「レディ・ベス」

2014-07-23 21:04:18 | ミュージカル
小池先生、なかなかやるやん!?と思ったら、脚本はクンツェ氏やったんや…。

そりゃそうだね、これだけの脚本が書けるなら、ナポレオンももっとマシだったと思うよ。

ということで、書き出し早々から皮肉&上から発言をお許し下さいm(__)m

それくらい、よく出来た作品でした!

そうなんだよ、エリザベスの人間性を浮き彫りにさせるために、対象的な人物を据え置くことで、より主人公に感情移入しやすくなるんだよ。さすがクンツェ氏!

今回に関しては、エリザベスの異母姉妹であるメアリ-1世の存在ですね。宗教の違い、出生の違い、人生観の違い、同じ父親の血を引くのに人物像が異なる二人を対象的に描くことで、よりリアルにエリザベス像が明白になる。この手法をナポレオンにも取り入れて欲しかったんだよね…。ただ時系列で歴史をなぞるんじゃなくて、共感できるように脚色して欲しかったんだよ…。今さら愚痴っても仕方ないけど…。

その点ではこの「レディ・ベス」は満点です。

エリザベスが女王になるまでの過程において、あまたの試練と出会いと学びをしっかり描いていて、とても共感できるように肉付けされていて本当に素晴らしかったです。

ケイト・ブランシェットが演じた映画版「エリザベス」とは恋愛以外はアプローチは違うけど、映画版よりこちらの方が、エリザベスのラブストーリーが女王になるための大事な要素として描かれていたのが余計素晴らしかった。女王になるために必要なのは学問だけではないんだよね…。実践も大事!見事な脚本でした。

私は日本史より世界史の方が興味あるけど、よく理解しているわけじゃないんですが、エリザベスがロンドン塔に幽閉されてからどう女王に君臨されるのかが非常に興味深かったです。上手く流れてました。まさか、後々敵になるフェリペ二世が大きく関与していたのは面白い展開でしたね。史実通りだとは到底思えないけど、舞台作品としては上手く辻褄合わせしていてお見事でした。

ロビンとの恋は本当の愛とは言い難いけど、これが本当に最初で最後の恋であれば、真実の愛と言えるでしょう。

母親のアン・ブーリンの存在も良かった。上手く見せてました。和音さんは自分の役を幽霊だと言ってましたが、私には守護霊にしか見えなかった(笑)エリザベスの中では恨むべき人物だったのが、母親と同じようにロンドン塔に幽閉されたことで、母親の気持ちに寄り添うことが出来た。これは大きな学びですね。ここからエリザベスの運命がどう転がっていくのかが観ていて面白かった。

こうなったら、是非とも、「クイーン・ベス」として続編が観たくなった。シェークスピア、メアリー・スチュアートを登場させたり、フェリペ二世率いる無敵艦隊を撃退したり、まさにエリザベス・ゴールデンエイジを描いて欲しいですね。

演出に関してはやはり、小池先生だけあって「ロミジュリ」の要素もあったし、美術的には「ミツコ」の世界観もありましたね。あの天文時計の舞台美術は照明と相まってとても効果的でした。まさに宇宙の真理といいたげな、エリザベスの運命はまさに女王になるために歯車が動いていることを暗示するそんな役割に感じました。

人生は思い通りに行かない。でも強く望めば想いが叶うこともある。実はすべて神様の御心のままに定められたレールだったりする。二つ選択肢があってどちらか一つを選んでも、もう一つを選んだとしても、たどり着く先は結局は同じだったりする。運命は生まれた時から決まっている(人もいる)。そんな宇宙の真理を感じさせる天文時計の存在は非常にナイスチョイスだと思いました。

ということで、今日は宝塚OGキャスト&山崎ロビン&古川フェリペ&丸さんロジャー版で観させて貰いました。

まさかオケピのある生オケだとは思ってませんでした。所々歌詞が聴き取りにくかったけど、皆さん歌が上手くて迫力もあって本当に聞き応え見応えのある素晴らしいミュージカルを観させて貰いました。

主人公ベスを演じた花ちゃんは、若作りにm(__)m全く違和感がなく見事なベスでした。ぶっちゃけ書いて申し訳ないですが、今ハイライト・ライヴ録音盤CDを聴きながらこのブログを書いているんですが、CDを聴く限りでも、花ちゃんの方が歌に癖がないからリアリティーを感じます。やはり歌に癖があると感情移入できない、私はね。東宝版「エリザベート」、花ちゃんなら観たい!

メアリー1世の未来さんは完璧!エリザベスとすべてにおいて対象的な人物を見事に演じてました。歌が非常に迫力があって素晴らしかったです。メアリーにはメアリーなりの孤独さを訴えるシーンが最後にあってこれも上手い脚本でした。未来さんのゾフィもアリアリやね。

恋人のロビンを演じた山崎君も良かった。ロミオより男らしくもあり、声も低音が効いていて素晴らしかった。

フェリペの古川君も良かった。意外と美味しい役でした。観てないけど古川ルドルフ、ピッタリだったと思う。

そして、やはりCDを聴く限りでも、丸さんの歌い方が好き。とても劇団四季出身者とは思えない癖がないその歌い方が本当好き。エリザベスの教育者素晴らしかったです。

今回最も素晴らしかったのが、アン・ブーリンの和音さんでした。初めて聴かせて頂きましたが、めちゃくちゃ透明感の歌い方で、幽霊でもあり守護霊でもある母親アンを見事な歌い方で表現されてました。和音さんでファンティーヌが観たくなった。

もう一人の宝塚OGのカナメさんは、今回は地味な役ではありましたが、今では小池作品のミューズ的存在なので何も言うことありません。「モーツァルト」には出ないのは残念…。

メインキャストからアンサンブルまで素晴らしい歌声を聴かせてもらい、久々に満足感のあるミュージカルを観させて貰いました。

今日のまとめ:ぶっちゃけ書いて申し訳ないですが、CDより生の舞台の方が断然素晴らしかった!