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虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

遊びが育むやる気 と 問題を乗り越える力

2016-05-10 18:22:13 | 子どもの成長
この記事を探しているという方がいらっしゃったのでアップします。
 
『お母さん、火って何から出来ているの?』という
6歳のタロウくん、2歳のハナちゃんの日々をつづったブログを
いつも楽しく見させていただいています。
このタロウくんとハナちゃんの思いつきや工作の仕方……言動もですが、
うちの子たちの小さいころにすごく似ていて、
読ませていただいているうちに思わずうちの子たちが小さいころに
タイムスリップしています。
失礼ですが、お母さんのふるまりさんのゆるい対応(ごめんなさい~)も、
私の子育ての手抜きワザとそっくりで……世の中、似たような方法で
子どもと付き合ってく方もいるもんだな~と
ちょっとびっくりしたりもしています。
そんなふるまりさんの
★タロウのプレゼン失敗と、本当の「問題解決能力」という記事に、
次のような思いがつづってありました。
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タロウには(ゆくゆくはハナにも)、自分のやりたいことをやるために、
 
どんな状況であっても諦めずに努力する力、をつけていってもらいたいと
 
思っています。
 
そのためには、少々の困難(この場合はダンナのダメ出し)にもくじけず
 
「では、どうすれば良いのか」を考える力をつけていくのが大事なのかなと。

でも、そうやって、「問題を乗り越えていく力」というのは
 
なかなかエネルギーがいるもので、そのためには、その原動力となる、
 
「~したい」という強い思いがなくてはダメです。
 
子供であれば、遊びがその原動力となると思いますが、その遊びを通じて、
 
「~するためにはどうすれば良いのか」という対応能力を、
 
つけて行ってもらいたいなーと。
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
読ませていただいて、
 
そうそう~うちの子たちのやる気と自発性と
 
何があってもめげずに問題を乗り越える力や、くじけなさは、
 
小学生時代に毎日、毎日、遊んで遊んで遊びつくしたあげく
 
作られていったものだな~と思い当たりました。
 
どちらかというと、うちの子たちは、飽きっぽかったり、人間関係で、
 
打たれ弱かったりする所があったのですが、
 
子ども同士わいわい群れてする遊びは自然に子どもをたくましくして
 
くれるな~と思います。

前にも書いたことがあるのですが、

娘が5、6年生、息子が2、3年生のとき、近所の子どもたちと一緒に、

息子を社長にして、「そそそ会社」という架空の会社を立ち上げていました。

娘と娘の友だちは、いつも息子をからかったり、

キツイ言葉をかけたりしているのですが、社長に祭り上げているあたり……

遊びを生み出す発想力に関しては息子のことを一目置いてたんでしょうね。

「この子の思いつくアイデアに乗ってたら、はずれがなく面白いはず」と。

 

娘と娘の友だちは、いつも社長より一段上の会長職か何か……のような

立ち位置にいて、陰の支配者のようにも見えました。

 

この会社、子どもたちの思いつくままにどんどん事業を広げて、

(よく思いつくもの……と呆れるうちに……)

テレビゲーム製作部門、おもちゃ製作部門、販売部門、映画制作部門、

販売部門、プレイパークの運営……あげくの果てには、学校経営にまで

手を出していました。

それで、近所の低学年を勧誘して、面接試験をし、社員研修まで

おこなっていました。

この試験とか、社員研修といったアイデアや内容は、ほとんど娘の友だちが

考えていました。

「将来はシナリオライター?」と思うほど、おもしろおかしい文章や

アイデアがつらつら出てくる子なんです。

二階で好き勝手に遊んでいるのですが、時々、聞いていると、

この「そそそ会社」の面接試験も、経営している学校の入学試験も、

世間の価値観の逆さまなのです。

「トイレに行ったあとで手を洗いますか?」といった質問には

「いいえ」と答えないと減点されて、試験に落とされたりするのです。

本気で試験に挑んでいた子が、泣きながら試験に落ちた~と

私のところに訴えてきたこともありました。

時折、バーッと外に出て行っていなくなったな~と思うと、

バタバタ駆け戻ってきて、

また遊びが再開するという繰り返し……でした。

 

子どもって、親が選ぶ「良いこと」だけでは育たないな~と

子どもが大きくなるにつれて感じます。

子どもの気持ちを前向きでチャレンジャーにしてくれるのは、

失敗したってどうってことない、飽きたら次を考えれば済む~という

環境のゆるさだったりします。

「新しくこんなことしてみたい、自分の全力をこれに傾けてみたい」と

ひらめいたとき、一瞬の迷いも、大人への遠慮も、罪悪感もなく、

自分をその中にどっぷり投入できる……。

それが子供だけでする自由な遊びのよさですよね。

思い通りにいかないことが多いこと、頭をしっかり使わないと

すぐ退屈すること、きょうだいも、友だちも、自分から働きかけて、

一生懸命、説得するなり、ぶつかりあうなりしないと、親や大人たちのように、

簡単に折れてくれないこと……。

とにかくジレンマを感じる場面に何度もぶつかるし、

考えてもみなかった事態に遭遇することもよくあります。

でも、それが、「どうしてもこれがやりたい!」という気持ちに駆り立てて

くれるし、退屈ついでの言い争いが、多少のことにくじけず、あきらめず、

どうすればいいのか考え続ける挑戦し続ける姿勢を作ってくれるのです。

 

私は毎日の子どもの生活に、退屈や無駄やけんかや、

大人から見ると「無意味で非効率的」なことがたくさんあるといいな~

と感じています。また、親の私が正しいと思う考えとは対極にあるものも

チラホラあるのがいいな~とも。

実際、子どもたちがかなり大きくなってみると、

私が価値をおいていなかったものが、

子どもたちを鍛え成長させてくれていたことがよくわかります。

 

ふるまりさんの記事にもうひとつリンクさせていただいて↓

★「輪ゴムをひっかけてあそぼう」オモチャ

 

タロウくんが地団駄を踏んで、「これがしたいんだ~」

「これじゃなきゃダメなんだ~」と訴えて、その熱意におされて、

しぶしぶ工作準備に手を貸す様子が描かれています。

これを読んで、そうそう~、もし最初から、

「お母さんはいつでもあなたの工作に手を貸しますよ、

スタンバイしてますよ」だったり、

「子どもに工作をしてほしいのは、

本人よりお母さんかもしれない」って状況だったり、

「工作教室で、きちっと材料が整っていて、今工作の時間ですよ」

だったりしたら、それほど工作に熱が入るのか……。

工作以外のことまで、貪欲にやりたいがんばりたいという気持ちが

起こるのか、疑問だな……と感じました。こうしたところに、

子どもをやる気にさせる、主体的にさせる原動力が生まれる

瞬間が潜んでいて、それは大人が「がんばって」作ろうとすると

すごく難しいことだなと感じるのです。

まず、本気で交渉すれば相手が動くという経験なり信頼感が

ベースにあって、それでいて、まあまあ手ごわかったり、

思い通りいかなかったりして、軽いジレンマや、必死に、あの手この手で

ぶつかる時間があって……

つまり、時間に追われていないことが大事で、

その後、人と人との間で自分の思いが達成できたという満足感が

残るという経験。

そうした繰り返しのなかでこそ、

自分の知力や、技術力や、体力や、精神力の限界が把握できるし、

自分が何がやりたいのか、内面から湧き上がってくるものを

実感できるのですよね。

 

2歳くらいの子でも、

新しいおもちゃを渡しても見向きもしなかったりするのに、

お友だちが持っていると欲しくなる、取り合うとさらに欲しくなって、

ものすごくやってみたくなる、

いつもならすぐに飽きてポイなのに、渡したくないからおもちゃに

熱中するという瞬間がありますよね。

そうやって人と人との間でジレンマを抱きながら、

自分の気持ちがワーっと湧いてくるから、

いろんなことに夢中になれるようになるのですよね。

もちろん勉強だって、大人の期待に応える形ではなく、

また級とか賞とか、プレゼントとか関係ないところで

「自分自身の心が強く強く何かを欲した経験」がベースになって、

がんばれるようになるのだと感じます。

 

うちの子たちの小学生時代のことを思い返すと、何が良かったのかって、

大人の価値観に真っ向から反抗して、好きなように無駄をやりつくして、

ひとつも「大人のため」が入っていない世界で、自分のしたいことをした、

やりたいことのエネルギーがいくらでも湧いてきたという

経験なのでしょうね。

そこで、すっきりとゼロの自分になって、

自分の人生にどんな計画を思い描こう、この人生に自分の知力、技術、体力、

精神力の全てを投入して何をやってやろう!

って力が湧いてきたのでしょう。

そして、今度は、一歩、現実の世界にも足を踏み入れて、

その力を勉強なり、人との関係の構築なり、使い出すのだと思います。


多方向から物を眺めるのが好きな1歳児さんのおもちゃ

2016-05-10 07:48:52 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達

1歳9ヶ月のAくん。車の立体駐車場を眺めるが大好きな男の子です。

教室では、ミニカー遊びの際に、さまざまな方向から見て楽しむ姿があります。

からくりのあるおもちゃのしかけにも強い興味をしめします。

そんなAくんと遊ぶために、簡単な遊び道具を作りました。

空き箱の側面や上部に穴をあけて、サランラップの空き箱を通します。

覗き穴を見降ろすと、四方から入った車が交差するところや、

スロープをすべっていくのが見えます。

 

いただきものの筒2つを使って、2分ほどで作れるエレベーターも作りました。

一方の筒をたてに切って貼り合わせて、ひとまわり円周が小さい筒にします。

小さい円の筒には、厚紙で底もつけます。

車の出入り口をつけたら、エレベーターのできあがり。

 

 

Aくん、数や量に対して敏感になっている時期ようで、

物を移し変えたり、並べたりする活動がさかんです。

自分の思いや欲求をいっしょうけんめい周囲に伝えようとする姿もあります。

大好きなことでとことん遊びこむ生活が、Aくんを健やかに成長させています。


買い物ごっこで算数学習

2016-05-09 18:47:06 | 算数

1年生の子たちのレッスンで。

買い物ごっこで算数を学びました。

100円のものだけ売っているスーパーマーケットをコピー用紙に100円と書いて

作りました。

他に150円のものだけ売っているスーパー、250円のものだけ売っているスーパーも。

子どもたちは、ちらしで作った食品をそれぞれのスーパーに並べるのに大はしゃぎ。

子どもたちに500円玉を渡して、おつりが出ないように買い物するよう

課題を出しました。

レシートとレシートが出てくる機械です。

最初は、100円の食品を5つ買うことに終始していた子どもたちですが、だんだん

冒険して他の値段のものも買いはじめました。

でも、1年生になった子たちにとって150円と150円を足すといくらかを

暗算で出すのは難しいようでした。

「50円と50円は100円だから……」と真剣に考えています。

「150円と150円は、100円と100円と50円と50円のことで、50円と50円は100円だから……」

とずいぶんしっかりしたことを言うわりに、「20円?えっあれ?500円かな?」とトンデモな答えに結びつくのは

1年生になったばかりの子ならでは……。

でも、他の子の気づきを見習ったり、手の平を使って、150足す150は、両手と片手たす両手と片手。あわせると

3人分の手、といった遊びを通して、だんだんわかってきました。

さまざまなパターンで500円分買う方法を考えていました。

 


遊びが広がらない自閉症の子との遊びを発展させていく方法  続き

2016-05-08 18:36:41 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

わたしが自閉症の子たちと関わる時は、

その子サイズの目盛がある『ものさし』を

自分の中に作っていくようにしています。

 

すると、それまで子どもとうまく関われなかったとおっしゃる親御さんのイメージの中にある

子どもの進歩や成長や遊びの広がりを測るための『ものさし』と

わたしの『ものさし』は、

質も目盛の単位も全く異なる場合がほとんどです。

 

そこで、親御さんにわたしの抱いている『ものさし』のイメージを取り入れていただくと、

子どもの成長が促進されていくことがよく起こります。

 

『ものさし』といえば、最近、こんなうれしい報告をいただきました。

 

発達障害のある子の対人関係能力を伸ばす活動 2

発達障害のある子の対人関係能力を伸ばす活動 3

発達障害のある子の対人関係能力を伸ばす活動 4

発達障害のある子の対人関係能力を伸ばす活動 7

の記事で書かせていただいた●くんについてです。

 

「タイトルに偽りあり」じゃないですが、

●くんは発達障害ではなく脳の先天的な障害によりハンディーキャップを抱えている子なのですが、

記事の中で(そう断りを入れた上で)

他の話題といっしょに紹介させていただいていました。

 

今回も、自閉症の子の『ものさし』の話ではないのですが、

親がその子サイズに作る『ものさし』について説明させていただくために

●くんの話を取り上げさせてくださいね。

 

●くんのレッスンから、1ヶ月半ほど経った先日、

お母さんから、●くんの変化について

いくつかお知らせいただきました。

 

以前はブロックを階段のようにずらして積み重ねて「怪獣~」と言うのみだったのが、

前脚と後ろ脚を分けてつけたり、左右の足をつけたり、首や脚の長さを変えて、

カンガルーやリスに見立てたりするようになったそうです。

ペンギンの人形を縦に並べたり、円陣を組んで配列したり、家に外階段を取り付けてみたりと、

ブロック活動の幅が広がったそうです。

 

トイレが自立し始め、呼びかけると返事をすることが増えてきたそうです。

またお友だちに興味を示し、声をかけるようになってきたのだとか。

お母さんのお話では、虹色教室に来るまでは、1年前とか半年前と比べて、少しできるようになったかな、という

状態だったけれど、たった1ヶ月半ほどで

さまざまな成長を感じられた、ということでした。

 

子どもには成長が足踏みしているように感じられる時期と

急速に発達する時期が交互に訪れますから、

たまたま成長が著しい時期と虹色教室に来た時期が重なったとも思われます。

ただ、そうとばかりは言えないな、と感じているのは、

●くんのお母さんの●くんの活動を眺める視線が、非常に細やかで、

小さな成長や心の動きもキャッチできるようなものになりつつあるからです。

 

●くんのお母さんの何げない


最近ではおもちゃの車6台を丁寧に一列に揃えて並べたり(縦、横)、教えてもいないのに2列だったり
3列にきれいに並べては「ママ、見て~。」と言ってくる姿がとても愛おしく感じます。

 

といった言葉からも、

お母さんがどんな小さな変化も感じ取り、より良いフィードバックを返しているであろうことを

察することができます。

お母さんが●くんの成長の非常に些細な変化も

測定できるような『ものさし』を自分の中に作りつつあることが、

●くんの成長を促進しているにちがいない、と感じられるのです。

 

前回までの記事に次のようなコメントをいただいています。

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「自閉症の受身から遊びが発展しない」からコツをつかみたく続けて読ませていただいています。
物を使ったり、一人遊びもやり取りも苦手です。
お気に入りの本が3冊あり、好きな絵や文を「これなあに」と答えを聞くのが好きで、できるだけ楽しく答えてあげ、あとは好きなハンドタオル(他のタオルや洗濯しようとすると怒る)と一緒に自分のそばへおきます。小学校(支援学級)に行く以外は寝る前も枕元です。

本のキャラクターで手作りのパズルや塗り絵他、遊びを広げようとして色々誘っても難しく「描いて」「作って」とも言われません。
誘いは嫌がります。

「視覚的に気になるのを答えてほしい。せりふを言ってほしい、歌ってほしい、くすぐってほしい」など聴覚?感覚的な要求が多いです。

物や手を使いたがらない、安心感のために置いておくものは、どう対応していけばいいのでしょうか?何が好きなのか、先生のように色々な角度で知ることが出来たらと思って試行錯誤しています。
みなさんのようにおもちゃや物で遊ぶ息子をみてみたいです。

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誘いにのらず、おもちゃを買っては無駄になることが多い自閉っこなので、この記事に何かいいきっかけをと思い有難く読んでいます。
2~3語ですが、とにかく日常でも遊びも甘えや不器用で自信なく要求ばかりです。子供の興味あることの字も絵も工作も手作りし、簡単に少しだけにしてやりとりや達成感を体験させていましたが、反応がよくないので、違うのかなと感じます。あれとってこれ読んでと自分で出来ることも何でも要求し頼ります。わがままなのかと感じてしまうのですが、この記事を読むと、頼りたい、要求の時期はやり取りの前の時期なのでしょうか。上手く出来ない状態ですが、少しでも身につけられるよう続きを楽しみにしています。

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見たり聞いたり感覚を楽しんだりするけれども

能動的に自分の手を使って何かに取り組むことがないという自閉症の子は、

 

その子の好きな「見たり聞いたり感覚を楽しんだりする活動」と

 

「自分で働きかけたり作ったりする活動」との

 

橋渡しになるような

それらの中間に位置するような活動がたくさん必要なのかもしれません。

 

大人が考えるおもちゃや工作に誘うのではなくて、

その子が好んでする行動に注目して、

それを

造形芸術活動の中で楽しめないか、、

目的を持って能動的に行う活動の中に組み込めないかと考えてみるのです。

 

たとえば、指先で何かをこするが好きでしたら、

鏡の上などにベビーパウダーなどを薄くまぶして、

指でそれをなぞりながら絵を描くのを楽しむかもしれないし、

パステル画を楽しめるかもしれないし、

クレパスなどを楊枝等でひっかいたり、消しゴムを使うのを喜ぶかもしれません。

 

また、水などを手ですくうのが好きな子なら、

園芸用の水を含ませるアクアボールなどをプラスチックカップに入れるままごと遊びを

楽しめるかもしれないし、

水車を用意すれば、それに水をかけて遊ぶのを楽しめるかもしれません。

 

ある音を好んで聞きたがるのにしても、

好きな曲を選んで聞くことができるようなシステムを

作ってあげると、遊びが広がるかもしれません。

 

ただそうした外から新しく提案されることに

何ひとつ興味をしめさない子やボーッとしたまま何にも

気持ちを向けようとしないように見える子もいるはずです。

 

そうした関わることがとても困難に思われる子と過ごす場合、

何か働きかけようと焦るよりも

その子が嫌がりそうな刺激を減らし、

その子がアウトプットするものより、

こちらがアウトプットするものの方が大きくなったり強くなったりしないように

努めていく引き算の考えで接する方がいい時もあります。

 


遊びが広がらない自閉症の子との遊びを発展させていく方法 

2016-05-08 07:24:36 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

「自閉症の子の遊びが広がりません」

「やりとりが発展しません」

「みなさんのようにおもちゃや物で遊ぶ息子を見てみたいです」といった

相談をいただいています。

 

自閉症の子たちの遊びの世界を広げるには、

一般的な子たちにするようにおもちゃや環境を用意して

遊びに誘っていくのではうまくいかないように思います。

 

そのままだと、自閉症の子は自分の狭い興味の枠から決して出てこようとせずに、

同じ刺激だけを求めて、

「物や手を使わずに、安心のために何かを近くに置いておくだけ」とか、

「歌のワンフレーズを繰り返しながら、部屋の中をくるくる回っているだけ」とか、

「ドールハウスや乗り物のおもちゃのドアの開閉を繰り返すだけ」とか、

「水やビーズなどをかき混ぜ続けるだけ」という遊び方に固執しがちだからです。

 

ひとつの刺激に固執しない多動を伴う自閉症の子たちの場合、

あちこち探索して回っては、

おもちゃに触ったところで人が近づくと急に興味を失って、

フラフラと次の何かを探しに行ってしまいます。

 

そんな風に遊びに誘っても、遊びが成り立たない子と

どうやって遊びを作っていけばいいのでしょう?

 

 

わたしは、初めは遊びに誘うのではなく、

相互に交流できるような関係を作っていくことを大事にしています。

それと同時にその子独自の『ものさし』をこしらえていきます。

もうひとつ、自閉症の子の多くは記憶を映像としてリアルに残していてなかなか忘れないという子が多いので、

こちらは言葉や写真でその子と共有した出来事を記録しておいて、

ずいぶん時間が経ってからも、その記憶に基づいて遊べるようにしてもいます。

 

自閉症の子たちと相互に交流できる関係を作るためには、

 

安心感を持たれること、

頼られること、

その子の見ている世界や感じている世界を共有すること、

その子の記憶を共有すること、

 

の4つが重要だと思っています。

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自閉症の子たちと相互に交流できる関係を作るためには、

 

安心感を持たれること、

頼られること、

その子の見ている世界や感じている世界を共有すること、

その子の記憶を共有すること、

 

の4つが重要だと思っています、と書かせていただきました。

 

そのうち、「頼られること」から

説明させてくださいね。

 

「頼られる」ためには、子どもをめぐる環境と、

接する時の『間』の取り方が

大事だと思っています。

 

子どもの好きなおもちゃやしたいことが

自分の手の届くところにあって、

ひとりで勝手に遊んで満足しているような環境では、

大人に頼るような場面そのものが起こりようがありません。

自閉症の子たちは毎日、同じ繰り返しを好みますから、

なおさらです。

 

できれば、その子が強く欲するものは、

誰かに頼らないと手にできないような状態にして、

(それでいて、箱の外に貼られた写真では中身がわかるようにしておくなどして)

人に向かって要求したり、頼んだり、頼ったりすることが

自然に発生するような環境を作ることが大事だと思っています。

 

子どもから、それを取って欲しい、渡して欲しい、開けてほしい、という要求があった時は、

サッと物だけ手渡すのではなく、

「ちょうだい」「取って!」というリアクションを出したり、言葉で表現できるように

うながしながら、

本人の能動的な態度が出てくるように

少しじらすようにします。

もし言葉を発するのが難しい子なら、その物の絵や写真のカードを差し出させるのでも

いいです。

 

また、「作ってほしい」「並べてほしい」など

要求やお願いのバリエーションが増えるような

生活上で見せたり体験させたりすていくことを増やす工夫も必要です。

 

もし、「ちょうだい」「取って!」といった意思表示が出始めたら、

次には、「どっち?どっち?」と選ばせたり、

「トントントン、ワンちゃんちょうだい!」と引き出しをノックする真似をして

欲しがっていたイヌのおもちゃを

取りだすなどの遊びを加えたり、

「はい、どうぞ!」「ありがとう」とオーバーなリアクションでやりとりするなど

バリエーションを増やしていきます。

 

本人の内面から出てくる要求や衝動を

貴重なもの、大切なものとして

そうした子どもの側の強い気持ちが動いている時に、

人に頼んだり頼ったりするといい結果を得たという

体験を積み、同時に人と関わる時にさまざまなバリエーションに

慣れさせていくのです。

 

 

ただ自閉っ子によったら

自分に強い衝動や要求が起こると同時に、パニックを起こして

泣き叫んだり、大暴れしたりして、

頼んだり頼ったりする態度を引き出すのが難しい子もいます。

また、衝動や要求自体が弱くて、

すぐに手にできないとなると、たちまち興味を失って、まるで何もなかったかのように振舞う子もいます。

 

そうした子には、環境作りだけでなく、

「安心される」にはどうすればいいのか、に注意して

関わり方を模索していくことが大事なように感じています。

 


基礎的な発見 13 <貨車に荷物を積み込む方法>

2016-05-07 20:58:47 | 子どもたちの発見

教室の子たちは、貨車に荷物を積み込むのが大好きです。

どんな風に積むのかアイデアを練るのは楽しい作業です。

 

年長のAくんとBくんのレッスンでのこと。

Aくんがスロープを使ってどんぐりやビー玉を貨車に乗せて遊んでいました。

スーパーボールは跳ねるので、スロープと貨車を少し離さないといけないことや、

線路が曲線なので、スロープの向きがとても大事なことに気づいていました。

 

チーズの空き箱の穴を開けて、こんな積みこみ方も試してみました。

 

チーズの空き箱の中央には、モールを通しているので回転します。

穴と穴が重なると、スーパーボールが下に落ちて、貨車の中に収まる仕掛けです。

大成功!

Bくんは、回転する積み込み道具に玉がたまるように

ピタゴラ装置を作っていました。 

 


子どもが思い通りに育たないのは、育て方を失敗したため?3

2016-05-06 07:00:38 | 日々思うこと 雑感

わたしが教室で見かける親を困惑させる子のほとんどは、

発達障害による育てにくさがあるか、ハイリーセンシティブな子か、

ギフテッド(ハイリーセンシティブな子や発達障害の子と重なる部分を持っている

ことが多い)の子のいずれかの特徴を持っているように見えます。

ギフテッドは、先天的に平均値よりも顕著に高い能力を持つ子たちのことです。


ギフテッドの子どもたちは、神経の感受性が増すことによって通常の人間より

刺激を生理的に強く経験する特徴を持っているとされています。

こうした刺激に対する並みならない反応をすることは、OE(過度激動)と

呼ばれています。

ギフテッドの子らのように高い能力を持っているわけでなくても、

ハイリーセンシティブな子たちは、よくこのOEという精神状態にあります。

 

ポーランドの心理学者、精神科医、詩人であるドンブロフスキは、

OEという平均以上に敏感な精神状態を5つの分野に区分けしています。

 

1精神運動性OE

落ち着きがなく頭の回転が速い印象を与える。話が一気に飛躍する、

頭が働いて眠れないなど

 

2. 知覚性OE

神経質さ。光、音、匂い、触感など感覚器官に与えられた刺激に過剰に反応する。

美的感覚にもつながる。


3. 想像性OE

隠喩などの詩的表現に優れる。「注意力散漫」と見られる。白昼夢を楽しむ。


知性OE

広く知られているギフテッドの特徴。知識を渇望し、疑問は研究し、理論的な分析や

真実の探求を愛する。そのため高度な科学・ドキュメンタリー番組を好んで見たり、

頭脳パズル、知覚ゲームを好む。


5. 感情性OE感情の種類と幅が大きく「ドラマチック」な反応を示す。

より楽しみ、より悲しみ、より怒り、より驚き、より恐れる。深く感情移入し、

愛着心、責任感、自省意識も非常に強い。

 

子どものOE過度微動が強ければ、育てる親にすれば、

日々、へとへとに疲れ果ててしまうことは想像できます。

でも、こうしたOEの強い子たちの優れた面に光を当てて、

もがき苦しみながら成長していく姿に寄りそい、創造性や強い探究心を発揮する場を

保証してあげるなら、思い通りに育たない不全感は、思った以上の、

想像できなかったほどすばらしい個性の面白さに変わっていくのだと感じています。

また、実際に教室で、そうした姿を目の当たりにしています。


100円ショップのクエストすごろく 新2年生の学習に役立ちます

2016-05-05 19:46:02 | 算数

100円ショップのおもちゃコーナーで売っている『すごろくクエスト』がとても面白くて

おすすめです。

10ポイントのHPを貯めては、さまざまな敵とバトルしながら進みます。

自分の貯めているHPのポイントにさいころの目をかけて

敵とバトルします。

かけ算を学んでいない子は、サイコロの目が3の場合、

「20ポイントが3つよ。20+20+20」という計算をしてバトルします。

途中で、ガケからくつをおとしたり、荷物をおとしたりして

HPを失っていく危険なゾーンもあり、子どもたちを夢中にする要素がたくさんあります。

大人が手伝ってあげるなら、年中や年長の子らもけっこう楽しめます。


子どもが思い通りに育たないのは、育て方を失敗したため? 2

2016-05-05 08:23:36 | 子どもの個性と学習タイプ

前回の記事の最後に、

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子どもの困った状態は、接し方や子どもの捉え方を変えれば改善するけれど、

だからといって、今、子どもの問題の原因は

それまで間違った育て方をしてしまったからとは思われない。

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といったことを書きました。

これはわたしが教室をしながら、何度も実感していることです。

 

わたしは「たくさんの子どもたちと接する機会がある」という点と

「今、困った状態にある子と非常によく似た時期を経た子が、

その数カ月後、1年後、数年後には、

どのように成長していったのか目にしたことがある」という点で培った勘のような

ものですが、それは、子どもの言動に途方に暮れている親御さんが感じたり考えたり

判断したりしている内容と、かなりずれがあります。

 

子どもの問題行動がエスカレートしている時、たいていの方は、

「叱りすぎているのでは」「これまでの接し方が間違っていたのでは」と

親の自分にその原因があるのではないかと悩んでいます。

でも実際にそうした子とじっくり付き合ってみると、子どもの気質の側に因があって、

親の叱り過ぎや接する際の悩みを引き出しているように見えるのです。

 

周囲を疲労困憊させるほど困らせる子には、

発達に偏りのある子もごく一般的なもあるでしょうが、

どちらにしろ、際だって魅力的な面を持っている場合がほとんどです。

知能がとても高かったり、美的な感性が優れていたり、好奇心が強く科学への関心が

強かったり、エネルギッシュで粘りがあったりするのです。

繊細で優しい気持ちを持っていたり、

きちんとしよう完璧であろうがんばろうという気持ちが人一倍強かったりする子も

多いです。

 

基礎的な発見 12 <丸い形>

2016-05-04 19:47:36 | 子どもたちの発見

 

 教室で、『丸い形』でどんなことができるか、をいろいろ探究しています。

今回、梱包材を巻いていたというダンボールの筒をたくさん持ってきてくれた子が

いたので、さっそく、この「丸い形で何ができるか」遊びが始まりました。

上の写真は、箱を灰色の画用紙で巻いて、刻印をつけているところです。

大阪城に出かけた時の刻印石がよほど印象的だったようです。

 

筒を半分ずつに切って6本の丸太にして、石を運ぶ道具にすることになりました。

 

石をゆっくりひもで引っ張ると、丸太が回転し、少ない力で前に進みます。

石の移動に合わせて、後ろの丸太を大慌てで一番前に置きにいきます。

4人の子どもたち、一致団結して、これをくり返し、

壁まで進んだら、また最初の地点に戻って遊んでいました。

 

石の運搬中、横で応援するための旗も作っていました。

 

今日のレッスンで見たもうひとつの『丸い形』の利用です。

4歳の生き物が大好きなAくんいわく、

「この舟は、もし悪いのが来たら、くるくるくるっと丸まったら、

もう踏まれても大丈夫。丸くなっている時は、ぜったいやられない」ということでした。

どんどんトレイをつないでいくうちに偶然丸くなることを発見したようですが、

昆虫や動物が、丸まることで、敵の攻撃を避けることが思い浮かんだようです。

 

↑ 丸まったところ。