めちゃくちゃアイロニーたっぷりやな!
3時間見応えあった!
リドリー・スコット、まだまだ衰え知らずやな!めちゃ攻めてるなー!
予告編を観た時からめちゃくちゃ観たかったので、やっと観ることができました。
どこまでが真実でどこまでがフィクションかは分かりませんが、私は、レディ・ガガ演じるパトリツィアが生粋の悪女だとは思わなかった。
ストーリー展開は皮肉ってるけど、主要キャストに関しては、むしろ愛すべきキャラクターに感じた。
実際にマウリツィオは殺されたけども、アドロもパオロも陥れられたと思うけども、人物描写はとってもシンパシーを感じるキャラクターだった。
憎むべきは身内ではなく他人だと思ったよ。
これは俳優さんのキャラ作りが上手いとしか言いようがないですが、アドロ役のアル・パチーノ、息子パオロ役のジャレッド・レトが、まー憎めないキャラ!嫌われ者役的な存在だったけども、結局は憎めない親子関係だったと思う。
若い頃のパトリツィアとマウリツィオとの恋愛にはピュアなものがあったと思うし、パトリツィア自身、GUCCIのブランドの価値観を下げないようにある意味尽力してたと思う。
アルドやパオロを陥れてから野心が芽生えた印象だけど、欲望は尽きないのが人間の性というものです。
だからといって、脚本的にもパトリツィアを生粋の悪女として描こうとしていないのは明白だった。
GUCCIの名誉を守ることが第一目的だったはずなのに、そのために邪魔者を排除したり持ち株を手に入れることが第一目的に取って代わることは大いにある。
レディ・ガガの演技が非常に良かった!スター誕生より断然こっちの方が女優の演技だった。スタ誕の時は、自然な演技だったね。
恋する乙女の表情、野心が芽生える表情、世間知らずな振る舞い、別れたくないと打ちひしがれる女心、嫉妬心。
これぞイタリア女性!と言わんばかりのありとあらゆる感情や喜怒哀楽をめちゃくちゃ丁寧にかつ情熱的に演じていて、本当に素晴らしかった!
マウリツィオを演じたアダム・ドライバー、芋っぽい感じの演技も好感持てた。むしろ、アダムがこんなピュアな表情を自然に出せることに驚いた。SWのカイロ・レン役と180度違う自然な演技に感心しました。
GUCCI一族は愛すべきキャラなんだけど、欲望がアイロニーとなって、次の相手からその次の相手へとバトンが渡されていく様がとても脚本として面白かった。
ほんま、リドリー・スコット攻めてるわ!
古臭さのないまだまだ新しいアイデアに満ち溢れている感が映像から伝わってくる。
Wikipediaを読む限りでは、めちゃくちゃ重い内容なのに、カラって仕上げていておじいちゃん監督作品だとは思えない!
歳を取ったら段々味わい深い作風になるはずなのに、リドリー・スコットの映像には瑞々しさがある!
音楽の使い方もめちゃくちゃ皮肉ってて良かった。逆にそれがGUCCIファミリーをより愛おしくさせる効果を担っていると思った。
最後のパトリツィアの台詞が最高の皮肉ぷりでしたね。
っていうか、殺さなくてもマウリツィオは地に落ちたのにね…な展開もアイロニーパンチが効いてた。負の連鎖ならぬアイロニーの連鎖でしたね。
確かに、アイロニーのバトンが次から次へと渡されていく様は、フィクション的ではあるけども、親子関係や近親間の人間関係の悪さは、金持ちでもあっても貧乏であっても負の連鎖を生むなーと思った。
人間関係が上手く行かない原因は、やはり親兄弟、親戚関係が上手くいってないことが多いと思う。
役者陣もしかり、映像もしかり、音楽もしかり、脚本もしかり、3時間、全く退屈せず観れました。