もう30年近く前のこと。時効です。
当時、21~22歳。盗難品と知りながら、自転車に乗っていた。夜、繁華街で警官に呼び止められ、職務質問された。
友人から譲られた自転車です。が、友人を売るようなことができず、「居酒屋でたまたま隣り合った人からもらった。詳しくは知らない」で押し通した。
盗難届が出されていたのでしょう。防犯シールは剥がされていたが、鉄のフレームに刻印された番号で(そんな番号があると初めて知りました)持ち主が特定された。
一晩、警察署に留め置かれました。警察は、こちらの言うことは何一つ聞いてくれなかった。ま、「居酒屋でたまたま~」なんて稚拙な言い訳ですからね。「店の名は?」など質問を重ねられたら、すぐボロが出ます。
翌朝、「将来ある青年だから許してあげて、と自転車の持ち主が言っている」と言われ、解放されました。
さらに3~4年前、故郷の道を歩いていると、また職務質問された。私は老人ホーム勤務。仕事はシフト制で、平日に連休を取って帰省していました。東京で見た天気予報で、関西が雨だったためビニール傘を持っていました。
なぜ俺を職務質問するんだと問うと、天気がいいのに傘を持っているから、と若い警官は答えました。それが「不審」の理由なのか? 何気ない風に名前を尋ねましたが、彼は答えてくれません。こっちの個人情報は尋ねるのに、向こうはこちらに何も知らせない。
歩く人がほとんどいない地方の3ケタ国道、平日の昼間、そして晴天の傘。間の悪いことに運転免許証は東京の家に置いており、身分証明できるものがない。
地方の最寄駅。次のバスは1時間待ち。故郷の景色を味わいたい。そう思って歩いていただけなのに。路上での押し問答が1時間も続き、やっと解放されました。
いま緊急事態宣言下で、外出自粛が求められている。警官は、さすがに外出者を取り締ったり職務質問したりはできなくとも、街に増える彼らの存在は、無言の圧力にはなります。
千葉市長が、夜の繁華街のパトロール強化に警官を投入するなんてことを言った。首相も、これを機に警察を積極的に使おうとしているのかもしれない。
そんなこんなで昔の二つの体験を思い出した。いやな世の中になったものです。