虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

親御さんへの「ダメ出し」 5

2011-08-28 18:28:50 | 教育論 読者の方からのQ&A

ユースホステルで年長さんの■くんとお母さんのやり取りで

少し気になるところがありました。

■くんのお母さんは子どもがいきいきと遊べる環境を用意するよう心がけている明るく大らかな性質の方で、

■くんは体格が良くて活発で好奇心が強そうな男の子です。

 

■くんのお母さんは気長で子どもの気持ちに添って接する方で

小言を言ったり、ガミガミ叱ったりすることはほとんどないようでした。

気になったところというのは、工作タイムで、■くんのお母さんが「こんなことしてみたら?あんなことしてみたら?」と熱心に話しかけているときに、

■くんは聞くのがわずらわしいという表情をして、

うわの空で返事をしているのです。お母さんがさらに関わろうとすると、黙ってそこを離れて、

私の隣を陣取って工作を始めました。

どうもモーターを接続する工作がしたかったようで、私の隣にいたら

教わりながら自分の思うものが作れると思っていたようです。

■くんが工作に意欲的なことはうれしかったのですが、

■くんが私に向かっても「自分がこんなことをしたい」「あんな風にしたい」という意志を表現することなく

その割にモーターや電池を貼りつけるのに夢中になって身体全体からやる気が伝わってくることが

気になりました。

■くんには3歳になったばかりの妹さんがいて、この子は知能も言葉の力も社会性も4歳半~5歳レベルという

しっかりさんでした。

自分が何をしたいのか、それには何を準備してどうすればいいのか、自分はどう感じているのかを

流暢に説明しては、テキパキ動いていました。

この妹さんは、テキパキしたところも、いろいろな情報をすぐにキャッチできるようなところも、

自分の思いつきや考えを流暢に言葉にするところも、

活動的で人と関わるのが楽しそうなところも

■くんのお母さんとよく似ていました。

 

■くんはというと、別にもじもじしているわけでもないし、おしゃべりが苦手というわけでもなさそうだし、

活動的でもあるし、人とリラックスして関われてもいるのだけど、

なぜか■くんの意志とか、気持ちとか、思いついたことなんかが

会話のなかで自然に出てくることがないのです。

お母さんからいろいろたずねられると困った表情をして、短く「うん」とか「ううん」とか答えるだけです。

■くんのお母さんも、■くんが自分からいろいろ意見を言わないのに慣れっこになっているのか、

■くんの「うーん」と渋るような様子は気にかけずに、

次々喜ばせるような声かけを続けています。

また、■くんが捕まえたセミを逃がすのを嫌がって、「うーん」とか「いやー」とか小さな声で言うと、

それだけで、■くんの気持ちに配慮して■くんの言う通りにしてあげたり、

■くんがお母さんの質問に答えずにスッーとどこかに行ってしまっても、ただ優しく見守るだけで

そっとしていました。

そうした■くんのお母さんの態度からは、■くんに対する深い理解や愛情が伝わってきました。

一方で、いつもはっきり言葉にせずに、「んー」と言いながら少し身体をくねらせるだけで、

お母さんから「どうしたのかな?」「どうしたいのかな?」と察してもらい、手をかけてもらっているため、

言葉が必要な場面でも、言葉を使わずに、相手に察してもらったり、「こうしたいの?」「ああしたいの?」と

たずねてもらうコミュニケーションを身につけていて、いざ「それ貸して」「これちょうだい」「ありがとうございました」といった

ちょっとした言葉を使うシーンでも、うまく表現できなくて困惑しているときがありました。

 

■くんと遊ぶなかで、いろいろ質問してみると

形のちがう容器に水を入れたときにどちらが多いか判断した理由を、きちんと表現できたり、

理科実験で仮説をたてたり、原因を説明したりすることもちゃんとできて、

語彙力や考える力に問題はないのです。

 

でもなぜか、その後も、自分のやりたいことや自分の思いや自分の考えのようなものが

自然と口にのぼることがほとんどありませんでした。

それなのに、人一倍、自分のやりたいことや自分の思いや自分の考えは

強いものがあって、一度やりはじめたらそれはねばり強く最後までやり続けていました。

 

次回に続きます。

 

 

 


親御さんへの「ダメ出し」 4

2011-08-28 16:03:15 | 教育論 読者の方からのQ&A

親御さんに「ダメ出し」をするときに、親御さんの子どもへの接し方なり教育なりが

間違っているのかというと

そんなことはないのです。

子育てはこうあるべきとか、こうすべきとか、

いろいろ言う人がいるけれど、どのような関わり方が良いのかというと

子どもの性質によりけり、親御さんの感性によりけりで、

関わり方だけを取り上げて善し悪しを比べられるものでも、「こうすればいい」と言い切れるものでもないですよね。

それなのにどうしてダメ出しをするのかというと、

子どもといっしょに工作や勉強や遊びをしていると、

「この子の知力や人と関わる力や語彙力を見ていると、

この場面で、もう少し親と交渉して意見をすり合わせていくような態度があってもいい感じなのに、

プイッと無言で移動することが多いのはなぜなんだろう?」

「親御さんはたくさん言葉をかけているし、語彙力も多いし、恥ずかしがり屋の子でもないのに、

他の人や他の子に接するときに、

妙に不器用になって、何を言ったらよいのか途方に暮れていることが多いけれど

なぜだろう?」といった疑問を抱くときがあるのです。

その後、親御さんと子どものやり取りを見ていると、

これは子どもの性格や能力の問題ではなくて、親御さんとの関わりのなかで

生じている問題ではないかと思われるような

親と子の言葉と言葉、表情と表情、気持ちと気持ちのキャッチボールにぎこちなさを感じる場合があるのです。

親御さん側は、ごく普通に子どもに話しかけているのだけど、

それを受け取る側の子どもの表情が固かったり、うわの空だったり、反抗的だったり、聞こえているように見えなかったりして、

返事に覇気がなかったり、自分の意志や意欲が感じられなかったりすることが多い場合、

「ちょっと接し方や言葉かけを変えた方がいいかな?」と感じることがあります。

そして具体的に対応法をアドバイスすると、

 急速に関係が改善し、気になる子どもの行動が減っていくことがよくあります。

 

そんなわけで、余計なお世話で、「ダメ出し」をするのですが、

あくまでも親御さんの対応が「正しい」か「正しくないか」、「良い」か「悪いか」という話でないことは

お断りしておきます。

 

たとえば、調理ひとつとっても、素材や分量、作る料理などで塩加減も火加減も変わってきますよね。

「○グラムだからいい」「○度だから正しい」というものではなく、

その都度、微妙な調整していくとおいしい料理ができがるはずです。

 

人の場合、生命があるもので、日々変化し成長していくものですから、

もっともっと場合によりけり相手によりけりの加減が必要で、

言動に善し悪しのレッテルを貼るのでなくて、

「前に行って、下がって、くるっとまわって、おじきして……」とダンスでも踊るように、

気楽に微調節しながら付き合っていく必要があると思うのです。

 

私がこれほど長々と前置きしてから、「ダメ出し」の話に入っていこうとしているのは、

親子の会話場面の一部や遊びの場面の一部に

「こうしたらいいのでは?」というところがある親御さんも、

別の場面での接し方や子どもへの愛情や

お家での環境の作り方などトータルすると、尊敬できる部分をたくさん持っている方である

場合がほとんどだからです。

子どもさんの気になる点についても、ある一部では気になっても

別の面では親御さんの接し方の良い面を反映して、平均的なその年齢の子より

ずっとしっかりしているところがあったり、親切だったり、大らかだったり、知的好奇心が豊かだったりして、

私が上から「こうしなさいね」と指導できるような立場ではないのです。

 

そう繰り返し前置きした上で、

スポーツのフォームを整えたり、お料理の味つけを習ったりするように、

親子関係のちょっとした「ずれ」を微調節することを学んでいただきたいなと思っています。

そうすることで、

子どもの態度や知的な力が目に見えてよくなることを実感しているからです。

次回は具体的な改善策を書きますね。

 

 

 


親御さんへの「ダメ出し」 3

2011-08-28 10:40:35 | 教育論 読者の方からのQ&A

■ちゃんと◎ちゃんの説明はこうでした。

最初に○ちゃんと◎ちゃんがベッドの上段に上がって勝手に自分の場所と決めていたようなのです。

そこに■ちゃんが現れて、◎ちゃんのベッドに登って行ってベッドを取り合ってじゃんけんをしたそうです。

すると◎ちゃんが勝ちました。

負けた■ちゃんに、気のいい○ちゃんが、「私のところにおいでよ~いっしょに寝ようよ~」と誘いかけたそうです。

そこで■ちゃんと○ちゃんがいっしょに寝る算段で、二段ベッドの上でふざけていたところ、

親御さんたちから「危ないから、上でふたりで寝てはダメ!」と注意を受けたようです。

■ちゃんと○ちゃんがじゃんけんをしたところ、先にベッドを陣取っていた○ちゃんが負けて、

泣いて抗議するものの、「じゃんけんで負けたのだから仕方ないでしょ」「最初に勝手に場所を取ってたからって自分のものにはならないでしょ」と親御さんたちからも子どもたちからも理路整然と説明され、

本人としては納得できずにしつこく抗議して愚図っていたので、

しまいに○ちゃんのお母さんのカミナリが落ちたようなのです。

 

○ちゃんのお母さんというのは私の数倍は寛容で気の長い方です。

その○ちゃんのお母さんがきつい言葉で叱ったとあれば、おそらく私がそこに来るまでに

○ちゃんは、カミナリでも落とされないと収拾がつかないほどのごね方をしていたのでしょう。

 

「家に帰るわよ」という脅し文句は、

こうした楽しいイベント事が何より好きな○ちゃんにかなりこたえたらしく、

私が着いた時には、しくしくと静かに泣き続けているだけでした。

 

出来事を説明する■ちゃんと◎ちゃんの興奮した口調のなかには、

自分だけが上の段を取っていることへの罪悪感や、

じゃんけんの結果を素直に受け入れることができない○ちゃんを罰する気持ちや、

自分たちは悪くないもんと主張したい気持ちや、上の段が取れて有頂天になって自慢したいような気持ちなどが

入り混じっているようでした。

そのテンション高くまくしたてる様子は、じゃんけんに負けて泣いている○ちゃんからすると、

「イケズ」として映っていたかもしれません。

 

そこで私は、「○ちゃん、こっちにおいで」と呼んで

「上の段で○ちゃんも寝たかったんだね。それに、■ちゃんに親切にしようと思って

自分のところに呼んであげたのに、こんなことになって悲しいのよね」とだけ言いました。

○ちゃんは素直にコックリすると、私にもたれかかって涙を拭いながら

黙っていました。

私はあれこれ言うのはやめて、ただ泣かせておいてあげました。

○ちゃんは怒っているわけではなく、自分が遭遇した現状を受け入れるために

もう少し泣く必要があるだけでしたから。

 

私はベッドの上から何か言いたげに顔を出しているふたりに向かって、

いたずらっぽく、

「じゃんけんで勝った人は、カーテンを閉めて静かにしていてちょうだい。

自慢たらしく騒がれたら、負けて悲しい気持ちの人が、悲しいけどしかたがないか、我慢しようか……って

気持ちになれないでしょ。さぁさぁ、上の段の人はベッドの横から足を出したり、

はしごのところから顔を出したりしないで、ひっこんでてちょうだい。

ベッドから足を出したりして寝ぞうが悪くてもいいのは、下の人たちだけよ。

上の段はそんなことしたら危ないんだから。きっちりカーテン閉めてお行儀よく寝てちょうだい。

下で寝る人は、落ちてもけがしないでしょうから、暑い時にはベッドから足を半分くらい出してたり、

ごろごろ寝返りうっても構わないわよ。」

上の段の■ちゃんと◎ちゃんが苦笑いをしながらも黙ってひっこむと、

○ちゃんは次第に機嫌をなおしていきました。

しまいに1段目のベッドに寝てみて、上の人たちに自慢するように

わざと足をベッドから落ちそうなほど外に出して、「こっちで寝る方がいいわ」と言って、

ごろごろ寝返りを打つと、にっこり笑顔を見せました。

その様子を、最初から下の段に寝ることにしていた☆ちゃんは

黙って見ていました。

☆ちゃんは聞き分けがいいおりこうさんタイプの子です。

子どもたちが2段ベッドの取り合いを始めた時点で、☆ちゃんのお母さんが、

「☆は弟がいるんだし、下で寝なさい」と言った一言で

すぐにそれに従っていたのです。

争いごとが嫌いな☆ちゃんは、揉め事が激しくなるのを見て、

1段目を取っていてよかったと思っていたようです。

でも夜の大人だけの勉強会では、☆ちゃんのお母さんは

☆ちゃんが何を選ぶのかをお母さんが決めてしまったことに対して

反省していました。

最終的には揉め事がきらいな☆ちゃんは自分で下を選んだ可能性が高いけれど

最初から☆ちゃんを揉め事の外に出してしまったことを反省していました。

いい子タイプの☆ちゃんは、聞き分けが良すぎる半面、

「自分からこんなことをしたい」「勝ちたい」「できるようになりたい」という意欲が弱いときが

あります。

見たところ意欲的でしっかりした子なのに、

自分が遭遇している現実に対して、どこか他人事のように振舞うときが

多々あるのです。

がまん強いけれど、どこかでしらけた態度をとることがあるのです。

ユースホステルでの☆ちゃんはおそらく本来の性質である

芯が強くて情緒が豊かで他の子らを惹きつける魅力的な一面をたくさん発揮していました。

大人の顔色をうかがって緊張しているときではなく、

子ども同士で自由に自発的に振舞っていた時です。

☆ちゃんは、さまざまな場面で本人の判断に任せても大丈夫な

利発で責任感のある子なのです。

こうして他の親御さんや子どもといっしょに過ごすなかで、わが子に対する認識を改めながら、

☆ちゃんとお母さんとの関係も、少しずつ微調節していくと、さらにいいものになっていくように思いました。

 

 

 

 

 


親御さんへの「ダメ出し」 2

2011-08-28 08:29:03 | 教育論 読者の方からのQ&A

ユースホステルに宿泊する日の夜は

親御さんたちと

真夜中過ぎまで親のための勉強会をしています。

毎回、和気あいあいとしてそれは楽しい時間になっています。

 

この日は、いろんな面できちんとした性格のために、

独身時代や職場ではそれで物事がうまく回っていたけれど、

子育てをする際には

決まりごとをゆるめたり曖昧さやルーズさを受け入れたりしていくことにとても苦労したという

Aさんも参加していました。

Aさんは◎ちゃんよりもう少し大きな子を育てています。

 

Aさんは、◎ちゃんのお母さんの気持ちがよくわかる~と共感した上で、

「まず、小さなひとつだけ、まあいいか……とゆるめる部分を作ってみると、

他の部分でも、これもまぁいいか……あれもまぁいいか……と少しずつ許容できる範囲が広がっていきますよ」と

具体的なアドバイスをしていました。

 

その晩は◎ちゃんのお母さんが子育ての悩みや不安や小さな喜びや面白さやイライラなどの本音を

自由に言葉にしていくのを、

他のお母さん方も私も、共感したり、なだめたり、応援したりしながら耳を傾けていました。

結局、「本音に耳を傾けた」というそれだけのことをしただけなのですが、

そうした時間を過ごすことで、◎ちゃんのお母さんはもちろんそこにいた誰もが、

親としてどのように子どもと接していこうかと

普段は見ようとしなかった自分の心の内面の風通しをよくして、

子育ての足元を固めるための時間を共有できたように思います。

 

私のようにもう大人に半分足をつっこんだような子どもたちを育てていても、

こうした子育て最前線に立っている親御さんたちの迷いや決意や本音や幸福感に触れていると

自分の築いてきた親子関係を新鮮な目で見直して、

ちょっと反省したり、自分に優しくなったりするのです。

親同士、学びあえるいい関係を作ることは大事だな~と実感しました。

 

「ダメ出し」と言えば、別の2年生の★ちゃんとの親御さんとの間でこんなこともありました。

私は言葉上では「ダメ出し」していないのですが、

親御さんが子どもを厳しく叱った後で、

私がそれと反対の言動をしたので、結果的に親御さんの言動にダメ出しをしたような雰囲気になったのです。

 

でも、実際、私は、反対の態度をとりつつも、

心の中では親御さんの対応はその時その場にちょうどいいものだと思っていました。

親御さんが間違っていたから私が子どもに親御さんと異なる対応をしたのではなくて、

親御さんが先にきちんと子どもに厳しい態度をしめしていたので、

私はその場に足りなかった部分だけを補う形でよかったのです。

 

ユースホステルでは、2段ベッドの上段で寝るのがとても人気です。

毎回、子どもたちの間で激しい争奪戦になっています。

2段ベッドがふたつと畳でふとんで寝るスペースがある部屋で

小学2年生の女の子4人で揉め事が持ち上がりました。

 

隣の部屋にいた私は、「あっちの部屋でベッドを取り合って○ちゃんが泣いているよ」という話を聞きつけた

私は様子を見にいくことにしました。

すると、○ちゃんはこれまで相当ごねていた様子で、私が着いたときには、

しまいにお母さんから「そんなことなら家に帰るわよ」と叱られた○ちゃんが

部屋の隅で三角座りをして膝に顔をうずめて

しくしく泣いていました。

 

私が部屋に入ってくると、左右の2段ベッドの上段から■ちゃんと◎ちゃんがひょっこり顔を出して、

「先生!聞いてください!私が説明します」「先生、説明させてください!」と

体育大会なんかで、「宣誓!わたくしは~」なんて言うときのような口調で

これまでの経緯をまくしたてました。

 

次回に続きます。

 

 


親御さんへの「ダメ出し」 1

2011-08-27 23:29:50 | 教育論 読者の方からのQ&A

ユースホステルでのレッスンで

何度か親御さんに「ダメ出し」をすることがありました。

といっても、親御さんの言動が間違っているわけでも、教育方針がまずいわけでも

ないのです。

何かにつけてちょっとゆるめの私からすると、こちらが見習ったらいいような内容ばかりでした。

それならどうしていちいち「ダメ出し」などをしたのかというと、

親御さんのしていることも言っていることもそれ単体としたら少しも悪いところがないけれど、

今、その時の子どもと親御さんの関係のなかでは、

ちょっと引いた方がいい、ちょっと押した方がいい、ちょっとゆるい方がいい、ちょっと厳しい方がいい……なんて

場面があったからなのです。

子どもが自ら成長していくための道筋を作ることができるよう余白を作る意味で

親御さんに「ダメ出し」をして子どもへの対応を調整していただいたのです。

 

たとえば、次のようなことがありました。

少し前のユースホステルでのレッスンに、親御さんの話によると

「意欲がない」「やる気がない」

「じっくり考える力が弱い」「ぐずぐずしつこくごねる態度に手を焼いている」

と困った態度がオンパレードという小学2年生の◎ちゃんという女の子とお母さんが参加してくれていました。

工作やお勉強や友だちとの自由遊びやベッドメーキングや配膳のお手伝いなどをしながら一日いっしょに過ごしてみたところ、

確かにこの◎ちゃんは、親御さんが子育てに悩むのもごもっとも……と思われるほど

困ったちゃんぶりを発揮する場面が時々ありました。

そうした時に、親御さんは一方的に叱りつけるようなことはせず、イライラしつつも辛抱強く、諭していました。

◎ちゃんのお母さんは、子どものことを一生懸命考える愛情深くて賢い方なのです。

 

この日、私が、親御さんに「ダメ出し」したのは、こうした◎ちゃんが、

しつこく親御さんが嫌がることをしたり、注意を受けても何度も止められていることをしたりしていたシーンではありません。

一見、何気ないおだやかなひと時の

親御さんの応対やちょっとした表情やあえて褒め言葉を控える態度が

気になって、失礼ながら何度か「ダメ出し」させていただいたのです。

というのは、それが◎ちゃんを、イライラした投げやりな態度と

過剰にいい子になろうとする態度の間を揺れ動く不安定な心の状態に

させているように見えたからです。

 

といっても親御さんが無意識にしていた◎ちゃんへの働きかけは

一般常識に照らせば、ごく普通の問題のないものでした。

 

ただ、◎ちゃんという

「神経過敏でまじめでちょっと不器用なところがあって

すぐに自分への自信を失ってしまうように見える子」

とペアになったときに、

「少し関係を調節した方がいいかも?」と思うものだったのです。

 

たとえば、◎ちゃんはルームキーを預かる役を引きうけたとき、それに誇りを感じている様子で、

責任を持って何をするときも片手に握っていました。

ただ2段ベッドに登るときも、ルームキーをぶらぶらさせて登っていたので、

目に入りそうで危険だったので、私が「◎ちゃん、危ないからカギはテーブルにでも置いておいて」と告げました。

すると、◎ちゃんはこれは大事な預かり物だからテーブルの上なんかに放っておいて無くすわけにはいかない……というようなことを

言ってためらっていました。

「でも、それは危ない」と私がもう一度言うと、急にひらめいた様子で、自分のベッドの枕の下にしまいにいきました。

私はしっかりしているなと感心して見ていたのですが、◎ちゃんの親御さんは

私から注意を受けたのにしばらくためらって即座に動こうとしなかった態度について不満があるようで

「いつも、ああなんですよ」

とこぼしていました。

その後、◎ちゃんはルームキーを枕の下にしまったことを忘れて出かけてしまい

部屋にカギがかけられなる事件が起こりました。

途中で、◎ちゃんが枕の下にしまっていたことをそこにいたメンバーが思い出し、

無事部屋のカギを締めることができました。

◎ちゃんのお母さんは、「いつもいつもあの子はこうで……」と、◎ちゃんを見つけて叱りつけなくては……!と

怒り心頭でした。

この出来事で私が気になったのは、◎ちゃんがルームキーを預かることに

責任感を感じていて、これをきちんとやり遂げたいと素直に心から感じていたことが

わかっていたからです。他の2年生たちは、そんな面倒な役はしたがりません。

◎ちゃんは、他の人やお母さんの役に立ちたいという気持ちを持ったまじめが取り柄な子なのです。

でも同時におっちょこちょいでもあるのです。

◎ちゃんが前向きな気持ちで取り組んでいることに対して、ちょっと自分でどうするか迷ったり、

そそっかしさから失敗してしまったりする度に、

「あ~あなたはこんなにダメな子だ」「また~こんなだわ」とため息ばかりつかれたのでは、

他の子がやりたがらない仕事を自分から進んで引きうけようとは思わなくなりますよね。

こういう場面では、自己肯定感が向上するように

次から気をつける点のアドバイスはしても成功を感じて終わらせてあげたいものです。

 

こんなシーンもありました。

ユースホステルの夕食は子どもも大人と同じ量が出るため

「子どもにしては多すぎますかね?すいません。」とコックさんに恐縮されるほど

おかずの量が多いのです。よく食べる外国の方も満足するような分量ですから。

そのため、子どもたちはたいてい3分の1ほど残すのです。

その日も、子どもたちがちょこちょこ私の方にやってきては、

「先生、すいません。もうおなかいっぽいです。残してもいいですか?」とすまなそうにたずねてきていて、

「もともと量が多いからね。食べられる分食べたらいいのよ」と応えていました。

途中で子どもたちのテーブルに行ってみると、

2年生の女の子たちはどの子も、せいいっぱい食べたのでしょうけど、その日のメニューのフライものも野菜も

半分くらい残していました。

そのなかで◎ちゃんだけはかなりがんばっておかずは全て食べきり、野菜が少し残っているだけでした。

と、それを見た◎ちゃんのお母さんが、

きちんと食べていないことに不満そうにちょっとしたコメントをしました。

ものすごくちょっとしたひとことではあったのですが、

でも他の子たちと見比べてもよく食べている◎ちゃんに注意するのは、

まるで98点を取ってきた子に100点でないことを愚痴るような

気持ちの萎える言葉ではありました。

◎ちゃんのお母さんは冷たい方でも厳しすぎる方でもありません。

でもご自分がかなりいい子として生きてきて、完璧ないい人であるよう努めるところがあるので、

無意識のうちに子どもに期待する理想が常に高めに設定されているようでした。

◎ちゃんはそんな風に一日の大半は非常にまじめにいい子になろうと努力していて、

それでもいつもお母さんからはダメ出しをもらうことが多いし、自分自身も完璧主義で

自分の行動に満足できないので、

しまいに自信が揺らいでイライラが募って、

わがままな態度やしつこく止められることをするといった行動につながっているようでした。

いざ、◎ちゃんがそうした悪い態度を表現しているときには、

◎ちゃんのお母さんは辛抱強く優しい態度で接していました。

◎ちゃんのお母さんも◎ちゃんと似たところがあって

自分に無理をさせてもいい人であろういい親であろうとギリギリまでがんばるところがあって、

そのせいでかえって、どうでもいい場面や◎ちゃんががんばっている時に、

チクチクと嫌みを言ったり、ため息をついて

不満を表現したりすることになっていたのです。

 

次回に続きます。

 

 

 

 


子どもといっしょにおしゃべり と 子どもの夢

2011-08-27 22:52:55 | 番外(自分 家族 幼少期のことなど)

過去記事から。

次のようなコメントをいただきました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
>よく「はやくはやく」とせかさない……ということを
繰り返しています。

何度も繰り返してくださってありがとうございます。
何度も目にして肝に銘じているはずなのに
毎日毎日、親の都合でせかしてしまっています。

昨日も園からの帰りに「早く!」とせかして泣かせてしまいました。
記事を読み、夜寝るときに息子に聞いてみました。
「もしかしてあのとき何か面白いこと考えてたの?」

すると出るは出るは
「なんで木って色々なものに使われてるの?
なんで障子って紙でできてるの?etc…」
極めつけは「なんでタンバリンって紙と鈴でできてるの?
あれ?なんで紙たたくと鈴が鳴るの?? もしかして小人さんが鈴鳴らしてるの?」
傍目にはボーっとしてるようにしか見えないのに
彼をとりまく世界は不思議がいっぱいで
それを一生懸命考えていたのですね。

少々登園が遅れたり、寝るのが遅くなったって構わないですよね。
「早く」とせかす言葉を「今度はどんな面白いこと考えてるの」と言い替えて
彼の世界を一緒に味わってあげたいです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

どんなに幼くてもその子その子の世界がありますよね。

昨夜、幼い子でも2,3の手順で作れるペダル式のゴミ箱を
ティッシュ箱で作って、それに改良を加える作業をしていました。

ペダル式のゴミ箱は、「どうして、足で踏むとフタが開くの?」という疑問を持つ子が多いので、

2~4歳の子でも見れば仕組みがわかるし、

作れるという作品見本を作りたいと考えていたのです。(作り方はオンライン教材に載せました)


すると、息子がおもしろそうに試作品を手に取って、
「うまくできているね。そうそう、ぼくが作ってみたいと思っている

トークRPGの世界を新しい形で作り直したもので求めたいのも、
こういう面白さなんだ。
ゼロから自分のアイデアで作る面白さなんだけど……。


ほら、ブログを書く面白さって
簡単に自分の世界が作り出せる土壌を提供してもらって、
そこにゼロから作り出す楽しさを乗せていけるところじゃん。」
と話しかけてきました。

「トークアールピージーって何?」とたずねると、
ちょっとゲームをしない私にはわかりづらい答え。

「トークアールピージーって、今のRPGのもとになったようなゲームだけど、
遊ぶ人に高いクリエイティブな能力や理解力や言葉の力を求めすぎていて、
結局マイナーな人の間にしか受け入れられなかったものなんだ。
お母さんと前にレインってアニメ見たじゃん。

あのレインの世界観って、人間の共通無意識がテーマになっていたけど、
このトークアールピージーの場合、
ゲームするプレイヤーの各個人がその共通の無意識世界を
共有して、世界を体験するだけでなく、そうした世界を作っている共通無意識を作り出している存在でもあるんだよ。


ほら、児童文学のファンタジーのナルニア国物語なんかにしても、
作者が自分で全く新しい世界を作ってく面白さがあるし、
読者はその未知の世界を体験する面白さがあるわけじゃん。
トークアールピージーの場合、プレイヤーがその未知の世界を作っている作者でもあるんだよ。


まあ、そこがトークアールピージーのたまらなく面白いところだけど、同時に欠陥でもあるんだ。
つまり、創造力や想像力の弱いプレイヤーばかりだと、ゲームが少しも楽しめなくなるからね。


ぼくは、みんなが自分が世界を作り出す喜びを味わいつつ、
それぞれの人の能力にゲームの楽しみが左右されない形を考えていてさ。

従来のゲーム機でするゲームというイメージを払拭して、
ビジネスの世界と融合して、仕事としての便利さやお得感と、
自分を表現する楽しみを合わせたり、
トークアールピージーの人間が商品って部分の一部を人間役のコンピューターに任せて、

人が夢を語る夢語りの楽しみのレベルで、新しい世界が次々生まれてくるようなシステムができないか考えているところなんだ」

「ビジネスとゲームと融合させるのは、ビジネスにとっても、

ゲームにとっても今後大事な展開よね。
この間テレビで見たんだけど、出かけた先でちょっとした合間の時間を持て余している側と、

ちょうど忙しい今だけ人手が欲しいと思っている居酒屋などの店を携帯サイトで結びつける新サービスを見たわ。
ああいうのも、ゲームの世界がビジネスの世界に溶け込んできているようなものよね。

 

これからは、ゲームだけ、従来のビジネス形態だけでは、発展は難しいでしょうから、

そのふたつの良いところが融合した形のアイデアを探っていくのも
面白いわね。」

「そうだと思うよ。トークアールピージーの世界も今のままでは、
それが復活して流行するってのは難しいはずだよ。
でも、このゲームの構造は、
人生の面白さの本質をついているところと、いくつものSF実験を作り出していくというところがあってさ。

それを全く別のものの中に組み込んでいったり、
新しい視点で作り直すことで
きっと生きてくるはずなんだ。
ぼくは本当に人が楽しめるものを作りたいんだよ」

受験の準備にばてつつも、自分の近い将来してみたいことは熱く語る息子……
自分の「好き!」の世界でいっぱい遊んで、感じて、考えて

、夢を膨らませて生きているんだな~と感じました。


小学生のころから、「ゲームクリエイターになりたい」というのが息子の夢でした。

学びたいこと、やりたいことなど、異分野への興味が広がりつつも、
やはりゲーム作りへの情熱は変わらない模様です。


ただこの数年の間に、
どんなものをどんな形で作りたいのかという点では、
その夢はかなり変化してきたようです。

「ぼくが小学生のころはね、ターミネーターとかインディージョーンズの

世界にあこがれて、自分も同じ冒険がしてみたいなぁって願いを抱いたときに、
それを実現するツールが、テレビゲームだったんだ。

でも、今のゲームは、
映像の美しさやストーリーで完璧を目指しすぎていて、
映画とテレビゲームから感じる楽しさが、ほとんど変わらないものになってきているように思うよ。


リアル過ぎるっていうのかさ。
そうなると、もうゲーム内では、映画の世界に自分が入って動きたいっていう当初の願望は満たされないんだ。
ゲームだけど、映画と同じで、自動的に展開する世界を受動的に味わっていく感覚だから。


等身大の自分を、ゲーム世界の主人公に投影して遊ぼうと思ったら、
もう少し、自分の空想が入り込む隙間がいるからね。」

「ゲーム内なのに空想するってどういうこと?」とたずねると、
いつもながら、ゲームをしない私にはよくわからない感覚……。

「ぼくが小さいころは、上がったり下がったりする数値を見るだけで、
急に強くなった気分やざわざわする気分を味わったり、それだけで、

自然にこれから進む迷路のような道が浮かんできて、たまらなく面白かったんだ。
といって、ゲームの復刻版を出したところで、誰も当時の感じ方には戻れないはずだけど。

ぼくが『今さら』ってのに、トークアールピージーのような

ボードゲームにこだわっているのはさ、
ボードゲームの形態は確かに時代遅れで、これからもマニアの間で受け継がれていくだけなのは目に見えているけど、
自分的に好きってところが強くて、その魅力を
何とか新しい形にして生かしたいんだよ。

新しい形ってのは、今のオンライン無料ゲームのように一部無料で、

ある部分から有料ってのじゃなくて、
『全てが無料』の形で、同時にポーカーのように現実の

お金が入ってくる可能性まで含んでいるようにしたいんだ。
ギャンブルの要素は入れたくないけど、ギャンブル独特のお金を払っていること

からくる興奮状態や面白さがあるじゃん、それを無料のゲームであっても含みたいと思っててさ。」

息子の構想が込み入ってきて、ややこしくなってきたので、
「完全に無料にしておまけにお金が入ってくるとなると、お金はどこから捻出するつもりなの?
ゲーム内の広場に企業のパビリオンでも建てるつもり?」とたずねました。

「そうしたありがちな広告を入れる方法ではうまくいかないよ。
いろんな案を考えてはいるけど、そこは重要なところだからね、

ずっと考え続けているんだ。」といういかにもいずれ最適の方法に

たどりつくという自信ありげ~な返事が返ってきました。

息子は最近になって小学生時代大好きだったボードゲームを
別の面から見直すようになりました。
「ボードゲームって、遊ぶ人数や場所を確保しなきゃならないから、
現代に合わないっちゃ合わないんだ。臨場感や他人と直接関わっている感じが、
携帯やゲーム機で遊ぶのが主流の今となったら、そこに新鮮さすら覚えるんだけどさ。

ボードゲームは一般的には知られていないけど、
大学の研究機関から生まれてるものがけっこうあるんだ。
モノポリーにしても発案者は、売れないおもちゃ屋の店主らしいけど、

それに期待値の計算を調整して、今のゲームの形にしたのは、経済の研究をしている大学らしいよ。

それとか、戦略シュミレーションは日露戦争とか、日米の戦いを
歴史に沿って現実の資料に基ずいて作られていたりするんだ。
ボードゲームは、知的遊戯ってだけでなく、シュミレーション実験の意味も担ってたんだ。

ボードゲームのそうした一面は、ぼくにとってはたまらなく魅力的だけど、
一般受けするかっていうと、そのままじゃ難しい。
ただ、ボードゲームは、言葉じゃないもので、取引したり絆を確認したりできるから、

言葉が通じあわない人同士……グローバルな世界でも、

互いにつながっている感じを抱きあえる一面があるんだよ。

海外では、同じ写真に好感を抱いたもの同士がつながりあっていくオンライン上のツールがあるんだ。
それは非言語で絆を感じあっていけるという点では面白いけど、どうしても感覚止まりだからさ。


同じ言語のない世界で絆を感じたり、共感し合うにしても、
もっと自分の身体の感覚で感じながら、それでいて、ボードゲームように
プレイヤーの個性を遊ぶうちに際立たせて、発信していくって面を取り入れたいんだよ。


前にも言ったけど、それを実現するには、
今の『ゲーム機でゲームをする』って既成概念を一度ゼロにしてから
考えていかなくちゃならないんだけどさ」

ボードゲームにしろ、テレビゲームにしろ、私がほとんど知らない世界だけど、
「こんなことをしたい」と願って、可能性を探っていくのは、
どんなものでも面白いもんだな~と
感じました。
もうすぐ受験の息子、来年、志望校に受かってくれたらいいのだけど……
勉強好きとはいえ、のんびり屋のマイペース人間ですからどうなるのやら……。

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お盆の最中、ニューヨークからお客様がみえました。

年1回、虹色教室にいらしてくださっている方で、今年で3回目のレッスンです。

マンハッタンでは、○○式のプリントの系統学習がとても流行っているそうで、

早期から先取りの詰め込み学習をする方がとても多いそうです。

そうして子どもがやたら忙しくなることに、ちょっと寂しさを感じました。

そうした方法を全て否定はしないけれど、

二十歳前後になったうちの娘や息子とおしゃべりしていると、

ゆっくり自分の時間を生きてきた幸福感が伝わってきて、

生きてきた日々にそれぞれの個性がぎゅーっと詰まっている気がして、

「親の私が不必要に

子どもの時間を奪わなくてよかったな~」としみじみ感じるのです。

それと、いつものんびりと会話をしてきたから、今となっても

大きくなったわが子たちと、だらだらとおしゃべりに花を咲かしている時間が

至福の時です。

もちろん、子どもたちにすると、それぞれ自分の友だちとおしゃべりするのが一番面白いのでしょうけど。

 


水中シャボン玉

2011-08-27 17:29:05 | 理科 科学クラブ

知人に静岡のサイエンスフェスティバルの実験解説集をいただきました。

さっそくレッスンにきた1年生の★くんと

面白そうな実験を試して遊んでみました。

簡単にできるわりにとってもおもしろかったのが、水中しゃぼん玉を作りです。

洗剤入りのしゃぼん玉液を作ります。

その一部を別の容器に取り分けて、絵の具で色をつけます。

色のついたシャボン玉液にストローを入れて、指でストローの片端を押さえることで

液を少し吸います。(スポイドのようにストローを使用しています)

色のついていないシャボン玉液の水面より1センチくらい上部から液を落とすと、

水中にビーズの玉のようなシャボン玉ができあがります。

 


折り紙で遊ぶ 足し算パズル

2011-08-27 17:16:13 | 教材作り

折り紙を頂点と頂点を重ねるように何度か折ります。

できた折り線を適当に切って

三角形や四角形を作ってそこに数字を書き入れると面白い算数パズルができあがります。

単純にロケットや車などの形を作って

数字を足して遊ぶのもいいですし、

形を作って数を足した後で、紙にできた形を描いて

足し算してでた数を書くと、小学生が苦戦するレベルの算数パズルとして遊べます。

 

簡単な足し算ができるようになった子に

問題を作る役をさせてあげると、とても喜びます。

幼児と遊ぶときは、

同じ形をふたつずつ用意して、見本を見ながら取り組めるようにしてあげるといいかもしれません。 


ダメ出しではなく、正しい方法を見せる

2011-08-27 06:53:55 | 幼児教育の基本

4歳までの子は、大人のようにさまざまな体験を積んでいませんし、
身体や感情が自分の思うようにコントロールできるわけではありません。

あたり前のことを言っているようですが、
この当たり前の事実を大人が把握していないために、

子どもが何かするたびに、

きちんと「使い方」や「方法」を教えるのではなくて、

子どもの心に「罪悪感」を植えつけて、先々の困った心の癖の原因を作ってしまう場合がよくあります。

例えば、子どもがはさみを使いだしたとたん、
「そんな持ち方はダメダメ。ゆがんでるって。」
「そこじゃないでしょ」「それは切らないの」「こっちはしないの?」

と、常に、ダメ出しのオンパレードになっているものの、

「正しいきちんとした切り方
どんなものは切っていいのかのルール」などを、

正確に子どもに見えるようにしめすことはほとんどしない
という方が多いのです。

「ダメ!」とダメ出ししようにも、
ダメのもとになる「正しさ」がしめされていないし、子どもがそれをしっかり理解していないので、
子どもの心に残るのは、「ダメなことをする自分」という罪悪感
でしかないのです。

4歳くらいの子の行動は、自由にさせる部分は自由にし、
「ダメ」という場面では、まず、「ちゃんと見てちょうだいね」と言って、
「正しい形」を見せることが大事です。

また失敗すれば、「ダメ」ではなくて、もう一度、「ちゃんと見てね」と
「正しい」ものを見せるのです。

子どもは何かを集中しているときに、ダメ出しすると、「ダメ」という言葉のあらわすものの方向に気が取られて、正しい方法が受け入れにくくなります。

すねてそんな風になるのでなくて、
同時にふたつのことに集中するのが難しいのです。


相手がしぶりそうな内容に「うん」と言わせるのが上手なセールスマンは、最初にその内容とは全然別件で、お互いの意見が一致する話から、話をはじめるのだそうです。

大人だって、そう簡単に気持ちが切り替わるわけじゃありませんから、
いい気分で、「うん」と返事していた相手には、
少しどうかな~?という内容に話がおよんでも、「OK]を出してしまいがちなのです。

子どもの場合、もっと単純です。最初良ければすべて良し~
出だしが悪ければ、何を言っても無駄 となりがちです。

子どもが言うことを聞かない癖がついている場合、お母さんが無意識にいつも
「ダメ出しから入って、優しい説得へ」という逆の流れを作っているケースを
よく見かけます。

危なっかしい方法で、えんぴつ削りを使っているとすれば、
「そんなまわし方はダメ、危ないでしょ。反対にまわしてる~」と言った注意の仕方をするのでなくて、
「静かに見ていてちょうだいね。えんぴつを刺しているときに、えんぴつけずりのお耳を引っ張って、前へいくようにこうして~えんぴつは少し力を入れて中に入るようにね。
ここで、手をはさむから危ないの。ここに手を置くと痛いのよ。気をつけて。
それから、前から向こうへ、ピョーンと跳ぶようにハンドルをくるくるまわしてね。そう~」
ときちんと説明し、正しい方法を集中して聞く姿勢を育てます。

ダメ出しではなく、
「正しい方法」に集中させると、子どもの気持ちは正しいことを身につけよう
とする意欲的な態度で、
物に集中します。

繰り返しになりますが、
最初の話に戻って、

4歳までの子は、大人のようにさまざまな体験を積んでいませんし、
身体や感情が自分の思うようにコントロールできるわけではありません。

それで、きちんと教えていないのに「そんな持ち方は~」といった
ダメ出しから入ると、

「学ぶ、教わる」といった気持ちに切り替わらせるのが難しく、
走り出した「ダメダメ言わないで~」という負の感情に絡み取られているので、

覚えがとても悪くなるのです。

ですから、ダメなことを教えるにしても、
正しい方法から気持ちよく教えて、
本人が「私はこんなお姉さん(お兄さん)のお仕事もできる。怖いことがおきないようにお母さんの話をちゃんと聞いておこう。」と、
自分の有能感を刺激されて、いつもよりお姉さんモード(お兄さんモード)になっているときに、

最後に注意点やどこがどうダメなのか、きちっと納得させておくと、
真剣な態度でうなずくのです。

といっても、この時期は手足がコントロールできないのですから、
頭でわかってもできなくて
当たり前。
大人にしても、足の指で字を書けと言われたら、
コツを教わったって、きちんとはできませんよね。

子どもがやりたがることは、
何度も気長に教えてくことが大事です。


性格タイプ、ラーニングスタイルに配慮した勉強 2   (ふたりの1年生)

2011-08-26 20:54:25 | 算数

の続きです。

ユースホステルで夕食の準備で、みんなのご飯をよそっていたところ、

★ちゃんが☆ちゃんを引き連れて元気よく駆け寄ってきて、

「先生!先生の部屋のカギを置いている席に座るんでしょう? 

カギを勝手に移動させてもいいですか?」とたずねてきました。

そういえばルームキーを適当な席に置きっぱなしでした。

「ええ、まだ食べる場所を決めていないから、どこに置いてもらってもいいわ」と答えると、

★ちゃんはサッと手を出して「手伝います!」とご飯をよそったばかりのお茶碗を受け取ると、

同様に手を出してお茶碗を受け取った☆ちゃんと顔を見合わせて、

何か面白い秘密でも共有しているようにクスクス笑いながら、速足でもどって行きました。

 

見ていると、私の部屋のカギを自分たちが座る席に間の空席に置いています。

「先生、ここに来てね」というご招待?

おそらく外向直観型と思われる★ちゃん。

何か目にするたびに、「これは面白そうだぞ」というアイデアが次々ひらめく様子です。

 

まぁ、現実には私が隣に座ったところでそれほど面白いこともないでしょうが、

適当に置いてあるカギが目に入って、何かしら活用できないかと考えたにしては、

確かに、「えっ?そうくるの?」と私を驚かすことはできていました。

夕食時の★ちゃん、☆ちゃんとするおしゃべりも楽しかったです。

 

工作の際には、☆ちゃんは発泡スチロールの小さな玉を紙コップに入れて、

水性マジックでかき混ぜて色の変化を楽しみながら、オレンジ色のシェイク風のものを作っていました。

コップのまわりはていねいにレースを飾って見栄え良く仕上げています。

★ちゃんは、3種類のジュースが出てくるらしい機械。ちょっと大雑把な作りではあるものの

背後には倒れない工夫をほどこし、ジュースが入っているところにもいろんなアイデアを盛り込んでいました。

 

★ちゃんは勉強の場面では、最初にざっくりと問題をつかんで

何をするべきか急所を押さえて取りかかるのが上手でした。

 

簡単に線分図を描いて物の量を比べる方法を説明した上で、

「さゆりさんと なおこさんが もっている りんごの かずを あわせると 5こに なります。

さゆりさんは なおこさんより 1こ おおく もっている そうです。

さゆりさんと なおこさんは それぞれ りんごを なんこもっていますか。」という問題を

★ちゃんと☆ちゃんに出したところ、

★ちゃんはまず線を引いてから、それを3等分して、

最初の線の2つ分までを下に目で見てずらした位置まで

もう一本の線を引いて、それを2等分し、名前を書きいれました。

おかげで、問題集に載っていた見本の線分図よりバランスがよくてわかりやすい図ができていました。

 

☆ちゃんは線を引いた後で、全体を3等分するのではなくて、端から1つ、2つと

分けるためのなだらかな山の形の線を入れていったため、

ていねいに描いている割に、上の線と下の線の分け方がバラバラになってしまっていました。

☆ちゃんは、すでに数値を書き入れたらいい形の図には

正確にデーターを整理していく力があったのに、線を描くところから自分でするときには

自分の描いた図のゆがみに目が騙されてミスしそうでした。

最初に、「線分図を描くときの手順」とか、「集合の図(最レベ1年生の算術特訓では集合が出てきます)

を扱うときの手順」とか「長い文章問題を解くときの手順」といった

基本の型を身につける必要があるのかもしれません。

 

★ちゃんの方は、基本の型を教えるよりも、

まず自分で好きなように解かしてみて、答え合わせをしながら

自分でより良い方法に工夫していく方が、

直観を働かせやすくてダイナミックに行動する性質に合っている気がしました。

とはいえ、直観タイプの子の「正確に確かめをせずにうっかりミスをする」というところは、

自分で好きに解いて、答え合わせをするだけではなおらないので、

解き終わったとき、落ち着いてどことどこをチェックして見直すといいのか

習慣がつくまで教えていく必要があると思いました。

★ちゃんのタイプの子は解き方を教えて繰り返し練習させると

たちまち飽きて、いやいや学習するようになるかもしれないので、

基礎学習といっしょに、「最レベ問題集」や「トップクラス問題集」や「ぴぐまりおん」の

目新しくて難しそうな問題をいろいろ解かせて

わからないときには自分で答えを確認させて、どういう解き方だったのか言葉で説明させるようにしていると、

自然と算数がとても得意な子になっていくように思いました。

↑の目新しくて難しそうな問題というのは、

子どもの最近接領域にピッタリ合うようなレベルのものを選びます。

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最近接領域とは?

 

「最近接領域という言葉を知っていますか?
「自力で できる」と
「手伝ってもらえばできる」ことの間にある
領域のことです。

「自力でできる」所ばかりしていると 進歩がないし
「手伝ってもらってもできない」所をしても 効果がない
「最近接領域]こそ 
それぞれ子どもにぴったりの学習レベルなんですね。

虹色教室のレッスン内容は
この「最近接領域」を見極めながら
決めています。
家庭で教える時にも
これを目安にすると 失敗がないですよ。 

上の手作り教材は
黒い小さな円が回転する仕組みになっています。
(100円ショップの回転台を裏返して作りました)

これ小学校受験で定番の
観覧車に乗って移動する問題を
さわって学べます。

4歳のTくんの「最近接領域」は

「自力で写真のように並べること」 と

「周りのキャラクターをいくつか裏返し
黒い円を動かしてから それを当てること」
 
の間でした。