虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

緊張が強い子 と 心と心が近づく時、お互いの絆が生じる時 <3>

2018-08-20 20:58:00 | ハイリーセンシティブチャイルド(HSC)・敏感な子

こんなことを書きました。

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そんなときに、外からは、雰囲気が悪くなっていく中で

これといったことをするでなく、後味が悪いまま時間が過ぎていったように見えても、

緊張が強いその子とわたしの心と心は、それまでにないほど近づいて

絆のようなものが生じたのを実感することがあります。

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突然のアクシデントに気を取られているときも

子どもの出す「小さなサイン」に気づくことの大切さをいつも感じています。

 

「気づく」なんて、外からはわからないほど地味な行為ではあります。

でも、子どもとの信頼の絆は、「気づく」というささいな行為の重なりの上に

築かれていくのを実感しています。

 

「小さなサイン」には、こんなものがあります。

 

一緒に活動するのを頑なに拒絶している子が、ずいぶん後になって

ほかの子らのしていたことを真似ようとしたり、

ほかの子の遊び道具に触れていたりすることがよくあります。

そうした姿から、「だんだんほかの子のすることに興味が生まれてきている」

「好奇心が動き出している」という子どもの気持ちに気づくことがあります。

そんな時期に、集団への活動に参加することを無理強いすると逆効果です。

自分から集団に入っていきにくい段階の子には、その子のところへ

ほかの子に来てもらうのもひとつの方法です。

それより、後から遊びを真似ようとしている子のもとに、ほかの子を呼んで、

「どうやってするの?教えてちょうだい」と頼んだり、

遊びが成り立つように取り持って人との関わりの成功体験を積ませていきます。

こんなとき、ユーモアがとても役立ちます。

ちょっとしたことをきっかけにいっしょにゲラゲラ笑う経験をすると、

緊張の強い子たちも関わり方のコツをつかんでいきます。

 

残酷なことを口にしたり、遊び方が乱暴でお友だちを驚かせてしまうような子には、

子どもと子どもの間に入って、大人が適度なクッション材になるようにしています。

緊張が強い子たちがお友だちと関わり始めた時、ちょっとしたことで攻撃的に相手を

ののしったり、おふざけのつもりや、思い通りにいかない場面の仕返しに、

相手に手をあげることがあります。

繰り返すので反省がないように見えても、感情がコントロールできないことを

その子自身が一番気にしていることはよくあります。

声が裏返るような興奮した口調で残酷な言葉を吐いていた子が、

次第に冗談半分に甘えた様子で残酷な言葉を口にするようになったなら、

子どもの心は変化しはじめています。

先の記事にこんなコメントをいただきました。

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先日遅ればせながら、こどもを連れてアナと雪の女王を見に行きました。(はやっているのは知っていたのですが、上の子が映画の刺激にどう反応するのか、ストーリーの内容がこどもに見せるのに適しているのか迷っていて遅くなりました。)

内容がどう、というよりLet it go(ありのままで~)の歌が、うちの子も含めてみんな好きなのだなーという感想でした。

この歌のどこがこどもたちの心を捉えるのだろう?とつらつら考えている中で、この歌のちょっとロックな、というか少し痛みを伴う感覚はなんだろうって探っていたのですが、もしかしてこれが自分を開いて、閉じられた快適な世界から飛び出す時の痛みかな、なんてふとおもいました。

ひとりごと的なコメントで失礼しました。また気が向いた時に続きお待ちしています。

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『アナと雪の女王』の姉のエルサの姿は、どこかで緊張の強い子たちに通じるものがありますよね。

 

映画を見た方はたくさんおられると思いますが、簡単にストーリーをわたし流(書き方が偏っていたらゴメンナサイ)

に整理しておこうと思います。

 

ありとあらゆるものを凍らせてしまう危険でパワフルな力を持つエルサは、

生まれ持った特性と才能ゆえに孤独を生きています。

自分の世界に閉じこもって暮らしていたエルサが、

外の世界と接触する戴冠式の日、エルサの力は暴走し、周囲を冬へと変えてしまいます。

それを機に、自分を抑えつけるのをやめてありのままに生きていく決心をしたエルサも

エルサが創造する世界も

本当に美しくて高貴な魅力にあふれていますが、同時にどうしようもない孤独も体現しています。

 

妹のアナの命の危険を顧みず自分を助けようとする姿を目にして、

エルサは、魔法の力をコントロールする術とは、

「恐れ」ではなく、相手を思いやる「真実の愛」なのだと悟ります。

 

最後に、雪と氷を空へ蒸発させた夏に戻った世界で、

エルサは自分の特性や才能を親しい雪だるまのオラフを助けることや

国民たちと真夏のスケートを楽しむために利用するようになります。

 

緊張の強い子たちというのは、活動にも参加せずにじっとしている時も、

無力なわけでも怠惰なわけでもないものです。

自分の内面に周囲を圧倒するような力や思いを秘めている子がほとんどですから。

 その子たちが一歩外の世界に踏みだそうとする時には、

エルサ同様、それまで内に抑え込んでいたまだ社会化されていない感情が

暴発してしまうことが多々あるのです。

それによって、お友だちや親や先生や自分自身を深く傷つけて、

夏だった世界を冬へと変えてしまうかもしれません。

 

緊張が強い子 と 心と心が近づく時、お互いの絆が生じる時 1 で、

わたしが第三者だからできることは、外の世界とその子の世界の境界面に立って

外と内との橋渡しをすること、

境界面に風穴を開けて、内と外の風通しをよくすることで、

その瞬間は、たいてい、無意味で無駄に見えるし、

ショッキングな辛い出来事がきっかけとなることが多いとも書きました。

 

そんな時、緊張が強い子とわたしの心と心がそれまでにないほど近づいて

絆のようなものが生じたのを実感するというのは

どういうことなのか、できるだけ具体的に書いてみたいと思います。


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