虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

「これを作ろう」という目的を持って作ることができません

2010-12-24 12:56:37 | 工作 ワークショップ
アトリエに通っていますが、作品作りにつながりません。
教室の先生からは、「これを作ろうという目的を持って作るということが
できていませんね」という指摘を受けました。
まだそうしたことは難しすぎるのでしょうか?
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知的障害を持っている☆ちゃんのお母さんから、
上のようなご相談をお受けしました。
☆ちゃんは、月1回虹色教室に通ってきてくれている女の子です。
通い始めたころに比べると、できるゲームも増え、
計算もゆっくりですが上達しています。
ただ目の前にないものをイメージする力は極端に弱くて、
工作などで、材料を前にして、「こんなものを作ろうかな」「あんなものを作ろうかな」と想像を膨らますのは、不可能にも見えることなのです。
それで、アトリエのような場では、チョキチョキ切ったり、
ペタペタ貼ったりする作業に終始しているようなのです。

☆ちゃんのものの作り方は、確かに何の目的もなく、切ったり貼ったりする感触を楽しんでいるだけのように見えます。
でも、この日私は、☆ちゃんの遊びのさまざまなシーンで、
以前にはあまりなかった『目的』に対する敏感さを感じていました。

もちろんだれの目にも明らかなはっきりしたものでは
ありません。

でも、折り紙で☆ちゃんに鳥を折ってあげたとき、
途中で次の折り図を見せて、「どうやったらこの形になるのかな?」と相談すると、その通りに半分に折ることができたり、
鳥の目を描き入れるのにも積極的だったりして、

他の人が目的を持って何かを仕上げている作業に、
自分の気持ちをそわせるというという点で、
以前に比べて成長や熱心さが感じられたのです。

そこで、『何を作ろうかということをイメージする』という
部分にだけ特化した遊びを考えてみました。
レンガ積み木を10個用意して、
「何を作ろうかな?」と先にアイデアを言ってから、
作るというものです。

何となく積み木箱からとって遊ぶのではなく、10個の積み木を前にして、
「何を作ろうかな? そうだ、椅子を作ろう。それからテーブルも作ろう」と宣言してから作るようにします。

「そうだ、ドアを作ろう」と言って、積み木を立てて、開くまねをするだけ。
「そうだ、道路を作ろう」と言って、積み木をつないでいくだけ……
そんな簡単な見本をいくつか作ると、
たちまち☆ちゃんは、この遊びに乗ってきました。

毎回、何も言わずに作りかけるところを、
「作る前に何を作ろうとしているのか教えてね」と言って、
イメージの段階で言葉にできるよう練習しました。

やはり☆ちゃんは、自分の今からしようとする『目的』を言葉にするということに、敏感な時期らしく、
楽しくてたまらない様子で、
何度もやりたがり、笑顔がこぼれていました。
3階建てのビルを作るときには、手順の説明をしながら作ることにも
興味をしるしていました。

子どもの中には、いつも周囲からはほとんど見えないほどの
成長の『めばえ』がたくさんうごめいています。
「難しすぎるのかな?」と思えることも、
子どもの表情に笑顔が浮かび、繰り返しやりたがるレベルにハードルを下げて
あげると、喜んで取り組むようになるかもしれません。



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