雪の朝ぼくは突然歌いたくなった

2005年1月26日。雪の朝、突然歌いたくなった。「題詠マラソン」に参加。3月6日に完走。六十路の未知の旅が始まった…。

髭彦閑話42「ふるさと福島の原発危機」④

2011-04-07 19:20:36 | 髭彦閑話

3月21日(月)つづき

(22:47)
T澤くん
Y田くん
新大久保でポーシンタンを食べる会を、O本くんを含めてやりましょう。
3人で相談をして、今週の24日(木)以外の昼間で都合のいい日を決めて、連絡してください。
原発危機がとんでもないことにならないかぎり、決行しましょう。
よろしく。
楽しみにしています。


3月22日(火)

(10:45)
O野さん
お見舞いのメール、ありがとうございました。
たいへん懐かしく拝見しました。
お元気でいらっしゃるようで、なによりです。
故郷に僕たちの祖父なども積極的に協力して作ってしまった原発が、結局は大事故を引き起こし、故郷の一帯をゴーストタウンにしてしまい、さらに大規模な破局を避けられるかどうかの瀬戸際が続いていることに、胸を痛め続けています。
何とか最悪の破局にならないことを祈っていますが、従兄たちが富岡町に帰って元のような暮らしがいつできるようになるのか、とても不安です。
父母や兄の墓所のあるいわき市もゴーストタウン化しているようですし、常磐線も不通で様子を見に行くことさえ当分できないでしょう。
日立などもかなりの被害を蒙ったのでしょうね。
仙台も含めて、被災されたお知りあいの方々や顧客の方々も多かったとか。
胸が痛みます。
ともあれ、ご親切なお見舞い、改めてありがとうございました。
どうぞお元気でお過ごしください。

(12:14)
F本さん
メールありがとうございました。
ご自宅の被害、大変だったようですね。
僕自身は被害ゼロでしたが、6歳まで生まれ育った故郷が福島第1原発から3キロのところだったので、従兄たちは避難を余儀なくされ、辺り一帯はいまやゴーストタウンとなっています。
さらに、最悪の破局への可能性も未だに残されているので、たいへん心の痛む日々を過ごしています。
ところで、添付された貴君の法律事務所での学習会レポートだという、「歴史にイフは? 日清戦争から維新・幕末へ―日本近現代史をめぐって」を拝読しました。
力作ですね。
法律家のF本さんが、歴史学のきわめて先端的な問題をここまで深く勉強され、考えていられるのに敬意を表します。
かつての拙論と僕自身について過分の引用と評価もあり、恐縮しました。
事務所の後輩の弁護士さんたちに、大きな歴史の選択肢という観点から第九条の問題を捉え直してもらう、良いきっかけになるのではないでしょうか。
いっそうのご健闘を祈ります。

(14:51)
「東電は事故発生時後、廃炉の方針で対処を考えた」という郡山市長のNHKインタビューは確認できませんでしたが、3/18産経ニュースの報道によれば、事実関係は逆であるように思います。
<3/11>
 「まず、安全措置として10キロ圏内の住民らを避難させる。真水では足りないだろうから海水を使ってでも炉内を冷却させることだ」
 首相の意向は東電に伝えられた。
 だが、東電側の反応は首相の思惑と異なっていた。
 10キロの避難指示という首相の想定に対しては「そこまでの心配は要らない」。海水の注入には「炉が使い物にならなくなる」と激しく抵抗したのだ。
 首相も一転、事態の推移を見守ることにした。東電の“安全宣言”をひとまず信じ、当初は3キロ圏内の避難指示から始めるなど自らの「勘」は封印した。
 ところが、第1原発の状況は改善されず、海水注入の作業も12日午後になって徐々に始めたが、後の祭りだった。建屋の爆発や燃料棒露出と続き、放射能漏れが現実のものとなった。
<3/15>
 15日早朝、東電本店(東京・内幸町)に乗り込んだ首相は東電幹部らを「覚悟を決めてください」と恫喝した。直前に東電側が「第1原発が危険な状況にあり、手に負えなくなった」として現場の社員全員を撤退させたがっているとの話を聞いていたからだ。
 「テレビで爆発が放映されているのに官邸には1時間連絡がなかった」
 「撤退したとき、東電は百パーセントつぶれます」
 会場の外にまで響いた首相の怒声は、蓄積していた東電への不信と初動でしくじった後悔の念を爆発させたものだ。官邸に戻った後も「東電のばか野郎が!」と怒鳴り散らし、職員らを震え上がらせたという。

(17:35)
T澤くん
Y田くん
O本くん
では、明日1時に新大久保駅でということにしましょう。
案内する店は、ソウルの下町にあるような店で、若い韓国人客で繁盛しています。
12時前後だと席が取れないかもしれないので、1時過ぎの方が安全でしょう。
Y田くんとO本くんは、ポーシンタンがどうしてもという場合は、サムゲッタンという若鶏の鍋があるから心配はいりませんよ。
ははは!
O本くんにも転送してあげてください。
では、明日。

(19:24)
生コンクリート圧送機は、チェルノブイリ原発事故のあとの石棺作りに使われたものと同型のものだそうです。
これが生コンを注入するような事態にならないことだけを、心底から願います。
相変わらずNHKでは、関村某などの東大教授たちが危機感のない解説をしたり顔で続けていますが、東大の原子力学科というのは元来原発推進の人材を作るために創設されたものだと聞けば、彼らの鉄面皮な御用学者ぶりもなるほどと思います。
東電の原子力担当のトップだという副社長の武藤某も、東大の原子力学科卆の秀才だそうです。
「保安院」の西山某に至っては、呆れたことに原子力の専門家でもなんでもなく、東大法学部卒の通産省の文系官僚がごく最近「保安院」の幹部に抜擢されたばかりなのだそうです。
現下の原発危機を救えるとしたら、間違いなくこの連中や菅以下の政治家連中ではなく、原発を現場で知悉している東電関連の技術者や職員、放射能事故対策の訓練を受けてきた自衛隊や消防庁の専門家たちの、決死の犠牲的行動だけでしょう。
申し訳ない気持ちでいっぱいですが、今しばらくはこの人たちの気高い行動に日本の将来を委ねたいと思います。

(22:21)
牛乳もハウレン草も飲み水も見えざる毒のはや冒したり

主去る核の荒れ野に遺されし犬猫あまたあはれあはれよ

(23:59)
東電は、すでに史上最悪の環境破壊企業に成り果てました。
ふるさとの人々はもちろん、取り残された犬猫や家畜、そして丹精された作物、すべてのいのちを脅かし、死と病に追いやりつつあります。
その東電とつるんで来た政治は、政権交代によっても結局は何も変わらなかったということでしょうか。
その最も過酷な犠牲者が、<「屋内退避」圏>で<想定外の「孤島」化に苦しんでいる>方々かもしれませんね。
胸が痛みます。


3月23日(水)

(0:11)
自衛隊は、「剣を鋤に、槍を刈り取り鎌に」変え、全面的に内外の災害救助組織になってくれれば、隊員にとっても、もちろん国民にとっても、そして他国民にとっても、どんなにか安心でしょう。
あの過酷な状況で決死の活動をしてくれている自衛官の方々を思うと、そう思わざるを得ません。

(23:12)
ヒバクシヤに乳児なりゆく東京の飲み水つひに核に侵され

(23:42)
O本くん
今日は会えてうれしかったです。
少し遠くなりますが、これからも時々会いましょう。
次に東京で会うときには、ポーシンタンをご馳走します。
いっそうの成長と活躍を期待しています。


3月24日(木)

(10:37)
Y田くん
昨日は君たちに会えて、とても楽しかったです。
ポーシンタンをご馳走できなかったのが残念でした。
よければ、Y田くんにはその内ご馳走しましょう。
原発危機は依然として続き、放射能被害も益々広がる勢いですが、負けずに新生活に向ってスタートを切ってください。
また会いましょう。

(10:47)
Y田さま
ご丁寧なメール、ありがとうございました。
老人の引退教師を忘れずに声をかけてくれるY田くんたちに、僕の方が感謝したい気持ちです。
せっかくの希望に満ちた新生活の出発がとんでもない時期に当たってしまい可愛そうですが、これも人生、負けずに頑張ってスタートを切って欲しいと願わずにはいられません。
T沢くんとO本くんは北海道に行ってしまいますが、Sくんとはいつでもまた会えると思いますので、楽しみです。
原発危機の被害拡大が心配ですが、どうぞご無事にお過ごしくださいますよう。

(10:56)
教えることなど僕にはもちろんできませんが、核と人間の共存はやはり不可能なのだということを、これを機に本気で肝に銘じ、これからの社会生活のあり方を全面的に再構想してゆく必要があるのではないかと、思っています。

(11:57)
今日の報道によると、第1原発からは、すでにチェルノブイリ事故の3分の1の放射性ヨウ素が飛散した可能性があるということです。
セシウムについても当然同じことでしょう。
東京周辺にも汚染は広がってきていますが、30キロ以内はおそらく相当な汚染度のはずです。
やむにやまれず残っている方々、戻って来られる方々の安全が心配です。

(12:40)
権力者たちには、「天罰」だとか「処分」だなどと暴言を吐いているだけでなく、内心では自分の地位の延命の絶好の好機(=「天佑」)だと思っていそうな輩や、どうやったら自分の責任を回避できるかにのみ腐心している輩、現場の自衛官の気高い犠牲的な行動を、改憲による自衛隊の国軍化の絶好の機会到来に利用しようとしている輩などの有象無象がいることを、残念ながら僕たちは忘れるべきではないでしょう。
未曾有の国難に際して日本人が一つになろうというのは、あくまで一般の国民レベルの話での願望で、政界・財界・(自衛隊を含む)官僚機構・マスコミなどの上層部連中に対して必要なのは、信頼ではなく不信であり、国民の安全を守って行動させるようきびしく批判・監視することでしょう。
「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対に腐敗する」というアクトンの至言は、現下の危機においても変わることはありません。
徒に不安を煽るようなデマや根拠のない情報を流すことはもちろん犯罪的ですが、だからといって、これまで安全神話をふりかざして原発を推進し、その批判を封じてきた各界の権力者連中を信頼するのは、きわめて危険です。
責任追及はすべてが終わってからでいいにしても、彼らに対する不信と批判は片時も忘れるわけにはいきません。
なによりも平和と民主主義を愛する一国民として、僕はそう確信しています。

(18:30)
原子炉の暴走止めむとつぎつぎに気高き人らヒバクシヤとなる

今年こそ木々の芽吹きはかなしけれ核の春にぞなりにしあれば



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