虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

「質のいい保育は、子どもの人生を変える」という言葉 2

2017-10-17 19:48:56 | 幼児教育の基本

 

アメリカの『幼児期に質のよい保育を受けたかどうかが

子どもの将来にどのような影響を及ぼすか』の研究で、

わずか1~2年間の半日保育で、しかも保育を経験してから

15年以上もの年月が経過しているにもかかわらず、青年期に直面する

社会的自立の課題の達成度を示すほとんどの項目で、

大きな違いがみられることがわかりました。

 

このような研究結果によって、「質のいい保育は子どもの人生を変える」こと

が明らかになったそうです。

そうして生まれた保育の質研究で、アメリカのある研究者は、

「最近、各州の保育行政当局がペリー・プリスクール

(保育者一人あたりの受け持ち人数は6人で、資格と意欲を兼ね備えた保育者と、

それをバックアップする研究者など、保育を科学的に実践し支援する体制が

充実していた)の再現を目指しながら、

他方では、低劣な保育条件

(教師一人当たりの受け持ち人数が二十人を上回るような条件)で

保育しているところがいまだにあるのは

驚くべきことである。それは、子どもたちにとって利益のない、

たんなる託児というべきものであり、むしろ一つの損失とも

いうべきものである。」と語っています。

 

この「子どもたちにとって利益のない」「一つの損失」

とまで指摘されている

保育者一人あたり3、4歳児20人というのは、

現在の日本の幼稚園・保育所の基準よりも「好条件」でもあります。

つまり日本の保育現場は、低劣な保育条件と批判されているものより

ひどい設定条件となっているということです。

 

それはいかに日本では、幼児期の子どもの保育の質について

無頓着であったのか、気づかされます。

 

日本の園では、敏感さや内向性、発達の凹凸、母子分離の難しさなど

さまざまな理由で、集団になじめない子に対して、ないじめないことを

問題し、子ども側の態度を改善していこうとする働きかけが主となっています。

 

でも、考えてみたら、

二十人というのは、保育への投資を「損失」に変えてしまうような

「質の低い保育」に結びつきやすいことは、欧米の「保育の質」

研究によってすでに明らかにされている

のにも関わらず、日本で、それ以上に質の悪い保育があたり前となっている

ことを思うと……

また、「保育の質」とはどのようなものか、

間違った認識が広がっているため、小人数保育の場もまた

質が非常に悪いものになっていることを考えると……

 

子どもが集団になじめない状態にあるなら、

子どもを変えることばかり考えるのではなくて、

まず保育の質、保育者のあり方、環境などについて

見直していく必要があるのではないか、と感じました。

 

まず、劣悪な環境かどうかを調べるする機能くらいは

あってもいいと思うのですが……。

 

次回に続きます。

 

 


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