虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

相談 「ハイリーセンシティブで完璧主義の子への対応に困っています」3

2017-07-02 17:48:36 | ハイリーセンシティブチャイルド(HSC)・敏感な子

工作時のAちゃんがお母さんを困らせている態度は次の通りです。

工作での困った態度とはいえ、こうした問題を乗り越えることは、生活全般や学習の問題を

解決することにつながります。

 

★自分の最初に考えたアイデアにこだわりすぎて、

うまくいかない仕組みの微調整をする時にイライラする

 

★うまくいかない原因を尋ねるものの、

修正箇所を指摘されただけで、気分を損ねる


★アイデアが思いつかないと相談するものの、選べるよう複数提案すると、

「それは、お母さんが考えたから、私のアイデアじゃないから絶対嫌だ」と受け付けない


★最終的に毎回、手の付けられない程号泣する

 

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Aちゃんが「自分の最初に考えたアイデアにこだわってイライラする」というのは、

最近、教室でもよく見る姿です。

以前からそうだったかというと、たまにはそういう姿もありましたが、

ほとんどの場合、そうではありませんでした。

むしろ「あまりきれいな仕上がりではなかった」「思ったようにいかなかった」という

事態におおらかで、見た目はイマイチな仕上がりでも、

自分の適当な代用案で満足しているふしがありました。

また、わたしが新しいアイデアを見せると、

「いいねぇ、いいねぇ」と言いながら、積極的に取り入れてもいました。

 

そんなAちゃんが、最近になってどうしてイライラするようになったのか、というと、

最近のAちゃんの工作での目的意識の変化

関係していると思われます。

 

以前のAちゃんは、「こんなものを作りたい」と思ったものの

姿形を似せていくことを目的にしていました。

合掌作りの家屋が作りたいという場合、「これはこんな形だから、こう折ればいいかな、こう切ればいいかな」

という試行錯誤をしていました。それは物をていねいに観察するAちゃんにとって、

努力次第で自分で何とかなる課題でした。

 

でも、教室で忍者屋敷作りでひもや磁石を使った仕掛けを作ったり

キャンデーマシーンを作ったりした後から、

仕掛けのある工作物を作りたがることが増えました。

仕掛け作りは、よく観察することと、がんばることだけでは

どれだけ繰り返しても、どこまで先に進んでも、うまくいかない場合があります。

 

つまり、これまでAちゃんが成功を手にしてきた方法がどれも効かないということであり、

自分の無力さと直面することでもあります。

やりはじめたことを完璧にやり遂げたという実感を持つことが

難しくもあります。

それでも、何度も再チャレンジするところがAちゃんのすごさであり、

号泣に終わるところは、Aちゃんにとって、今ぶつかっている課題が途方もない

ものに感じられるからかもしれません。

そういう時は、十分な心の空き容量がなくなって

激しい葛藤状態の末、泣いて終わりことになりがちですから。

 

具体的にどうすればいいかというと、言葉でアドバイスするのではなく

選択肢をさりげなく見せるといいのかもしれません。

お母さんから「こうしたら?」という提案がくるのではなく

自分がお母さんのしていることの中に必要な答えを見つけるのなら、

「自分で解決したい」という思いが強い子にも抵抗が少ないかもしれません。

 

次回に続きます。


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1 コメント

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初めまして。 (はじめまして。)
2017-07-03 14:03:25
いつも虹色教室のブログを読ませて頂いております。
私の娘も、Aちゃんととても似ています。

娘もちょうど小学2、3年生の頃、ダンボール工作にハマり同じように癇癪を起こして毎日暴言暴力、激泣きしていました。
YouTubeを見ながら作っていたんですが、同じように作りたい!間違えたらダメ!
と頑なにこだわっていました。
今すぐ作りたい!今すぐ完成したものを手に入れたいという思いもあるようで、
ちょっと間違ったり、作業が多いので出来ない出来ない、どうするの?やってよ!と喚いていました。
手を貸すと、そうじゃない!というし、口を出すと違う、ママのせいで間違ったとなるし、本当に大変でした。

そんな娘を毎日観察していて、この子はどこにつまづいてるんだろうと眺めていたらあることに気づきました。
口だしも、手出しも嫌がる子なので、私が娘の状態を再現して見せました。
ママも作ってみようかな?
とはじめて、娘が困っているところで同じように困って出来ないよーと言ってみたり、もう失敗したかも!と困ったり、
そうすると、手出し口出しするより、娘も私のやってることに励ましてきたり笑

散々困ったあとで、あっこうするとどうかな?出来た!やってみたら出来たよ!と喜びを共有したりしていました。
そんな私の様子から、娘も自分でやれるようになりました。
その出来事があってから、娘は物作りに目覚めたようでとても急成長したように思います。
Aちゃんもこの出来事で、何か殻が破れるチャンスかもと思いました!
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