禁断の歯医者

2017-04-15 01:18:44 | Weblog
ついにその日が訪れた
部屋の目の前の歯医者に行ったのである
ここで何度か書いたが、
俺のマンションの前の道路を挟んだ向かいに、
歯医者がある

ここの院長と俺は同い年なのである
何気なくHPを見て、その事実を知った
それ以来ずっと心のどこかで意識していた
何せ目の前にあるので毎日見てるわけである
そして待合室も部屋から丸見えの状態である
ちょっと外を見ると必然的に待合室が飛び込んでくる
こっちが3階で待合室が2階だから、
中の様子がよく見えるのである

そしてこの歯医者がすごい人気があって、
常に混んでる感じなのである
そして子供も男の子が2人いる

この部屋に越してきたときは小中学生だったはずだから、
上はもう20歳を過ぎてるだろう
恐らく有名大学に行ってるのではなかろうか
もしかしたら歯医者を継ぐのかもしれない
要は俗に言う勝ち組というやつである

その向かいに負け組の俺がいるわけである
道路1つ挟んで明暗くっきりである
そんなわけで否応なしに意識してきたわけである
もし同い年でなければ、さほど気にはならなかっただろう
有名人でも同い年は多少意識するのと同じである

こう書くと将来その家族に対して何か引き起こす感じに、
取られるかもしれないかそれは絶対にない
単に理想的な人生だなあと思ってるだけである

そして昔虫歯になった時、別の歯医者に行った
どうもそこには行く気にならなかったのである
そして先日再び歯が痛くなり、その時の歯医者に行った
すると虫歯ではないと言われ、クリーニングだけして終わった

しかしその後も痛みが引かず再び訪れたが進展なし
これは医者を変えるしかないと考えた
もちろん周りにはいくらでも歯医者はある
今までならまた別の歯医者に行っていた

しかしなぜかその瞬間何かが背中を押したような気がした
もうこれは決断するしかないだろう
そんなに虫歯にはならないから、
これが最後のチャンスかもしれない
ついに10年近く見続けてきたその歯医者に突撃である

予約をしてドアを開ける際、変な緊張感があった
そしていつも部屋から見ていた待合室である
上から何度も見てきたが中は思ったより狭い感じだった
しかし興奮というか、ついに来たぞという感じで、
変な感動が芽生えた
まるで夢見てた観光名所に来た感じである

そして順番が来て奥さんだと思われるが、
軽く診断してもらった
奥さんも部屋から何度も見てるのですぐに分かった
そして‌ついに院長との対面である

まさか俺が目の前で10年近く、
この病院を見続けてきた男だとは夢にも思ってないだろう
同い年の勝ち組と負け組が初めて対面した瞬間である

そして診断だが、きちんとレントゲンを撮って、
画像を見ながら丁寧に時間をかけて説明してくれた
これは人気があるのもうなずけた
過去に行った歯医者の中では群を抜いて分かりやすかった

結局虫歯だが上の親知らずで、
抜くのがベストということで、すぐに抜歯した
親知らずは虫歯でなくても抜くのがベストということだった
とにかく位置的に磨くことができないのである
実は以前片方を抜いてるので別にどうってことはない

本来は下も抜くべきらしいが完全に埋まっており、
痛みが結構あるということでまたの機会ということにした
そして2回行って無事に終了した
とても同い年とは思えないぐらい大人だった
これが普通の53歳なのだろうか
俺が社会経験のほとんどない未熟者というのもあるが、
やはり勝ち組オーラがすごかった

そんなわけで禁断の遭遇はあっさり幕を閉じた
1度行ったらさほど存在は気にならなくなった
まあそれでも待合室は毎日目に入るわけである
部屋からだと奥の診察室までは見えないから、
奥の様子というか全貌が分かっただけでも収穫だった
いつも上から見ていて、
奥はどうなってるんとだろうと思ってたからだ

そして歯医者として優れてるこことは分かったので、
もし虫歯になったらまた行くが、
とりあえず気持ちの中で宿題を1つ片付けた感じだ

同い年の勝ち組を間近で見たのは初めてだったので、
いい経験ができた
まあ世の中というのは上と下に、
きちんと分かれてるものだと再認識した次第である
俺とあの先生で言うと、
道路というハッキリとした境界線で、である
コメント
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