「ペーパーボーイ」

2013-07-30 22:57:00 | ニコール・キッドマン
見終えたあとにジワジワと襲ってくるなんとも言えない切なさがあります。

ぶっちゃけ書くと、月組の新公を観る前にこの映画を観たんですが、今日の新公のレベルは非常に高かったんですが、その感動を打ち消すくらい映画の余韻を今も引きずっています。


一癖も二癖もある登場人物達の好奇心と欲求が招く悲劇…。まだ黒人差別が色濃く残っている時代に起きた事件をきっかけに、それに関わったがために起きた悲劇。そして、マザコン坊やのひと夏の苦く辛い恋物語を描いたそんな内容でもありました。

アバズレ、マザコン、SM、ゲイ、人種差別、歳の差、性癖、学歴詐称、離婚、テレパシー…などなど、「春琴」に通じる部分もありましたが、綺麗ごとではない裏の部分、フィクションだからといって右から左に聞き流せない生々しさがありました。

ラストは予想をしえなかった展開だったので、かなりハラハラして観ました。メインの事件は未解決のままなんですが、事件の真相は想像がつく、そんな内容でした。

間違いなく悲劇ではあるけど、決して救いがない終わり方でもないんですが、典型的なハリウッド映画的なラストでなかったのは良かったです。

全体的にも、1970年代の雰囲気を映像テクニックを含めリアルに再現されていて、ニコールの化粧もそうですが、登場人物のファッションセンスも時代を上手く反映していたと思います。

一癖も二癖もある登場人物を、二コールを初めとして、ザック・エフロン、ジョン・キューザック、マシュー・マコノヒーが演じているわけですが、あまりの彼らの存在感、熱演ぶりや怪演ぶりはかなり見応えがありました。

予告ではニコールのビッチぶりな演技を非常に楽しみにしていたんですが、最初は良かったんですが、ラストに向かうにつれて役の悲劇性が浮き彫りにされていくので、ニコールよくやった!と褒めたくなるくらいニコール熱演してました。

役柄は、実は普通にピュアな女性なのに、一般的でない感性というか感覚があるために悲劇を招いてしまう役なんですね。ニコールの役が最後までビッチな役だったら自業自得で割り切れたのに、ピュアな部分が垣間見れる役だった分、見終えた後の切なさが今も余韻として残ります。テレパシーを感じる相手を間違えたね…。

で、その歳上のニコールに恋する青年をザックが演じているんですが、ニコール同様切なさが残る役でした。本当に切ないとしか書けない。最後の最後まで一途でピュアな青年を好演してました。テレパシーが届くには一足遅く、本当に切なかったです…。

そのピュアさをいとも簡単に砕いてしまうような役をジョンが演じてました。いかにジョンの役が最悪か、後々よく分かってくる感じ。

毎回毎回ジョンのたれ目の笑顔に癒されていたんですが、今回はホンマ最低な役でした。ジョンじゃなくニコラス・ゲージが演じているのでは?と思うくらい見事な怪演ぶりでした。見終えた後に、ジワジワと残虐性がより顕になってくるので、この余韻は監督の手腕の巧みさを証明していると思います。

肝心な説明が少ない分、見終えた後にフラッシュパックしてくる映像群に、そうかあの時のあれは…と想像できてしまうので本当に後味が悪い。この後味の悪さはラースの作品に匹敵するものがある。これは脚本が悪いとかじゃなくて、本当に演出が上手い証拠だと思う。

ニコールの演技は本当に素晴らしい。賞獲得には至らなかったけど、ノミネートされて本当に良かったです。私なら絶対にオスカーノミネートさせましたけどね(笑)

いつもなら、ニコールのビビビ演技に出会うとDVDを買うんですが、この作品に限っては本当に後味が悪くリピート出来ないのでDVD買いませんm(__)m

今日のまとめ:マジ、後に響いてくる作品やわ。オススメはしません。

新公の感想を書いて、早く気分転換図ります。