「(福島県)郡山市の公園には、『小学生以下のお子さんは利用を控えてください。中学生以上であっても1日あたり1時間程度にしてください』」と(掲示が)あるのです。完全閉鎖をしなくちゃいけない状況ですよね。その後、この看板は取りはらわれたんです。中の土を入れ替えたからです。」
以上、設立20周年を迎えた「チェルノブイリ子ども基金」の通信、『チェルノブイリの子どもたち』No.87(12月17日)より。『DAYS JAPAN』の広河隆一さんの講演抄録です。
ホッ。福島もきれいになっているんだ。そう思ったあなた、早計です。講演には続きがあります。
「でも、雨は公園だけに降るわけではないんでしょ。周辺全部降っているわけです、住宅街にも。さもこういった公的なところを除染すればそれで済むと思っている。除染は、そういう人たちの言い逃れに使われていく。」
数日前の、万柳にも、「除染でなくて移染でないか?」という句意の川柳がありました。以下、引用を続けます。
「それまでは、(地元紙である)『福島民報』も『福島民友』も、政府は安全だと言っている、電力会社も、医者たちも心配ないと言っている、そればっかり伝えていた。それが7月4日から初めて『原発大難 後悔したくない』というようなタイトルを1面に使われ(ママ)始めたんです。」
なぜ、7月4日以降なのか? 気になるところです。引き続き引用します。
「(それまで子どもや孫の避難を渋っていた)おじいさんとか男たちが、これを見ることによって初めて、やっぱりそうかと思い始めていくんですね。孫を逃した方がいいんじゃないかと。(こういう市民の動きに)危機感を感じた行政や医者、そういう人間たちがそれ(市民の動き)を(パブリックアクセプタンスと同様の手法によって?)押さえ込もうとしているのです。」
広河さんは、押さえ込もうとする側だけが計測機器を持ち、データを独占するのは後難の素になる、だから市民は自ら計測して記録しなければならない、そのために計測器を送る運動をしている、と話されています。
講演の結びです。「政府になんとかを要求して、やってくれないからこうなんだ、という時代はもう終わったのです。自分たちでやるほかないのです。」
『ニューズウィーク』の池田信夫さんの論考、「史上最大の公共事業『除染』は税金を浪費する『霊感商法』」(2011年12月08日)は、興味深かった。まさに「そういう人たちの言い逃れ」であり、「そういう人たちの仕事の創出」ですね。しごく当然だと思いました。興味のある人は『ニューズウィーク』のサイトで読んでください。
とはいえど下船もできず日本丸
「あるくみるきく」読者の皆さま、皆さまは航海士も機関士も、そして船長も兼ねているんですねぇ。