虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

子どもの発見とアイデアを受けとめる (回転ドア)

2013-10-01 20:59:32 | 初めてお越しの方

 

3歳3ヶ月の●くん。

少し前まで、お友だちとのぶつかりあいが多く、

ゲームや学習に参加する時間には、呼ばれても聞こえないふりをしておもちゃで遊んでいました。

それが、次第にお友だちと揉めることはほとんどなくなり、

ゲームや学習にもきちんと参加するようになってきました。

 

●くんは自分なりの考えやアイデアや気持ちを強く持っている子です。

 

●くんがイライラして、お友だちの邪魔をしたり、お母さんの言葉を無視したりするのは、

そんな●くんの心の中から生じてくる思いが

気づいてもらえなかったり、軽く扱われたりすることがきっかけとなっているようでした。

 

●くんのお母さんは、辛抱強く●くんの気持ちを受け止めてあげようと

する方です。

でも、実際には、●くんがどんなことを伝えたかったのか、

お母さんに正確に届いているようではありませんでした。

また、●くんが、どんなフィードバックを望んでいるのかも

わかりかねるようでした。

 

●くんは動く仕掛けが好きで、自分のアイデアがひらめいた時に

すごく興奮して、自分の言いたいことを伝えようと躍起になっています。

●くんにすれば自分の発見は、すごいことで、

それをお母さんに知ってほしくてしょうがないし、自分と同じまなざしで、

自分の発見を眺めてほしいのです。

 

今回のレッスンで、こんなことがありました。

 

●くんがブロックがいっぱい入っているケースをブロックの基礎板に乗せて、

基礎板をいったんケースの下にしまいこみ、タイヤで板の一部を固定した状態で、

回転させながら出してきて、「回転ドア!」と言っていました。

自分の発見がうれしくてたまらなくて、

「見て見て!」というように何度もそうやって笑っています。

 

これまでも●くんは、この重いブロックのケースを抱えて移動しては、それを使って、「○○だよ」と見立てていました。

 

見立てるのにわざわざ重いブロックケースを使うのは困ったことでもあります。

運んでいる最中に自分の足の上に落としてしまうかもしれないし、

お友だちにぶつかるかもしれないし、おもちゃの上に乗せたらおもちゃが壊れてしまうかもしれません。

 

そんな困った遊びにこだわる●くんの話に

お母さんが関心を持って耳を傾けることができないのもわかります。

 

でも、その一方で、そうした重いものを使っていろいろ面白いアイデアをひらめくのが、

●くんらしさでもあります。

●くんが、今、引きつけられているものでもあります。

あんまり遊ばせたくない方法で表現しているとはいえ、●くんのアイデアは

回転ドアの面白い動きを再現していて、

魅力のあるものです。

 

そこで、段ボール箱の一方を、ダンボール板とモールでつなげて

●くんのアイデアを使った「回転ドア」の仕組みを作ってみました。

すると、クルッとまわりながら段ボールの底から出てくる板に

●くんは大喜びでした。

 

 

この日、こんなこともありました。

ミニカーの中からオープンカーに目をとめた●くんが、

「これ変。これ、屋根がないよ」と繰り返していました。

 

●くんのお母さんは、「それは、そういう車なの」と言うと、弟くんの世話をしに

●くんのそばを離れました。

 

確かにオープンカーは、壊れていて変だから屋根がないわけじゃありません。

でも、●くんが、「あれっ?変だな。」と気づいて、発見したことに、

「本当、屋根がないね。雨が降ってきたらどうしよう?傘をさして運転したらいいのかな?」といっしょに

発見を喜んだり、驚いたり、新たな疑問を投げかけたりすると、

●くんは心から満足そうな笑みを浮かべていました。

 

そうして自分の発見がしっかり受けとめられて、心が満たされた後は、みんなでいっしょにする活動にも積極的に参加していました。

 


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7 コメント

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先日はありがとうございました (けんちゃん母さん)
2013-10-02 22:55:14
先日のレッスンでは色々とお話して頂きありがとうございました。

あさがおさんのブログや先生の過去記事を読み返し、子供に対する姿勢を改めて考えさせられました。

子供の興味に出来るだけ反応してあげようと思っていましたが、結局私が関心あること(もしくは子供に関心をもって欲しいこと)だけに対応し、その他はスルーしてしまっていたんですね。反省です。


先生がおっしゃった”丁寧に子育てする”という言葉が心に残り、
仕事や家事を言い訳にせず、真剣に子供と向合う時間を過ごしたいと思います



先日のレッスンの後、科学館へ行きました。
前回行った時に入り口のルービックキューブ君?が気に入り、また見たかったようです。

その後家にあったルービックキューブを見つけ、1人でカチャカチャ動かし遊んでいるのですが
全部(一面が)青色にならない~と言って毎回癇癪を起こしています・・

出来ない~と泣き出すとなかなか私の話を聞いてくれず、ママがやって~の1点張り。

私が一面を揃えたとしても、彼が本当に納得するとは思えないのですが、
どうしたら彼の好奇心が満たされて、さらに楽しい展開に発展させられるのか 
ルービックキューブのどんな所に心惹かれているのか(先生が指摘されたからくりが好きってところも関係ありそうなのですが・・)、何か代替で楽しめるものはないのか等

現在思案中です。
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Unknown (たまご)
2013-10-03 10:31:53
秋晴れが続いており、庭仕事を毎日していると
植物と子供は似ているなーと感じます。
植物も水遣り、土の性質、風の強さ、日当たりなど
気に入ってくれた場所では大きく育つこともあれば
枯れてしまうこともあり、何回も失敗しながら試行錯誤ですが、少しずつ雑草との付き合い方や花の育て方がわかってきます。でも、まだまだ雑な性格の私は枯らしてしまうことも多いですが・・・。

けんちゃん母さんさん、横レスですが
うちの息子もルービックキューブが大好きです。
今ではかなり上達していますが、最初は2×2の小さいルービックキューブを雑貨屋でみつけて買いました。

あとは、平面で1枚だけ抜けているのを順番に並べるパズル(わかりにくくて済みません)とかも好きですよ。
数が書いてある積み木で自作したりしていました。



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有り難うございます。 (せなのはは)
2013-10-03 22:12:20
記事にして頂きありがとうございます。

昨日読ませて頂いたのですが、
なかなかコメントする時間が取れず遅くなってしまい申し訳ありません。

前回7月にレッスンして頂いた辺りから
1歳から毎日行っていた保育園をやめて、
変化がすごくあった2ヶ月間でした。

スケジュールがきっちりしてる園だったこともあり、
「ぼく、お仕事(遊び)に忙しいのに保育園行くとやりたいことができない」と
はっきり言われ、

毎日のんびり過ごしていると、
本人がやりたいことも十分できるせいか
人の話をよく聞くようになり、
笑顔も増えたように思います。

記事の件ですが、
まさにその通りです。
1対1で向き合ってるときでも
わたしは、彼が何を伝えたく、どんな答えをして欲しいのか、
半分わかるかわからないか、、

なので弟のことで気が散ってるときや、
外出中などはほんと軽く扱ってしまってると思います。

今日一日、
自分なりに意識しながら会話してたのですが、
なかなか話は広がらず、
子供が喜ぶような面白い(?)返答ができず四苦八苦してました。

彼が四角い積み木をたくさん並べて、
「みてみて~四角だよ!」と言い、次に、
「これは何の形でしょう?」と言うので、
「四角でも三角でもないねー、ママ見たことないなぁ、何?」と言うと、
「カメラだよ!!」と言われ、
「わー!ほんとだ!カメラに見えるわ!!すごいねー!!」と本当にびっくりすると、
すごく嬉しそうに笑いました。


「ぼくの車は黄色だよ!ママの車は何色?」と言うので
いつもなら「ママ車もってないけど?」とリアルな答えをしてしまうところ、
「ママは赤のスポーツカーだよ」というと
目を輝かせて「これかな?こっちかな!?」と自分のトミカから探してました。

何気ないことですが、
すごく難しいです。

たぶん意識していても
気づいてあげれてないことがたくさんあるんだろうなぁ。。
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自分が子どもになること (からたち)
2013-10-04 13:58:33
はじめまして、4歳と1歳の母のからたちと申します。少し前に虹色教室通信を知り、夢中で過去記事を読んでおります。

4歳の息子はザ・直感タイプという感じで(外向的感情直観寄りの子 と 外向的直観感情寄りの子 と お勉強 という記事の子そのものです)、思い付きとひらめきの中で生きています。以前ですと彼の良さを面白がりつつも、「こんなにすっとんきょうで大丈夫かしら?」と思っていましたが、虹色教室通信を読み込んで、すっとんきょうに色々試して、失敗したり、思いがけない発見をしたりすることが、彼が世界を知る術なんだということがわかり、かなりの失敗も暖かく(?)見守れるようになってきたなと感じます。

また、以前は色々な物事や環境に触れさせる→ちょっとやってみてすぐに納得する→この子は集中力がないなあ、と思っていたのですが、こちらからの働きかけを控えると、自分で好きなものをみつけ(息子の場合は虫捕りで、毎日虫捕りや虫の世話、虫の図鑑を見ています)、それに関しては1時間でも同じことができるのだなあと、実感しています(集中しているのは、ミノムシの皮をはがして細かくした折り紙を貼らせたい!とか、幼虫のたくさんいる土をひたすら掘る、とかなのですが)。

そして、おそらく私も直感型なのですが、息子と一緒に日々わくわくしています。うまく言えないのですが、自分の中の子どもの自分を解放して、一緒に本気で虫を捕まえたり、この虫はこの種類だと息子と議論をしたり、一緒に想像の世界に入っていったり。子育てを楽しく感じる一瞬です(ばらまかれた土の片づけなど、大人として頭の痛いことも多々ありますが…)。

前置きが長くなりましたが、親も子どもの心でひらめいたり、子どもの思い付きを喜んだりできると、自然とこの種のタイプの子への対応がすんなりできるし、自分も楽なのかなと思いました。
というか、どんなタイプでも、子どもの心になって造形物の美しさを楽しんだり、積木の手触りやにおいを慈しんだり、物事の成り立ちに自分のこれまでの知識をいったん脇へ置いておいて新しく思いをはせたりすることが、ストレスなく子どもの活動と付き合っていくのに有効なのかなと感じました。

虫捕りから工作へのシフトがなかなかなのですが、虫を捕まえる罠を作るとかだといいのかと思いつつ、実行できていません。水とかばねとか磁石も大好きなので、(そしてすごく適当なものを作って喜んでいる…わかりやすい直感タイプです)、その辺から虫捕りができなくて「なーんか面白いことないかなー」と言っているような日を見つけたら、何かしようよーと誘ってみたいと思います。
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たまごさんへ (けんちゃん母さん)
2013-10-04 21:49:07
たまごさん

2x2のルービックキューブがあるなんて知りませんでした!早速探してみます。

というのも、だいぶ前に安物を買ったからか
今日見事にバラバラになってしまいました(泣)

子供は中の仕組みが面白かったのか
大事に袋に入れ、また遊ぶそうです



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からたちさんへ (せなのはは)
2013-10-05 11:55:43
コメント読ませて頂きました。
自分が子どもになること、大変勉強になりました。

今実家に帰って来てることもあり、朝から降ってた雨があがって「雨やんだよー!!!」と喜んで小躍りしてる彼を見て、あー私もそうだったと、それをきっかけに色々と思い出しました。

なにか虫がいないか、魚がいないか、ザリガニは?とかそればっかり考えてました。
これといって何もない公園でも想像力豊かにずっと遊んでられましたね。

動く仕掛けは私自身あまり遊んだ思い出がないので子どもと一緒に色々発見していきたいです。

こののんびりした精神状態で家に帰っても過ごせたらいいなぁと思います。

子どもになること、意識してみます。ありがとうございます。
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せなのははさんへ (からたち)
2013-10-07 13:46:16
コメントをいただきありがとうございます!
私の感想にそんな風に言っていただけて、ありがとうございます。
子どもを導くためには、そこからさらに踏み込んでいかなければならないのでしょうが、さしあたって自分が楽しいのが一番かなと思いました。

お互い育児を頑張りましょう!
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