虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

ディパーテッド(2006/アメリカ)

2007年06月19日 | 映画感想た行
THE DEPARTED
監督: マーティン・スコセッシ
出演: レオナルド・ディカプリオ    ビリー・コスティガン
   マット・デイモン     コリン・サリバン
   ジャック・ニコルソン    フランク・コステロ
   マーク・ウォールバーグ     ディグナム
   マーティン・シーン    クイーナン
   レイ・ウィンストン    ミスター・フレンチ
   ヴェラ・ファーミガ    マドリン

 香港ノワール「インファナル・アフェア」をハリウッドでリメイク。警察に潜入したマフィアの男と、マフィアに潜入した警察の男の、必然的に交錯する運命の悲劇。

「猿の惑星」に続けてリメイクものです。やっぱり素直に見るのは難しかった。
 プロットは大体踏襲してるし、印象的な絵やシーンも使っていましたが、決定的にアメリカン・テイストでした。
 ノワールじゃないし。
 マット・デイモンのコリンの強烈なアメリカ的成功志向・野望の果て、みたい。一番感じたのはファーストシーンのニコルソンのセリフ、「奪わなければ誰も与えてはくれない」が強固にコリンのバックボーンに染み付いちゃって、オリジナルのラウみたいな葛藤がさほど見えてきません。そんなわけで彼にシンパシー感じるのが難しくて、ラストは、別にあれでもいいけど、コリンへの共感を渋々でも持ちえていたら、私にとってもっと心に残る映画になりましたのに。

 私は、トニー・レオンは特別な俳優で、彼には自分が磁石の前のゼムクリップと化してしまいそうな危険な気配を感じます。こういう気配を感じるのは、他にはロバート・キャパと、市川雷蔵くらい。こういうタイプの男の人には実生活では絶対めぐり会いたくないし、たぶん相手にしてくれないけど、この手の男が「滅び」を演じるともうメタメタなのです。
 で、私はレオ様には全然こういうのを感じないので、このリメイクは俳優だけでも(私的に)勝負がついてます。
 実力ボスでもニコルソンより、「狼よ静かに死ね」のサモ・ハンのほうが私の感覚にしっくり馴染むかも。
 こう思うのは、やっぱりオリジナルが好きだからでしょう。もうちょっと時間おいてのリメイクなら、もっと楽しめたかも、と思います。