竹原BLOG:奈良民話祭り ― グリム童話・メルヘン・語りの文化 とっておきの話。 

夏の奈良民話祭り:8月5日(金)午後3時より奈良町物語館で4回公演!
奈良燈花会に行きがてら、ぜひ来てくださいね!

もうひとつ東大寺のお話「鬼子母神とザクロ」

2010年06月08日 | 日記
続いてもうひとつ東大寺にまつわるお話をしましょう!
二月堂の前に「良弁杉」があるのは前回のお話でよくわかりましたよね。
その二月堂の西側の廻廊の階段を降りて、右手に祠(ほこら)があります。
下の写真見てください。



鬼子母神を祭った祠です。
それにはこんな話があります。


鬼子母神とザクロ

奈良の二月堂の下にある良弁杉の横に、鬼子母神という祠があります。
鬼子母神というのは、女の神様で、たくさんの子どもがおりました。
この神様は、恐ろしい事に、人の肉を食べるのが好きで、
人間の子どもをさらって来ては、その肉を食べていました。

ある時、お釈迦様が、それを諭すために、
鬼子母神の大勢の子どもの中の一人を隠してしまわれました。
鬼子母神は、無我夢中でわが子を探しまわりました。
すると、お釈迦様は、 
 「お前は、子どもがそんなに大勢いるのに、
 たった一人いなくなっただけで、それほど悲しむだろう。
 ましてや人間はわが子の数が少ないのに、なくした親は、
 どれ程悲しい思いをしていることか・・・。
 よいか!二度と、子どもをさらって食べたりなどするのではない。」
と言われました。
鬼子母神は、
 「ああ、確かにそうです」
と言って、自分の過ちを認め、それからは、子どもをさらわなくなりました。
お釈迦様は、
 「人間の肉が食べたくなったら、人間の肉とよく似た、
 このザクロを食べるがよい」
と言って、
鬼子母神にザクロを渡されました。

それで、今でも、ザクロのできる時期になると、
鬼子母神の祠の前に、たくさんのザクロをお供えするのです。

奈良の民話を語りつぐ会
なら・語りの講座 II (講師:村上郁) 
再話:吉本 京 不許転載

みなさん、もう一度上の写真を見てください。
確かにザクロの実がなっているでしょ。
ちょうどザクロのできる秋に私が撮った写真です。