「火のようにさみしい姉がいて」

2014-10-13 18:44:57 | 舞台
大千秋楽より、無事帰宅しました。関西のJRは16時で全線運休のため。

台風が接近しているから、行くか行こまいか、非常に悩みました、中止発表もないし。主催者側も悩まれたと思いますが、行って良かったです。そして無事帰宅出来て尚良かったです。

本当に観れて良かったです。

ぶっちゃけ書くと、過去の自分を投影するような登場人物にウルッときました。

現役の役者さんや、かつて役者さんなら、絶対の絶対、鏡の前で演技の練習をしていたと思うんよね。私にもそんな時代もあった(笑)
段田さん演じる男や、りえちゃん演じる妻なんて、たくさんの方が共感できる部分があったと思う。少なくとも私にはリアリティーがありました。

清水邦夫さんの作品は過去に一作品しか観てなくて、しかも記憶にない(汗;)きっと難解なんだろうな~と思っていたら、意外と笑いの要素が多くて、非常識にもめちゃ笑いまくってしまいましたm(__)m

笑いの要素を除けても、非常に良く出来た脚本で、段田さん演じる男とシェークスピアのオセロが非常にリンクする設定になっていて、オセロの台詞が男の本心の言葉になったり、オセロを真似がそのまま自分自身と同化してまう瞬間があったりと、観ていて本当に面白かった。笑えたという意味でなく、良く出来たという意味で面白かった。

大千秋楽を迎えたからはっきり書くと、完全に男は精神疾患者ですね。妻も姉もその気(け)はあるけど、まだ精神安定している。でも男は、平常心を失っている。そこが、まさに嫉妬に狂い妻の言葉すらもう信じられなくなっているオセロと被る脚本になっていて、本当に上手い脚本でした。

私が想像するには、戦後の貧しい環境で、夢を見ることだけが、現実逃避する手段だったと思うんよね。それが結果的には、演技の道へと導かれていることになったけども、同時に、自分自身の平衡感覚を失う、夢か現実か分からない状態に陥る原因になったと思うんよね。

男の子供時代は、まるで狼少年みたいに大嘘つきに思われていたけども、彼の目には本当に人間の死体に映っていたと思う。それくらい精神を病んでいたと思う。でも実は、本当に人間の死体であって、赤ちゃんでなく老人であった。男の言葉を信じて確かめに行った“みをたらし”のおばちゃん(?)も実はちょっとした精神疾患者で、人間の死体がウサギに見えたのかもしれない。結局は、どっちも正しいんだよ。だって本人にはそう見えたんだから。実際とは違っていてもね…。

この作品を観ながら、唐さんの「仮面少女」を思い出した。こっちも精神疾患者の話だったから、これらの戯曲が書かれた時代を思うと、今の時代と何も変わらないことが想像できる。

逆に昔の方が、臭いものにはフタをしていた時代だと思うから、アングラ作品って、暗黙の了解で見て見ぬふりをしていたものに対して公にあからさまにした作品が多いんだと思った。当時は、ハンセン病みたいに精神疾患者は隠されるべき存在だったんだと思う。

役者っていう仕事は、本当に精神が強くないと出来ない仕事だと思う。噂や誹謗中傷でイチイチ傷つくようじゃ続かない職業だと思う。これは役者に限ったことじゃないけど。

役を演じると自分とリアルにリンクすることも大いにありうることだから、切り替えは凄く大事だし、睡眠と食事は絶対不可欠やね。この作品を観ると、才能があることと、向き不向きはホント別物だと思う。

一年ぶりのしのぶさんとりえちゃん。今回は、段田さんが主役で、その次がりえちゃん、その次がしのぶさんって感じの内容でしたが、久しぶりだったからとても良かったです。

特にりえちゃんは、デズデモーナになったり、マクベス夫人みたいな役柄だったのでメリハリがあって良かったです。

しのぶさんの役は…、「マクベス」の魔女?(笑)m(__)mあ、魔女は三婆さんですねm(__)m

段田さんの狂気は初めてだったので新鮮でした。素晴らしい存在感でした。

満島君はまさかのチョイ役だったけど、最初のアシスタントと、ラストのオセロの恰好での台詞回しは、なんか、下積みの青年が主役を勝ち取った様にも見えて蜷川さんの愛情を感じた。声の出し方も工夫していて良かったです。いつか満島君でオセロをする日がくるかもね。あ、「ハムレット」観ます。楽しみにしてます!

そうそう、今日の満島君、益々若き日の勝村さんに似てきたね。将来が楽しみ。

最初のお婆さん達を見て、さいたまゴールドシアターの方たちって才能あるな~と思ったら、市川さん、立石さん、新橋さんでビックリしました。めちゃくちゃ上手いやん!?と思ってたら当たり前やったね(笑)っていうかめちや可愛いかった(笑)

っていうか、あの鼻から芋虫さん、あれって澤魁士さんだけの特権じゃなかったこともビックリ(笑)

実際のさいたまゴールドシアターの方たちも愛嬌があって良かったです。そうそう、もう1つのさいたまネクストシアターの舞台って関西では上演してくれないんですか???めちゃ評判いいから一度は観てみたい!是非関西に来て頂きたいm(__)m

今日は本当に上演して頂きありがとうございましたm(__)m

りえちゃんの台詞が私にはとてもタイムリーだっただけに、今日は運を天に任せただけはありました。本当にタイムリーだったんですよ。まさにブログネタにしようと思ってた矢先の言葉だったからマジでビックリした。そのネタはいつか書きます。

今日は、絶対蜷川さんは来てるはず!と思ってたから、カーテンコールで登場された時は思わず手を振ってしまうくらい嬉しかったです(笑)「ハムレット」の新演出楽しみにしてます!古い演出は、真田さん&松っちゃん版をTVで観ました。だからそれ以降の藤原君版は知らないので、ハムレットは嫌いなので期待はしませんが楽しみだけはします。

今日のまとめ:今年2月のとんちゃんの舞台といい、9月の浦井氏の舞台といい、今日の舞台といい、悪天候でギリギリまで苦渋の決断を迫られる(涙)結局は観れたからいいけど…。最近、人生におけるお試しが多い(涙)

「NYMPH()MANIAC」vol.1

2014-10-13 02:01:34 | 映画
う~ん、イマイチ…。

なんというか、今までのラースの作風とはなんか違うんよね…。特にカメラワークが。

ラース作品の独特の手ぶれ感があるシーンもあるにはあるねんけど、基本的には、ラース以外の別のカメラマンが撮っている感じがしてならなかった。ぶっちゃけ書くと上手いねん!カメラワークが自然やねん!だから独特の映像美がないねん。演出自体も映像美にこだわってない印象。

ラースのカメラ目線って、もっと感覚的なものがあって、アングルがめちゃ独特でそこがめちゃ好きだったのに、今作はラース以外の誰かが撮ったとしか思えないくらい普通のカメラワークで、ぶっちゃけそれがつまらなかった。

カメラワークだけでなく、内容もイマイチなんよね…。あ、でも、今までの作品の中で一番笑えた。特にユマが…。

これ、元々ニコールにオファーが来てた役だったんですよね。撮影中の作品が延びたか何かの理由で、ユマに役が回ったんだけど、ぶっちゃけニコールでも見たかったくらいめちゃ面白くて美味しい役だった!「ブルー・ジャスミン」のジャスミンを彷彿させる役柄で、ユマがめちゃ良かった!これだけは見る価値があった。あ、ぶっちゃけ書いて申し訳ないけど…。

それ以外は…う~ん…って感じ。っていうか今一つパンチが足りない。これ、ラースも確かに関わってるのは分かるけど、ラースの作品じゃない…。しつこく書くけど、私には別の監督作品としか思えてならない。

ぶっちゃけ書きまくると、シャルロットとステランの会話要らん。

二人の会話が、まるで「アンチクライスト」の延長線?延長戦?のような、いや回帰的な役割を担っていて、まさに患者とカウンセラーの会話なんよね。

色情狂の話なのに、ステラン演じるセリグマンがいちいちチャチャ入れるから、シャルロット演じるジョーが色情狂でなくなってくるねん。

セリグマンは完全にカウンセラーになっていて、ジョーの悲観的な訴えを全て肯定的に受け止めるねん。ぶっちゃけ作品的に面白くない。男の落し方を魚釣りに例えるあたりも滑稽でしかなくて、この二人の会話本当に要らない。

しかも、わたくし数字が苦手なので、数字で例えるあたりも、私の心も作品から離れていった原因かもね。

早い話が、私がイメージしてた色情狂の話と微妙に、いや、かなりズレが生じていて、あの二人の会話がなかったらまだマシかなと思った。シャルロットとステランの会話を排除したら、回想シーンには全くシャルロットは登場しないんだけど、それはそれでいいと思う。vol.2のお楽しみということにして…。

あ、決して、色情狂の話なのにエロシーンが足りないとか言ってるんじゃないので誤解のないように(汗;)

ま、確かに思ったほどはエロくない。ジョーの若い頃の役を演じられたステイシーは体当たりの演技ではあったけど、「アンチクライスト」ほどの過激さはない。あ、過激さも求めてないからね(汗;)ステイシーを見てたら、亡くなったシルヴィア・クリステルを思い出した。なんか似てた。実は小学生の頃から「エマニエル夫人」観ていて、シルヴィアのグラマー(←もはや死語。文法の意味じゃないからね)じゃない官能的な美しさが好きでした。実はませたガキでした(笑)

何度も書いてしまいますが、セリグマンがいちいち肯定するから、ジョーが全く色情狂に見えない。私もついつい、別に人を殺した訳じゃないし、確かに不倫はよくないけど、若気の至りってこともあるし、孤独をセックスで穴埋めしたい気持ちも分からなくないから、何も悲観的にならんと過去の出来事として忘れたらええんとちゃう?って私もカウンセラーの一人になって見てしまった。そこもつまらなかった理由やな。

せやな、ジョーの心の闇があからさまだったのもイマイチの原因だったね。

哲学的な台詞がちりばめられていたけど、心に残らない。夕陽の件(くだり)ってたしか「アンチクライスト」でも使われてなかったけ…?精神的表現、ちょっと私には理解出来なかった。

あ、日本語字幕、大好きな松浦美奈さんでした!観る前から美奈さんの字幕であることは分かったいたので、めちゃくちゃ嬉しかったんだけど、今回ばかりは日本語表現云々以前に、作品がイマイチでした。

あ、パンフレットに“愛は教わっていない”って名台詞のように書いているんですが、今作に関しては、あまり愛は重要だとは思わなかった。ジョーは十分愛を貰っている。愛に飢えてはない。親からも愛人?セフレ?からも何某の愛は貰っている。ただ不感症になってるのが問題かな。これも淋しさに繋がるね。

今作は、むしろ、“孤独”がテーマかと思う。死の恐怖からくる孤独感も描かれていたしね。ジョーのお父さん役を演じたクリスチャン・スレーターも名演でした。まさに孤独の象徴となる存在でした。このお父さんが木と対話しているようなシーンが好き。vol.1に関しては、やはりテーマは愛でないと思う。

あ、最近ではハリウッドではお騒がせのジャイア・ラブーフは、めちゃエロスが全身から漂っていたね。シャルロット同様、vol.2でも大活躍しそうやね。

あ、過激的なエロスを期待してる訳じゃないですからね(大汗;;)

思い出しながら書いているので、相変わらずまとまりのない文章になってますが、「アンチクライスト」だけでなく、「メランコリア」「奇跡の海」「マンダレイ」の要素もあり、「ドッグヴィル」の要素はvol.2かな…?なんとなしに、過去作品のオマージュを感じました。が、映像はラースらしくない!←しつこい。

あ、相変わらず、ラースはアメリカを揶揄してたね。直接的ではないけど、私には直感で伝わりました。今回はどさくさ紛れでしたがそれも印象的でした。違ってたらごめんなさいm(__)m

ネタバレしまくってますが、私のBlog、読んでる人少ないから書きたい放題(笑)多分、配給会社さんには迷惑はかからないと思ってます。「アンチクライスト」の時もそうだったけど、今作も客席の八割は男性客だったし、しかも満員。皆…。だから迷惑はかからないと思います(笑)

今日のまとめ:編集もラースがしたのかな…?本当にラース作品らしくないんよね…。誰か確かめて!m(__)m

イマイチ、つまらないと書きながら、最後には楽しんで書いてました(笑)意味不明な文章書いてスミマセンm(__)m