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「日の浦姫物語」

2012-12-19 23:22:03 | 舞台
いや~、戯曲を読んだときに面白いと思った以上に面白かった(笑)

帰りもずっと、一幕ラスト、日の浦が叫ぶ“ああわが子よ、私の甥よ…”の台詞がツボで思い出す度に笑けてくる(笑)

本当に面白かった!戯曲を読んだときはそんなに笑えるとは思ってなかったけど、いざ人の体で表現されるとこんなに笑えるのか!とほんと蜷川さんの演出に感動しました。本当よく出来た脚本やし、見事な演出でした。

ほんと悲しいシーンなのに笑えるなんて…、大人計画の「ふくすけ」並みに不思議だった。でも今回、この前観た栗山さんの「藪原検校」が私にはつまらなかった理由が分かった。

ぶっちゃけ書くと、「藪原~」は、間が悪い、くどい。この二点です。表現が過剰なくらいくどい。中和剤になる役者さんがいなかったこと。逆にそのくどさを引き立ててたのが私にはつまらなかった要因だと思った。

今日観た「日の浦姫物語」は、間が絶妙なくらい良くて、関西人が好きなネタでもあり間でありタイミングだったと思う。なんせ、たかお鷹さん、木場克己さん、立石涼子さんの存在と演技が、見事にしのぶさんと藤原君の過剰演技の中和剤的役割を果たしていたので、めちゃくちゃ見やすかった。全体的に調和があって本当に演劇として面白かった。

で、ついでに書くと、今回の蜷川演出、私は文学座の舞台を観てる感覚でした。ま、そんなに文学座の作品を観たことないし、文学座の役者さんが多く出演していたからでもないんですが、なんかコテコテの蜷川演出ではないと思った。コテコテの蜷川演出ならもっと舞台セットに凝ったと思う。蜷川さんには独自の美学があるからもっとリアルなセットを用意したと思うんよね。予算的にか、意図的かは分からないけど、今回のシンプルなセットで、能舞台のような感じがとても気に入ってます。セットに凝り過ぎると演技がこじんまりすることがあるから、今回のセットは見事に演技を引き立てていたと思う。だから凄く演技に集中出来た。あと、蜷川さんの選曲のセンス好きです。

とても30年以上前に書かれたとは思えないくらい新鮮だった。これに関しては蜷川さんのキャスティングが功を奏したと言っても過言じゃない。

これまたぶっちゃけ書くと、しのぶさんも藤原君もいい意味で歳をとったのも一つの要因かなと思う。それこそ、10年前の演技は今よりももっと過剰だったもんね。

しのぶさんの日の浦、演技パターンは予想に近かったのでさほど驚きはありませんでしたが、やはり、間が上手い!見事に笑いをさらってましたね。あんなに台詞で笑えるとは思ってなかった。普通に戯曲読んでました。私が戯曲で涙が出たシーンは見事に笑いに変わっていました。あの、魚名の告白で自分の息子だと分かるシーン。予想を裏切る笑いでしたが、でも良かったです。

戯曲を読んだ時に、魚岩の魚名を藤原君がどう演じるか楽しみだったんですが、見事なバカっぷりでした(笑)あれは絶妙なとぼけっぷりでしたね。ラブシーンよりこっちの方が苦手だったのでは…?あれは見ていて新鮮でした。滅多に見れない藤原君のボケっぷり、本当面白かった。そうそう、藤原君も間が良かった。真面目に演じるからこそ余計面白くなるので、藤原君のあの二役本当に良かったです。

この二人の脇を固める、たかおさん、木場さん、立石さんがめちゃ良かった。聞いていて全く苦にならない長い台詞。過剰に演じる必要ないのを証明してくれる見事な存在感でした。たかおさんに関しては、「藪原~」に出てた人と同じ方だとは思えないくらいの別人でした。本当良かった!

「シンベリン」の時も思いましたが、蜷川作品でこんなに笑えるなんて…、ホント昔じゃ考えられんよ(笑)蜷川さん、何があったんですか???と訊きたいくらいです(笑)

次の蜷川作品はいよいよ「祈りと怪物」!すみ花の登場です!いや~まさかこんなに蜷川作品を観るなんて…。去年じゃホンマ考えられなかった(笑)

しのぶさんの舞台は…。当分観れないかもしれんねm(__)mでもラジオはちゃんと聞きますよ!ミュージックソン、24時間頑張って下さい!兵庫県では聴けないのが本当残念です(涙)

藤原君はいつか浦井君とガチ演技バトルがある日を楽しみにしてます。もちろん蜷川作品で(笑)

今日のまとめ:井上さんも杉村さんも天国で喜ばれていると思います。

今日、ナマ蜷川さんが見れて感動しました(笑)パンフレットの瀬戸内寂聴さんのインタビューページを見て驚き!偶然とはいえ、あの見出しは…。なんか恥ずかしくなった(笑)蜷川さんのページも笑えた。自分でインタビューして答えてるねんもん(笑)本当にどうしたんですか、蜷川さん???

追記:しのぶさんの台詞で戯曲にない言葉(?)が印象的でした。何故あの言葉を発したのか…?まさに私のキーワードです。ま、感情の入れ方は今ひとつリアルさに欠けましたが…(笑)私には思い出のキーワードなのでヨシとします(笑)っていうか、しのぶさんってホンマ何者???

続き…

2012-12-19 00:17:27 | 映画
結局、ファブリスもその本当の愛に気付くわけですが…。これはラストまで観ないと分からないですね、「パルムの僧院」の良さは。ラスト三人の選択は切なすぎるけど、本当の愛を説明するには大事な選択なので、映画がいいのか、原作がいいのか分かりませんが、「赤と黒」同様、原作者のスタンダールは美輪さんみたいな愛の伝道師な部分がありますね。

今回のジェラール・フィリップ特集、なんかやはり導かれた感たっぷりです。なんだかね…、最近自分が、本当の愛とは…を語っているのが不思議にならないんですが…(笑)本当に分かってるんかっ!?って突っ込まれそうですが…。

今日のまとめ:ジェラール・フィリップ、本当に良い役者さんです。確信して思ったのが、多くのタカラジェンヌはジェラールを見本にしていたと思う。この仕草見たことある!が多かった。ジェラールの後ろ姿なんてタカラジェンヌそのものだったよ。

36歳の死はホンマ早すぎる。勘三郎さん同様、生き急いだね。でも、お二人ともちゃんとたくさんの名作を残してくれたから差し引きゼロやね。

遅ればせながら、勘三郎さんのご冥福心からお祈り申し上げます。

天国でお子さんたちを見守ってて下さいね!

ジェラールのムイシュキン公爵、私の理想像と同じでした。ただ脚色がね…。端折りすぎだったのが残念でした。同じ「白痴」でも黒澤明監督の日本ver.は見事にそのままでした。

追記(プチ自慢):いっちゃんがベルリンでテレビ番組に出演するというので思い出したんですが、実は、私もドイツの語学学校に行ってた時、その学校の企画でフランクフルトのテレビ局でオーディエンスとして番組に参加したことあります。小堺一機さんの「いただきます!」みたいなオーディエンス参加型の番組だったので、客席が映ったりするんですよ。後日その番組の放送の時、自分たちが映ってないかドキドキしながら見てたら、他の仲間は、どあっぷで映ってたのに私は映ってなかった(涙)結構カメラが抜きやすい位置に座ってたのにガッカリしたのを思い出しました(笑)





ジェラール・フィリップ特集 PART2

2012-12-19 00:14:30 | 映画
「赤と黒」「パルムの僧院」を観てきました。

本当はどちらも観る予定じゃなかったんですが、前回観たジェラールの演技に魅了されてしまったので観ることにした次第でございます。ついでに書くと、ジェラールは36歳の若さで亡くなったのですが、数年前にジェラール主演の「白痴」を観たとき、てっきり晩年に出演した作品だと思っていたら、24歳で演じていたことを知ってジェラールに対する偏見が払拭されつつあり、そして前回みた映画で完全に払拭されたんですよ。生きていたら絶対ファンになってましたよ。舞台俳優さんでもあったそうです。日本にも来られたことがあるようです。実は、今回の特集のために作られた記念本を買ってしまいました(笑)

ま、これもぶっちゃけ書くと、今やってるスカイビルのクリスマスマーケットで白ワインのグリューヴァインが飲みたかったんですよ(笑)サンタさんの胴と足のコップも欲しかったんで(笑)ええ歳したオッサンがこんなこと言うのもなんですが、ホンマにカワイイんですよ!三個で一体のサンタさんになるんですよ。ちなみに一個500円です。グリューヴァインを飲むなら900円ですコップ持ち帰り可能。白ワインの方が飲みやすい。

クリスマスマーケットの回し者ではありませんが、私にとってドイツは日本の次に縁が深い国なのでついつい宣伝をしてしまいました…。あ、いっちゃん今ベルリンにいるそうです。ドイツのテレビ番組でエリザベート役で歌うそうです。詳しくはいっちゃんのBlogをご覧ください。

それはさておき、「赤と黒」も「パルムの僧院」も宝塚ではお馴染みの作品ではあるんですが、残念ながら、「パルムの僧院」が原作の「情熱のバルセロナ」は観てません。なので宝塚版がどのように脚色されているのか分かりませんが、ジェラールの「赤と黒」に関しては瞳子さんのジュリアンよりキリヤンの「アルジェの男」のジュリアンの方が近かったように思えた。

「赤と黒」も「パルム~」もやはり本当の愛がテーマになっていたんですが、ジェラール版の「赤と黒」は“宇宙の愛”を描き、「パルム~」は宝塚の「恋人たちの肖像」のラストに似た“報われぬ愛”が描かれてました。

ジェラールのジュリアンは瞳子さんのジュリアンと違ってそれほど野心家には見えなかった。「赤と黒」のジュリアンはナポレオンを崇拝しているんですが、ジェラール版はレナール夫人が書いた解告状(ジュリアンが無神論者で野心家であること、レナール夫人との不倫をしたことを告白する)を引き立たせるための存在にすぎなかった。ナポレオンのような強い野望を抱いているようには見えなかったね。だからね、ラストのジュリアンがレナール夫人を殺そうとするシーンが今一つ説得力に欠けた。ま、描こうとしていたのが本当の愛に気付くジュリアンであり、宇宙の愛を望むジュリアンであったのでそれはそれで良かったんですが、ラストのあのシーンだけ、何故そうなる!?と思ってしまいました。

「赤と黒」に関して言えば、「ベルばら」でアンドレがオスカルを毒殺しようするくらい嫉妬に狂ったり、「仮面のロマネスク」のように嫉妬することが相手への愛を確かめるための手段として描かれていたりと、ひねくれた愛の形が描かれいるわけですが、結局その愛が♪愛の讃歌♪の世界観のように死という形で宇宙の愛を得ることを選択するのがジェラール版のジュリアンなんですよね…。瞳子さんが演じたジュリアンとはちょっと違うけど、キリヤンのジュリアンに近いキャラだったので、ひょっとしたら柴田先生はジェラール版を参考に「アルジェの男」を書いたのかな?と思いました。ま、違うとは思いますが…。

原作を読んでないのでなんとも言えませんが、柴田先生の「赤と黒」は野心家のジュリアンが絶望を味わう…というのがメインのプロットのように思えたので、私はジェラール版のジュリアンがなぜ死刑を選んだのかその理由の方が納得できたので私は映画の方が好きです。原作本は買ってあるのに全く手をつけてないので頑張って読んでみようと思います。

同じ本当の愛でも宇宙の愛ではなく、己の愛より愛する人を生かすことを選択した「パルムの僧院」…。

ぶっちゃけ書くと、途中寝てしまいました(笑)最初の単調な流れにうとうとと…。目が覚めたらジェラール演じる主人公ファブリスが最初のシーンには出て来なかった女性とイチャイチャしていて挙げ句の果ては追いかけてきた男を殺し、捕まるというシーンでした。

そこからはちゃんと観たんですが、ぶっちゃけ、何故これが名作なのか分からなかった。それくらい主人公が最低な男だった。めちゃ女たらしな主人公だったので、イライラしながら何故これが名作なのか?何故これを宝塚で上演したのか?疑問に思いながら見ていました。

侯爵夫人もクレリアも可哀想…と思ってたら…、まさかのまさかの本当の愛が描かれるとは目覚めた時には思ってもみませんでしたね。

あまりにも一人の男の存在が国を揺るがす暴動にまで発展するんですからね…。

侯爵夫人も信仰深いクレリアも身を削る想いでファブリスを救おとする姿についつい涙が…。侯爵夫人もクレリアも好きでもない相手と…。自由主義論者も自己犠牲を払ってましたね。なのにファブリスは…。

「恋人たちの肖像」と共通するのは、報われぬ愛、本当の愛とは愛する人を生かすこと…。いわゆる「ベルばら」のジェローデルですよ。もちろん好きな相手と結ばれるに越したことはないですが、もしそこに“死”が関わるなら話は別だと思うんですよ。究極の選択ですね。

ラースの「ダンサー・イン・ザ・ダーク」もそうですが、本当に愛しているなら、自己犠牲も厭わないのが本当の愛でもあると思うんですよね。生きていてくれるなら目が見えるようになるなら、結ばれなくてもいい、命はいらないと思うのも本当の愛であると思うので、まさかこの作品でもそれが描かれるとはうたた寝から目覚めた時には詠めませんでした。