近いようです。
 この映画では、彼が本物のキングかどうかは暗示的なJFKの存在をも含めて巧妙にぼかされています。
 でも彼らは、誇りを持って戦い、魂を守り通して死んでいきました。

 モンスターがいかにもおもちゃなスカラベ風昆虫と、ウェスタンブーツを履いた、突然の死を疑われない年寄りの魂を吸い取って細々やっていこうという、とってもセコいミイラですが、まあ身体の不自由な老人二人の孤独な戦いではこのレベルでも仕方ないです。
 なんかおなじみのブルース・キャンベルがほんとにプレスリーに見えました。
 それに、オシー・デイヴィスは私的に印象が強いのは「インディアン狩り」のインテリ脱走奴隷ですが、この映画では、あの彼が年取ったような雰囲気でした。