隼人氏、凄いっ!!!
ガラかめWorld炸裂!!
めちゃくちゃええやんかいさーっ!!!
いやいやいやいやいやいや、
まさか、隼人氏のお芝居でガラかめWorldを味わえるなんて、全く予想もしてなかったよ!
隼人氏の舞台は、去年から数作品しか観てないので偉そうなことは書けませんが、
今年の切られ与三は、まあまあだったし、
2月のヤマトタケルは作品が…。
「女殺油地獄」も、ぶっちゃけ期待せずに観たら、
めちゃくちゃ良かった!!見終えたあと、めちゃくちゃ興奮が冷めやらぬ状態だった。いい意味で、次の演目「将門」で冷静になれた。
ぼんぼん役は隼人氏にピッタリやな〜、隼人氏なら「恋飛脚大和往来」の忠兵衛もさぞかしピッタリなんやろな〜と思って観てたら、
終盤の名場面である女殺のシーンでの、天使と悪魔が脳内で葛藤し、まるで殺人鬼の霊魂が与兵衛に憑依したかのような殺気に満ちた狂気さや佇まい、ふと我に返る軟弱さの表現が秀逸で、まさにガラかめWorldを観ているようで、
まじアッパレじゃ!!!
とてもとても、ほぼ出ずっぱりのヤマトタケルをやり終えてから1週間で作り上げたとは思えないくらい素晴らしい与兵衛でした!
私は、NHKの放送で仁左衛門さんの与兵衛を観ましたが、隼人氏の与兵衛はまるで仁左衛門さんが隼人氏に乗り移ったかのようだった。何度も仁左衛門さんに見えた。
隼人氏、恐ろしい子!(久々の月影先生登場!)
ということで、歌舞伎を観たいと言っていたヅカ友さんと一緒に南座に行ってきました。
まさかこんなに興奮させられるお芝居を観させてもらえるなんて全く想像してませんでした。
歌舞伎お初のヅカ友さんも大変感動していたし、隣の席に座られていた見ず知らずの方とも感動を分かち合ってしまうくらい本当に素晴らしかった!
「女殺油地獄」は、歌舞伎より五社英雄監督作品が最初の出会いでした。そこから数年経ってNHKで観させてもらって、当時はまだ若かったので、物語自体はあまり興味がなかったのですが、歌舞伎の舞台であのタイトルシーンがどのように演出されるのかだけに興味を持っていました。
NHKで観させてもらった時の、仁左衛門さんの与兵衛と孝太郎さんのお吉の、本当に油まみれ(油に模している)の地獄絵図に度肝を抜かれました。
そして今回、隼人氏の与兵衛と壱太郎君のお吉を生の舞台で観させてもらったら、私も歳をとったせいか、歌舞伎作品ではなくリアルな人間ドラマを観ているような感覚になりました。
隼人氏の与兵衛だけでなく、壱太郎君のお吉もめちゃくちゃ素晴らしく、若手の演技だとも初役とも思えないくらい、2人とも迫真で鬼気迫る演技が本当に圧巻でした。
隼人氏の間抜けな放蕩息子っぷりの表現から、魂を悪魔に売ったかのような鬼気迫る演技。からの素に戻る演技はまじアッパレ!リアル北島マヤだったよ!
仁左衛門さんの教えに誠実に演じられていたのが伝わる演技でもあり、何度も仁左衛門さんに見えることがあった。ぶっちゃけ、テレビよりも生の舞台の方が凄かったね。
壱太郎君の年増風の表現も最高!子供のためにも死にたくない思いをリアルに表現されていたのが良かった。
なんせ、一歩間違えたら、段取りが狂ったら大怪我になりかねない、2人とも生傷が絶えないであろうあの油地獄絵図は本当にアッパレとしか言いようがない。
テレビで観た時は、地獄絵図シーンだけが印象に残って、それ以外のシーンの記憶がなかったのですが、
今回、生の舞台を観させもらって、与兵衛の母おさわ役の上村吉弥さん、与兵衛の血の繋がらない父親の徳兵衛役の嵐橘三郎さんの、一度は勘当した息子に対する親の優しさに泣けた。
与兵衛は放蕩息子並びに親に暴力を振るうろくでなし。
おさわは実母だけど、徳兵衛はおさわの後妻ならぬ後夫。徳兵衛は、与兵衛の実父に対して義理堅く、放蕩三昧の与兵衛には立派な跡継ぎになってもらいたいと思っている。
おさわもまた与兵衛を勘当しておきながらも大事な可愛い息子に変わらない。
おさわと徳兵衛はそれぞれ、壱太郎君演じるお吉に、与兵衛がお金を無心しに来たら、親からではなくお吉の志として渡してもらうようにとお金を預ける。おさわと徳兵衛の与兵衛に対する愛情がマジ秀逸…
与兵衛は3人の会話を立ち聞きしており、義父徳兵衛のためにも足を洗いもう一から出直そうと心に決める。
だが、多額の借金があり、両親がお吉に渡した額よりも全然足りないので、結局お吉に無心する。お吉は、与兵衛の言葉を信じていないので、おさわと徳兵衛のお金だけ持って出ていくように追い払おうとする。
与兵衛はどうしても借金を全て返済してやり直そうと思っている。それを信じようとしないお吉との問答の末が女殺油地獄絵図の破滅へと向かっていく。
ホント、歌舞伎じゃなくて人間ドラマを観ているようでしっかり人間ドラマが描いていて作品としても本当に素晴らしく見ごたえがあった。
若手御三方の努力だけでなく、上村吉弥さん筆頭にベテランの方々の力添えあってこその人間ドラマと言えるでしょう。
宝塚もそうだけど、やはり専科やベテランの存在は大きい。
「女殺油地獄」は、隼人氏ファンは言うまでもなく、東京からでも観る価値あり!
「女殺油地獄」ともう一つの演目「将門」。
「将門」は、いっちゃんこと一路真輝さんの宝塚トップ時代を知っている方ならピンとくるであろう演目。
はい、「雪之丞変化」のプロローグの歌舞伎の劇中劇の大元がコレである。
当時は、屋台崩しの演出を宝塚大劇場でどう演出するか苦労したと演出家の柴田先生が仰っていた?雑誌歌劇に記載されていた?記憶があります。歌舞伎好きの柴田先生ならではの演出でしたね。
宝塚は家屋のセットが崩れる演出でしたが、歌舞伎は迫りを使って迫り下がることで家屋が壊れるを表現。
いっちゃんが演じた滝夜叉姫を壱太郎君が演じ、滝夜叉姫を退治する大宅太郎光圀を桜プログラムでは尾上右近君が演じていました。
ラストのスッポンから迫り上がり、蝋燭の火に照らされながら花道を歩く壱太郎君の傾城如月実も幽玄な世界観があり美しかった。
「女殺油地獄」では、右近君は大きな役ではないし出番も少なかったので、「将門」では妖怪退治に対する勇ましさがありとても格好良かったです。
右近君は、菊様同様、立役も女形も両方違和感なく出来る貴重な人材。今回は松プログラムでも立役に徹しており、「河庄」も楽しみです。
今日は演目開始前に右近君の口上があり、客席を歩き回ったりと、元気いっぱいで愛嬌たっぷりでサービス精神旺盛で楽しかった。
今回は、ヅカ友さんと一緒だったので桜プログラムしか観てませんが、次は松プログラムを観てきます。
それにしても空席がもったいない!