壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

奨学金の課題

2011年12月20日 | よむ

読売新聞、国際面で、「始動2012米大統領選」が連載されています。その第3回(12月19日)は、学資ローン問題を取り上げていました。高学歴で弁護士になった成功者でも、18万ドル(約1400万円)の負債を背負い、完済まで30年かかる、というエピソードが紹介されていました。(詳しくは紙面を見てください)

いわんや、「大学は出たけれど」層は、おや。

アメリカでは、多くの学生が学資ローンを受けて大学進学する。これは「自立をよしとする文化が背景」と僕は思っていました。しかし、違うようです。1965年、ジョンソン大統領が、中・低所得者層に大学教育の機会を与えるために導入した政策なんだそうです。これ、見方を変えれば、「高学歴は成功への約束というニンジンをぶらさげ、金融資本が新たなマーケット(貸付先)を開拓した」とも読めますよね。

2年ほど前、埼玉の県立高校の校長先生にお話を聞いたことがあります。その方は教育系出版社にいた民間人校長です。「子どもたちが進学するのは喜ばしいこと。しかし、彼らの10年後、20年後を考えるとかわいそう(正直、進学を勧めていいものかどうか……)」。構造不況は続くでしょう。10年後、20年後は、結婚、子育ての時期で、お金がかかります。返していけるのか。そう心配されているのです。本音でしょう。

僕は奨学金を受けて大学に進みました。いい経験をしました。しかし子どもには「奨学金を受けてまで大学に行け」とは言えない。せいぜい言えるのは「自分の進路は自分で考えろ」くらいです。でも、これって子どもに自己責任を押し付けていますよね。真に子どもの幸せを願うなら、「大学に行くな」とアドバイスすべきかもしれません。

日本学生支援機構の奨学金貸付総額は、第一種(無利子)はほぼ横ばいですが、第二種(有利子)は右肩上がりで増えています。教育というのは崇高な理念であり、アンタッチャブル。ですが、あえて言わせてもらうと、サブプライムローン並みの時限爆弾のような気がします。

アメリカで起きたことが、10年後に日本でも起こる、と言われます。この心配、杞憂に終わるといいのですが。

●具体的な立法の提案。
1)すべての金銭の消費貸借は、単利計算とする。複利計算で金を貸した者は厳罰に処す。
2)貸与型の奨学金、教育ローンは、すべて無利子とする。
いかがでしょうか?


ヒラメ

2011年12月20日 | かんがえる

橋下徹元大阪府知事による大阪府の教育条例案は、(1)教育目標を知事が教育委員会と協議して設定する、(2)教員の懲罰規定の強化、(3)教職員に対する5段階の相対評価を実施し、2年連続最低ランク評価の教員には免職も含む分限処分、(4)3年連続定員割れの府立高校は統廃合、(5)保護者らによる学校協議会が教員を評価する、などがその内容です。

(3)に関して。学校ごとにS5%、A20%、B60%、C10%、D5%と校長が評価し、2年連続D評価の教職員は処分するという内容だそうです。

以上、「あらたにす」のジャーナリスト、勝方信一氏の文章で知りました。氏の立場は、教育現場の信頼関係を損なうから、条例案に反対。同条例案を東日本大震災の被災地の学校現場に導入できるか? それを想像すれば条例案に無理があることは明らか(要旨)と述べられています。

どんな制度にも抜け道はある。校長が「現場を守る」という姿勢なら、毎年、5%のD評価を別の人に付けることで、処分を避けられます。低評価の分かち合い。ワークシェアリングのような考え。これで条例案(3)を無効力化できます。この場合、「行政VS校長・教員」という構図です。

一方、校長が、そうでない姿勢なら、能力のない教員(ひょっとして嫌いな教員も?)に2年連続、D評価を付けることがあるでしょう。この場合、「行政・校長VS教員」です。

どっちにしても、教育条例案が実施されると、校長の権限が強くなる。そして校長の任免権者の権力がもっと強くなります。上司の言うことを気にしてばかりの人材を、俗にヒラメといいますが、ヒラメ教員が増えるでしょう。それは民主的組織にとって、好ましいことでないはずですね。


モンサント社

2011年12月20日 | よむ

製薬会社は「薬を売るより病気を売れ」というやり方で、患者の掘り起こしをしてきた。精神科の薬の開発は、科学の衣をまとったマーケティングである。(12月12日の朝日新聞夕刊より)

デビッド・ヒーリーという精神科のお医者さんの本を、田島治という杏林大医学部の先生が訳されています。ヒーリーさんは、薬品業界のカラクリを告発されています。

さてさて、TPPが実現すると、モンサント社製の種子がドッと入ってくるかもしれません。「田中龍作ジャーナル」(12月13日)で知りました。ベトナム戦争で使われた悪名高き枯れ葉剤。それを作ったのが、モンサント社なんですね。枯れ葉剤を作るような会社は、人道に対する罪(?)で裁かれ、とっくに無くなっていると思い込んでいたので、驚きでした。

田中氏はフリーのジャーナリストですが、フットワーク軽く取材活動されているようです。毎日更新される記事の迫力あるトップ写真、キャプションの(筆者撮影)のクレジットから、それが伝わってきます。なぜ、経団連の米倉会長はTPPに熱心か。12月13日付けのニューヨークからの記事で、その理由がよく分かりました。

ご興味のある方は、ぜひ。
以下、田中龍作ジャーナルのアドレス。
http://tanakaryusaku.jp/2011/12/0003333


バンパーの傷

2011年12月19日 | あじわう

政治ではなくて子分にカネかかり 西宮 B型人間

願わくば介護頼むぞAKB 大阪 寅年生まれ

バンパーの傷にそこまでなぜ怒る 生駒 鹿せんべ

まやかしの除染ホントは移染でしょ 大分 春野小川

ばてたのも居るでしょに飛ぶ渡り鳥 宝塚 忠公

●一昨日(12月17日)の毎日新聞、万柳より。
第一句。子分とはいえ政治家。歳費が出ているはず。それに満足せず、親分にねだっているのでしょうか。それとも子分を手なづけるため親分が大盤振る舞いしてるんでしょうか? 子分が駆け引き上手なのか、親分が甘いのか。

第二句。こっちも頼みます。

第三句。バンパーって、そもそも車体を守るもので、ぶつけられることが前提の部品ですよね。

第四句。スルドイ。

第五句。自然界に、人間界のような福祉はない。バテても自分に鞭打ち頑張る。それができない固体は、食物連鎖の犠牲になるのみです。ナムアミダブツ。

今日から一週間の始まり。「あるくみるきく」読者の皆様も元気にお過ごしください。


仕組みが逆回転

2011年12月19日 | かんじる

大阪商業大学JGSS研究センターの全国調査によると、20代の男性(学生除く)では、中心となる収入源が自分の収入である者の割合が72%(2002年)から、48%(2010年)に低下し、親の収入が中心となっている割合が、21%から46%に上昇した。要するに若者の半分が親がかりなのだ。女性も、親に頼る傾向は同じだ。

(第一次産業就労者割合が約50%あった)昭和20年代、「農家の次男、三男問題」は深刻な政治問題で、農地開拓と海外移民に解決策を見出そうとしたが、限界があった。

工業化によって、農村の少年少女が都会で就職口を得ることが可能になる。都会に出てきた彼ら(金の卵)が結婚し、新世帯をつくることで住宅や家電製品、車などの内需が発生し、日本経済は雪だるま式に大きくなったのである。

今、この仕組みが逆回転しつつあるようだ。

子どもたちは、これまでのような「標準的な人生コース」を持てないかもしれない。親も、それを覚悟する必要がありそうだ。(以上、12月18日の読売朝刊より、適宜略)

「仕組み」「逆回転」というキーワードにひっかかりました。

確かに国内市場は縮小する。企業は市場を求めて海外へ出て行く。でも、それができるのはほんの一握りでしょう。多くの企業は海外へ雄飛できない。また海外進出を図ったとしても、成功するのは、これも一握り。確かに競争によって切磋琢磨することは大切ですが、競争に敗れ、国内にとどまる者をどうフォローするか。

国内では「仕組み」が「逆回転」してる。ここは「標準的な人生コースを持てない覚悟」をして「発想」を「逆転」するしかないですね。