「心の理論」研究の創始者一人であり、
「理論理論」、つまり、
子どもは科学者と同じやり方で学習するという説を提唱した
アリソン・コプニック教授の『哲学する赤ちゃん』という著書を読みました。
「はじめに」に次のようなこの本の内容についての説明があります。(短く要約して紹介します。
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心理学者や神経科学者は最近になって、赤ちゃんには
めざましい学習能力だけでなく、私たちの予想していた以上の
想像力があって、人を愛することも知っているし、豊かな世界を体験していることを発見しました。
幼児はある意味、大人以上に賢く、想像力に富んでいて、思いやりがあって、
意識も鮮明だったのです。
本書には、さまざまな実験や見解が登場します。その前提となる考えは
共通で、それは、人間は他のどんな生物よりもすぐれた変革能力をもっている、ということです。
子どもと大人は、同じホモ・サピエンスでありながら、形態のまるで違う生物だと
考えるほうが適切です。
子どもも大人も、複雑ですぐれた心と脳の意識形態をもっています。
人間の発達は、いも虫が蝶に変態するのに近いといえます。ただし、人間の場合、空をヒラヒラ舞うのは
幼いときで、大人はノロノロと這い続けるといえます。
幼児期は、人間の子どもが大人に独特の依存の仕方をして過ごす、他の時期からはっきりと区別される時期です。
この守られた未熟期間が、人間の変革能力と分かちがたい関係をもっています。
前頭前野が未熟な子どもは、大人に勝る想像力と学習能力を発揮できます。
前頭前野には「抑制」の機能があって、脳が他の部分の情報を遮断し、体験、行動、思考を絞り込みます。
複雑な計画を実行したり、大人がするような思考や行動をするには、この「抑制」が必要なのです。
けれども、想像力が学習能力を自由に働かせるには、抑制は逆効果なのです。
知能指数は、前頭葉の成熟の遅さや可逆性と相関があるという証拠もあります。
抑制のない開かれた心を長く保つことが、賢くなる条件の一つなのでしょう。
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『哲学する赤ちゃん』は、赤ちゃんは、第一線の認知科学者であるアリソン・ゴプニック博士が、
幼児がどのように発達し、どのようにして学ぶのか、
最新の研究の成果をわかりやすい言葉で解説してくださっている
すばらしい本です。
とても読みやすい本なので、幼児を育てている全ての親御さんに
ぜひ読んでいただきたい本です。
私は、日ごろ、幼い子たちと接する機会が多いので、
1歳児がどれほど洞察力に富んでいるのか、2歳児がどれほど想像力や共感力を持っているのか、
を実感しています。
そうした幼い子たちの能力を引き出し、伸ばすには、
日常のごちゃごちゃした出来事……年上の子に遊びを邪魔されたり、大人たちにあやされたり、
自由にいたずらしたり、お散歩先で犬や猫を見かけたり……が、最適だと感じていました。
この著書を読んで、
乳幼児のうちは、作られた早期教育プログラムなどより、
雑多な環境で自由に遊ぶほうが能力が育ちやすいことや、
一見無駄に見える行為が、子どもの成長に欠かせない役立つものであることを
再確認して、
うれしく感じました。
この記事の続きは、近いうちに書きますね。
思い出しました。
最近、ほんまにそうやと思います。
大人が子供の才能を潰さないようにしなきゃ。