虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

数学的な勘が身につく教室で大人気のボードゲーム

2019-03-10 20:04:08 | 虹色教室の教具 おもちゃ

『ポーションエクスプロージョン』は教室の子で嫌いな子がいないほど大人気のゲームです。

(組み立て式のビー玉コースターは壊れないようにボンドなどで補強すること

をお勧めします。)

対象年齢は14歳以上と書いてあるのですが、ルールのややこしすぎる部分

をちょっと甘めにしたら3,4才の子から楽しめています。

魔法のお薬を作ったり、魔法を使ったりしながら、得点をためます。

魔法の薬を使う時に、「各色につき最大1個づつしか獲得できない」

「隣同士の異なる色を二個選ぶ」「連続する同じ色の材料を二個以上選んで獲得する」

といった言葉を、幼児であっても、やり方を見せてから難しい言葉の

まま説明しています。

(間違えても注意せず、何度も正しい方法を見せ、耳で触れさせています。

テストしたり教え込んだりはしません。教えるためにしているというより、そうした言葉を

難しい言葉だからとシャットアウトしないで、自分で理解できるものと

とらえることができれば

いいと思っています。)

子どもが何度も熱心にやりたがる時は、その都度、何度も繰り返しそうした言葉を

使って、言葉の意味するものを察する力がつくよう気をつけています。

 

年長さんになると、獲得したたくさんのボトルを足し合わせています。

3点、4点、9点、11点とさまざまな点数のボトルがあります。

最初は数え上げて足していますが、数え上げていくにしても100近い数になるので

子どもの熱意に驚きます。

少し慣れると10になる組み合わせを作ったり、

10に近い数を全て10と考えて、すべてを足した後で、余分に足した分を

引いたりして工夫して計算するようにしています。

 

『死ぬまでにピラミッド』も人気のゲームです。

形のさいころをたくさんふって、ピラミッドを作っていくゲームですが、

子どもには三角を作っていくのはなかなか難しいのです。1年生くらいの子から遊んでいます。

3年生以降の子とは遊んだ後で、規則性を調べて、三角の数を当てるクイズも楽しんでいます。

 

『ニューマスターマインド』は毎年のように3年生以上の男の子たちを

夢中にさせているゲームです。

10年以上前から人気は変わりません。

算数好きの子は1年生くらいからでも楽しんでいますが、最初は当てる色を2種類にして、

「2個ずつ同じ色で4個のピン」を推理して遊んでいます。


『フロー状態』が起きやすいような環境を作るには?

2019-03-09 20:16:00 | 教育論 読者の方からのQ&A

なかなか新しい記事を書く時間が取れなくて、過去記事をアップすることが多くて申し訳ありません。

「フロー」に関する記事をもう一度読みたいという声をかけていただいたので再アップします。

その前に最近いただいたコメントでうれしかったものをこちらに貼らせていただきます。

(コメント欄で埋もれてしまうと嫌なので)

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ご無沙汰しております。以前算数教室などでお世話になった娘も今日中学校を卒業です。
思考タイプと先生に教えていただいた娘は、その後メキメキと思考タイプを突き進み(笑)受験勉強には、まったく興味をみせず、中学になってからは、哲学書や思考実験の本を読みふける日々でした。
その娘は、高校受験をどうするかギリギリまで、悩んでいました。大学には行きたいものの、大学受験のためだけの勉強を3年間も費やすことに嫌気がさしているようです。
まさに知識を詰め込みすぎて、自由で柔軟な思考をする余地がなくなることに疑問を覚えたのでしょう。
私も仕事場で子ども達を見ていても、子ども達が自由に思考でき、挑戦し、失敗できる機会が年々減っていっているのを実感しています。
これから、グローバル化やAI化が進む未来で、答えをひとつと決めつけず、あらゆる可能性を考える力、また、、考える機械に『何を』考えさせるか?を考える力が必要になると感じています。
子ども達がのびのびと自由に思考の羽を羽ばたかせる世界を願ってやみません。
娘と「小学校の道徳の時間、せめて半分哲学にしてくれないかなぁ。楽しいのに!」なんて、話しています(笑)

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上のコメントを読ませていただいて、最近、中学生になった虹色教室の卒業生の男の子と女の子の

親御さん二名からも

「読書に夢中で、哲学書を熱心に読みます」とうかがって、「哲学書?」と意外に

感じる思いとうれしい気持ちを味わっていました。競争よりも

自分の考えをゆっくり練ることを大事にされてきた子たちです。

たまたまなのか、何か共通する下地があるのか、好奇心がそそられました。

 

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ずいぶん前のことになりますが、虹色教室では『ピタゴラスイッチ研究部』と

いうクラブを作って、自分で考えたアイデアを競いあうことをしていました。

競いあうといってもそれぞれの子の自分のアイデアですから、その子の個性が強く出て、

電気やモーターを使った仕掛けに熱中する子、音の出る仕掛けばかり作る子、

ゴールに凝る子と興味の方向が異なります。

優劣決めがたい互いに切磋琢磨する面白い研究報告になりました。

私は基本的に、材料の調達と、『フロー状態』が起きやすいような環境を

作ること以外はあまり手を出さないようにしていました。

「そんなものを使うの?」という子どもならではの変なアイデアが、

すごい動きを生み出すこともよくありましたから。

また、そうした遊びの興奮のあるうちに、レッスンの後半は算数や

数学の学習に集中させるようにしていました。「たくさん学んで、

もっと高度なことができるようになりたい」という気持を引き出したかったからです。

フローとは、人が時間も忘れて無我夢中になって何かに没頭しているときの

精神状態をいいます。

心理学者のミハイ・チクセントミハイによって提唱されました。

やってることにのめりこみすぎて、行為と意識が溶けあうような感覚です。

子どもにフロー状態を体験させるには、管理しすぎず、

成果を求めず、それぞれの子が自然な状態で自分に自信が持てるよう支えることが大事です。

また、友だちと協力しあって同じ目標に向かって努力するときも、

それぞれひとりひとりの子が、

自分自身の好奇心や探究心に突き動かされて取り組めるよう支援します。

この当時、5歳だったピタゴラスイッチの研究部員さんたちは

勉強中もフローの状態を作り出すことができるように成長してきています。

この研究部は、アイデアマンの主力メンバーが受験に突入したことと、

幼い子たちが『化学実験』ばかりやりたがる時期が続いたので、半休部状態のまま

今に至っています。

それが最近になって子どもたちの間に、「面白い崩れ方をするドミノが作りたい」と

いう気持ちが生まれてきたので、ピタゴラスイッチ研究部、復活しそうな気配です。

 

ピタゴラスイッチ研究部の報告 無事にライトがつきました!

ピタゴラスイッチ研究部の報告 無事にライトがつきました!2

ピタゴラスイッチ研究部の報告 運動の向きを変える 1

ピタゴラスイッチ研究部の報告  運動の向きを変える 2

ピタゴラスイッチ研究部の報告 ビー球スライダー 1

ピタゴラスイッチ研究部の報告 ビー球スライダー 2

ピタゴラスイッチ研究部の報告 ゴール地点の工夫 3

ピタゴラスイッチ研究部の報告  ビー球がよくすべる波の形 

ピタゴラスイッチ研究部♪ 音の出る仕組み

ピタゴラスイッチのスタート部分♪

科学クラブでのピタゴラスイッチ研究 1

科学クラブでのピタゴラスイッチ研究 2

 

ピタゴラスイッチ作品のアイデアは、

これ以外にも面白いものがたくさんできたのですが、きりがないのでこれくらいで……。

これは昨日の小1生たちがドミノで遊んでいる様子です。

最初に円の上にドミノを並べてみて面白かったので、

もうひとつ作って、8の字を一筆で書くように倒れるようにしたいと思いました。

が、台にしている円形の板は周りが丸まっていて、

思うように交差しておくことができません。

そこで、8の交差する部分にあたるドミノを吊り下げる作戦に出ました。

よいアイデアではあったんだけど、これは失敗。

すると、ひとりの子が、この吊り下げたドミノを使ったゲームを思いつきました。

下にドミノを重ねておき、ひもをつけたドミノを上から落として

いくつドミノが崩れるか競うゲームです。

改良を加えて棒を1本足すと、カーブを描いてドミノが降りて来て

積んだドミノをはじくゲームが完成しました。

子どもたちが次々にアイデアを出しながら、自分たちで工夫しながら遊ぶようにするには、

子どもたちのひとりひとりが『フロー状態』に入っていけるように

環境や大人と子どもの関係を整えることが大切です。

おまけーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ピタゴラスイッチ研究部♪ 透明ホースの中を走る

ピタゴラスイッチ研究部員さんたちの研究発表です♪

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ピタゴラスイッチ研究部 と フロー

の記事を読んだ方からこんな質問をいただきました。

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『フロー状態』が起きやすいような環境を作ること

→この点について家庭でできること、親としてできることを教えていただけますと

嬉しいです。うちの子(もうすぐ3歳です)は非常に気が散りやすいタイプで、

遊びが長続きしません。おもちゃも次から次へと変えていきます。もう少し集中して

遊び込めないものか・・・と悩んでおります。よろしくお願いします。

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3、4歳の子たちは遊びが長続きせず、おもちゃを次々変えていくことはよくあります。

一つの遊びで遊び込むことができるように導くために、次のような点に注意して

関わっています。

 

① それぞれの子の敏感期に注目する。

手作業で夢中になること。知能面で敏感になっていること。

 

② その子の好み。個性。

色、形、作業の好み。頭の使い方の個性。遊びの好き嫌い。

 

③ 最近の出来事。その日、関心を持ったものなどに注意する。

体験したことを遊びに取り入れる見本を見せる。

 

④ 遊びのさまざまなシーンで敏感期の活動を満喫できるようにする。

 

今日、レッスンに来ていた3歳と4歳の★ちゃん、☆ちゃんの遊びを例に挙げて、

もう少し具体的に説明させていただきますね。

 

教室に着いた当初、★ちゃんも☆ちゃんも、

次々と遊びを変えて落ち着かない様子でした。

☆ちゃんは椅子が好きな子で、2歳くらいの頃も、教室にある子ども用の椅子を

部屋中に並べたり、重ねたりして遊んでいました。

 

人形劇の劇場を取ってもらいたがったので、☆ちゃんに渡すと、劇場の前に椅子を

並べだしました。

以前、教室で人形劇の劇場を作って遊んだことがあるのを思い出したようです。

虹色教室では、子どもが何か新しい体験をしたときは、それを

おもちゃや工作で再体験できるようにしています。

 

保育園の発表会を楽しんだ☆ちゃんと発表会の様子楽しんだ日の記事 

この日は2つ年上のお兄ちゃんが主になって、舞台装置の仕掛け作りをするのを

見るのと、お人形を椅子に座らせていくのが☆ちゃんの仕事でした。

 

それを思い出したのか、☆ちゃんは人形劇場を目にするなり、椅子を並べ出しました。

「もっと椅子がほしい」と言いました。

 

椅子とお人形を用意すると、どんどん椅子を並べては人形を座らせていきました。

(椅子は100円ショップで購入したグラグラゲームに入っていたものです)

☆ちゃんは真剣な表情で、「先生、前は小さい人が座って、後ろは大きい人が座るよ。

だって、前に大きい人が座ったら劇が見られなくなるから」と言っていました。

幼い子たちは、手と目を協応させて集中してやらなくてはならない作業を、

何度も何度も満喫するまで繰り返すのを好みます。

その子がやりたがる作業をたくさん行える環境を作ってあげることが大事だと

思っています。

また時折、イメージを育てるために、大人が体験を再体験できるような

見本を作ってあげることも必要です。

 

★ちゃんに、「何がやりたい?何が好き?」とたずねると、「ビー玉」と答えました。

らせんにビー玉が転がっていくおもちゃにビー玉を入れて遊びだしました。

★ちゃんは感覚に訴えることが好きで、こうした遊びをはじめると

いつまでも続けています。

集中しているとはいえますが、こればかりでは発展しない上、知力や想像力をしっかり

使って遊ぶ満足感は得られません。

 

そこで、★ちゃんが熱中する作業の一つひとつを

次の段階に発展させたり、個々の遊びをつないで意味を作りだしたり

する方法をいくつか提案しました。

 

上写真の左は、★ちゃんが遊んでいたビー玉がクルクルとらせんに滑り降りていく

おもちゃです。高い位置に滑り台を作って、滑り台から飛び出したビー玉が

らせんに滑り降りるおもちゃの中に入るようにしました。

★ちゃんは放射線状に落下するビー玉の動きに大喜び。

滑り台の高さや位置を調整しながら遊んでいました。

 

ビー玉がポンッと跳びあがるおもちゃと、受ける道具の組み合わせでも、

十分楽しんだあとで、受ける側の穴を滑り台につないだり、

ビー玉を飛ばす道具を椅子の上に設置して遊びました。

 

ホースをゴムで椅子につないであげると喜んでいたので、最初は転がして受ける

遊びをし、途中から、それまで作っていた線路に貨物列車を作って、

ホースを使ってビー玉の荷物を荷台に入れて、運んで行くというごっこ遊びをする

ことにしました。

 

このように敏感期の作業的な活動と見立て遊びがつながると、

子どもはとても長い時間、夢中になって遊ぶことがよくあります。

 


幼児が「よく考える」ようになるためのいくつかのステップ 5

2019-03-08 16:38:21 | 教育論 読者の方からのQ&A
幼児が「よく考える」ようになるために大事な3つめのことは、
「感じる」です。
特に自分の気持ちを感じて味わうという意味の「感じる」が大切だと思います。

「感じる」って、考えることと関係がなさそうですが、
幼児期に情緒的なものが十分発達しないと、
小学生になって、
ちゃんとがんばる気持ちの軸になるものがなくて、
「だるい~」「なんで、そんなんしなきゃならないの?」「どうでもいい」「べつに~」が口癖の子になってしまうかもしれません。

「できるようになりたい」
「ほめられたい」「認められたい」
「達成したとき気持ちがいい、スカッとする」「お友だちと共感しあいたい」「自分自身に満足」「もっとお話を読みたい」「あんな風になりたい」
といった前向きな気持ちは、

幼児期に、はずかしい、悲しい、うれしい、くやしい、さみしい、
といった気持ちをたくさん経験して、
大人に共感してもらったり、ゆっくり気持ちと向き合うのにつきあってもらって、自分の気持ちに通じていく先に生じてくる思いです。

幼児期に、悲しくても、寂しくても、「早く早く」「今忙しいから」「まだ泣いてるの?」「もうお姉ちゃんでしょ」と、感情を無視するように
教えられていると、
自分の基本の気持ちがだんだんわからなくなってきますよね。

そうすると、「どうして、人に優しくしなくちゃいけないのかわからない」
「どうして勉強しなくちゃいけないのかわからない~」
と、気持ちに関わることには、どれにも疎くなってしまうのも
仕方ありません。

子どもと接するとき、「教えたい」ことで接するのでなく、
気持ちを通いあわせることを一番にすることが、
「考える」ことを得意にする近道です。

ふしぎなだ、うれしいな、わくわくするな、悔しいな!できたらいいのにな、
いいな~うらやましいな、気持ちいいな、楽しいな

そうした気持ちが引き金になって、「知りたい」「学びたい」「考えたい」
という意欲が生まれるからです。

気持ちに気づけないのに、
知識だけインプットされても、
無気力や燃え尽きにつながる過剰ながんばりを生むだけですよね。

幼児期は、気持ちいいな、面白いな、不思議だな~といった「感じる」を
育むように心がけると、
自然と学ぶ意欲が高くて、
よく考える子に育っていくと思いますよ。

幼児が「よく考える」ようになるためのいくつかのステップ 4 <聞いた後で>

2019-03-08 12:51:33 | 教育論 読者の方からのQ&A

「聞く」にもいろんな技術があります。記憶力が良く、語彙が多く、
園や学校生活をいきいきと楽しんでいる子というのは、この聞く力が発達した子が多いです。

「語りかけ育児」や、アウトプットを求めずにシャワーのように子どもに
言葉をかけましょう~

と最初に発言した方は、
おそらく、子どもと大人の間に自然なコミュニケーションの形があることを前提として、そうした方法を紹介したのだと思います。

絵本の読み聞かせにしてもそうです。

まだ言葉がしゃべれない赤ちゃんであっても、
非言語の状態で、大人と子どもの間に、身振りや表情や目の動きや、
なん語によって、
「思い」がいったりきたりする関係があって、それを補うように
「語りかけ」や「読み聞かせ」があるのなら、
それは子どもにとって貴重な体験となるはずなのです。

が、この「語りかけ」や「読み聞かせ」が、子どもの「聞く」力を鈍らせ、
大人に素直に心を開かない状態を作ることもあるのに注意していただきたいのです。

どういう声かけがよくないか……というと、
日本人がテレビ画面に向かって、「あほやな~こうしたらいいのに、ぶつくさ~」と独り言を言うことよくありますよね。
テレビから返事があるとは思ってないので、
自分が見たまま、そこで感じたことを外に吐き出してそのまま~という言葉です。

また、テレビゲームをしていて、
「もっと右右!」「だめだめ、そうじゃなくて、あっちに行かなきゃ。はやく取りに行って!」とゲーム画面の主人公に向かって、
声に出さないとしても、独り言を言い続けるときがありますよね。
これも、テレビから返事があるとは思っていないので、
言いっぱなしです。

カセットテープに絵本を音読して録音するとき、
ひたすら読むことに集中しますよね。
これもカセットテープが何を考えてるかなんて考えず、
言いっぱなしです。

この機械に向かって「言いっぱなし」の習慣が、
そのまま乳幼児に向けての言葉かけでも使われているケースを
見かけることがよくあります。

そうした機械に対するような言葉かけは、どこで集中して、どこで受け答えすればよいのかコツがつかみにくい上、

子どもの内面から伝えたい、しゃべりたい、会話のキャッチボールがしたいという気持ちを
引き出しにくいです。

「伝えたい、しゃべりたい、会話のキャッチボールをしたい」という気持ちを育てるには、
大人の側に、子どもの言葉を聞きたいという姿勢があって、
子どもの言葉に共感する言葉と、
それを膨らまして子どもの気持ちを引き立てる言葉を返すことが
大事だからです。

つまり、「語りかけ」が上手になるということは、

まず大人が「聞く」のが上手で、
「うなずく」のが上手で、
子どもの言葉をうまく膨らますという点で「語りかける会話が豊富」という
意味だからです。

そんな風に大人が上手に「聞く」姿勢をしめしていれば、
子どもは自然に、どうやって人の話を
聞けば良いのかマスターします。
「聞く」といった簡単な動作でも、やはりお手本がないと難しいからです。


幼児が「よく考える」ようになるためのいくつかのステップ 3 <聞く>

2019-03-08 12:50:33 | 教育論 読者の方からのQ&A

上手に「考える」ことができるようになるには、

その前にできるようになっておくといいステップのふたつめは

上手に「聞く」ことです。

2,3歳の子にはじめて会うと、耳の機能には何も問題がないのに、

まるでまったく耳が聞こえていないように見える時がある子がけっこういます。

お母さんや私が呼びかけても、振り向いたり音のほうに顔を向けたりしないで、

好きなことをしています。

また、何かをひっくり返したりして、ガラガラ大きな音がしても、その方をちらりと

見ることもないのです。

 

幼い子は同時に2つのことをするのが苦手ですから、何かに夢中になると、

耳がお留守……となりがちなのですが、

わざと聞こえていても無視しているように見える子の場合、

大人の対応や生活環境に気をつけると、直ってくることがほとんどです。

「聞く」力の良し悪しは、自分の心の中で考えた言葉を「聞く」力とも

関係がありますから、「考える」力に大きな影響を及ぼします。

もし「見える」ものだけで反射のように答えを出すばかりだと、

少しも考えが深まりませんよね。

人の話も周囲の音も自分の心の声も、しっかり集中して「聞ける」技術を身につければ、

じっくり考える力が育ってきます。

それでは、どうしたら「聞く」のが上手になるでしょう?

 

一番良い方法は、お母さんが不必要なことをしゃべりすぎないことです。

「語りかけ育児」という言葉があるくらいですから、

シャワーのように子どもに言葉をかけたらいいんじゃないの?と思うかも知れません。

確かに、語りかけるコツをきちんと押さえて、子どもの興味と聞きたい思いを

引き出しながら、語りかけていくのなら、とてもすばらしいのです。

でもだいたいの場合、お母さんが子どもに声をかけるほど、子どもは音への反応を

鈍化させて、全部聞いていたらきりがない上、

きちんと聞いてもどうでもいいことばかりだからBGMのように聞き流す

という習慣をつけています。

そうした場合、声かけというのは、「遊んできたら?それか~し~てっていって。

何がしたい?よかったね。ほら、あれで遊んでおいで。これで遊ぶ?」といったものです。

それも、子どもが新しいものを目にして、真剣に頭を使おうとしているとき、

お家よりもお外で遊ぶ際や、お友だちを前にした際、

大人がしゃべりすぎてしまうと問題が大きい気がします。

 

2、3歳の子なら、「何をしようかな?」「あれ面白そうだな」「触ってみようかな」

「あれで遊ぼ」と、自分の頭で考えて決めることをすべて、お母さんが横から

ロボットのリモコンスイッチを押して操作するように言葉で指示を出しているのです。

もちろん、幼児の方は、そうしたことは自分で決めるべきとわかっていますから、

自分で自由に遊び出すのですが、お母さんがたくさん指示を出す場合、

大人の声にはいっさい耳をかさないことが習慣になっている子も多いです。

そこでさらにたくさん声をかけ、さらに無視するという悪循環に陥っています。

軽度発達障害があって、呼びかけると聞こえていないようだったかと思うと、

小さな音にも敏感……という子もいるのですが、

ほとんどの場合は、自分に向けられる音が多すぎて、全てに反応していられないから、

自分に呼びかけられる声に鈍感になっているという障害とは無関係のもののように見えます。

 

また赤ちゃんの時期から、そうした「こうしたら?」「ああしたら?」と

背後から子どもの気もちを代弁する声かけは多いけれど、

あやして笑わせたり、手遊びしたりして、子どもの顔を見て反応を引き出しながら、

きちっと声をかけることは少なかったという場合、

「聞く」ことが、とても苦手な子になりやすいように感じます。


幼児が「よく考える」ようになるためのいくつかのステップ 2 <見た後で>

2019-03-07 22:10:37 | 日々思うこと 雑感
幼児はいろいろなものを「見る」のが好きですね。

「見る」にもいろんな技術があります。
理解力や思考力、発想力が高い子というのは、この見る技術に長けた子が
多いです。
親子で楽しめる「見る」技術をいくつか紹介しますね。


見ているものを言葉で表現する

クワガタとか、恐竜とか、新しい靴とか、アニメのキャラクターとか、
子どもの今のお気に入りをよく見て、それについて話をすると、
子どもはいくらでも話したがりますよね。
「ここはとがっているね。のこぎりみたい。黒くてつるつるして、
ランドセルみたいな色ね。手に乗せたらちくちくするのは、
どうしてかな?」

子どもの好きなものを見ながら話をするとき、
色や感触、何に似ているか、どう感じたかなど、
大人も本気でよ~く観察して、言葉にしようとつとめると、
子どもの感性や表現力が変化してきます。
色にしても、「うすい茶色、空のような透き通った水色、濃い赤、
光っている黄色」など、観察するほど、表現が工夫できますよね。
教えるよりも、いっしょに楽しむことが大事です。

文章の表現力がつくだけでなく、IQの問題や小学校受験問題などを
解く力もアップします。


見たときのヒラメキを言葉にする

子どもは、何か見ているとき、
「そうだ!いいこと考えた!」と思いつくことがありますよね。
例えば、
「冷たいコップをほっぺたにあてたら、ほっぺが冷たくなるんだよ~
すごいでしょ~」といった大発見を報告してくれます。
そんなとき、すごいね~と関心をしるしたり、
大人もちょくちょくこうした発見やアイデアを口にしていると、
発想やアイデアが言葉にしやすくなって、何か作るときや問題を解くとき
良いアイデアが浮かびやすくなります。

ある時間をおいて見る

「家の前の水たまり、~~くらい大きいね」と会話して、
次の日どうなったか見る。
お月さまの位置を話題にして、何時間かしてから見る。
水たまりに葉っぱ落として変化を見る など。

推理する力や理由について考える力などが刺激されます。


鏡 虫眼鏡

鏡を通して見る
虫眼鏡で見る

観察の仕方を工夫すると、考えることが楽しくなってきます。
 
 
見たものを遊びで再現する

美容室に行った後で、美容師さんになりきってお仕事する
宅配便のお兄さんのまね、
駅員さんのまねなど、経験したもの見たものを再現して遊ぶ
記憶力や観察力が高まってきます。
 

見たものを工作やブロックで作る

働く車を見たあとで、働く車をブロックや工作で作ってみる
といったことをすると、
工夫したり、考えたりすることが楽しくなってきます。

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「見る」ことが上手になれば、画数の多い漢字を覚えるのも
易しくなりますね。
親子で楽しく「見る」技術を身につけると、
いつでもどこでも、しっかり考えることができるようになりますよ。

おひさまクラブのレオ先生が、『良心はどうやって育つの?』という記事を書いてくださっています

2019-03-07 09:39:38 | 日々思うこと 雑感

 

おひさまクラブのレオ先生の記事に共感しました。

良心はどうやって育つの?

ぜひリンク先で読んでみてくださいね。

 


幼児が「よく考える」ようになるためのいくつかのステップ  1

2019-03-07 07:52:35 | 幼児教育の基本
「うちの子あまり考えません~」と親御さんが嘆く子に会ってみると、

考えるために必要ないくつかのことが身についていないのがわかります。

上手に「考える」ことができるようになるには、
その前にできるようになっておくといいステップがあります。

ひとつは、上手に「見る」ことです。

よく見る
ていねいに見る
よく似ているものを思い浮かべたり、違いを考えながら見る
見て不思議に気づく
見て好奇心が刺激され、調べたいと思う
動きのあるものを見る
考えながら見る
人の表情をよく見る 目を見る

というように「見る」ことを極めていけば、必ず「よく考える」ことにつながっていきます。

1歳代の子とお散歩に行くと、歩く先々で「じっくり見る」と面白いものにぶつかります。
小学校の校庭をのぞくのも好きですし、水たまり、花のおしべめしべ、
ポストの投入口の中、ありの行列、はとたちの日向ぼっこ、
日光が当たっている部分と影になっているところ、
お風呂屋さんのえんとつなどなど……きりがありません。
幼い子ほど、そうしたものに感動し、よりていねいにじっくり見ようとします。
葉っぱに毛虫がいれば、何度でも何度でも見たがります。

合理的に効率的に目的地に直行!
ではなく、歩いて、子どものペースでさまざまなものを見て、
見たときの思いや発見を話し合って共感しあうことが、
「見る」能力を高めて、
「考える」力のベースになります。

幼児にしても、小学生にしても、「よく考えない」ということの裏に、
「よく見ていない」ということがあります。
算数の問題も、国語の問題も
「よく見る」だけで解けるものは多いのです。

でもいったん「見ない」癖がついてしまった子には、
どうすればいいのでしょう?

子どもがぼんやりしているように見えるとき、「ぼんやりしている」と思うのでなくて、「何を見ているのかな?」と視線の先を見ると、
何かに気を取られていることがよくあります。
そうした子どもが見ているものについて、いっしょにおしゃべりして
楽しむようにすると、見方が変わってきます。
また、「よく見ない」子には、忙しく動き回るという子もいます。
外で、子どもが発見したものを報告してもらって「すごいね~!どこどこ?」と感動していると、
さらに面白いものを見つけようとするはずですよ。

ままごと遊びと理科実験

2019-03-06 13:10:09 | 理科 科学クラブ

 

小学3、4年生の子たちと偽物のビールや炭酸ジュースを作って遊びました。

どの年代の子も、

半分実験で半分ままごとのこうした水遊びが大好きです。

ついでにそれぞれの年代に合わせた

算数学習の機会にしています。

 

このグループの子には、水のかさを中心に1単位の変換の問題を。

 

「1リットルは10デシリットルです。

では、1デシリットルは何リットルでしょう?」

とたずねると、子どもたちから、

「そんな答えはないない」とう返事が返ってきました。

 

そこで、小数を使って、「0.1リットル」と表せることや、

「1センチメートルは何メートルでしょう?という問題は、0.01メートル」

となることを教えると、

納得した様子で、同様の問題をいくつか解答してから、

「それなら、1ミリメートルは、0.1センチメートルのこと?」と

自分の知っている単位にあてはめて考えていました。

 

 

 

 

 

 

「偽物のビールの作り方教えてください。

下の子は、お茶のペットボトルを思いっきりふって
泡を作って、ビールと言っています。」

という質問をいただきました。

 

偽物ビール作りは、教室でよくやっている実験を組み合わせて作るので、

わざわざそれを作るのに材料を用意するのはどうかとも思うのですが、

紹介させていただきます。

 

偽ビールは茶色い液体と泡を別々に作っています。

 

茶色い液体の作り方は、知人からのいただきものやその日の学習内容などによって

異なります。

知人からの……というのは、賞味期限が切れたウーロン茶やコーヒーの粉末を「実験用にどうぞ」と

いただくことがあるのです。

食品を使った実験は食べ物をおもちゃにしているようで気がひけるので、とてもありがたいです。

 

そうした粉末類はコーヒーフィルターで濾しています。

子どもたちに、さまざまな形で「ろ過」する方法に触れてもらいたいと思っているので。

 

偽ビールの泡は、クエン酸と重曹と水少々を混ぜて作っています。

 

偽の炭酸ジュースは、色のついた入浴剤や水性インクでティッシュペーパーに色をつけてそれを水に浸けて

いろいろな色水を作ったものに、クエン酸と重曹と水で作った泡を混ぜて作っています。

 

子どもたちは、作る過程を楽しみます。

道具を上手に扱えるようになったり、量りや軽量カップの目盛りが読めるようになったり

するとうれしそうです。

こうしたちょっとしたごっこ遊びでもさまざまな道具や素材に触れることができるように

しています。

 

ジュース屋さんごっこ、レストランごっこをする時に

他にもこんなものを使ったり作ったりして遊んでいます。

 

<ゼリー>

水で膨らむ素材を使っています。

 

<卵>

固めのスライムを作って、

卵の殻のおもちゃの中に黄色いビー玉を黄身にして入れて

作ります。殻を割ると、つるつるしたとてもきれいな卵ができあがります。

<牛のミルクを絞って>

ペットボトルのふたに小さな穴を開けて、水を入れてつないでいます。

下側のペットボトルを手で握ると、シューッと水が飛び出してきます。

「牧場で牛の乳しぼりをして、ミルクを用意する」という設定で遊んでいます。

 

<魚を釣って魚焼き用の網で焼きます>

空き缶で作った魚を手作りの釣りざおで釣ってきてお料理。

釣り針にモールで作ったみみずを取りつけてから

魚を釣る作業が子どもたちは大好きです。

 

<クレープ製造機> (またの機会に写真つきで紹介します)

空き箱のふたに楊枝を刺したものを用意します。

細く切った厚紙に2ヶ所穴を開けて、コンパスの代わりにします。

折り紙を楊枝に刺して、厚紙コンパスの穴も楊枝に刺して、えんぴつで円を描きます。

できた円をハサミで切って、綿や折り紙で作ったくだものなどを入れて、

クレープ風に折ります。

 

<ブロックと空き容器で豆腐や野菜を>

 

 

 

<ムース状のドリンク>

ボウルに水をコップ半分ほどに数滴の台所洗剤を入れます。

ストローで吹くと、たちまちボウルからあふれるほどに膨らみます。

そうしてあふれそうになった泡を割っていき、

さらにストローで吹きます。

それを繰り返すうちに小さな泡が大量にできます。

泡を手で触らないように注意しながら、カップなどに入れて、ムース状のドリンクということにしています。

 

 

 

 

 


100円ショップのイースターの卵

2019-03-05 14:29:27 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達

2歳児さんは手指を使った活動がたっぷりできるおもちゃが大好きです。

100円ショップで手に入れたイースターの卵に

おはじきを入れて遊んでいます。

集中して熱心に卵作り中。

できあがった卵をこんこん叩いて、上手に割る真似をしていました。

 

まだ本格的なルールで遊びのは難しいけれど、順番にピザのピースをめくって

自分のピザを作るゲームことに集中していました。

笑顔、笑顔です。