「NYMPH()MANIAC」vol.2

2014-11-07 19:25:32 | 映画
ラース、なんて恐ろしい人っ!(月影先生風に)

いや~、vol.1はイマイチやったけど、vol.2はヤバイ!

感想レビューで結末を知ってしまった上で観たんですが、結末がどうこう関係なく私にはビックリする内容でした。

vol.2は、vol.1と打って変わって、私がイメージするラースのカメラワークの技法に戻っていたので、すんなりストーリーに入り込めたんですが、あまりにも入り込みすぎてビックリ仰天な内容に鳥肌が立ちっぱなしでした。

このvol.2こそ、本当の「アンチクライスト(反キリスト)」です!

「アンチクライスト」を観た時はタイトルと内容が符合しなかったんですが、このvol.2を観たら合致した。結末を知っていても予期せぬ展開というか描写で、過激なエロシーンなんてただのカモフラージュです。魚釣りのエサです。

ぶっちゃけ書くと、これは、聖書ならぬ性書で、オーガズム=キリストの昇天なんですよ。

私はクリスチャンじゃないから聖書のことは詳しくないけど、ミュージカル「ジーザス・クライスト・スーパースター」のストーリーだけでも知ってたら、vol.2のいろんなシーンが「ジーザス~」と被るのが分かる。あんなシーンもこんなシーンも「ジーザス~」そのもの。

副題を付けるならば、「アンチクライスト・スーパーヒロイン」って感じやね。

描いていることは本当に反キリストだと思います。アメリカを揶揄しているどころの話じゃない。結果的にはそういうことが言いたかったんだとは思うけど、ラース、あんたは本当に恐ろしい人やわ。

「ジーザス~」を知っていたら、ホントこのvol.2は180度見方が変わる。

キリストの受難の道のりが、主人公ジョーのオーガズムへの道のりだと思ったら、あんなシーンもこんなシーンも怖くなってくる。私が敬虔なクリスチャンだったら猛抗議してたかもね(笑)

主人公ジョーは、キリストでもあり、裏切り者のユダでもあり、マグダラのマリアでもあり、聖母マリア様でもある、でもジョーは決キリストのように決して昇天はしない。いや出来ない。ジョーはキリストでも、ユダでも、マグダラのマリアでも聖母マリア様でもないから。ジョーはジョーであるから。←意味不明でごめんなさいm(__)m

ジョーは生き続けることで、死ぬその日まで受難の道を歩み続ける。たくさんの罪を背負って。キリストはたくさんの他人の罪をを背負って受難の道を選んで昇天したけど、ジョーは昇天を望まない人生を生きていく。

孤独から逃れるために、セックス依存症ではなく色情狂としてオーガズムを求めていた不感性ジョーが、果たしてセックスのない孤独に耐えていけるのか?彼女の第二の受難の旅が始まって、映画は終わったけど、本当に意外な展開でした。

vol.2は内容的にも「アンチクライスト」の延長線でもあり回帰的な内容になっていて、vol.2を観るなら「アンチクライスト」は絶対観ておいた方がいいと思う。っていうか、ラースの過去作品は観ておいた方がより楽しめると思う。「ジーザス~」も観ておいたらさらに点と点が結びつく。

私が感動したvol.1でジョーのお父さんとの樹木のエピソードがvol.2では…。あ~やられたぁ。そう来たか!?って感じです。

ケガだらけのジョーの性遍歴をひたすら聞き続けていたセリグマン。あんな歳まで操を守り続けていたいたのにね…。ま、人間なんてそんなもんです。

ラストのジョーは、まさに「ドッグヴィル」「マンダレイ」のグレースそのものだと思ったので、ジョーの罪は深いけど、頑張って生きていって欲しいと思った。

今日のまとめ:「リトル・ダンサー」のあの少年が…。ジエイミーだけでなく、今回も役者さんは体当たりな演技をされていて、お疲れ様と言ってあげたいです。

あ、ラストのエンドロールの歌、シャルロット自身が歌ってた。

vol.1はドイツ語のヘビメタだったし、あのジョーが登った山も「アンチクライスト」と同じケルンの山かなと思った。ドイツ繋がりなのも不思議な縁を感じました。

ラースの次回作はドラマらしいので、映画はいつになることやら…。今回の作品は、過去の作品のオマージュ的な部分が多かったので、当分映画は製作しないのかな~?と思った。いつかまた、アッと驚く作品を期待してます!
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