ロスメルスホルム

2023-11-12 10:30:49 | 舞台
私の記憶の中では、イプセン大先生の戯曲の中で最も難解な作品の1つがコレ。何を描いているのか、ストーリーすら理解出来なかった記憶しかない戯曲。

今回の舞台で、理解できるのか、何を感じるのか、久々の森田剛君と「ドライブ・マイカー」で彗星の如く現れた三浦透子さんの舞台ということもあり、マチネの梅芸の後、兵芸に行きソワレ公演を観てきました。

正直な感想、明確な答えやメッセージは分からなかった。

ただぼんやり見えてくるのは、本当の意味での自由思想とは何かを問うた作品かな?と思った。

正直なところ、イプセンが生まれた時代のノルウェーの政治的背景を全く知らないから、ロスメルスホルムの義理の兄と対立するモンテンスゴールのそれぞれの思想や理想の社会が、舞台でも理解できなかった。だから、ロスメルスホルムとレベッカの理想郷も理解出来なかったのが正直な感想です。

今まで、全部ではないが、イプセンの戯曲も読み、戯曲を読んだ頃は、イプセンの人物描写の鋭さに感銘を受けて大好きな戯曲家になったわけだけど、

最近は年に一回は舞台が上演されるようになって、伝わってくること見えてくるものは歳を取ったせいか、戯曲を読んだ頃と全く違って、ウーマンリブの思想が強いな~と感じていた。

だけど、この作品は、「海の夫人」同様、魂の自由を追求した作品かな?と思った。

資本主義でも社会主義でもでもない、そういう政治的思想の社会の中で縛られた自由ではなく、政治的思想を持たず本来人間が持つべき自由選択や自由意思で生きていける社会こそ理想社会と言いたかったのかな?と思った。

極端な話、国家のトップによって支配された自由じゃなく、まさにエリザベートの如く、国民ひとりひとりが自由意思で選択できる自由。

現実問題として、本当に人間が国家の隔たりもなく自由選択が可能になった時、一体誰が食糧を生産してくれるのかという最大の問題がでる。そうなったら、もはや、自給自足するしかないね。農家の方だって働かないという自由選択もあるわけだからね。

って考えると、現社会において、自由思想は、魂の自由しかない。それはまさにトート閣下のいる世界。

私視点では、この世界は、国家のトップが、国家のリーダーとして国民を統治しているかのように見えるけど、実は見えない力によって国家リーダーも選択権を奪われていると私は思うんよね。

ハマスの報道もしかり、本来報道すべき内容が都合よくカットされたり編集されたり。マスコミによって印象操作されていたり、なぜ印象操作しないといけないのか、その根っこを辿っていったら、見えない力が動いていたり、っていうのが最近の世界情勢を見ると視えてくる。

イプセンも実は、それを訴えていたのかな?と正直なところ思ってしまった。

見えない束縛によって自由を奪われている現実を。

そもそも、国民を巻き込んで戦争する時点で間違っているんよ。武器を開発してる時点で間違っているんよ。映画「カイジ」の世界観が、リアル世界で行われているとしか思えない。

はい、「ロスメルスホルム」から脱線しまくりましたm(__)m

そう、舞台のラストシーンが気になったので、私が持ってる戯曲で確認したら、明確な描写が書かれていました。

やはり、今、我々が得られる自由は、魂の自由しかないと思った。イプセン大先生がそれを描きたかったのかは分からないけど…。

ということで、蜷川さんの「祈りと怪物」以来の剛君のロスメルスホルムは、最初の印象は、透明感があるキレイな声であることに驚いた。まるで声優さんみたいだった。もっと低い声だと思った。

剛君のロスメルスホルムは、まさに魂を何処かに置いていったような血が通っていないゴースト的な印象。

まるで、ヒチコックやミュージカルの「レベッカ」を見てるかのような、亡くなった妻のゴーストに取り憑かれたような表現だった。ま、結局そういうことだからね。

感情の起伏がない淡々とした演技が逆に怖くて良かった。感情を顕わにする時は時で怖さがあって更に良かった。見えない何かに束縛されてる感と、透明感がある声が実に魅力的だった。そりゃ、りえちゃんも惚れるわ!っと思った。あ、失礼しましたm(__)m

三浦透子さんのレベッカは、ロスメルスホルムの理想に共感した一人。過去に闇を抱え、彼女もまた見えない何かによって自由を奪われている。

ロスメルスホルムが一歩でも理想に近づく行動をとってくれたら、彼女もまた理想に近づくことが出来たのに、結局2人が手にしたのは、現社会での理想郷ではなく、魂の自由だった。

透子さんのいかにも闇を抱えた演技がめちゃくちゃ良かった。っていうか、舞台経験豊富ですか?と聞きたくなるくらい、自然体で演じられていてめちゃくちゃ上手くてビックリした。

浅野雅博さん、谷田歩さん、櫻井章喜さんは、それぞれ独自の思想を持った役柄で、なんの思想なのかは良く分からなかったけど、それぞれがロスメルスホルムを味方につけようとする様が三者三様で存在感はピカ一でした。

梅沢昌代さんは、まさにゴーストが住む屋敷の家政婦さんで、家政婦さんだけにコメディーリリーフ的な存在で重たい空気の中の唯一の清涼剤的存在で良かった。

この作品、東京公演より兵庫公演が先だったんだね。十分完成されていると思った。難解作品なので良く分からなかったけど。

ぶっちゃけ、難解のはずなのに、照明も暗いシーンが多いのに寝てる人がいなかったことにビックリした。

それもそのはず!

カーテンコールが凄かった!5回以上はあったな。最後は、剛君が梅沢さん達と電車ごっこで登場し、やっと剛君の笑顔が見れて、ファンの皆さんが大変喜んでた。

藤ヶ谷太輔君の舞台もしかり、ファンの力というか、ファンの集中力におののくばかり。

役者の皆さん、東京公演も頑張ってください!




宝塚歌劇 雪組 pre100th Anniversary『Greatest Dream』梅芸初日

2023-11-12 00:05:00 | TAKARAZUKA
モサクさん、ナイスな笑いとスルーパスをありがとうございます!!

カリンチョさんもありがとうございます!!

まさか、オーラスで泣かされるなんて思ってもみなかった。

鮎ちゃん、本当に本当に出演してくれてありがとうございます!大阪まで来てくれてありがとうございます!

鮎ちゃんの涙にワタクシも貰い泣きしました。

本当に本当に素晴らしいショーをありがとうございます!

ということで、大阪初日に行ってまいりました。

知らない曲もありましたが、懐かしい曲、お馴染みの曲の数々。

懐かしいトップスターの皆さんの歌声とお姿に感動ひとしおでございます。

本当に本当に感動しました。

まさか、「黄昏色のハーフムーン」をカリンチョさんと鮎ちゃんで聴けるなんて!!

主題歌ならお披露目の「ムッシュ・ド・巴里」や「天守に花匂い立つ」だってあったのに、絶対生粋の雪組ファンしか知らないマイナーな曲を歌ってくれて本当に本当に感謝です!

この曲は、東京公演で歌われていたことは知ってました。大阪では出演者が多いから歌わないだろうと思っていたので、大阪で聴けて感謝感謝です!

実は、たまたま昨日、「黄昏色の〜」の実況CDを聴いていて、あまりの懐かしさでウルウルしまくっていたので、大阪で聴けて本当に本当に感動しました!

ぶっちゃけ、「黄昏色〜」の旧大劇場公演は客入りが悪かったんよ。私の周りの評判もイマイチだったけど、私は大好きだった。花の指定席で録画したビデオを何回も何回も観てた。ギャツビーを観てからは、NHKで録画したギャツビーばかり観てたけどね。

なんてたって、カリンチョさんの雪組は、どの組よりコメディーセンスがピカ一だった。芸達者が揃いすぎ!

雪組は日本物の雪組、芝居の雪組とも言われているけど、

いやいやいやいやいやいや、コメディーの雪組でもある。

モサクさん時代は、映像でしか観たことないけど、悲劇や悲恋が似合ってた!「たまゆらの記」大好き!今回歌って頂き感無量でした。

モサクさん時代は、コメディー作品のイメージが全くなかったけど、バウ公演ではあっとは思うが…。カリンチョさんに代わってから大劇場でのコメディー作品が増えた。

お披露目の「ムッシュ・ド・巴里」もそうだったし、いっちゃんが主役だった30分もの作品「恋さわぎ」もガチコメディーだったし、いっちゃんがトップ時代も、ショーでユキちゃんとトドちゃんと3人で着ぐるみを着て客席を笑かせていたし。

あの生真面目なトドちゃんも、ショーやバウでもコメディーに挑戦していたし。私は観てないが、バウの「恋人たちの神話」もガチコメディー作品でオカンが大絶賛してたのを思い出したよ。

なんてたって、当時の雪組には最強娘役のリンゴさんこと早乙女幸様がいらっしゃったからね。「虹のナターシャ」なんて最高すぎ!

ま、その雪組のコメディーセンスも瞳子さんによって星組へバトンタッチされてしまったけどね。藁

あ、思い出が尽きない。30年以上前のことなのに昨日のことのように思い返される。

花月100 周年の時は、花形スターさんが多い印象が強かったが、ぶっちゃけ、雪組は、花月合同に比べたら、単独だから地味だと思ったよ。m(__)m

でも、作品に関しては、雪組もなんだかんだいって名作揃い踏みだからね。植田御大作品は除き、モサクさんの「大江山花伝」は今では伝説だし、カリンチョさんは「華麗なるギャツビー」と「忠臣蔵」、いっちゃんはスゴ強「エリザベート」初演。ユキちゃんは「仮面のロマネスク」。トドちゃんは「凱旋門」。私の宝塚第一次ブームは、カリンチョさんから一路さんの卒業までなので以下省略m(__)m

今回は「エリザベート」の曲はなかったが、ちょい上の曲たちは全て歌ってくれた。

カリンチョさん40周年でも聞かせてもらった♪朝日の昇る前に♪(←歌詞を間違えた…ホンマにファンか!?💦)も鮎ちゃんデイジーとのチョイ台詞の会話も再現してらい、大ファンとしては、

もう思い残すことござらん!!

40周年の時よりもさらに年月が経っているのに、カリンチョさんなんて更に現役時代のギャツビーに戻っていたよ。やはりトーク力も健在でユキちゃんのマネ最高だった。袖にいるユキちゃんに謝っている姿に、昔の雪組の仲の良さを見てるようだった。

鮎ちゃんなんて、ほとんど舞台からは遠ざかっているはずなのに、なんともいえない気品があり、誰よりも気品と美オーラが半端なかった。

白城あやかさんもそうですが、奥様であり、大きなお子さんがいるお母様でもあり、ご自身のブログに登場するくらいで、ほぼ人に見られるお仕事から遠ざかっている主婦なのに、舞台に立ったら美しさが誰よりも際立つって…。ほんま、恐るべし元トップ娘役!

鮎ちゃんも、本当に佇まいに品がある!そうそう、サヨナラ公演で出待ちした時に、鮎ちゃんらしき方が遠くから、バレエされている方独特のガニ股で歩いてこられて、正直ガッカリしていたら違う方でした。そしたら、その後から本物の鮎ちゃんが歩いてこられ、なんとまぁ神々しかったことか!先ほどの方と全然雰囲気も歩き方も違って品があったことを今でも覚えてる。

その時と美しさは全然変わらない!これぞ美魔女!藁

本当に10代にタイムスリップしたよ。あの頃の記憶が蘇ってくる。


いっちゃんなんて、最初の歌は、♪アポロ♪だったかな?女性的な歌い方だったのに、登場する度にだんだん現役の男役に戻りつつあって、まだ歌の時ならいざ知らず、トークの時に完全男役時代の動きや喋り方になっていたよ。「あかねさす紫の花」の時なんて、完全に大海人皇子様の表情になったしね。

ユキちゃんと美穂姐さんで♪仮面のロマネスク♪を歌われた時は、髪型もしかりまじヴァルモンさまだった!声もしっかり出ていて、ユキちゃんは舞台に立つために、この日のために神様に追い返されたんだと思った。本当にお帰りなさいだよ!これからは、いっぱい舞台やコンサートに出て欲しい!

ともちゃんの♪ラテン・ラバー♪も現役のままだった。カリンチョさんとの深川マンボも良かった。あと、神奈美帆さんのモノマネが最高だった!

っていうか、モサクさんのサヨナラ公演までは、ともちゃんは雪組生でその後月組に組替えだったんだよね。「たまゆらの記」にともちゃんが映っていた。鮎ちゃんは見つけられなかったな…。

ともちゃんは月組に組替えしてからメキメキ頭角を現して、ともちゃんの朧月夜最高だった!そこから雪組トップ娘役に返り咲き、中日劇場でデイジーを観させてもらいましたが、やはり、ともちゃんは、あの静御前!ホンマ、1幕ラストと2幕の義経との再会シーンはマジ泣ける!

今回は、いっちゃんと「ブルボンの封印」のデュエットだった。懐かしかった。

タカコさんも、見た目は本当にモデルさんなのに、歌声は男役だった。

っていうかさ、誰もが思ってることだと思うけど、そろそろ花ちゃんと仲直りしてよ。喧嘩してるのかは分からないけど、ファンは、2人が揃うのを待ち望んでるやで。周年のエリザベートガラコンサートでは、タカコさんも花ちゃんも必要なの!宙組コンビとしても必要なの!

2人に何があったかは知らないけど、宝塚の未来のためにも一緒に出てください!

お願いしますm(__)m

ぶんちゃんのトーク力最高だった。コムちゃんイジリ良かった!コムちゃんの大物ぶりが目に浮かぶ!藁

ぶんちゃん、コムちゃん、オッチョンの並びが新鮮だった!

そう、ワタクシ、ぶんちゃんの「追憶のバルセロナ」「ON THE 5th」を生で観てますから!ほぼ生徒全員のタップダンスが凄かったもんね。ショーの主題歌は本当に懐かしかった!

コムちゃんは、ユキちゃん同様、梅芸だけの出演だったので、定番の♪Joyful!♪は、下級生のも揃っていたので皆楽しそうだった。

それにしても、コムちゃんの相手役の舞風りらちゃんの笑顔が最強だった!めちゃくちゃ幸せ度が伝わってくる笑顔だった!

かしげさんも美しさは現役時代と変わらないね。タカコさん同様、雪組から宙組に組替えでトップになられたけども、雪組育ちには変わらないので、生で観たコムちゃんの「アンナ・カレーニナ」でのカレーニン役は今でも忘れらない。っていうか、私はコムちゃんとかしげさんの並びが好きだった。

壮さん&あゆっちコンビ、キム君&美海ちゃんコンビも懐かしかった!

それぞれの「若き日の唄は忘れじ」と「エメ」は最高だった。

グンちゃん、みなこちゃんは単独だったけど、「凱旋門」はトドちゃんの姿が見えるようだったし、みなこちゃんの「リオ・デ・ブラボー」はめちゃくちゃノリノリだった。

ハマコさんもきたろう君も出ていて、私の第二次宝塚ブームが2009年末からだったから、水さんの作品「ソルフェリーノの夜明け」や「ロジェ」のそれぞれ2人の役柄が印象的だったのを思い出した。

私の第一次宝塚ブームのきっかけが、カリンチョさんの「ベルばら」だったし、どの組も観てたけど、特に雪組贔屓だったので、そこからモサクさんやターコさん時代の作品も映像で観る機会もあって、前楽と千秋楽はどうなるこてやら?そこにイーチャンも加わるわけやん!

今からゾワゾワしてくる!

ターコさんは、ショー「フル・ビート」のプロローグが凄ツヨ!今回は、バトラーか、はばたけかな?イーチャンはやはり「彷徨のレクイエム」やな。ま、それしか知らないんだけどね。

今日は、最後から2曲目の曲紹介でモサクさんがやらかしてくれてめちゃくちゃ和ませてもらいました。最後の紹介では、カリンチョさんとのやり取りが最高だった。そこからの、モサクさんから、大阪は初日だけ出演の鮎ちゃんに挨拶をする機会をスルーパスしてくれて、鮎ちゃんが感極まっている姿に私も貰い泣きしてしまった。

そこから、カリンチョさんが鮎ちゃんに “出演してくれてありがとう” と仰った時には私も顏クシャ状態になってしまった。

本当に本当に、私も言いたい!

鮎ちゃん、出演してくれてありがとうございます!!!

チケットを取らせてくれた梅芸様にも感謝です!


今、宙組が東宝でも公演できるのか分からない状況になっている。とうとう親御さんからの声明も弁護士を通して発表された。私は勇気ある声明だと思いました。

この雪組OGの皆さんを見ていたら、信じたくない現実ではありますが、この問題が今に始まったことでないのは、96期の裁判から明白です。ジャニーズ問題もしかり、裁判から何も学んでないことが一番の問題だとしか言えない。それが公にならなかったことが更に問題。

そして、見て見ぬ振りを通した結果がこれです。

女性だらけの集団だからイジメがない方がおかしいと、私の周りでは言っているが、

えっ?私の職場も女性が多いが、イジメがあるの?と聞きたくなった。

それなら、男だらけの現場でもイジメはあるよ。

たしかに、各組の生徒数が多いのは1つの問題点であることは間違いないと思う。

命より大切な学校も会社もないと思ってきたが、もはや、今の時代は、久能整くんの言う通り「逃げたらいい」はなんの解決策にはならない。イジメる側にカウンセリングが必要な時代になったのかもしれない。

本人がイジメてないと思っていたらそれも真実だし、本人がイジメられたと思ったらそれもまた真実。

もはや生徒間に信頼関係がないことが一番の問題ってことになるね。

♪北ウイング -CLASSIC-♪by 中森明菜

2023-11-10 12:24:46 | 日記
明菜さんのファルセットヴォイス、ピアノとストリングスのアレンジによって、オリジナルよりも歌詞の世界観が広がって聞こえてくる。

まさしく映画のワンシーンの如く、愛する人が住む異国の街へと旅立つ主人公。

飛行機の窓からダイヤモンドのように輝いて見える街の夜景が小さくなっていく様を眺めながら、早く会いたいという抑えきれない気持ちと未知の世界へ身を置くことの不安の2つの感情が今まさにせめぎ合っている様が映像として浮かんでくる。


この曲は、私がまだファンになる前に、レコード大賞で明菜さんが歌った時からずっとずっと馴染み深い曲ではある。

だが、アレンジと歌い方が変わるだけでこんなにも世界観が変わって聞こえてくるとは思ってもみなかった。

まさにシンガーアクトレスの真骨頂。

メランコリックな響きがより主人公の心情をリアルに表現されているように聞こえてくる。


ということで、レコチョクで早速購入&ダウンロードして聴かせてもらいました。

作曲家林哲司さんのデビュー50周年を記念したトリビュートアルバムの一曲。

林哲司さん、50周年おめでとうございます!

そして、2017年のディナーショーから再び活動休止された明菜さんが、去年の年末に新しいファンクラブを発足し、ようやく復帰の兆しが見えてきた渾身の一曲。

めちゃくちゃ素敵な曲に仕上がってますね!

昔は、ロングトーンが何秒続くかが風物詩的な曲ではありましたが、今、新しいアレンジで聴かせてもらうと、本当に映画のワンシーンを観てるような情景が浮かび上がってくる

作詞は、♪ミ・アモーレ♪の作詞家でもある安珍化さん。作曲が、明菜さんのアルバム曲やシングルB面曲が多い林哲司さん。

巷ではあまりピックアップされない曲だけども、やはり名曲。

今年の紅白に出て歌って欲しいけど、今は体調優先で無理せず続けていってほしい。

皆さんも、機会があれば是非聞いてほしい!

「尺には尺を」2回目 & 歴史劇皆勤賞トーク

2023-11-08 01:09:00 | うらけん
うわー、占い当たりすぎ!

7日まで土用期間なので遠出禁物と言われていたけど、最終日だから大丈夫だろう、財布をなくさないようにだけ気を付けていたら大丈夫だろうと半ば油断していたら、新大阪行の最終新幹線に乗っていた時に、まさかのJR神戸線接触事故のため振替輸送という情報が入ってきた。焦りに焦った。感想ブログ書いていたのにそれどころじゃなくなったよ。

明日仕事だから新幹線を使ったのに、新大阪からの終電を乗り損ねたら大阪泊、始発帰宅の即出勤状態やん!?

他に帰宅出来る術を検索したら、地下鉄と阪神電車を使えば帰宅できることが判明した。

今まで新大阪から地下鉄に乗ったことないから、迷子になって乗るべき電車に乗れなかったら一大事なので新幹線口から地下鉄に行くルートをちゃんと検索し、地下鉄と阪神電車を乗り継いで無事帰宅することができました。

これ、新幹線に乗ってる時に知れて良かったよ。これが在来線に乗ってる時だったらもう泣くにも泣けない。


大阪地下鉄様、阪神電車様感謝感謝でございます!



ということで、私のどうでもいい話はさておき、

たまたま7日が休みだったので、浦井氏筆頭に歴史劇皆勤賞トークもあるということで、2回目を観てきました。

「尺には尺を」は、やはりソニンちゃんが素晴らしい。ぶっちゃけ賞獲れる!っていうか、私なら女優賞上げたくなるくらいめちゃくちゃ良い。

前回は、結構前方席で観させてもらったのに全然気づかなかったけど、今回は2階席でオペラ使用で観させてもらったら、あんなに泣いてたっけ?って思うくらい、ソニンちゃんがめちゃくちゃ役に入りこんでいて、イザベラの切羽詰まった感情、お兄ちゃんの命は助けたいが、その反面、自分の操も守りたい必死な気持ちが更にリアルに表現されていて、私ならソニンちゃんに賞をあげるよ!

ソニンちゃん演じるイザベラや朋子姐さん演じるマリアナも、男性に都合よく利用される男性社会の犠牲者なわけやん。

シェークスピア大先生が女性蔑視から女性上位へと描いていて、結局は大団円で終わってるからいいものの、今でも権力を傘に弱い立場な者を虐げるケースはよくあること。

シェークスピア作品って、「ヴェニスの商人」に代表されるようにウイットに富んだどんでん返しが絶妙で、今作もベッドトリックで悪の権化のアンジェロを追い詰めるわけですが、今作は現在にも通じる社会性があり、しかも風刺して表現されており、2回目でもやはりめちゃめちゃ面白い!



そして、終演後のヘンリーシリーズ歴史劇皆勤賞トーク付き。

登壇者は、司会が三崎プロデューサー、浦井氏、木下浩之さん、小長谷勝彦さん、急きょ立川三貴さんに代わり舞台監督の北条孝さん。

トーク内容はほぼヘンリー6世のエピソードでしたね。

浦井氏は、亡くなられた方への敬意を窺えるトークでした。

私が知る限りでは、中島しゅうさん、渡辺徹さん、久野綾希子さん…が亡くなられました。

しゅうさんに至っては、浦井氏とは「ヘンリー6世」でほぼ親子関係みたいな主従関係を、「ヘンリー4世」ではガッツリ親子関係を、「あわれ彼女は娼婦」でも新国立劇場で共演しているだけに思い出がひとしおなのも浦井氏の発言からも伝わってきた。そういえば、瞳子さんの「エディット・ピアフ」でも共演したね。

私は、「ヘンリー6世」と「リチャード3世」は、新国立劇場での映像上映でしか拝見したことないけど、それ以降のヘンリー作品は新国立劇場で拝見させてもらってるだけに、やはり、「ヘンリー6世」は生で拝見したかった。

カットされまくりだったけど、映像でも観れただけでも新国立劇場には感謝。

蜷川版をDVDで購入しましたが、やはり、世界の蜷川さんでも新国立劇場版には敵わなかった。と私は思ってる。

ぶっちゃけ、天国の蜷川さんには申し訳ないが、蜷川版のキャスト陣は、何を喋っているのか、誰を演じているのかさっぱり分からなかった。演者さん皆同じ喋り方だし、ただ大声でがなってるだけで役の気持ちがほとんど伝わってこない。何より舞台美術がシンプル過ぎて設定が分からない。わざわざ中古パンフレットも購入したくらい。

その点、新国立劇場版のキャスト陣は、適材適所。ちゃんと敵と味方が分かる演じ方、演出だった。

浦井氏ヘンリーの、もう二度と演じられないあのピュアさはヘンリーにピッタリだった。これはリチャード3世で証明済。

朋子姐マーガレットのしたたかぶりや村井国夫さんノーフォーク公との不倫関係もリアリティーがあったし、木場勝己さんトールボットと息子との関係ではめちゃくちゃウルウルしまくった。

渡辺徹さんヨーク公はめちゃくちゃ策士で憎たらしいし、ソニンちゃんジャンヌは勇ましかった(カットが多かったのが残念)、岡本さんリチャードは、まさに続編リチャード3世を演じるに相応しい存在感だった。

本当に本当に、「ヘンリー6世」、ノーカット、フルで観させて下さい!せめてもう一回上映して下さい!と訴えたいくらい完成度が高かった。蜷川版と比べたらその良さがひしひしと分かる。

それはさておき、

トークの内容で覚えているのは、浦井氏ヘンリーが天井からブランコで降りてくるシーンがあって、ただでなくても高い天井なのに、客席から見える高さより更に1.5メートルの高さで待機していたエピソードや、

舞台監督の北条さんがキューを出すタイミングが雑音で分からなくなって一か八かでキューを出したエピソードや、殺陣のシーンでは重たい鉄の剣で戦っていたこと、ソニンちゃんが木場さんに危うく剣で当てそうになったエピソードとか、高低差のある舞台美術だったり、木下浩之さんシャルルのマントは、ブルーシートで作られた大きいマントだったりとか、

浦井氏も言っていたけど、役者陣、めちゃくちゃ命懸けやん!?っていうのが目に浮かぶ。

今だから言えるエピソードだったから、もう一回映像で確認として観たくなった。

「リチャード3世」では、小長谷勝彦さんがスティーブ・ジョブズの格好の衣装だったこと。ここでな書けないNGエピソードがあったり、今回はその時と同じ格好で登場され、靴も当時の舞台で使用した靴を履かれていました。本当に物持ちがよい。

舞台監督のオッケーが出ないと、いくら演出家鵜山さんの希望でも通らないとか、実際は希望に添えるように尽力されていたとか、舞台監督の仕事説明をされたり、プロデューサーが最初にオファーする相手が舞台監督だということ。

池エピソードは面白かった。「終わり〜」では池ポチャ&水バシャがあるから、下手前列の方は要注意しないといけない。どれだけの被害が被るかは浦井氏にかかっている。以前、水バシャでお客様からクレームがあったとか。面白かった。

「ヘンリー6世」の千秋楽で、鵜山さんが北条さんに握手してきたこと。普段はクールだから握手なんてしない方らしい。鵜山さんエピソードも面白かった。

今思い返すと、ヘンリー4世だったか5世だったか忘れたけど、まるで板だけで組んだかような結構な高さの足場だったり、鵜山さんって案外、蜷川さん以上にアグレッシブな要求をされる方だということが伝わってきた。

あと、木下さんが、浦井氏の今回の役に対して、今まで見たことがない役を見れて喜んでいらしたことに強く同意!藁

「尺には尺を」の1幕目でのソニンちゃんとの掛け合いは、本当に見ていて新鮮。「終わり〜」はマジ下衆だったし。藁←これ、褒めてますから!


新国立劇場シェークスピアシリーズ継続して欲しい!

来年は、天国の蜷川さんに代わって吉田鋼太郎さんが再びシェークスピアシリーズに挑まれ、ハムレットを上演されます。

新国立劇場も吉田シェークスピアシリーズに対抗して上演してくれたら、演劇界も活性化すると思う。昔、「バンドラの鐘」で蜷川さんと野田さんが対決したように。「祈りと怪物」で蜷川さんとケラさんが対決したように。

キリエのうた

2023-11-03 23:57:00 | 映画
映画を鑑賞された方のレビューをネタバレ込みで読ませてもらって、これは原作を読んでから映画を観なあかんなと判断し、先に原作を読み終えてから鑑賞することにしました。

原作に関して言うと、ぶっちゃけ書くと、文字で表現されていたからか、当事者じゃないからか、津波シーンもレイプシーンも私には大きなうねりには感じなかった。

ただ、夏彦が希(きりえ:主人公キリエの姉)を探そうとすでに津波が引いたとは知らず、地震の夜、40キロの距離を走ろうとするシーンはリアリティーを感じた。

あと、私も近い経験はあるので、夏彦の悔恨は、めちゃくちゃよく理解できる。

それ以外は、リップヴァンウィンクルの花嫁を超えることはなかった…m(__)m


ということで今、映画を見終えました。

ぶっちゃけ、原作を読んでいて正解だった。

原作を読んだからこそ分かる、映画では見せていない裏エピソードがあったり、映画にしかないシーンがあったり、このエピソード絶対必要!と思っていたシーンが丸ごとカットされていたり、

逆に言うと、原作を知らないと理解しにくくない?と思う人物描写にも感じた。特に、広瀬すずちゃん演じるイッコの描写ね。

イッコの大事な東京エピソードが丸ごとカットされていた。映画だけ観たら、イッコはアバズレにしか見えないような印象を受けるんじゃないかな。本名の真緒里からイッコに改名した理由やエピソードは絶対必要だったと思う。

あと、夏彦の悔恨の根深さを伝えるには、夏彦の家庭環境のエピソードが足りなかったように思った。なぜ、自分の子供を身籠った希に対して疎遠にならざるを得ない背景となる情報量が少ないように感じる。

映画だと、単純に希を嫌になった、自分の将来の邪魔になったという印象しか持たれないような気がする。やはり、お兄さんエピソードも必要だったと思うな。ちなみにお兄さんエピソードは、原作の描写がよい。映画はほぼカット。むしろ原作を知ってると、映画にはない世界が見えてくる。

ぶっちゃけ、原作を読む限りだと、イッコの方がキリエよりも主役の感じがした。イッコの生き様が波乱に満ちて、その癒しがキリエの歌であり、キリエの存在だったと思うんよね。

でもね、映画の方が観やすかった。最初の方で3つの時代を交互に見せていったのは、退屈せず観られるので正解だと思った。原作はある程度は、時系列で話が進んでいるし、一つ一つが長い。映画のように上手くカット割りしてつなぎ合わせてくれた方が、170分退屈しない。

だけども、路上フェスシーンまでは、映画の方が良かった。

ちにみに、原作のフェスは、今日の2023年11月3日金曜日なのである。なんたる偶然!

ラスト、ここで終わったらいいのにエピソードが数回畳み掛けてくるのが正直しんどかった。まだ続くんかい!的な。原作を読んだだけにね。

あとさ、やはり、イッコの本名の真緒里としての東京エピソードがゴッソリ抜けてるから、原作を知らない観客にはイッコが何を考えているのか分からない不思議ちゃんと思われるのがある意味悔しいね。

イッコはイッコで真緒里を捨てないといけない理由があったし、レイプシーンって、まさかキリエの未遂レイプシーンの方だとは思わなかった。原作には、もう一つのレイプエピソードがあり、そっちの方が重要。原作だと、伏線回収されるエピソードではあるんだが。

ぶっちゃけ、生々しいレイプシーンは見せなくていいから、真緒里と灰野エピソードは欲しかったな。イッコの名誉のためにも。

原作では、イッコの師匠?となる柚子子(ゆずこ)との関係がイッコを知る重要な背景となるし、ラストの解釈が大きく変わる。映画でも、実は灰野は登場してるけど、観客は、結婚詐欺の犠牲者だと思うだろうから、全然違うから!と言いたくなる。

この灰野エピソードは、原作のラストで、天罰のように、女神が鉄槌を下すがごとく、伏線回収エピソードとして異彩を放っていたので、なかったのは残念だった。

柚子子&灰野エピソードを盛り込んでこないなら、ラストは、時間軸交差じゃなく原作通りストレートに見せてほしかったな。

ラストは、路上ライブでもいいから、キリエの歌で終わって欲しかった。エンドロールにネットカフェシーンいらない。浜辺のシーンはライブ前にして。違う意味でリアルに切なくなる。映画なんだから希望で終わろうよ、と思った。


映画では、キリエとイッコの友情ドラマとも解釈できるが、

原作は、イッコの家庭環境や女を武器にしたくない考え方が象徴するように、男性社会の下敷きになった立場が弱い女性の姿を描いた作品だと思った。

映画のシーンはほとんど原作通りなんだけど、映画と原作では伝わってくるものが全然異なっていたのが不思議くらいだった。

個人的には、夏彦が40キロ走ろうとしてたどり着いた場所が神社だった…のも欲しかったな。姉の希(きりえ)と夏彦のキスシーンの場所。

この神社シーンを再度出すことでより夏彦の悔恨が更に際立つのにな〜。

正直、原作も強く訴えかけてくるものがなかったし、映画は、時間軸の見せ方(ラスト以外)は良いのに、色々登場人物の背景が足りないし、うーんって感じだった。

あと、キリエと姉の希は、アイナさんじゃなくて別の方に演じてほしかった。2人は双子じゃないし、思春期の生活環境は明らかに異なっているのに、キャラが同じなのは違和感でしかない。せめて明確な演じわけが必要だと思った。

っていうか、岩井監督とアイナさんの会話を聞いて、素のアイナさんで希を演じてくれたら良かったのにと思った。夏彦に対して積極的なのも納得出来たんだけどね。

キリエのキャラ作りが最高に素晴らしかっただけに、姉の希像が今ひとつだった。私にはね。

それにしても、アイナさんのハスキーボイスとシャウトのかすれ具合がいい。バレエシーンも良かった。アイナさんの歌声が映像の色になって現れていた。

アイナさんのキリエに対してイッコはすずちゃんで合っていたと思う。やはり、イッコの裏エピソードは必要だと思う。どうみても都合のいい女にしか映らないと思う。本当は違うのに!

松村北斗君演じる夏彦の悲壮感が、猫背の人物像から伝わってきてとても素晴らしかった。ギターを弾く様にめちゃくちゃ色気と哀愁がある。

黒木華ちゃんの先生役がめちゃくちゃ良い。まるでリップヴァンウィンクルの花嫁の後日談的な人物描写で、関西弁の台詞や生徒との会話に凄く和まさせられた。

江口洋介さんとカールスモンキー石井さんには驚いた。2人とも意外な役で登場。

まさかの北村有起哉さんにも驚いた。また導かれてるよ!藁

久々の奥菜恵さんが、貫禄が出ていてビックリ。

樋口真嗣監督は夏彦お父さん役だし、相変わらず吉瀬美智子はキレイだし、浅田美代子さんも村上虹郎君も笠原秀幸さんも良い味だしてるし、

チョイ役が最高すぎる!

そうそう、先月だったか、岩井監督のYouTubeで久々に「リリィシュシュのすべて」を観た。

十年以上ぶりに観たから、登場人物に対するイライラが半端なかった。自分の分身を見てる感覚で、今なら…と何度も思った。

ゆったり流れる時間の中に、超えられない壁やもどかしさが表現されていて感情移入しまくりだった。

今作も思ったが、やはり、岩井監督の映像美は美しい。